【8問】体温の基本についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

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108回 午後

24 体温調節中枢があるのはどれか。

1.橋
2.延髄
3.小脳
4.大脳皮質
5.視床下部

解答5

解説

(※図引用:「イラスト素材:脳」illustAC様より)

セットポイントとは?

 セットポイントとは、設定値と直訳でき、体温調節中枢には、体温を一定に保つ働きがあり、こうして設定された体温のことを指す。体温のセットポイント(設定値)が突然高く設定された場合(つまり、通常の体温が低く寒い)と認識するため、寒冷にさらされた場合と同様に体温を上昇させる反応が起こる。

1.× 橋とは、中脳と延髄に挟まれた、脳幹の一部である。運動に関する情報を大脳から小脳に伝える役割をもつ。
2.× 延髄とは、呼吸や循環、消化機能などの生命維持に関係する様々な中枢が集まっている。橋や延髄は脳幹と呼ばれる。
3.× 小脳とは、後頭部の下方に位置し、筋緊張や身体の平衡の情報を処理し運動や姿勢の制御(運動系の統合的な調節)を行っている。
4.× 大脳皮質とは、大脳の表層を覆うシワシワの部分で、前頭葉、頭頂葉、側頭葉などと呼ばれる部位の総称である。全身から送られてくる外界の情報を処理して思考・判断を行い、随意運動の指令を送り出している。
5.〇 正しい。視床下部に、体温調節中枢がある。視床下部とは、間脳に位置し、内分泌や自律機能の調節を行う総合中枢である。 ヒトの場合は脳重量のわずか0.3%、4g程度の小さな組織であるが、多くの神経核から構成されており、体温調節やストレス応答、摂食行動や睡眠覚醒など多様な生理機能を協調して管理している。つまり、視床下部は自律神経の最高中枢である。

 

 

 

 

109回 午後

28 体温のセットポイントが突然高く設定されたときに起こるのはどれか。

1.立毛
2.発汗
3.代謝抑制
4.皮膚血管拡張

解答1

解説

セットポイントとは?

 セットポイントとは、設定値と直訳でき、体温調節中枢には、体温を一定に保つ働きがあり、こうして設定された体温のことを指す。体温のセットポイント(設定値)が突然高く設定された場合(つまり、通常の体温が低く寒い)と認識するため、寒冷にさらされた場合と同様に体温を上昇させる反応が起こる。

1.〇 正しい。立毛が起こる。立毛とは、鳥肌のことである。他にも、体温を上昇させる反応として、皮膚血管の収縮、熱産生量を増すために筋肉のふるえ(熱産生)などが生じる。小刻みな収縮:シバリングによって生体内で熱が産生される現象である。寒さによる「ふるえ」は骨格筋の不随意運動による筋収縮で発生するエネルギーが熱となるため、熱産生が増加する。
2~4.発汗/代謝抑制/皮膚血管拡張は、体温のセットポイントが「高く」のではなく低く設定されたときに起こる。発汗/皮膚血管拡張は熱を放散させるために起こる。冷えにより代謝が抑制される原因として、組織細胞の酸素需要は減少するためである。

寒冷療法の生理作用

寒冷療法の生理作用には、局所新陳代謝の低下、毛細血管浸透圧の減少、血管収縮とその後の拡張、感覚受容器の閾値の上昇、刺激伝達遅延による中枢への感覚インパルス減少、筋紡錘活動の低下等がある。これらの作用により、炎症や浮腫の抑制、血液循環の改善、鎮痛作用、筋スパズムの軽減が期待される。

(引用:「寒冷療法」物理療法系専門領域研究部会 著:加賀谷善教)

 

 

 

 

109回 午前

38 熱型を図に示す。
 熱型の種類と図の組合せで正しいのはどれか。

1.間欠熱:A
2.稽留熱:B
3.弛張熱:C
4.波状熱:D

解答2

解説

体温の基本

体温には日内変動が見られ、午前2〜6時ごろが最も低く、午後から夕方(午後3〜8時)にかけて高い状態になる。基本的には1℃以内程度の日内変動である。

1.× Aは、「間欠熱」ではなく、弛張熱(読み:しちょうねつ)である。弛張熱の特徴は、日内変動が1℃以上あるが、37℃以下にまでは下がらない熱のことである。主な疾患は、化膿性疾患、敗血症、ウイルス感染症、悪性腫瘍、肺結核などでみられる。
2.〇 正しい。Bは、稽留熱(読み:けいりゅうねつ)である。稽留熱の特徴は、日内変動が1℃以内で、38℃以上の高熱が持続する熱のことである。主な疾患は、重症肺炎や腸チフス極期、粟粒結核などでみられる。
3.× Cは、「弛張熱」ではなく、波状熱(再発熱)である。波状熱(再発熱)の特徴は、発熱する時期と発熱しない時期とが区別されており、不規則に繰り返し出現する熱のことである。主な疾患は、ブルセラ症、マラリア、ホジキン病、胆道閉鎖症などでみられる。
4.× Dは、「波状熱」ではなく、間欠熱である。間欠熱の特徴は、高熱と平熱の状態が一定期間を置いて交互に出現する。1日の体温差が1℃以上あり、37℃以下にまで下がる熱(体温差が大きい)のことである。主な疾患は、マラリアの発熱期やスティル病、フィラリア症などでみられる。

 

 

 

111回 午前

17 深部体温に最も近いのはどれか。

1.腋窩温
2.口腔温
3.鼓膜温
4.直腸温

解答4

解説
1〜3.× 腋窩温/口腔温/鼓膜温より深部体温に近いものが他にある。深部体温(核心温度)に近い順として、①直腸温、②口腔温、鼓膜温、③腋窩温の順となる。
4.〇 正しい。直腸温が深部体温(核心温度)に最も近い。深部体温とは、環境の変動によっても温度が変化しない生態の核心部(中心部)の温度である。外殻温度と異なり体温調節により一定に調節されている。実際に、核心温度を常時測定するのは不可能であるが、最も核心温度に近いのは、直腸の温度であり37℃を超える。直腸温と腋窩温は1℃近くの差がある。

 

 

 

111回 午後

27 若年者よりも高齢者が熱中症を起こしやすい理由はどれか。

1.熱産生量の増加
2.熱放散量の増加
3.自律性体温調節反応の低下
4.視床下部の体温調節中枢のセットポイントの低下

解答3

解説

1~2.× 逆である。熱産生量/熱放散量は、高齢者よりも若年者の方が大きい。なぜなら、加齢に伴い骨格筋が萎縮し筋肉量の減少(ふるえ熱産生の減少)、汗腺・皮脂腺から分泌される皮脂量や保湿因子の減少に伴い、皮膚が乾燥しやすくなったりするため。
3.〇 正しい。自律性体温調節反応の低下が理由で、若年者よりも高齢者が熱中症を起こしやすい。自律性体温調節反応とは、体温を維持・調節するために、主に自律神経支配臓器・器官を効果器として行われる生理反応であり、意識的に制御できない不随意反応である。自律性体温調節反応には、体内で熱の産生を行う反応と環境中への体熱の放散を調節する反応がある。
4.× 視床下部の体温調節中枢のセットポイントの低下は、体温が上昇しており体温を低下させたいときに生じる。つまり、熱中症との関係性は薄い。ちなみに、セットポイントとは、設定値という意味である。体温のセットポイント(設定値)が突然高くなると、通常の体温(平熱)を体温が低すぎる(寒い)と認識し、寒冷にさらされた場合と同様に体温を上昇させる反応が起こる。主に、細菌やウイルスなどの感染により白血球から放出される発熱物質により生じる。

 

 

 

112回 午前

問題12 体温変化をとらえ、体温調節の指令を出すのはどれか。

1.橋
2.小脳
3.視床下部
4.大脳皮質

解答

解説

(※図引用:「イラスト素材:脳」illustAC様より)

1.× 橋とは、中脳と延髄に挟まれた、脳幹の一部である。運動に関する情報を大脳から小脳に伝える役割をもつ。
2.× 小脳とは、後頭部の下方に位置し、筋緊張や身体の平衡の情報を処理し運動や姿勢の制御(運動系の統合的な調節)を行っている。
3.〇 正しい。視床下部は、体温変化をとらえ、体温調節の指令を出す。視床下部とは、間脳に位置し、内分泌や自律機能の調節を行う総合中枢である。 ヒトの場合は脳重量のわずか0.3%、4g程度の小さな組織であるが、多くの神経核から構成されており、体温調節やストレス応答、摂食行動や睡眠覚醒など多様な生理機能を協調して管理している。つまり、視床下部は自律神経の最高中枢である。
4.× 大脳皮質とは、大脳の表層を覆うシワシワの部分で、前頭葉、頭頂葉、側頭葉などと呼ばれる部位の総称である。全身から送られてくる外界の情報を処理して思考・判断を行い、随意運動の指令を送り出している。

セットポイントとは?

 セットポイントとは、設定値と直訳でき、体温調節中枢には、体温を一定に保つ働きがあり、こうして設定された体温のことを指す。体温のセットポイント(設定値)が突然高く設定された場合(つまり、通常の体温が低く寒い)と認識するため、寒冷にさらされた場合と同様に体温を上昇させる反応が起こる。

 

 

 

 

112回 午前

問題83 成人におけるバイタルサインで緊急に対応が必要なのはどれか。

1.脈拍70/分
2.体温34.4℃
3.呼吸数14/分
4.血圧130/80mmHg
5.グラスゴーコーマスケール〈GCS〉15点

解答

解説
1.× 脈拍70/分は正常範囲内である。通常の成人の脈拍は60~100/分である。
2.〇 正しい。体温34.4℃は、成人におけるバイタルサインで緊急に対応が必要である。通常の成人の体温は36.0~37.0℃である。34.4℃は低体温であるため、緊急対応が必要である。ちなみに、低体温症とは、深部体温が35℃未満となることで、症状は、シバリングおよび嗜眠から錯乱、昏睡および死亡へと進行する。
3.× 呼吸数14/分は正常範囲内である。通常の成人の呼吸数は12~20回/分である。多呼吸とは、呼吸数60/分以上が目安とされる。一方、無呼吸は20秒間以上の呼吸停止か、あるいは20秒間未満でも徐脈を伴うものである。
4.× 血圧130/80mmHgは正常範囲内である。通常の成人の血圧は、収縮期が90~139mmHg、拡張期が60~89mmHgである。高血圧症とは、くり返して測っても血圧が正常より高い場合をいう。くり返しの測定で診察室血圧で最高血圧が140mmHg以上、あるいは、最低血圧が90mmHg以上であれば、高血圧と診断される。
5.× グラスゴーコーマスケール〈GCS〉15点は正常範囲内である。グラスゴー・コーマ・スケール(GCS:Glasgow Coma Scale)は、意識レベルを評価するスケールである。開眼機能(E)、言語機能(V)、運動機能(M)の3つの要素を用いて3~15点で評価し、点数が低いほど意識レベルの状態が悪いことを示す。ちなみに、他にも意識レベルを評価するスケールで、JCS(Japan coma Scale)があげられる。

 

 

 

113回 午後

77 外傷や風邪で発熱し、解熱するまでの体温のセットポイントと実際の体温(核心温度)の変化の例を図に示す。
 全身のふるえが起こるのはどれか。

 1.①
 2.②
 3.③
 4.④
 5.⑤

解答

解説

セットポイントとは?

 セットポイントとは、設定値と直訳でき、体温調節中枢には、体温を一定に保つ働きがあり、こうして設定された体温のことを指す。体温のセットポイント(設定値)が突然高く設定された場合(つまり、通常の体温が低く寒い)と認識するため、寒冷にさらされた場合と同様に体温を上昇させる反応が起こる。

 1.3.4.× ①/③/④は、実際の体温とセットポイントの設定値がほぼ一致している。したがって、体温調節中枢は、体温を一定に保てていると判断し、熱産生は起こらない。
 2.〇 正しい。が、全身のふるえが起こる。なぜなら、セットポイントの設定値が上昇しているため。したがって、体温調節中枢は、体温が低いと判断し、筋肉を収縮させて熱を発生させる。この現象をふるえ熱産生という。小刻みな収縮:シバリングによって生体内で熱が産生される現象である。寒さによる「ふるえ」は骨格筋の不随意運動による筋収縮で発生するエネルギーが熱となるため、熱産生が増加する。
 5.× ⑤は、セットポイントの設定値が下降している。したがって、体温調節中枢は、体温が高いと判断し、解熱する反応(発汗や皮膚血管の拡張など)を起こす。例えば、皮膚血管が拡張すると、体表面に近い血流量が増え、放熱が促進される。

 

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