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※問題の引用:厚生労働省より
※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。
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109回 午後
14 尿ケトン体が陽性になる疾患はどれか。
1.肝硬変
2.糖尿病
3.尿路感染症
4.ネフローゼ症候群
解答2
解説
尿ケトン体とは、体内で脂質が代謝される際に生成される物質で、主に脂肪を燃焼するために使用される。特に、低糖質ダイエットや糖尿病の治療において、尿中に検出されることが多い。ちなみに、健常人の尿中ケトン体(主にアセト酢酸)は2mg/dL以下である。
1.× 肝硬変は、尿ケトン体が陽性とならない。肝硬変とは、B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、過栄養、自己免疫などにより起こる慢性肝炎や肝障害が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態をいう。 慢性肝炎が起こると肝細胞が壊れ、壊れた部分を補うように線維質が蓄積して肝臓のなかに壁ができる。肝機能の低下によりアンモニア代謝能力が低下し、血中のアンモニアが高値となる。
2.〇 正しい。糖尿病は、尿ケトン体が陽性になる。なぜなら、エネルギー源となるブドウ糖を、十分に利用できない糖尿病の患者さんは、代わりに脂肪を燃焼させているため。 この時、燃えかすとしてできるのがケトン体である。そもそも糖尿病は、インスリン作用不足によりグルコースが利用できなくなる疾患である。エネルギーを産生するために脂肪の代謝が亢進し、これにより尿ケトン体が陽性となる。ケトン体が著しく増加するとケトアシドーシスという。ケトアシドーシスとは、脂肪分解亢進によるケトン体の蓄積からアシドーシスが生じ、脱水・意識障害(重症になると昏睡)をきたす。糖尿病では、高度のインスリン作用不足という病態が原因である。
3.× 尿路感染症は、尿ケトン体が陽性とならない。尿路感染症とは、尿道、膀胱、腎臓などの尿路に細菌などが感染し、炎症を引き起こす病気のことである。主に女性に多く見られ、症状としては尿の頻度や痛み、燃焼感、血尿などがある。治療には抗生物質を使用し、治療期間は一般的に約1週間程度である。尿白血球は陽性となる。
4.× ネフローゼ症候群は、尿ケトン体が陽性とならない。ネフローゼ症候群とは、尿から大量の蛋白が漏れ出すことで血液中の蛋白が減少、血液の浸透圧が低下し水分が血管内から血管外へ移動することで、全身の浮腫や腹水・胸水などを引き起こすものである。血液中のタンパクが減り(低たんぱく血症)、その結果、むくみ(浮腫)が起こる疾患である。尿蛋白は陽性となる。
1型糖尿病の原因として、自己免疫異常によるインスリン分泌細胞の破壊などがあげられる。一方、2型糖尿病の原因は生活習慣の乱れなどによるインスリンの分泌低下である。運動療法の目的を以下に挙げる。
①末梢組織のインスリン感受性の改善(ぶどう糖の利用を増加させる)
②筋量増加、体脂肪・血中の中性脂肪の減少。(HDLは増加する)
③摂取エネルギーの抑制、消費エネルギーの増加。
④運動耐容能の増強。
【糖尿病患者に対する運動療法】
運動強度:一般的に最大酸素摂取量の40~60%(無酸素性代謝閾値前後)、ボルグスケールで『楽である』〜『ややきつい』
実施時間:食後1〜2時間
運動時間:1日20〜30分(週3回以上)
消費カロリー:1日80〜200kcal
運動の種類:有酸素運動、レジスタンス運動(※対象者にあったものを選択するのがよいが、歩行が最も簡便。)
【運動療法の絶対的禁忌】
・眼底出血あるいは出血の可能性の高い増殖網膜症・増殖前網膜症。
・レーザー光凝固後3~6カ月以内の網膜症。
・顕性腎症後期以降の腎症(血清クレアチニン:男性2.5mg/dL以上、女性2.0mg/dL以上)。
・心筋梗塞など重篤な心血管系障害がある場合。
・高度の糖尿病自律神経障害がある場合。
・1型糖尿病でケトーシスがある場合。
・代謝コントロールが極端に悪い場合(空腹時血糖値≧250mg/dLまたは尿ケトン体中等度以上陽性)。
・急性感染症を発症している場合。
(※参考:「糖尿病患者さんの運動指導の実際」糖尿病ネットワーク様HPより)
尿路感染症は、感染診断名としては、①腎盂腎炎と②膀胱炎とに分けられる。一方で、その病態による一般的分類法として尿路基礎疾患のある・なしで、複雑性と単純性とに分ける。頻度として多い女性の急性単純性膀胱炎は外来治療の対象である。急性単純性腎盂腎炎は高熱のある場合、入院が必要なこともある。複雑性尿路感染症は、膀胱炎、腎盂腎炎とも、症状軽微な場合、外来治療が原則であるが、複雑性腎盂腎炎で尿路閉塞機転が強く高熱が認められるものでは、入院の上、腎瘻造設などの外科的ドレナージを要することもある。それら病態を見極めるための検査として、画像診断(超音波断層、静脈性腎盂造影、X線CTなど)が必要となる。感染症としての診断には、適切な採尿法による検尿で膿尿を証明すること、尿培養にて原因菌を同定し薬剤感受性を検査することが基本である。
【疑うべき臨床症状】
尿路感染症の症状は、急性単純性膀胱炎では排尿痛、頻尿、尿意切迫感、残尿感、下腹部痛が、急性単純性腎盂腎炎では発熱、悪寒、側腹部痛が、主たるものである。複雑性尿路感染症では膀胱炎、腎盂腎炎それぞれにおいて、単純性と同様の症状が見られるが、無症状に近いものから、強い症状を呈するものまで幅が広い。上部尿路閉塞に伴う膿腎症では高熱が続くこともある。
(※引用:「尿路感染症」より)
110回 午前
27 ウイルス性肝炎の起炎ウイルスでDNAウイルスはどれか。
1.A型肝炎ウイルス
2.B型肝炎ウイルス
3.C型肝炎ウイルス
4.E型肝炎ウイルス
解答2
解説
ウイルスは、他生物の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染性の構造体で、タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。ウイルスは、①DNAウイルスと②RNAウイルスに分けられる。①DNAウイルスは、細胞のDNA合成に関わる酵素を利用しゲノムを複製する。①RNAウイルスは、ウイルスRNAを鋳型として細胞質で作られ、且つ、機能する。従って、RNAウイルスは原則として細胞質で増殖する。ちなみに、DNAウイルスにはアデノやヘルペスなどが分類される。
現在、人に感染して肝炎を起こす五種類の肝炎ウイルス(A型、B型、C型、D型、E型)がある。その中で、D型肝炎ウイルスは不完全なウイルスで、B型肝炎ウイルスを持っている人にだけ感染し、増殖することができる。同時に感染するよりは、B型肝炎ウイルス感染がある人に重ねて感染したときの方が、症状は重く、脳症状がでて短期間に死亡することが多い「劇症肝炎」の原因にもなる。B型肝炎ウイルスだけがDNAウイルスである。他は全てRNAウイルスである。
1.× A型肝炎ウイルスは、急性肝炎の原因となるRNAウイルスである。生ガキの摂取など経口感染が主な感染経路である。
2.〇 正しい。B型肝炎ウイルスは、ウイルス性肝炎の起炎ウイルスでDNAウイルスである。B型肝炎ウイルスはDNA型の肝炎ウイルスで、ヘパドナウイルス科に分類される。 直径約42nmの球状ウイルスで、外被(エンベロープ)とコアの二重構造を有している。母子感染、体液感染、血液感染が主な感染経路であり、母子感染、乳幼児感染では無症候性キャリアを経て慢性化し、肝硬変や肝細胞癌に至ることもある。さらに劇症肝炎の原因として最多でもある。
3.× C型肝炎ウイルスは、主に血液感染するRNAウイルスである。最も一般的な感染様式は、安全性に欠ける注射手技、不十分な医療器具の殺菌処理、スクリーニング検査していない血液や血液製剤の輸血である。感染にて容易に慢性化し、肝硬変や肝細胞癌に至る。
4.× E型肝炎ウイルスは、急性肝炎の原因となるRNAウイルスである。水や豚・猪のレバーなど食物を介して経口感染する。従来、経口伝播型非A非B型肝炎とよばれてきたウイルス性の急性肝炎で、その病原体はE型肝炎ウイルス(RNAウイルス)である。E型肝炎の致死率はA型肝炎の10倍といわれ、妊婦では実に20%に達することがある。
肝硬変とは、B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、過栄養、自己免疫などにより起こる慢性肝炎や肝障害が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態をいう。 慢性肝炎が起こると肝細胞が壊れ、壊れた部分を補うように線維質が蓄積して肝臓のなかに壁ができる。
110回 午前
42 Aさん(50歳、男性)は肝硬変と診断され、腹水貯留と黄疸がみられる。
Aさんに指導する食事内容で適切なのはどれか。
1.塩分の少ない食事
2.脂肪分の多い食事
3.蛋白質の多い食事
4.食物繊維の少ない食事
解答1
解説
肝硬変とは、B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、過栄養、自己免疫などにより起こる慢性肝炎や肝障害が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態をいう。 慢性肝炎が起こると肝細胞が壊れ、壊れた部分を補うように線維質が蓄積して肝臓のなかに壁ができる。
【栄養治療の基準】
①エネルギー
・30~35kcal/kg/日
・25~30kcal/kg/日(糖尿病)
・35~45kcal/kg/日(低栄養)
②蛋白質:1.0~1.2g/kg/日
③脂質:エネルギー全体の20~25%
④食塩:5~7g/日
⑤分割食:就寝前に200kcalの軽食をとる。
1.〇 正しい。塩分の少ない食事は、Aさんに指導する食事内容で適切である。なぜなら、塩分摂取は体液貯留につながるため。目安として、食塩:5~7g/日に制限する。
2.脂肪分の「多い食事」ではなく、適切な量の食事を心がける。目安として脂質は、エネルギー全体の20~25%とする。肥満を避ける必要がある。
3.蛋白質の「多い食事」ではなく、適切な量の食事を心がける。目安として蛋白質は、1.0~1.2g/kg/日とする。なぜなら、過剰な蛋白質の摂取は血清アンモニア値の上昇を引き起こし、肝性脳症を招くことがあるため。
4.食物繊維の「少ない」ではなく多い食事を心がける。なぜなら、腹水による便秘では、腸内細菌の増加によりアンモニアが増加し、肝性脳症の出現悪化が起こることがあるため。肝性脳症とは、体内に発生した、もしくは腸管から吸収された中毒性物質が、肝硬変や門脈-大循環シャントにより、肝臓で解毒されることなく中枢神経に到達することで、さまざまな精神・神経症状が生じる症候群をいう。つまり、正常な肝なら代謝されるはずの有害物質(アンモニアなど)が脳に達することによって生じる合併症である。
110回 午後
86 肝硬変におけるChild-Pugh〈チャイルド・ピュー〉分類の判定項目はどれか。2つ選べ。
1.プロトロンビン時間
2.血清アルブミン値
3.血中アンモニア値
4.血小板数
5.尿酸値
解答1・2
解説
チャイルド・ピュー(Child-Pugh)分類とは、肝硬変における肝予備能・重症度の評価に用いる。構成する5項目は、「プロトロンビン時間」、「血清アルブミン値」、「脳症」、「血清ビリルビン値」、「腹水」である。それぞれの項目で、1~3点で評価し、3点ほど重度である。合計15点が重度といえる。
グレードA(軽度:5~6点)代償性肝硬変という。
グレードB(中等度:7~9点)非代償性肝硬変という。
グレードC(重度:10~15点)重度の肝硬変で肝臓の機能が維持できなくなり、様々な合併症(症状)があらわれる。非代償性肝硬変という
1.〇 正しい。プロトロンビン時間は、Child-Pugh〈チャイルド・ピュー〉分類の判定項目である。凝固因子は肝臓で産生されるが、その活性は肝機能の指標となる。プロトロンビン時間は、凝固因子のひとつであるプロトロンビンの活性をみている。
2.〇 正しい。血清アルブミン値は、Child-Pugh〈チャイルド・ピュー〉分類の判定項目である。ちなみに、血清アルブミン値は、栄養状態の評価としても用いられる。栄養状態を検査できる項目として、血清総たんぱく(TP)、アルブミン(Alb)、 コリンエステラーゼ(ChE)、ヘモグロビン(Hb)、総リンパ球数(TLC)である。血清アルブミンの血中半減期は、約15~21日であり、2~3週間前の静的栄養状態を示す。血清アルブミン値は、肝臓のタンパク合成能の指標となる。
3.× 血中アンモニア値は含まれない。血中アンモニア値の上昇で「肝性脳症」が疑われる。肝性脳症とは、体内に発生した、もしくは腸管から吸収された中毒性物質が、肝硬変や門脈-大循環シャントにより、肝臓で解毒されることなく中枢神経に到達することで、さまざまな精神・神経症状が生じる症候群をいう。つまり、正常な肝なら代謝されるはずの有害物質(アンモニアなど)が脳に達することによって生じる合併症である。
4.× 血小板数は含まれない。血小板が減少すると、特発性血小板減少性紫斑病、急性白血病、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血などが疑われる。一方、血小板数が40万/μL以上に増加は、血小板増加症という。血小板増加症の症状として、①アザができやすくなる、②鼻血や歯肉から出血しやすくなる、③頭痛、④しびれやめまいなどがあげられる。
5.× 尿酸値は含まれない。尿酸値が7.0mg/dL以上に増加は、高尿酸血症という。高尿酸血症とは、血清尿酸値が7.0mg/dLを正常上限とし、これを超えるものと定義する。男性が圧倒的に多く、男女比約20:1の割合である。
体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。男性に頻発する単関節炎で、下肢、特に第1中足趾関節に好発する。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生され、代謝異常があると尿酸の産生過剰・排泄障害が生じ高尿酸血症となる。高尿酸血症は痛風や腎臓などの臓器障害を引き起こすほか、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣を合併しやすい。