【4問】愛着(アタッチメント)についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

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106回 午前

78 思春期に、親や家族との関係が依存的な関係から対等な関係に変化し、精神的に自立することを示すのはどれか。

1.自我同一性の獲得
2.心理的離乳
3.愛着形成
4.探索行動
5.母子分離

解答2

解説

アタッチメントとは?

愛着(アタッチメント)とは、主に乳幼児期の子どもと母親をはじめとする養育者との間で築かれる、心理的な結びつきのことである。ネグレクトによって反応性愛着障害(反応性アタッチメント障害)が起こる。反応性愛着障害とは、5歳までに発症し、小児の対人関係のパターンが持続的に異常を示すことが特徴であり、その異常は、情動障害を伴い、周囲の変化に反応したものである(例:恐れや過度の警戒、同年代の子どもとの対人交流の乏しさ、自分自身や他人への攻撃性、みじめさ、ある例では成長不全)。こどもの対人関係の障害である。

1.× 自我同一性の獲得は、青年期における発達課題である。ちなみに、自己同一性とは、心理学や社会学において、「自分は何者なのか」という概念をさす。
2.〇 正しい。心理的離乳は、思春期に、親や家族との関係が依存的な関係から対等な関係に変化し、精神的に自立することを示す。心理的離乳とは、思春期に親や家族に反発する第二次反抗期がみられることである。 親などから精神的に自立し、友人関係が重要となる。学童期までの親に依存する状態から脱却して、親から心理的に自立するようになる第二次反抗期と呼ばれる。それよりも、同性同年輩の友人との関係が親密となり、そのなかで自己像を見つめなおし、アイデンティティを確立させていく。
3.× 愛着形成は、幼児期前期にみられる。愛着形成とは、精神科医のジョン・ボルビィが1969年に著書「愛着行動」の中で書かれた考え方である。 「子どもが不安な時に親や身近にいる信頼できる人にくっつき安心しようとする行動」のことである。
4.× 探索行動は、乳幼児期にみられる。探索行動とは、知らない物事に興味を示し、それがどんなものなのかを確かめ知ろうとする動きである。探索行動の促進は問題解決にあたり、物ごとに対する極端な見方を改善することができる。療養者(安全既知)が近くに存在する場合、自由な探索行動が可能となるため、探索行動を促進できる。
5.× 母子分離は、主に幼児期にみられる。母子分離とは、乳幼児期の子どもが親などから引き離された場合に愛着をもっている人から離れることに不安を感じることを意味する。母子分離不安ともいい、どの子どもにも見られる現象である。母子、生後8ヶ月頃から始まり、10ヶ月から1歳半くらいが強く、2歳になるころには減っていくと言われる。

エリクソン発達理論

乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望

 

 

 

 

107回 午前

7 思春期にみられる感情の特徴はどれか。

1.情緒的に安定し穏やかになる。
2.思い通りにならないと泣き叫ぶ。
3.親に対して強い愛情表現を示す。
4.依存と独立のアンビバレント(両価的)な感情をもつ。

解答4

解説

エリクソン発達理論

乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望

1.× 情緒的に安定し穏やかになるのは、思春期以降に見られる。なぜなら、思春期を迎えると、成長ホルモンや性ホルモンの分泌が盛んになり、体は大人の体へと急速に変化し、第二次性徴も始まるため。性的な衝動や攻撃的な衝動が高まり、落ち着きがなくなり、そわそわしたり、イライラし始める時期である。
2.× 思い通りにならないと泣き叫ぶのは、幼児期前期の特徴である。エリクソンの発達課題において、幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳)は、自律性vs恥・羞恥心である。自我がめばえ、自分の思いどおりにならないと泣き叫んだり、たたいたりする。
3.× 親に対して強い愛情表現を示すのは、乳児期の特徴である。エリクソンの発達課題において、乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感である。親に対して強い愛情表現を示す愛着行動が特徴である。ちなみに、愛着形成とは、精神科医のジョン・ボルビィが1969年に著書「愛着行動」の中で書かれた考え方である。 「子どもが不安な時に親や身近にいる信頼できる人にくっつき安心しようとする行動」のことである。
4.〇 正しい。依存と独立のアンビバレント(両価的)な感情をもつ。アンビバレントとは、同じ対象に対して正反対の感情を同時に抱くことである。思春期には自我が発達し、絶対的な権威であった親に対して批判的反抗的になる一方で、これまでどおり親への依存心甘えの感情を抱く。

第二次性徴とは

二次性徴とは、性ホルモンの分泌が促進されることにより、性器および身体に現れる変化である。第二次性徴に関わるホルモンは、男性の場合はアンドロゲン、女性の場合はエストロゲンとプロゲステロンである。アンドロゲンは精巣から、エストロゲンとプロゲステロンは卵巣から分泌される。

平均的に見ると男児の場合は、10歳前後に始まり約5年間続く。 体の成長には決まった順番があり、①睾丸の発達→②陰毛の発生→③精通→④声変わり→⑤体型の変化という順番をたどる。女児の場合は、8歳前後から始まり①乳房発育→②陰毛発生→③初経という順に進行することが一般的である。その評価にはTanner分類が用いられている。

 

 

 

 

110回 午後

59 クラウス,M.H.とケネル,J.H.が提唱した絆(ボンディング)について適切なのはどれか。

1.生まれながらのものである。
2.母子間の同調性を意味する。
3.母子相互作用によって促進される。
4.親との間に子どもが築くものである。

解答3

解説

絆(ボンディング)とは?

赤ちゃんが生まれると、愛おしくなり、「我が子を守りたい」という気持ちが強く湧く。 このように、お母さんが自分の子どもに抱く気持ちのことを、お母さんから赤ちゃんへの「ボンディング」と呼ぶ。出生直後から始まる授乳や児の欲求に応じる母親や養育者のかかわりに対し、児が、微笑む・吸啜・泣く・声を出すなどの愛着行動を示すことで形成されていくものである。

1.× 生まれながらのものではない長期にわたって形成されていくものであり、出生直後から始まる授乳や児の欲求に応じる母親や養育者のかかわりに対し、児が、微笑む・吸啜・泣く・声を出すなどの愛着行動を示すことで形成されていく。
2.× 絆(ボンディング)は、母子間の「同調性」ではなく愛着・絆を意味する。ちなみに、母子間の同調性については、コンドンとサンダーが提唱している。同調現象(エントレインメント)は、母親や養育者の声の調子やリズム、行動や表情を、子が反応・模倣する相互同期性のことで、生まれて間もない時期からみられる。
3.〇 正しい。母子相互作用によって促進される。赤ちゃんが生まれると、愛おしくなり、「我が子を守りたい」という気持ちが強く湧く。 このように、お母さんが自分の子どもに抱く気持ちのことを、お母さんから赤ちゃんへの「ボンディング」と呼ぶ。出生直後から始まる授乳や児の欲求に応じる母親や養育者のかかわりに対し、児が、微笑む・吸啜・泣く・声を出すなどの愛着行動を示すことで形成されていくものである。
4.× 絆(ボンディング)は、親との間に「子ども」ではなく親側が築くものである。ちなみに、親との間に子どもが築く情緒的な結び付きは、愛着(アタッチメント)という。

 

 

 

 

113回 午前

54 Bowlby〈ボウルビィ〉が提唱したアタッチメントの記述で正しいのはどれか。

 1.人見知りは6、7か月の乳児に出現する。
 2.安全基地は家の中での子どもの居場所のことである。
 3.子どもと不特定の他者との間に築かれる情緒的な結びつきである。
 4.愛着対象との分離で生じる子どもの行動の第一段階は「絶望の段階」である。

解答

解説

MEMO

J. Bowlby(ジョン・ボウルビー)は、愛着理論である。乳幼児期(0~5歳)において療育者に受け入れられ十分な愛情を受ける経験をすることが、その後の人格形成に重要である、と提唱した。「子どもが不安な時に親や身近にいる信頼できる人にくっつき安心しようとする行動」のことである。

愛着(アタッチメント)とは、主に乳幼児期の子どもと母親をはじめとする養育者との間で築かれる、心理的な結びつきのことである。ネグレクトによって反応性愛着障害(反応性アタッチメント障害)が起こる。反応性愛着障害とは、5歳までに発症し、小児の対人関係のパターンが持続的に異常を示すことが特徴であり、その異常は、情動障害を伴い、周囲の変化に反応したものである(例:恐れや過度の警戒、同年代の子どもとの対人交流の乏しさ、自分自身や他人への攻撃性、みじめさ、ある例では成長不全)。こどもの対人関係の障害である。

 1.〇 正しい。人見知りは6、7か月の乳児に出現する。J. Bowlbyの愛着理論において、愛着が形成されたかどうかは、6か月以降に始まる人見知り行動によって判断することができる。人見知りは、両親以外の人に興味がある一方で、未知の存在に対する恐怖心も生まれて、正反対の2つの感情を処理しきれず泣いてしまうのが原因と考えられている。
 2.× 安全基地は、「家の中での子どもの居場所」ではなく安心できる大人(両親)のことである。安全基地とは、子どもの不安をいつでも受けとめる、安心できる大人のことである。子どもの心のよりどころのことで、物理的な場所としての基地を作るのとは異なる。子どもが不安な時などに、体や気持ちを受けとめてもらえることで、安心感や信頼感が生まれる(※参考:「未来に向かう力を育む」大阪府様HPより)。 
 3.× 子どもと「不特定の」ではなく特定の他者(両親)との間に築かれる情緒的な結びつきである。愛着(アタッチメント)とは、主に乳幼児期の子どもと母親をはじめとする養育者との間で築かれる、心理的な結びつきのことである。
 4.× 愛着対象との分離で生じる子どもの行動の第一段階は、「絶望の段階」ではなく「抵抗の段階」である。第二段階は「絶望の段階」、第三段階は「脱愛着の段階」である。

J.Bowlbyの愛着理論

第1段階(生後3か月間):自分と他者(母親)との分化が不十分である。愛着はまだ形成されず、誰に対しても同じように泣いたり微笑したりする。

第2段階(生後6か月頃まで):母親に対して、特によく微笑し、より多く凝視する。

第3段階(2、3歳頃まで):母親を安全基地として、母親から一定の範囲内で、安心して行動したり探索したりする。母親からの距離は次第に遠くなる。

第4段階(3歳以上):身体的接触を必要としなくなり、母親の感情や動機を洞察し、協調性が形成されてゆく。

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