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※問題の引用:厚生労働省より
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110回 午前
88 尿管結石症の治療で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.尿路変更術
2.血管拡張薬の投与
3.カルシウム製剤の投与
4.体外衝撃波砕石術〈ESWL〉
5.非ステロイド系抗炎症薬の投与
解答4・5
解説
尿路結石症とは、尿路に、結石(尿に含まれるカルシウム・シュウ酸・リン酸・尿酸などが結晶化したもの)ができる病気である。結石のできる位置によって、腎結石(腎臓内にある結石) 、尿管結石、膀胱結石などと呼ばれる。結石ができる原因は明確に分かっていないが、リスク要因としては体質遺伝の他、生活習慣が大きく関わっているとされている。典型的な最初の症状は脇腹から下腹部にかけての突然の激痛である。 「動くと痛い」というのは結石の症状ではなく筋肉や骨からの症状のことが多いが、尿管結石の場合はじっとしていてももだえるほどの症状が出ることがある。 また、結石によって閉塞した部位の中枢側の尿路が拡張し、腰背部の仙痛発作が起こる。治療としては、①体外衝撃波腎・尿管結石破砕術、②経尿道的尿路結石除去術、③経皮的尿路結石除去術(もしくは②と③を同時に併用する手術)などがあげられる。
1.× 尿路変更術(尿路変向術)は、膀胱がんに適応となる。膀胱癌に対して膀胱全摘除術と同時に実施する治療法で、①回腸導管造設術、②自排尿型新膀胱造設術、③尿管皮膚ろう造設術などがあげられる。ちなみに、悪性腫瘍による尿管の閉塞時に作成する腎瘻も尿路変向(尿路変向)である。
2.× 血管拡張薬は、心疾患(狭心症)や脳血管障害に適応となる。血管拡張薬は、その名の通り末梢血管(高血圧治療薬冠血管)を拡張させ治療に寄与する。ちなみに、尿管結石症は、排石するために利尿剤や抗コリン薬などが使われる。他にも、腰背部疝痛に対する鎮痙薬・鎮痛薬のほか、結石排石促進、結石溶解を目的とした薬剤を用いる。
3.× カルシウム製剤の投与は、予防法である。なぜなら、シュウ酸とカルシウムは腸の中で結合し、便として排泄されるため。尿路結石のなかで最も多いシュウ酸カルシウム結石の再発予防において、食事中のシュウ酸の吸収を抑制する目的で、バランスよくカルシウム摂取が推奨される。カルシウムを多く含む食品として乳製品・大豆製品など、シュウ酸を多く含む食品としてほうれん草・キャベツ・ブロッコリーなどである。予防法であるため、治療法においては、他の選択肢の方が有効である。
4.〇 正しい。体外衝撃波砕石術〈ESWL〉は、尿管結石症の治療である。外科手術をせずに体の外より衝撃波をあて、体に傷をつけることなく結石を粉々に砕き、体の外に流しだす治療法である。
5.〇 正しい。非ステロイド系抗炎症薬の投与は、尿管結石症の治療である。非ステロイド性抗炎症薬(NSATDs)には、痛みを引き起こすプロスタグランジンの産生を抑える作用があり、尿管の閉塞で生じる腰背部の痛痛発作に対する応急処置として有効である。排石するために利尿剤や抗コリン薬などが使用される。
抗コリン薬は、アセチルコリンの働きを抑えて副交感神経を抑制し、交感神経を優位にする働きを持つ。なぜなら、ムスカリン受容体を遮断するため。ちなみに、前立腺肥大症に、抗コリン薬を使用は禁忌である。なぜなら、交感神経系が緊張状態となり、尿閉を悪化させるため。適応疾患として、過敏性腸症候群、胃十二指腸潰瘍、気管支喘息、肺気腫パーキンソン病などに用いられる。
111回 午前
14 左前胸部から頸部や左上肢への放散痛が生じる疾患はどれか。
1.胃潰瘍
2.狭心症
3.胆石症
4.尿管結石症
解答2
解説
放散痛とは、関連痛のうち、病気の原因部位とまったくかけ離れた部位に現れる痛みのことである。例えば、内臓疾患によって腰痛や肩の痛みが出たり、心筋梗塞など心臓の病気により、肩や背中、歯などに痛みが現れることがある。
1.× 胃潰瘍(消化性潰瘍、十二指腸潰瘍)の場合、上腹部、左背部への放散痛が生じる。
2.〇 正しい。狭心症の場合、左前胸部から頸部や左上肢への放散痛が生じる。ちなみに、狭心症とは、心臓に血液を供給する血管の狭窄により、心筋が虚血(酸素不足)状態になることによって生じる病気である。治療は、血管を拡張させる薬(硝酸薬)や、狭窄の原因となる動脈硬化や血栓を予防する薬(抗血小板薬)を用いる。
3.× 胆石症の場合、右肩甲骨部、腰、上腹部への放散痛が生じる。
4.× 尿管結石症の場合、鼠径部、腰への放散痛が生じる。
尿路結石症とは、尿路に、結石(尿に含まれるカルシウム・シュウ酸・リン酸・尿酸などが結晶化したもの)ができる病気である。結石のできる位置によって、腎結石(腎臓内にある結石) 、尿管結石、膀胱結石などと呼ばれる。結石ができる原因は明確に分かっていないが、リスク要因としては体質遺伝の他、生活習慣が大きく関わっているとされている。典型的な最初の症状は脇腹から下腹部にかけての突然の激痛である。 「動くと痛い」というのは結石の症状ではなく筋肉や骨からの症状のことが多いが、尿管結石の場合はじっとしていてももだえるほどの症状が出ることがある。 また、結石によって閉塞した部位の中枢側の尿路が拡張し、腰背部の仙痛発作が起こる。治療としては、①体外衝撃波腎・尿管結石破砕術、②経尿道的尿路結石除去術、③経皮的尿路結石除去術(もしくは②と③を同時に併用する手術)などがあげられる。
113回 午前
47 Aさん(47歳、男性、会社員)は、尿管結石による疝痛発作で入院した。入院翌日、自然に排石され、疼痛は消失したものの、結石が残存している。入院前は、ほぼ毎日、飲酒を伴う外食をしていた。
Aさんへの退院指導で適切なのはどれか。
1.「シュウ酸を多く含む食品を摂取しましょう」
2.「1日2L程度の水分を摂取しましょう」
3.「排石までは安静にしましょう」
4.「飲酒量に制限はありません」
解答2
解説
・Aさん(47歳、男性、会社員)
・尿管結石による疝痛発作。
・入院翌日:自然に排石、疼痛は消失、結石は残存。
・入院前:ほぼ毎日、飲酒を伴う外食。
→尿路結石に対する日常生活指導を実施しよう。
1.× シュウ酸を多く含む食品の摂取を「控える」。なぜなら、尿中に排泄されるシュウ酸は、カルシウム結石の最も重要な危険因子であるため。予防のためにはシュウ酸を多く含む食品の過剰摂取を控えることが大事である。ホウレンソウを筆頭に、キャベツ、ブロッコリー、タケノコなどにも含まれる。
2.〇 正しい。「1日2L程度の水分を摂取しましょう」と退院指導する。なぜなら、水分をあまりとらない慢性的に脱水の状態では、尿が濃縮されて尿路結石ができやすくなるため。食事以外に1日2L以上の水分補給をし、1日尿量を2L以上とすることで、結石再発リスクを61%に減少できるという報告もある。
3.× 排石までは安静する必要はない。なぜなら、運動をすると排石されやすくなるため。感染症を伴わない小さな結石(5mm以下)は、一般に治療は必要なく、しばしば自然に排出する。特に、縄跳び、ジョギングなど、からだを上下に動かす運動が効果的とされている。
4.× 飲酒量を「制限する」。なぜなら、生活習慣(特に飲酒)が大きく関わっているとされているため。多量の継続的なアルコール摂取により血中乳酸濃度が増し、腎からの尿酸の排泄が抑制的に働く。高尿酸血症の状態となり、尿酸排泄を増加させ、カルシウム結石や尿酸結石の発生する危険性が増すといわれている。
尿路結石症とは、尿路に、結石(尿に含まれるカルシウム・シュウ酸・リン酸・尿酸などが結晶化したもの)ができる病気である。結石のできる位置によって、腎結石(腎臓内にある結石) 、尿管結石、膀胱結石などと呼ばれる。結石ができる原因は明確に分かっていないが、リスク要因としては体質遺伝の他、生活習慣が大きく関わっているとされている。典型的な最初の症状は脇腹から下腹部にかけての突然の激痛である。 「動くと痛い」というのは結石の症状ではなく筋肉や骨からの症状のことが多いが、尿管結石の場合はじっとしていてももだえるほどの症状が出ることがある。 また、結石によって閉塞した部位の中枢側の尿路が拡張し、腰背部の仙痛発作が起こる。治療としては、①体外衝撃波腎・尿管結石破砕術、②経尿道的尿路結石除去術、③経皮的尿路結石除去術(もしくは②と③を同時に併用する手術)などがあげられる。