【7問】廃用症候群についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

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105回 午前

52 Aさん(102歳、女性)は、重度の廃用症候群のために5年前から発語が少なく体を動かすことができない。誤嚥性肺炎で入退院を繰り返し、終末期である。同居している家族は積極的な治療をしないことを希望し、自宅でAさんを看取ることを決めた。
 Aさんの家族への退院時の指導で最も適切なのはどれか。

1.「24時間付き添ってあげましょう」
2.「おむつの重さで尿量を測定しましょう」
3.「苦しそうになったら救急車を呼びましょう」
4.「Aさんが食べたければ食べさせてあげましょう」

解答4

解説

本症例のポイント

・Aさん(102歳、女性、重度の廃用症候群)
・5年前:発語が少なく体を動かすことができない。
終末期:誤嚥性肺炎による入退院を繰り返す。
・希望:同居している家族は積極的な治療をしないこと
・自宅でAさんを看取ることを決めた。
→終末期看護の役割は、患者の残された時間の生活の質(QOL)を高め、その人らしいまっとうできるように援助を行うことである。患者が可能な限り前向きに生活できるような支援体制を提供するという。従来、医療・介護の現場では、終末期における治療の開始・中止・変更の問題は重要な課題のひとつである。疾病の根治を目的とせず延命のみを目的とした対症療法を一般的に延命治療と称し、人工呼吸・人工栄養(経管栄養)、人工透析などが含まれる。しかし、終末期患者では意思疎通の困難な場合も多く、患者の意思に反する治療(延命)になりかねない。治療・ケア内容に関する患者や家族の意思や希望を病状などに応じて繰り返し確認し、それを患者・家族・医療者で共有し、方針を見いだすことが非常に重要である。

1.× 24時間の付き添うことは勧められない。なぜなら、24時間付き添うことは、家族の負担が大きすぎるため。できるだけ家族の機能や負担を考慮して、社会的な資源やサービスの使用を推奨するとよい。
2.× おむつの重さで尿量を測定することは勧められない。なぜなら、24時間付き添うことは、家族の負担が大きすぎるため。また、本症例の場合、積極的な治療を行わないことを決めており、尿測の意義は薄いと考えられる。
3.× 「苦しそうになったら救急車を呼びましょう」と一概に一方的に決められることではない。なぜなら、本症例の場合、自宅でAさんを看取ることを決めているため。救急車で病院に搬送された場合、見取り先が病院になる可能性が高い。
4.〇 正しい。「Aさんが食べたければ食べさせてあげましょう」と伝える。なぜなら、Aさんにとって最善であることをともに体験していく時間を過ごせるようにするため。ちなみに、終末期看護の役割は、患者の残された時間の生活の質(QOL)を高め、その人らしいまっとうできるように援助を行うことである。患者が可能な限り前向きに生活できるような支援体制を提供するという。従来、医療・介護の現場では、終末期における治療の開始・中止・変更の問題は重要な課題のひとつである。

 

 

 

107回 午後

44 廃用症候群を予防する方法で正しいのはどれか。

1.関節固定後の等張性運動
2.ギプス固定後からの等尺性運動
3.下腿の中枢から末梢へのマッサージ
4.足底板の装着による下腿三頭筋の収縮

解答2

解説

廃用症候群とは?

 廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のこと。関節拘縮や筋萎縮、褥瘡などの局所性症状だけでなく、起立性低血圧や心肺機能の低下、精神症状などの症状も含まれる。一度生じると、回復には多くの時間を要し、寝たきりの最大のリスクとなるため予防が重要である。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著である。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもある。

1.× 関節固定後の等張性運動は行うことができない。なぜなら、関節が固定されおり、関節を動かせないため。等張性運動とは、①求心性等張性運動、②遠心性等張性運動がある。①求心性等張性運動とは、筋の張力は変化せずに筋の短縮が起こる状態である。②遠心性等張性運動とは、筋の張力は変化せずに筋が収縮しながら筋長は伸びる状態である。関節固定後に行えるのは、等尺性運動である。等尺性運動とは、関節を動かさない筋肉の収縮で、筋の長さは一定である特徴を持つ。ギプス固定している間の筋の廃用予防のための筋力トレーニングとして重要である。
2.〇 正しい。ギプス固定後からの等尺性運動は、廃用症候群を予防する方法である。等尺性運動とは、関節を動かさない筋肉の収縮で、筋の長さは一定である特徴を持つ。ギプスにより患部の安静が長期間になると、同一肢位が長時間続くことから関節と筋肉の拘縮と筋力低下を起こし、廃用症候群を起こしやすくなる。ギプス固定している間の筋の廃用予防のための筋力トレーニングとして重要である。
3.× そもそもマッサージ自体に廃用症候群を予防する効果はない。また、血流改善(浮腫の改善)のために行われるマッサージは、下腿の「中枢から末梢へ」ではなく「末梢から中枢へ」行われる。
4.× 足底板の装着しただけでは、下腿三頭筋の収縮は起こらない。なぜなら、足底板とは、足の筋肉、靱帯、関節の負担を軽減するために用いられるため。足や膝に痛みがある場合や、歩きにくさがある場合に適応となる。主に扁平足、足底筋膜炎、外反母趾、アキレス腱炎、シンスプリント、靭帯損傷、変形性膝関節症、前十字靭帯損傷、内側側副靭帯損傷、半月板損傷などである。インソールとも呼ばれる。ちなみに、下腿三頭筋は足関節底屈する作用を持ち、つま先立ちした際に収縮する。

 

 

 

 

110回 午前

71 大規模災害発生後2か月が経過し、応急仮設住宅で生活を始めた被災地の住民に出現する可能性が高い健康問題はどれか。

1.慢性疾患の悪化
2.消化器感染症の発症
3.深部静脈血栓症の発症
4.急性ストレス障害の発症

解答1

解説

1.〇 正しい。慢性疾患の悪化は、今回の可能性が高い健康問題である。現在、大規模災害発生後2か月が経過していることから「災害復旧・復興期」に該当する。この時期は、①慢性疾患の増悪、②疲労による体調不良、③仮設住宅等への転居、④新しい環境での孤立に注意が必要となる。避難所から応急仮設住宅に生活の場が移行する慢性期では、独居・高齢化・高い有病率・心的苦痛・体調不良などが要因となり、慢性疾患が悪化する可能性が高い。活動内容としては、①巡回健康相談、②廃用症候群・閉じこもり・孤立死の予防・対策、③心的外傷後ストレス障害(PTSD)への対応、④新たなコミュニティづくりの支援、⑤職員の健康管理、⑥通常業務の再開を行う。
2.5.× 消化器感染症の発症/急性ストレス障害(ASD)は可能性が低い。なぜなら、災害から亜急性期(発災10日~2週間まで)に問題となりやすいため。衛生環境の悪化などにより、避難所などの集団生活の場でまん延しやすい。急性ストレス障害とは、交通事故・自然災害といった極めて強烈なストレスを原因として、その後、急性・一過性に解離症状(感情・感覚麻痺、健忘など)、PTSDと同様の再体験症状、回避症状などが出現し、著しい苦痛や社会的障害を生じている状態をいう。心的外傷後すぐに症状が出現し、持続期間は3日間~4週間である。
3.× 深部静脈血栓症の発症は可能性が低い。なぜなら、災害から亜急性期(発災10日~2週間まで)に問題となりやすいため。深部静脈血栓症は、ライフラインの途絶による脱水や車中泊による静脈うっ滞、余震の恐怖による交感神経刺激亢進に伴う血液凝固能亢進などにより生じる。深部静脈血栓症は、①長時間の座位など下肢屈曲姿勢、②運動不足、③水分摂取不足などの状況にある避難者でリスクが高い。

災害サイクルと保健活動

【超急性期:~24時間と急性期:~2,3日】
①災害状況:野外への避難、通信・交通・ライフラインの途絶、避難所生活開始。
②保健活動:救急対応(救護所の開設、必要な医療物品の準備)、地域の被害状況、ライフライン、衛生状態の把握、住民の安否確認と身元確認、避難行動要支援者の安否確認と移動、健康危機管理、避難所準備と周知、救護所や避難所の巡回健康相談と衛生管理および環境整備、職員の健康管理(急性期)。

【亜急性期:~2,3週間】
①災害状況:避難所生活の継続、水や食料の不足、衛生環境の悪化
②保健活動:巡回健康相談、食中毒や感染症等の二次的な健康障害の予防活動、生活用品の確保、エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症・肺塞栓症)の合併症対策こころのケア対策の実施、派遣保健師配置やボランティアの活用、職員の健康管理、通常業務の調整。

 

 

 

 

111回 午前

84 安静臥床による廃用症候群で生じるのはどれか。

1.1回換気量の増加
2.循環血液量の増加
3.基礎代謝の上昇
4.骨吸収の亢進
5.食欲の増進

解答4

解説

廃用症候群とは?

 廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のこと。関節拘縮や筋萎縮、褥瘡などの局所性症状だけでなく、起立性低血圧や心肺機能の低下、精神症状などの症状も含まれる。一度生じると、回復には多くの時間を要し、寝たきりの最大のリスクとなるため予防が重要である。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著である。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもある。

(※図引用:「廃用症候群の息切れの機序とそれに対するリハビリテーション」著:補永 薫)

1.× 1回換気量の「増加」ではなく低下である。なぜなら、廃用症候群により心肺機能が低下するため。また、臥床により胸郭の動きが制限され、胸郭にも可動域制限をきたす。ちなみに、1回換気量とは、安静時に意識せずに行っている呼吸1回あたりの換気量である。1回換気量のうち、ガス交換が可能な領域(呼吸細気管支と肺胞)を出入りする分が有効な換気量であり、ガス交換が行われない領域(鼻腔・口腔・気管・気管支・終末細気管支)を出入りする分はガス交換には無効な死腔換気量である。
2.× 循環血液量の「増加」ではなく低下である。なぜなら、廃用症候群により筋萎縮を呈し、筋ポンプ作用の機能不全をきたすため。ちなみに、足関節の底背屈運動をすると、筋収縮(筋ポンプ作用)により静脈還流を促すことができる。
3.× 基礎代謝の「上昇」ではなく減少である。なぜなら、廃用症候群により筋萎縮を呈し、骨格筋量が減少するため。ちなみに、基礎代謝とは、体温維持、心臓や呼吸など、人が生きていくために最低限必要なエネルギーのことである。基礎代謝量は、体重・体表面積・性と年齢などの要因に依存する。安静・空腹時のエネルギー消費量で、一般に女性より男性の方が高い。
4.〇 正しい。骨吸収の亢進は、安静臥床による廃用症候群で生じる。なぜなら、立位や歩行、運動などの骨への荷重(リモデリング作用)が見込めないため。骨は力学的な荷重(運動)に応じて、骨吸収と骨形成を繰り返し、自らを再構築(リモデリング)する。つまり、運動が骨を強くし、骨粗鬆症の予防が見込める。ちなみに、骨吸収とは、その名の通り骨組織の吸収であり、つまり、破骨細胞が骨の組織を分解してミネラルを放出し、骨組織から血液にカルシウムが移動するプロセスである。
5.× 食欲の「増進」ではなく減少である。なぜなら、廃用症候群により精神症状(うつ症状)もみられるため。気分的な落ち込みが顕著に現れてうつ状態になったり、前向きに取り組むやる気が減退したりと、精神的な機能低下も見られる。うつ病の主な症状には、睡眠障害、倦怠感、易疲労感、脱力感、希死念慮、頭重、体重減少、食欲低下、嘔気、性欲減退、頻尿、めまいなどがある。

 

 

 

 

112回 午後

問題19 不活動状態が持続することで生じるのはどれか。

1.廃用症候群
2.緊張病症候群
3.慢性疲労症候群
4.シックハウス症候群

解答

解説
1.〇 正しい。廃用症候群は、不活動状態が持続することで生じる。廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のこと。関節拘縮や筋萎縮、褥瘡などの局所性症状だけでなく、起立性低血圧や心肺機能の低下、精神症状などの症状も含まれる。一度生じると、回復には多くの時間を要し、寝たきりの最大のリスクとなるため予防が重要である。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著である。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもある。
2.× 緊張病症候群とは、①緊張病性興奮、②緊張病性昏迷、③カタレプシー、④反響言語・動作、⑤常同、⑥しかめ面などの奇異な表情の症状が含まれる。緊張病症候群は、主に緊張型統合失調症にみられる症状の総称である。多くは急性期~消耗期で現れる。
3.× 慢性疲労症候群とは、長期間続く極度の疲労感を主症状とする症候群で、明確な原因は不明である。これまで健康に生活していた人がある日突然原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ、それ以降強度の疲労感と共に、微熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、脱力感、思考力の障害、抑うつ症状などが長期にわたって続くため、健全な社会生活が送れなくなるという疾患である。
4.× シックハウス症候群とは、建物内の化学物質や微生物、ハウスダストなどが原因で発症する症状群である。症状は、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹など人によってさまざまである。原因として、住宅の高気密化・高断熱化などが進み、①化学物質による空気汚染、②湿度の高さによる細菌、カビ、ダニが繁殖、一般的な石油ストーブからの汚染物質(一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物など)の放出である。他にも、たばこの煙にも有害な化学物質である。(※参考:「シックハウス対策のページ」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

113回 午前

49 Aさん(86歳、女性)は、生まれ育った地域で、近所に住む友人と交流しながら1人で暮らしていた。買い物へ行く途中に転倒し、腰椎圧迫骨折で入院治療を受けた。退院後は他県に住む長女夫婦と同居している。暮らし始めて間もなく、Aさんは「私はここで暮らして、新しい友人ができるかしら」と長女に訴えるようになり、徐々に口数が少なくなった。
 このときのAさんの状況はどれか。

 1.閉じこもり
 2.廃用症候群
 3.セルフ・ネグレクト
 4.リロケーションダメージ

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(86歳、女性)
・1人暮らし:生まれ育った地域、友人と交流あり。
・買い物へ行く途中に転倒(腰椎圧迫骨折)。
・退院後:他県に住む長女夫婦と同居
・暮らし始めて間もなく、Aさんは「私はここで暮らして、新しい友人ができるかしら」と長女に訴える。
徐々に口数が少なくなった
→本症例は、腰椎圧迫骨折を契機に、生活環境に変化が生じた。新しい環境に変化した際に、不安の訴えや口数が減った。

 1.× 閉じこもりとは、寝たきりなどでないにもかかわらず、1日のほとんどを家の中で過ごし、日々の行動範囲が家の中か庭先ぐらいで、週に1回も外出しない状態である。
 2.× 廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のこと。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著である。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもある。
 3.× セルフ・ネグレクトとは、自己放任自己放棄などと訳され、なんらかの理由によって、生きていくために必要な衛生や健康、安全を維持するためのケアを怠り、損なってしまうこと、またはそこに至るまでの行為のことを指す。
 4.〇 正しい。リロケーションダメージは、Aさんの状況である。リロケーションダメージとは、環境の変化によって症状の悪化や混乱を招くことである。主に認知症患者や高齢患者に起こりやすい。

 

 

 

113回 午前

73 発災直後、自家用車に泊まり生活を始めた避難者に発生しやすいのはどれか。

 1.生活不活発病
 2.静脈血栓塞栓症
 3.圧挫症候群〈クラッシュ症候群〉
 4.心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉

解答

解説
 1.× 生活不活発病とは、廃用症候群とも呼ばれる。「廃用」という表現があまりよくないという理由から、生活不活発病という呼び方に変わりつつある。廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のこと。関節拘縮や筋萎縮、褥瘡などの局所性症状だけでなく、起立性低血圧や心肺機能の低下、精神症状などの症状も含まれる。一度生じると、回復には多くの時間を要し、寝たきりの最大のリスクとなるため予防が重要である。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著である。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもある。
 2.〇 正しい。静脈血栓塞栓症は、発災直後、自家用車に泊まり生活を始めた避難者に発生しやすい。静脈血栓塞栓症とは、手足の静脈に血栓ができて血管が詰まる深部静脈血栓症(DVT)と、その血栓が血流に乗って運ばれ肺の動脈に詰まる肺血栓塞栓症を合わせた総称である。深部静脈血栓症とは、長時間の安静や手術などの血流低下により下肢の静脈に血栓が詰まってしまう病気である。下肢の疼痛、圧痛、熱感などの症状がみられる。ほかのリスク因子として、脱水や肥満、化学療法などがあげられる。
 3.× 圧挫症候群〈クラッシュ症候群〉とは、長時間の圧挫による虚血、圧挫解除による虚血/再灌流による筋細胞融解(横紋筋融解)と筋細胞内にナトリウムと水分の移行によるコンパートメント症候群による末梢循環不全である。長時間の圧迫による血流障害後、血流が再開した際、崩壊した筋細胞から血中にカリウムやミオグロビンが漏出し、高カリウム血症による不整脈(心室細動)や高ミオグロビン血症による腎障害が生じるものである。血管外への水分漏出により循環血漿量が減少するため尿量は低下することが多い。
 4.× 心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉とは、大規模な災害や事故の現場、他人の悲惨な死など、心理的に大きなストレスを受ける状況下に居合わせた場合、1か月以上心的外傷による障害が持続した場合に生じる。典型的な症状として、①感覚や情動の鈍化、②心的外傷を想起するような状況の回避、③再現的で侵入的な回想(フラッシュバック)や悪夢、④過覚醒、⑤驚愕反応の亢進などが認められる。

エコノミークラス症候群とは?

肺血栓塞栓症とは、肺の血管に血のかたまり(血栓)が詰まって、突然、呼吸困難や胸痛、ときには心停止をきたす危険な病気である。ロング・フライト血栓症やエコノミークラス症候群などと呼ばれる。原因として、①血液凝固能の亢進、②静脈血流のうっ滞、③静脈壁の障害の3つの因子が種々の程度に重なって起こる。離床(車椅子乗車や立位訓練、歩行訓練など)を開始したタイミングで発症するリスクが高くなるため注意が必要である。症状として、呼吸困難、胸痛、失神などが認められ、時に心停止となり、突然死に至る場合もある。ちなみに、リンパ浮腫の合併症として、蜂窩織炎、リンパ管炎などの炎症がみられる。

 

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