【6問】認知症についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

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106回 午前

33 Alzheimer<アルツハイマー>病で正しいのはどれか。

1.基礎疾患として高血圧症が多い。
2.初期には記銘力障害はみられない。
3.アミロイドβタンパクが蓄積する。
4.MRI所見では前頭葉の萎縮が特徴的である。

解答3

解説

Alzheimer型認知症とは?

アルツハイマー病とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。アルツハイマー病の危険因子としては、高齢・頭部外傷の既往・アルツハイマー病の家族歴などがある。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。Alzheimer型認知症の患者では、現在でもできる動作を続けられるように支援する。ちなみに、休息をとることや記銘力を試すような質問は意味がない。

1.× 基礎疾患として高血圧症が多いのは、脳血管性認知症である。脳血管性認知症とは、脳血管が詰まったり破れたりすることで突然発症する。その後、脳血管が詰まったり破れたりするたびに、症状が悪化する特徴を持つ。その部位や範囲によって症状は様々である。他の症状として、巣症状(失語、失行、失認など脳の局所性病変によって起こる機能障害)や階段状に認知障害が進行することが特徴である。
2.× 初期から記銘力障害はみられる。記銘力障害とは、新しいことが覚えられなくなることをいう。
3.〇 正しい。アミロイドβタンパクが蓄積する。アルツハイマー病とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。
4.× MRI所見で、前頭葉の萎縮が特徴的であるのは前頭側頭型認知症である。前頭側頭型認知症とは、前頭葉・側頭葉に限局した萎縮性病変を認める症候群をいう。代表的な疾患にPick病がある。発症は初老期(40~60歳代)にみられる。初期は、自発性の低下、自発語の減少、偏食・過食、脱抑制などの人格変化・行動異常で潜行性に発症する。

 

 

 

106回 午後

58 Lewy<レビー>小体型認知症の初期にみられる症状はどれか。

1.幻視
2.失語
3.脱抑制
4.人格変化

解答1

解説

Lewy小体型認知症とは?

Lewy小体型認知症とは、Lewy小体が広範な大脳皮質領域で出現することによって、①進行性認知症と②パーキンソニズムを呈する病態である。認知機能の変動・動揺、反復する幻視(人、小動物、虫)、パーキンソニズム、精神症状、REM睡眠型行動障害、自律神経障害などが特徴である。

1.〇 正しい。幻視は、Lewy<レビー>小体型認知症の初期にみられる症状である。認知機能の変動・動揺、反復する幻視(人、小動物、虫)、パーキンソニズム、精神症状、REM睡眠型行動障害、自律神経障害などが特徴である。
2.× 失語/脱抑制/人格変化は、前頭側頭型認知症である。脱抑制とは、状況に対する反応としての衝動や感情を抑えることが不能になった状態のことである。人格変化には、無気力・易怒性・道徳感の低下などがある。ちなみに、前頭側頭型認知症とは、前頭葉・側頭葉に限局した萎縮性病変を認める症候群をいう。代表的な疾患にPick病がある。発症は初老期(40~60歳代)にみられる。初期は、自発性の低下、自発語の減少、偏食・過食、脱抑制などの人格変化・行動異常で潜行性に発症する。

前頭葉障害の主症状

・遂行機能障害
・易疲労性
・意欲・発動性の低下
・脱抑制・易怒性
・注意障害
・非流暢性失語

前頭側頭型認知症とは?

 病理所見として、前頭葉と側頭葉が特異的に萎縮する特徴を持つ認知症である。脳血流量の低下や脳萎縮により人格変化、精神荒廃が生じ、植物状態におちいることがあり、2~8年で衰弱して死亡することが多い。発症年齢が50~60代と比較的若く、初発症状は人格障害・情緒障害などがみられるが、病期前半でも記憶障害・見当識障害はほとんどみられない。働き盛りの年代で発症することが多いことで、患者さんご本人が「自分は病気である」という自覚がないことが多い。その後、症状が進行するにつれ、性的逸脱行為(見知らぬ異性に道で抱きつくなどの抑制のきかない反社会的な行動)、滞続言語(何を聞いても自分の名前や生年月日など同じ語句を答える)、食行動の異常(毎日同じものを食べ続ける常同行動)などがみられる。治療は、症状を改善したり、進行を防いだりする有効な治療方法はなく、抗精神病薬を処方する対症療法が主に行われている。

(参考:「前頭側頭型認知症」健康長寿ネット様HPより)

 

 

 

107回 午前

49 Aさん(66歳、男性)は、Lewy(レビー)小体型認知症であるが、日常生活動作(ADL)は自立している。介護老人保健施設の短期入所(ショートステイ)を初めて利用することとなった。施設の看護師は、同居している家族から「以前、入院したときに、ご飯にかかっているゴマを虫だと言って騒いだことがあったが、自宅ではそのような様子はみられない」と聞いた。
 入所当日の夜間の対応で適切なのはどれか。

1.虫はいないと説明する。
2.部屋の照明をつけたままにする。
3.細かい模様のある物は片付ける。
4.窓のカーテンは開けたままにする。

解答3

解説

本症例のポイント

・Aさん(66歳、男性、レビー小体型認知症
・ADL:自立
・ショートステイを初めて利用予定。
・家族から「以前、入院したときに、ご飯にかかっているゴマを虫だと言って騒いだことがあったが、自宅ではそのような様子はみられない」と聞いた。
→レビー小体型認知症とは、Lewy小体が広範な大脳皮質領域で出現することによって、①進行性認知症と②パーキンソニズムを呈する病態である。認知機能の変動・動揺、反復する幻視(人、小動物、虫)、パーキンソニズム、精神症状、REM睡眠型行動異常症、自律神経障害などが特徴である。実際にはいない人が見える「幻視」、眠っている間に怒鳴ったり、奇声をあげたりする異常言動などの症状が特徴的である。頭がはっきりしたり、ボーッとしたり、日によって変動することもある。レビー小体型認知症そのものを治す治療はなく、現状では症状に対する薬を使用して効果をみる。抗精神薬による精神症状のコントロールと抗パーキンソン病薬による運動症状の改善、自律神経障害に対しての血圧コントロールなどがある。

1.× 「虫はいない」と説明する必要はない。設問文からは、レビー小体型認知症による幻視か、せん妄による幻視かは特定することはできないが、幻覚や不穏、興奮などが認められる場合、本人の言うことを否定してもそれが理解できないだけでなく、さらに興奮を助長することがある。幻覚がみられた際は、否定することなくその人の世界に付き合うことが大切である。
2.× 部屋の照明をつけたままにする必要はない。なぜなら、昼夜の生活リズムを崩す(昼夜逆転)ことにつながるため。夜間は、部屋の電気を消して概日リズムを作るようにする。
3.〇 正しい。細かい模様のある物は片付ける。なぜなら、細かい模様は、幻視を誘発しやすいため。これは、家族から「ご飯にかかっているゴマを虫だと言って騒いだことがあった」ということからも選択できる項目である。
4.× 窓のカーテンは開けたままにする必要はない。なぜなら、カーテンを開けたままにしておくと、窓ガラスに映った影などで、幻視を誘発しかねないため。ただし、睡眠-覚醒のリズムを整えるためには、朝にはカーテンを開けて日光を取り込むことで覚醒を促す必要がある。

せん妄とは?

せん妄とは、疾患や全身疾患・外因性物質などによって出現する軽度~中等度の意識障害であり、睡眠障害や興奮・幻覚などが加わった状態をいう。高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多い。
【原因】脳疾患、心疾患、脱水、感染症、手術などに伴って起こることが多い。他にも、心理的因子、薬物、環境にも起因する。

【症状】
①意識がぼんやりする。
②その場にそぐわない行動をする。
③夜間に起こることが多い。 (夜間せん妄)
④通常は数日から1週間でよくなる。

【主な予防方法】
①術前の十分な説明や家族との面会などで手術の不安を取り除く。
②昼間の働きかけを多くし、睡眠・覚醒リズムの調整をする。
③術後早期からの離床を促し、リハビリテーションを行う。

 

 

 

107回 午後

80 Aさん(66歳、女性)は、4年前に前頭側頭型認知症と診断され、介護老人福祉施設に入所している。時々、隣の席の人のおやつを食べるため、トラブルになることがある。
 この状況で考えられるAさんの症状はどれか。

1.脱抑制
2.記憶障害
3.常同行動
4.自発性の低下
5.物盗られ妄想

解答1

解説

本症例のポイント

・Aさん(66歳、女性)
・4年前:前頭側頭型認知症
・介護老人福祉施設に入所中。
・時々:隣の席の人のおやつを食べるためトラブルになる。
→頭側頭型認知症とは、前頭葉・側頭葉に限局した萎縮性病変を認める症候群をいう。代表的な疾患にPick病がある。発症は初老期(40~60歳代)にみられる。初期は、自発性の低下、自発語の減少、偏食・過食、脱抑制などの人格変化・行動異常で潜行性に発症する。

1.〇 正しい。脱抑制がAさんの症状である。脱抑制とは、状況に対する反応としての衝動や感情を抑えることが不能になった状態のことである。本症例では「隣の人のおやつを食べていること」が脱抑制に該当する。
2.× 記憶障害は観察されない。前頭側頭型認知症は、自発性の低下、自発語の減少、偏食・過食、脱抑制などの人格変化・行動異常で潜行性に発症する。記憶は比較的保たれることが多い。一方、記憶障害が特徴(初期から発症)するのは、アルツハイマー型認知症である。
3.× 常同行動は観察されない。常同行動とは、毎日決まったコースを散歩する常同的周遊(周個)や、同じ時間に同じ行動を毎日行う時刻表的生活などの症状のことである。
4.× 自発性の低下は観察されない。自発性が低下とは、自己や周囲に対して無関心である様子である。
5.× 物盗られ妄想は観察されない。物盗られ妄想は、記銘力障害による置き忘れしまい忘れが多くなり、①身近な親しい人に盗られたと即断してしまう、②興奮したり騒いだりして、警察に連絡する場合も多い。盗まれるものは、お金・財布・通帳などの財産に関係するものが多い。アルツハイマー型認知症で認められる。言葉での説得は難しいため、一緒に探したり、自分で納得するように仕向けたりする方がよい。

アルツハイマー型認知症とは?

アルツハイマー型認知症とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。

 

 

 

108回 午後

81 Alzheimer(アルツハイマー)型認知症の患者にみられる実行機能障害はどれか。

1.シャツを前後反対に着る。
2.調理の手順がわからなくなる。
3.物音がすると食事を中断する。
4.鏡に映った自分の姿に話しかける。
5.歯ブラシで髪の毛をとかそうとする。

解答2

解説

Alzheimer型認知症とは?

アルツハイマー病とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。Alzheimer型認知症の患者では、現在でもできる動作を続けられるように支援する。ちなみに、休息をとることや記銘力を試すような質問は意味がない。

1.× シャツを前後反対に着る(服を着られない状態)は、着衣失行である。
2.〇 正しい。調理の手順がわからなくなるのは、Alzheimer(アルツハイマー)型認知症の患者にみられる実行機能障害(遂行機能障害)である。実行機能障害(遂行機能障害)とは、論理的・計画的な行動ができなくなることである。例えば、料理を作る、洗濯をするなどの段取りのことをいい、前頭葉の障害で出現する。
3.× 物音がすると食事を中断する(複数の外的刺激に対し注意力が維持できない状態)は、注意障害という。注意障害には、5つ種類があり、①持続性:注意を一定時間の状態に保つことが困難になる、②選択性:多数の刺激の中から必要な情報や物事に注意を向けられない、③転換(導)性:必要に応じて注意の方向性を切り替えることが困難になる、④配分性(多方向性):2つ以上の課題を同時に遂行したり、順序立てて行ったりすることが困難になる、⑤容量性(感度):ある情報に関する注意の閾値が適度に保つことが困難であることがあげられる。

4.× 鏡に映った自分の姿に話しかけるのは、失認の1つで、鏡像現象鏡現象という。鏡現象とは、鏡に映し出された自分の姿を、自分ではなく他人であると認識し、話しかけたり物を手渡そうとするなど、鏡像と積極的な交流を持つ現象を意味する。
5.× 歯ブラシで髪の毛をとかそうとする(物品を使用する動作や使用方法が障害される状態)は、観念失行という。観念失行とは、複合的な運動の障害であり、日常使用する物品が正当に使用できない失行のことである。優位半球頭頂葉(特に角回)を中心とする広範囲な障害で生じる。例えば、タバコに火をつける、お茶を入れる、歯磨きをするなどの手順が困難になる。

認知症の主な症状

①中核症状:神経細胞の障害で起こる症状
(例:記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、失語・失行など)

②周辺症状:中核症状+(環境要因や身体要因や心理要因)などの相互作用で起こる様々な症状
(例:徘徊、幻覚、異食、せん妄、妄想、不安など)

 

 

 

111回 午前

83 Alzheimer<アルツハイマー>病で正しいのはどれか。

1.基礎疾患として高血圧症が多い。
2.アミロイドβタンパクが蓄積する。
3.初期には記銘力障害はみられない。
4.MRI所見では前頭葉の萎縮が特徴的である。
5.脳血流シンチグラフィ所見では頭頂葉の血流増加がある。

解答2

解説

Alzheimer型認知症とは?

アルツハイマー病とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。Alzheimer型認知症の患者では、現在でもできる動作を続けられるように支援する。ちなみに、休息をとることや記銘力を試すような質問は意味がない。

1.× 基礎疾患として高血圧症が多いのは、「脳血管型認知症」である。脳血管型認知症とは、脳細胞の死滅によって起こる認知症であり、その部位や範囲によって症状は様々である。他の症状として、巣症状(失語、失行、失認など脳の局所性病変によって起こる機能障害)や階段状に認知障害が進行することが特徴である。
2.〇 正しい。アミロイドβタンパクが蓄積する。アルツハイマー病とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。
3.× 初期に記銘力障害が「みられない」のではなくみられる。初期症状では、記銘力障害や健忘性失語(物の名前を思い出せない)など、 言葉に関する記憶の喪失が特徴的である。
4.× MRI所見で前頭葉の萎縮が特徴的であるのは、「前頭側頭型認知症」である。前頭側頭型認知症とは、前頭葉・側頭葉に限局した萎縮性病変を認める症候群をいう。代表的な疾患にPick病がある。発症は初老期(40~60歳代)にみられる。初期は、自発性の低下、自発語の減少、偏食・過食、脱抑制などの人格変化・行動異常で潜行性に発症する。
5.× 脳血流シンチグラフィ所見では、頭頂葉の血流の「増加」ではなく減少がある。シンチグラフィとは、体内に投与した放射性同位体から放出される放射線を検出し、その分布を画像化したものである。

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