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※問題の引用:厚生労働省より
※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。
・まとめてもらいたい問題や希望、漏れがあったらコメントください。
・当HPに「キーワード検索」の機能がありますので、そちらも積極的にお使いください。
106回 午前
65 訪問看護の利用者に関する訪問看護と病院の外来看護の連携で適切なのはどれか。
1.訪問看護報告書は外来看護師に提出する。
2.利用者の個人情報の相互共有に利用者の承諾書は不要である。
3.利用者が使用している医療材料の情報を外来看護師と共有する。
4.訪問看護師から外来看護師に利用者の外来診察の予約を依頼する。
解答3
解説
訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。訪問看護の指示書には、①訪問看護指示書、②特別訪問看護指示書、③精神科訪問看護指示書などがある。②特別訪問看護指示書とは、「厚生労働大臣が定める疾病等」の療養者や指定された医療処置・管理が必要であると主治医が認める者などに交付される。医療保険が適用され、交付は原則として月1回まで、有効期間は14日である。③精神科訪問看護指示書とは、精神疾患のある利用者とその家族を対象とし、地域や家庭で療養上の援助・指導が必要であると主治医が認める場合に交付される。有効期間は6か月以内で、介護保険対象者であっても医療保険によるサービス提供となる。
1.× 訪問看護報告書は、「外来看護師」ではなく主治医に提出する。訪問看護報告書とは、実際に利用者に対してどのようなサービス内容を提供したか、という結果について記録する報告書を指す。
2.× 利用者の個人情報の相互共有に利用者の承諾書は、必要である。『個人情報保護法』や「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン」に基づき、慎重に扱う必要がある。
3.〇 正しい。利用者が使用している医療材料の情報を外来看護師と共有する。なぜなら、外来看護師と医療材料の情報を共有することで、より安定した医療材料の入手や取得につながるため。また、お互い把握することでより利用者の変化に気づきやすい。
4.× 訪問看護師から外来看護師に利用者の外来診察の予約を依頼する必要はない。なぜなら、外来診察の予約は、本人・家族が行うのが適切であるため。
個人情報保護法とは、個人情報の保護に関する法律の略称である。個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした個人情報の取扱いに関連する日本の法律である。定義(第2条)には、「この法律において『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」とされている。
個人情報保護に関するコンプライアンスプログラムの要求事項では、センシティブ情報の具体的項目に関して、以下の5項目を挙げている。①思想及び信条に関する事項、②政治的権利の行使に関する事項、③労働者の団体交渉に関する事項、④医療、性に関する事項、⑤犯罪の経歴、人種、民族、社会的身分、門地並びに出生地及び本籍地など社会的差別の原因となる事項である。
106回 午前
66 Aさん(42歳、女性)は、交通事故による脊髄損傷で入院し、リハビリテーションを受けた。Aさんの排泄の状況は、間欠的導尿による排尿と、坐薬による3日に1回の排便である。同居する夫と実母が導尿の指導を受け、退院することになった。初回の訪問看護は退院後3日目とし、その後は訪問看護を週2回受けることになった。
入院していた医療機関から提供された患者情報のうち、初回訪問のケア計画を立案するのに最も優先度の高い情報はどれか。
1.食事の摂取量
2.1日の導尿回数
3.最終排便の日時
4.リハビリテーションの内容
解答3
解説
・Aさん(42歳、女性、交通事故による脊髄損傷)
・排泄:間欠的導尿による排尿、坐薬による3日に1回の排便。
・同居する夫と実母が導尿の指導を受け、退院。
・初回の訪問看護:退院後3日目
・その後の訪問看護:週2回
→本症例は、脊髄損傷である。脊髄とは、脳から延長した円柱状の神経の束で、中枢神経の一部で、脳からの司令で手足を動かしたり、痛みやしびれといった感覚を脳に伝える重要な回路である。本症例は、排尿・排便が主問題として挙げられ、退院指導を実施していることから、正解を導き出そう。
1.× 食事の摂取量は、優先度が最も高い事項ではない。なぜなら、本症例の主問題は排便コントロール(坐薬による3日に1回の排便)であるため。
2.× 1日の導尿回数は、優先度が最も高い事項ではない。なぜなら、入院中に夫の実母が実践できるようになっているため。導尿については、夫や実母の手技や困っていることがないかの確認が必要である。
3.〇 正しい。最終排便の日時は、優先度が最も高い。なぜなら、本症例の排便は、3日に1回で座薬を使用しており、初回の訪問看護は退院後3日目の予定で、排便ができているか確認することが大切であるため。
4.× リハビリテーションの内容は、優先度が最も高い事項ではない。なぜなら、すでに退院しており、訪問看護師が行うケアに関することとして、排泄に関することが優先されるため。
訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。訪問看護の指示書には、①訪問看護指示書、②特別訪問看護指示書、③精神科訪問看護指示書などがある。②特別訪問看護指示書とは、「厚生労働大臣が定める疾病等」の療養者や指定された医療処置・管理が必要であると主治医が認める者などに交付される。医療保険が適用され、交付は原則として月1回まで、有効期間は14日である。③精神科訪問看護指示書とは、精神疾患のある利用者とその家族を対象とし、地域や家庭で療養上の援助・指導が必要であると主治医が認める場合に交付される。有効期間は6か月以内で、介護保険対象者であっても医療保険によるサービス提供となる。
107回 午前
62 特別訪問看護指示書による訪問看護について正しいのはどれか。
1.提供できる頻度は週に3回までである。
2.提供できる期間は最大6か月である。
3.対象に指定難病は含まない。
4.医療保険が適用される。
解答4
解説
訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。
訪問看護の指示書には、①訪問看護指示書、②特別訪問看護指示書、③精神科訪問看護指示書などがある。
①訪問看護指示書とは、訪問看護ステーションなど指定訪問看護事業者が利用者に対して訪問看護を提供する際に、主治の医師(主治医)から指示を受けるために交付してもらう文書で、頻度は週3回まで、期間は最大6か月と決まっている。
②特別訪問看護指示書とは、「厚生労働大臣が定める疾病等」の療養者や指定された医療処置・管理が必要であると主治医が認める者などに交付される。医療保険が適用され、交付は原則として月1回まで、有効期間は14日である。
③精神科訪問看護指示書とは、精神疾患のある利用者とその家族を対象とし、地域や家庭で療養上の援助・指導が必要であると主治医が認める場合に交付される。有効期間は6か月以内で、介護保険対象者であっても医療保険によるサービス提供となる。
1.× 提供できる頻度は週に3回までであるのは、「特別訪問看護指示書」ではなく訪問看護指示書の規定である。ちなみに、特別訪問看護指示書による訪問看護には、訪問頻度の制限はない。
2.× 提供できる期間は最大6か月であるのは、「特別訪問看護指示書」ではなく訪問看護指示書の規定である。特別訪問看護指示書による訪問看護には、訪問期間の制限はない。
3.× 対象に指定難病は含まれる。特別訪問看護指示書とは、「厚生労働大臣が定める疾病等」の療養者や指定された医療処置・管理が必要であると主治医が認める者などに交付される。医療保険が適用され、交付は原則として月1回まで、有効期間は14日である。
4.〇 正しい。医療保険が適用される。特別訪問看護指示書とは、「厚生労働大臣が定める疾病等」の療養者や指定された医療処置・管理が必要であると主治医が認める者などに交付される。医療保険が適用され、交付は原則として月1回まで、有効期間は14日である。ちなみに、訪問看護指示書で介護保険証を持っている患者の場合は、介護保険が適応となる。介護保険証を持っていない場合は、医療保険が適応となる。
末期の悪性腫瘍
多発性硬化症
重症筋無力症
スモン
筋萎縮性側索硬化症
脊髄小脳変性症
ハンチントン病
進行性筋ジストロフィー症
パーキンソン病関連疾患・進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。)
多系統萎縮症・線条体黒質変性症・オリーブ橋小脳萎縮症・シャイ・ドレーガー症候群
プリオン病
亜急性硬化性全脳炎
ライソゾーム病
副腎白質ジストロフィー
脊髄性筋萎縮症
球脊髄性筋萎縮症
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
後天性免疫不全症候群
頸髄損傷
人工呼吸器を使用している状態
107回 午後
62 健康保険法による訪問看護サービスで正しいのはどれか。
1.サービス対象は75歳以上である。
2.訪問看護師が訪問看護計画を立案する。
3.要介護状態区分に応じて区分支給限度基準額が定められている。
4.利用者の居宅までの訪問看護師の交通費は、診療報酬に含まれる。
解答2
解説
訪問看護は、『介護保険法』、『健康保険法』、『高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)』のいずれかの適応で利用できる。ちなみに、健康保険法とは、労働者及びその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関する医療保険給付等について定めた日本の法律である。
1.× サービス対象は、「75 歳以上」ではなく全年齢対象である。健康保険法による訪問看護サービスの対象者は、疾病や障がいなどがあり、居宅で療養をしながら生活をされている方で、主治医が訪問看護を必要と認めた方である。小児から高齢者まで、年齢等を問わず訪問看護を必要とする全ての方を対象である。ご本人だけでなく、ご家族の介護相談や健康相談にも応じる。ちなみに、要支援者または要介護者は、原則、介護保険が適用される(※参考:「訪問看護とは(医療・福祉関係者向け)」公益財団法人 日本訪問看護財団HPより)。
2.〇 正しい。訪問看護師が訪問看護計画を立案する。主治医からの訪問看護指示書を受けて、訪問看護師は、利用者のニーズに応じて訪問看護計画を立案し、利用者の健康状態の管理や医療処置の提供などのサービスを提供する。
3.× 要介護状態区分に応じて区分支給限度基準額が定められているのは、『健康保険法』ではなく、『介護保険法』による訪問看護である。介護保険法とは、1997年12月に公布された法律で、40歳以上で介護が必要になった人の自立生活を支援するために、国民が負担する保険料や税金を財源として、日常生活の行為にかかるさまざまな介助やリハビリなどのサービスにかかる給付を行うことを目的にしている。加齢に伴って生じる心身の変化による疾病等により介護を要する状態となった者を対象として、その人々が有する能力に応じ、尊厳を保持したその人らしい自立した日常生活を営むことができることを目指している。
4.× 利用者の居宅までの訪問看護師の交通費は、診療報酬に「含まれず」保険適用外である。なぜなら、診療報酬とは、医師や看護師などから受ける医療行為に対して、保険制度が支払う料金であるため。
訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。
108回 午後
65 訪問看護制度で正しいのはどれか。
1.管理栄養士による訪問は保険請求できる。
2.精神科訪問看護は医療保険から給付される。
3.医療処置がなければ訪問看護指示書は不要である。
4.訪問看護事業所の開設には常勤換算で3人以上の看護職員が必要である。
解答2
解説
訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。訪問看護の指示書には、①訪問看護指示書、②特別訪問看護指示書、③精神科訪問看護指示書などがある。②特別訪問看護指示書とは、「厚生労働大臣が定める疾病等」の療養者や指定された医療処置・管理が必要であると主治医が認める者などに交付される。医療保険が適用され、交付は原則として月1回まで、有効期間は14日である。③精神科訪問看護指示書とは、精神疾患のある利用者とその家族を対象とし、地域や家庭で療養上の援助・指導が必要であると主治医が認める場合に交付される。有効期間は6か月以内で、介護保険対象者であっても医療保険によるサービス提供となる。
1.× 管理栄養士による訪問は、保険請求できない。なぜなら、訪問看護サービスを提供できる職種は、保健師・助産師・看護師または准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士であるため。管理栄養士とは、労働大臣の免許を受けた国家資格で、病気を患っている人から健康な人まで一人ひとりに合わせて専門的な知識と技術をもって栄養指導や栄養管理を行う職種である。管理栄養士による訪問は、介護保険制度では「居宅療養管理指導」、医療保険制度では「在宅患者訪問栄養食事指導」として保険請求できる。
2.〇 正しい。精神科訪問看護は、医療保険から給付される。精神科訪問看護とは、精神疾患を抱える方や精神的な理由でサポートが必要な方の自宅を訪問し看護を提供する制度である。訪問看護の指示書には、①訪問看護指示書、②特別訪問看護指示書、③精神科訪問看護指示書などがある。③精神科訪問看護指示書とは、精神疾患のある利用者とその家族を対象とし、地域や家庭で療養上の援助・指導が必要であると主治医が認める場合に交付される。有効期間は6か月以内で、介護保険対象者であっても医療保険によるサービス提供となる。なお、精神科訪問看護の場合は、理学療法士・言語聴覚士・助産師による訪問は給付が認められない。
3.× 医療処置がなくても、訪問看護指示書は必要(必須)である。訪問看護指示書とは、訪問看護ステーションなど指定訪問看護事業者が利用者に対して訪問看護を提供する際に、主治の医師(主治医)から指示を受けるために交付してもらう文書を指す。
4.× 訪問看護事業所の開設には、常勤換算で「3人以上」ではなく2.5人以上の看護職員が必要である。指定基準とは、介護保険法に基づいて、厚生労働省の「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」に定められている。介護保険法に基づき訪問看護ステーションを開業するためには「①人員基準」、「②設備基準」、「③運営基準」の3つの指定基準を満たすことが必須である。3つの基準を満たした上で、各都道府県知事から「指定居宅サービス事業者」の指定を受ける必要があり、指定を受けると「指定訪問看護ステーション」としてサービスの提供が可能となる。
第二節 人員に関する基準(訪問介護員等の員数)
第五条 指定訪問介護の事業を行う者(以下「指定訪問介護事業者」という。)が当該事業を行う事業所(以下「指定訪問介護事業所」という。)ごとに置くべき訪問介護員等(指定訪問介護の提供に当たる介護福祉士又は法第八条第二項に規定する政令で定める者をいう。以下この節から第四節までにおいて同じ。)の員数は、常勤換算方法で、二・五以上とする。
(※一部引用:「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」e-GOV法令検索様HPより)
109回 午前
69 Aさん(68歳、男性)は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のため在宅療養中で、気管切開下で人工呼吸器を使用し、要介護5の認定を受けている。
Aさんに提供される訪問看護で適切なのはどれか。
1.医療保険から給付される。
2.特別訪問看護指示書を受けて実施される。
3.複数の訪問看護事業所の利用はできない。
4.理学療法士による訪問は給付が認められない。
解答1
解説
・Aさん(68歳、男性、要介護5)
・筋萎縮性側索硬化症のため在宅療養中。
・気管切開下で人工呼吸器を使用している。
→訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。
訪問看護の指示書には、①訪問看護指示書、②特別訪問看護指示書、③精神科訪問看護指示書などがある。
②特別訪問看護指示書とは、「厚生労働大臣が定める疾病等」の療養者や指定された医療処置・管理が必要であると主治医が認める者などに交付される。医療保険が適用され、交付は原則として月1回まで、有効期間は14日である。
③精神科訪問看護指示書とは、精神疾患のある利用者とその家族を対象とし、地域や家庭で療養上の援助・指導が必要であると主治医が認める場合に交付される。有効期間は6か月以内で、介護保険対象者であっても医療保険によるサービス提供となる。
1.〇 正しい。医療保険から給付される。介護保険における要介護状態として認定された療養者であっても、筋萎縮性側索硬化症(ALS)であれば、「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当し、訪問看護は医療保険から給付される。
2.× 特別訪問看護指示書を受けて実施されるものではない。特別訪問看護指示書とは、主治医が診療により、利用者が急性増悪期、終末期または退院直後で「週4日以上で頻回の訪問看護の必要がある」と認めた場合に交付できるものであり、疾患や症状の制限はない。本症例の場合、在宅療養中であるため該当しない。
3.× 複数の訪問看護事業所を利用できる。原則、医療保険の訪問看護の場合は、複数の訪問看護事業所の利用はできない。しかし、「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する場合は、複数の利用が可能である。介護保険の場合は、訪問看護事業所数の制限はない。
4.× 理学療法士による訪問も給付が認められる。なぜなら、介護保険制度での訪問看護は、「保健師・看護師または准看護師・理学療法士・作業療法士または言語聴覚士」が実施するため。医療保険制度での訪問看護は、介護保険制度の実施者に加えて、助産師も実施する。なお、精神科訪問看護の場合は、理学療法士・言語聴覚士・助産師による訪問は給付が認められない。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋萎縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。
(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)
末期の悪性腫瘍
多発性硬化症
重症筋無力症
スモン
筋萎縮性側索硬化症
脊髄小脳変性症
ハンチントン病
進行性筋ジストロフィー症
パーキンソン病関連疾患・進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。)
多系統萎縮症・線条体黒質変性症・オリーブ橋小脳萎縮症・シャイ・ドレーガー症候群
プリオン病
亜急性硬化性全脳炎
ライソゾーム病
副腎白質ジストロフィー
脊髄性筋萎縮症
球脊髄性筋萎縮症
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
後天性免疫不全症候群
頸髄損傷
人工呼吸器を使用している状態
110回 午後
65 Aさん(79歳、男性)は、1人暮らし。要介護2の認定を受け、訪問看護を利用することになった。初回の訪問時、Aさんは敷いたままの布団の上に座っており「便利だから生活に必要なものを手の届くところに置いているんだよ」と話した。
Aさんの生活様式を尊重した訪問看護師のこのときの声かけで適切なのはどれか。
1.「外に出て気分転換しませんか」
2.「昼間は布団をたたみましょう」
3.「介護保険でベッドの貸与を受けましょう」
4.「必要なものを身近に置いているのですね」
解答4
解説
・Aさん(79歳、男性、1人暮らし、要介護2)
・訪問看護を利用する。
・初回の訪問時:Aさんは敷いたままの布団の上に座っており「便利だから生活に必要なものを手の届くところに置いているんだよ」と。
→訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。
1.× 外に出て気分転換する優先度が低い。なぜなら、Aさんから外出についての希望も聞かれていないため。初回訪問であることから、情報収集し、アセスメントしたうえで、支援する。訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。
2.× 昼間は布団をたたむ優先度が低い。なぜなら、Aさんは敷いたままの布団の上に座っており「便利だから生活に必要なものを手の届くところに置いているんだよ」と、昼間に布団を畳む必要のない生活を送っているため。「昼間に布団をたたまなくてはならない」という看護師の価値観の押し付けになってしまう。
3.× 介護保険でベッドの貸与を受ける優先度が低い。なぜなら、本症例は、今の生活様式に不便を感じていない状況であるため。初回訪問であることから、ベッドのレンタルの希望を含め情報収集し、アセスメントしたうえで提案する。
4.〇 正しい。「必要なものを身近に置いているのですね」はAさんの生活様式を尊重したと声がけといえる。Aさんは敷いたままの布団の上に座っており「便利だから生活に必要なものを手の届くところに置いているんだよ」と言う発言に対し、理解し承認・支持している対応と言える。
111回 午前
68 Aさん(80歳、女性)は1人暮らし。要介護2の認定を受け、長男(50歳、会社員)、長男の妻(45歳、会社員)、孫(大学生、男性)と同居することになった。長男の家の間取りは、洋室5部屋、リビング、台所である。Aさんは同居後に訪問看護を利用する予定である。訪問看護を利用するにあたりAさんの家族から「在宅介護は初めての経験なのでどうすればよいですか」と訪問看護師に相談があった。
訪問看護師の説明で最も適切なのはどれか。
1.「Aさんの介護用ベッドはリビングに置きましょう」
2.「Aさんの介護に家族の生活リズムを合わせましょう」
3.「活用できる在宅サービスをできる限り多く利用しましょう」
4.「特定の同居家族に介護負担が集中しないように家族で話し合いましょう」
解答4
解説
・Aさん(80歳、女性、1人暮らし、要介護2)
・予定:長男(50歳、会社員)、長男の妻(45歳、会社員)、孫(大学生、男性)と同居。
・長男の家の間取り:洋室5部屋、リビング、台所。
・同居後の予定:訪問看護を利用する。
・Aさんの家族から「在宅介護は初めての経験なのでどうすればよいですか」と。
→訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。
1.× Aさんの介護用ベッドをリビングに置く優先度は低い。なぜなら、特にリビングに置く理由がないため。ベッドの設置は①トイレへの導線、②プライバシーの確保、③介護量などを家族やAさんともしっかり話し合って決めるべきである。看護師の独断で決めれるものではない。
2.× Aさんの介護に家族の生活リズムを合わせる優先度は低い。家族の介護負担を軽減するためにも訪問看護を利用する予定である。会社員と大学生の家族の生活リズムをなるべく崩さないように、看護師は支援していく必要がある。
3.× 活用できる在宅サービスをできる限り多く利用する必要はない。なぜなら、過介助や過介護は自立能力をそいでしまう一因となるため。適度な在宅サービスを利用することが望ましく、家族やAさんともしっかり話し合って決めるべきである。
4.〇 正しい。「特定の同居家族に介護負担が集中しないように家族で話し合いましょう」と説明する。なぜなら、長男(会社員)、長男の妻(会社員)、孫(大学生)であり、会社員と大学生の家族の生活リズムをなるべく崩さないようにするため。介護者の介護疲れは、DVやうつ病を引き起こしてしまうこともある。
111回 午後
10 指定訪問看護ステーションには常勤換算で( )人以上の看護職員を配置することが定められている。
( )に入るのはどれか。
1.1.0
2.1.5
3.2.0
4.2.5
解答4
解説
指定基準とは、介護保険法に基づいて、厚生労働省の「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」に定められている。介護保険法に基づき訪問看護ステーションを開業するためには「①人員基準」、「②設備基準」、「③運営基準」の3つの指定基準を満たすことが必須である。3つの基準を満たした上で、各都道府県知事から「指定居宅サービス事業者」の指定を受ける必要があり、指定を受けると「指定訪問看護ステーション」としてサービスの提供が可能となる。
第二節 人員に関する基準(訪問介護員等の員数)
第五条 指定訪問介護の事業を行う者(以下「指定訪問介護事業者」という。)が当該事業を行う事業所(以下「指定訪問介護事業所」という。)ごとに置くべき訪問介護員等(指定訪問介護の提供に当たる介護福祉士又は法第八条第二項に規定する政令で定める者をいう。以下この節から第四節までにおいて同じ。)の員数は、常勤換算方法で、二・五以上とする(※一部引用:「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」e-GOV法令検索様HPより)。したがって、選択肢4.2.5が設問の( )に入る。
訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。
112回 午前
問題68 Aさん(85歳 男性)は1人暮らしで判断能力が不十分である。4親等以内の親族はいない。
訪問看護事業所におけるAさんの情報管理で適切なのはどれか。
1.成年後見人にAさんの訪問看護計画を説明する。
2.地域の民生委員にAさんの経済状況を知らせる。
3.Aさんの訪問記録を電子メールに添付して援助者間で共有する。
4.新たなサービスの利用を検討する他の利用者にAさんのケアプランを見せる。
解答1
解説
・Aさん(85歳、男性、1人暮らし)
・判断能力が不十分。
・4親等以内の親族はいない。
→本人からみて4親等以内に該当する人は、高祖父母、曽祖父母、祖父母、父母、子、孫、ひ孫、玄孫、兄弟姉妹、甥・姪、姪孫、おじ・おば、いとこ、大おじ・大おばである。
→訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。
1.〇 正しい。成年後見人にAさんの訪問看護計画を説明する。なぜなら、本症例は、判断能力が不十分で、4親等以内の親族はいないため。ちなみに、成年後見人とは、判断能力がないまたは不十分な者に対して、保護者を付すことにより契約などの法律行為を補助するものである。①法定後見制度と②任意後見制度とがある。①法定後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害などによって判断能力が不十分な方に対して、本人の権利を法律的に支援、保護するための制度である。本人の判断能力の程度に応じて、後見・保佐・補助の3類型がある。②任意後見制度とは、まだしっかりと自分で判断ができるうちに、自分の判断能力が衰えてきた時に備えて、あらかじめ支援者(任意後見人)を誰にするか、将来の財産管理や身の回りのことについてその人に何を支援してもらうか、自分で決めておくことができる仕組みである。
2.4.× 地域の民生委員にAさんの経済状況を知らせる/新たなサービスの利用を検討する他の利用者にAさんのケアプランを見せる必要はない。なぜなら、Aさんの個人情報保護しなければならないため。経済状況はAさんのプライバシーに関わる情報である。業務上知り得た人の秘密を漏らさない義務(秘密保持義務:42条2項)は、「保健師助産師看護師法」に定められている。42条2項には、「保健師、看護師又は准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師、看護師又は准看護師でなくなつた後においても、同様とする」と記載されている(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)。ちなみに、民生委員は、日本独自の制度化されたボランティアである。地域社会の福祉の増進図っている。任期は3年で都道府県知事の推薦を受けて厚生労働大臣に委嘱されたものである。市町村の各地区に配置され、①住民の生活状況の把握、②関係機関との連携、③援助を要するものヘの相談援助を主な役割とする。根拠法令は「民生委員法」で給与の支給はない。
3.× Aさんの訪問記録を電子メールに添付して援助者間で共有する必要はない。なぜなら、電子メールはセキュリティが十分ではなく、個人情報が漏洩するリスクがあるため。患者を特定できるような訓練内容を指導者にメールで報告すべきではない。誤送信により情報漏えいしてしまった場合は、ニュースになりかねない。「患者情報 メール」と検索すると誤送信による情報漏えいのニュースがたくさん出てくるため、個人情報の管理は責任を持って行う。
個人情報保護法(第2条)
『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名・生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう。
112回 午後
問題67 指定訪問看護ステーションについて正しいのはどれか。
1.看護職員以外は配置できない。
2.緊急時用の薬剤の保管が義務付けられている。
3.訪問看護指示書に基づいて療養者のケアを行う。
4.従事する看護職員は5年以上の臨床経験が必要である。
解答3
解説
訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。訪問看護の指示書には、①訪問看護指示書、②特別訪問看護指示書、③精神科訪問看護指示書などがある。②特別訪問看護指示書とは、「厚生労働大臣が定める疾病等」の療養者や指定された医療処置・管理が必要であると主治医が認める者などに交付される。医療保険が適用され、交付は原則として月1回まで、有効期間は14日である。③精神科訪問看護指示書とは、精神疾患のある利用者とその家族を対象とし、地域や家庭で療養上の援助・指導が必要であると主治医が認める場合に交付される。有効期間は6か月以内で、介護保険対象者であっても医療保険によるサービス提供となる。
1.× 看護職員以外も「配置できる」。第二節人員に関する基準(看護師等の員数)において、第六十条 指定訪問看護の事業を行う者(以下「指定訪問看護事業者」という。)が当該事業を行う事業所(以下「指定訪問看護事業所」という。)ごとに置くべき看護師その他の指定訪問看護の提供に当たる従業者(以下「看護師等」という。)の員数は、次に掲げる指定訪問看護事業所の種類の区分に応じて、次に定めるとおりとする。一 病院又は診療所以外の指定訪問看護事業所(以下「指定訪問看護ステーション」という。)、イ 保健師、看護師又は准看護師(以下この条において「看護職員」という。) 常勤換算方法で、二・五以上となる員数、ロ 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士 指定訪問看護ステーションの実情に応じた適当数(※一部引用:「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」e-GOV法令検索様HPより)
2.× 緊急時用の薬剤の保管は、義務付けられて「いない」。訪問看護ステーションは、常備が必要とする薬剤のうち浣腸液以外は購入・保管することはできず、また、購入したとしても費用を利用者に請求できないため、医療機関の代理で購入する場合以外は、費用が持ち出しとなる。薬剤等がないために迅速に対応できず症状が悪化した結果、医師の診察が必要となった場合がある。脱水症状に関する輸液、抗生剤、抗けいれん剤、高カロリー輸液がないことで、入院が必要になった事例もある。
3.〇 正しい。訪問看護指示書に基づいて療養者のケアを行う。訪問看護の指示書には、①訪問看護指示書、②特別訪問看護指示書、③精神科訪問看護指示書などがある。主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。
4.× 従事する看護職員は、5年以上などの臨床経験年数の条件はない。ちなみに、訪問看護ステーションの管理者の条件は、「専従かつ常勤の保健師又は看護師であって、適切な指定訪問看護を行うために必要な知識及び技能を有する者」と定められている。
112回 午後
問題89 Aちゃん(小学4年生、女児)は父親(40歳、会社員)、母親 (40歳、会社員)、弟(小学2年生)と4人で暮らしている。交通事故で頸髄損傷となり、訪問看護を利用して在宅療養を開始した。Aちゃんはこれまで通っていた小学校に継続して通学することを希望している。
Aちゃんの家族への看護師の対応で適切なのはどれか。 2つ選べ。
1.特別支援学校に転校するよう勧める。
2.弟の退行現象に注意するよう説明する。
3.Aちゃんが利用できる社会資源を紹介する。
4.Aちゃんのケアは主に母親が行うよう助言する。
5.事故については家族の間で話題にしないよう指導する。
解答2・3
解説
・Aちゃん(小学4年生、女児)
・4人暮らし:父親(40歳、会社員)、母親 (40歳、会社員)、弟(小学2年生)。
・交通事故で頸髄損傷。
・訪問看護を利用して在宅療養を開始。
・Aちゃんの希望:これまで通っていた小学校に継続して通学する。
→訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。
1.× 特別支援学校に転校するよう勧める優先度は低い。なぜなら、Aちゃんの希望は、これまで通っていた小学校に継続して通学することであるため。もちろん家族の意見や希望も聞く必要はあるが、Aちゃんの希望とニーズを尊重し、通学をサポートする方法を検討する。ちなみに、特別支援学校とは、障害者等が「幼稚園、小学校、中学校、高等学校に準じた教育を受けること」と「学習上または生活上の困難を克服し自立が図られること」を目的とした日本の学校である。
2.〇 正しい。弟の退行現象に注意するよう説明する。なぜなら、弟は小学2年生であり、今後、Aちゃんに費やす時間が多くなると考えられるため。大きな変化(Aちゃんの在宅療養)やストレスを経験すると、特に兄弟・姉妹は退行現象を示すことがある。ちなみに、退行とは、ある程度の発達を遂げた者が、より低い発達段階に「子供がえり」して、未熟な行動をすることをいう。
3.〇 正しい。Aちゃんが利用できる社会資源を紹介する。なぜなら、在宅療養や復学にあたって、今後、金銭的にも身体的にも負担が強くなると考えられるため。社会資源とは、生活するうえでおこるさまざまな問題の解決を担う福祉制度や施設などのことである。 例えば、制度は①高額医療制度、②傷病手当、③生活保護などで、施設は、①居宅介護、②ショートステイ、③グループホームなどである。これらについて情報提供することは、患者本人を含む家族の支援につながる。
4.× Aちゃんのケアは主に母親が行うよう助言する優先度は低い。なぜなら、特に母親のみが行わなければならない理由がないため。設問文から、父親も母親も会社員である。介護による介護疲れや精神的・身体的負担をかけないためにも、必要なところは社会資源を使ってサポートしていく。
5.× 事故については家族の間で話題にしないよう指導する優先度は低い。なぜなら、今後の生活の課題や社会資源を利用するためにも、どうしても避けられない話題であるため。また、事故については、当人たちが決めればよいことで、担当の看護師が決めるべきことではない。