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次の文を読み51〜53の問いに答えよ。
Aさん(22歳、初産婦、外国籍)。妊娠10週。夫(30歳、外国籍、会社員)と2人暮らし。1年前に夫の仕事のため来日した。母子健康手帳の受け取りのため、夫婦でB市の保健センターに来所した。
51 Aさんへの支援にあたっての情報収集で最も優先されるのはどれか。
1.Aさんの母国の母子保健サービス
2.Aさん夫婦の日本語能力
3.在留資格の有無
4.夫の仕事の状況
解答2
解説
・Aさん(22歳、初産婦、外国籍、妊娠10週)
・2人暮らし:夫(30歳、外国籍、会社員)
・1年前:夫の仕事のため来日した。
・母子健康手帳の受け取りのため、夫婦でB市の保健センターに来所した。
→Aさん夫婦は外国籍である。したがって、日本語能力に問題が起こりやすいことが考えられる。言葉のコミュニケーションに支障があると、知識の普及や生活指導だけでなく、総合的な支援にも使用をきたしかねない。
1.× Aさんの母国の母子保健サービスより優先度が高いものが他にある。なぜなら、Aさんには日本の母子保健サービスが適応になるため。ただし、今後Aさんのニーズや支援を考えていく際に、参考となるため、現在の優先度は高くないが、Aさんの母国の母子保健サービスを聞いておくと良い。
2.〇 正しい。Aさん夫婦の日本語能力が情報収集で最も優先される。なぜなら、Aさん夫婦は外国籍であるため。したがって、日本語能力に問題が起こりやすいことが考えられる。Aさんへの支援にあたって今後コミュニケーションをとる必要がある。言葉のコミュニケーションに支障があると、知識の普及や生活指導だけでなく、総合的な支援にも使用をきたしかねない。
3.× 在留資格の有無より優先度が高いものが他にある。在留資格のない外国人女性でも、母子手帳の交付や入院助産が受けられる。妊娠している外国人女性は、在留資格がなくても、母子手帳の交付(母子保健法16条)や、出産費用がない場合の入院助産(児童福祉法22条)を受けられる。
4.× 夫の仕事の状況より優先度が高いものが他にある。なぜなら、夫の仕事の状況はAさんへの支援にあたって必要な情報ではあるが、まずはコミュニケーションが必要なため。Aさん夫婦の日本語能力が最も優先される情報である。
次の文を読み51〜53の問いに答えよ。
Aさん(22歳、初産婦、外国籍)。妊娠10週。夫(30歳、外国籍、会社員)と2人暮らし。1年前に夫の仕事のため来日した。母子健康手帳の受け取りのため、夫婦でB市の保健センターに来所した。
52 保健センターの助産師は、子育て世代包括支援センター業務ガイドラインの考え方を参考に、Aさんの支援プランを検討することとなった。Aさんは、母国ではなく日本で出産する予定である。
支援プランの検討で適切なのはどれか。
1.出産予定の病院の助産師と連携して作成する。
2.日本の産育習俗に基づき計画する。
3.Aさんの意見は最後に確認する。
4.初回の評価は出産後に行う。
解答1
解説
・保健センターの助産師:子育て世代包括支援センター業務ガイドラインの考え方を参考に、Aさんの支援プランを検討する。
・Aさんの予定:母国ではなく日本で出産する。
→厚生労働省HPより「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」が載せられている。本ガイドラインは、子育て世代包括支援センターの具体的な業務の内容を解説するとともに、地域の多様性を念頭に、運営上の留意点を示すものである。なお、子育て世代包括支援センターの具体的な運営に当たっては、ガイドラインを参考にしながら、庁内の関係課や地域の関係機関との連携・協力の下、各地域の強みや特性を踏まえた弾力的な対応が求められる。子育て世代包括支援センターの全国展開によって、どの市区町村に住んでいても、妊産婦及び乳幼児等が安心して健康な生活ができるよう、利用者目線に立って、一貫性・整合性のある支援が実現されることが期待される。
(※一部引用:「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン〜子育て世代包括支援センターの主な業務〜P19」厚生労働省HPより)
1.〇 正しい。出産予定の病院の助産師と連携して作成する。支援プランは、保健センターの助産師だけでなく出産予定の病院の助産師と連携して作成することで、助産師間での情報共有やAさんに支援の継続性と整合性を確保することができる。
2.× 日本の産育習俗に基づき計画する必要はない。なぜなら、Aさん夫妻は外国籍であるため。Aさんの母国の産育習俗やAさん夫婦の意見や希望を反映して計画すべきである。ちなみに、産育(さんいく)とは、子供が大人になるまでにおこなわれる習俗や慣行、行事のことである。生活様式の近代化によって大きく変容している。誕生日祝や七五三などもこれに当たる。
3.× Aさんの意見は、「最後」ではなく最初から確認するべきである。支援プランの作成前に聴取して反映させる必要がある。また、「支援プランを策定する際には、支援対象者に参加してもらい、本人の意見を反映 するように努める」と記載されている。(※一部引用:「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」厚生労働省HPより)
4.× 初回の評価は、「出産後」ではなく妊娠期から行う。なぜなら、支援プランは妊娠期から子育て期であるため。支援プランでは、妊娠や出産、子育てに関する当面のスケジュールに合わせて、支援対象者にとって必要なサービス等の利用スケジュールを整理するとともに、関係機関と調整し、各関係機関による支援内容やモニタリング、支援プランの見直し時期についても整理しておく。
子育て世代包括支援センターとは、母子保健法に基づき市町村が設置するもので、保健師等の専門スタッフが妊娠・出産・育児に関する様々な相談に対応し、必要に応じて支援プランの策定や地域の保健医療福祉の関係機関との連絡調整を行うなど、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を一体的に提供している。
【主な5つの事業】
①母性・乳幼児の健康の保持増進に関する実情の把握
②母子保健に関する相談への対応
③母性・乳幼児に対する保健指導
④母子保健に関する機関との連絡調整等、健康の保持・増進に関する支援
⑤健康診査、助産その他の母子保健に関する事業
(※参考:「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン 」厚生労働省HPより)
次の文を読み51〜53の問いに答えよ。
Aさん(22歳、初産婦、外国籍)。妊娠10週。夫(30歳、外国籍、会社員)と2人暮らし。1年前に夫の仕事のため来日した。母子健康手帳の受け取りのため、夫婦でB市の保健センターに来所した。
53 Aさんは妊娠34週に、産後の生活や育児の相談のため、夫と共に保健センターに来所した。助産師に、異国での初めての育児に不安があると話した。育児は夫婦2人で行うこと、産後のサポートが不足していることがわかった。
Aさんに説明する母子保健サービスで適切なのはどれか。2つ選べ。
1.新生児・褥婦訪問指導
2.乳幼児健康診査
3.一時預かり事業
4.産後ケア事業
5.入院助産
解答1・4
解説
・妊娠34週:産後の生活や育児の相談のため、夫と共に保健センターに来所。
【相談内容】
①異国での初めての育児に不安がある。
②不足点:育児を夫婦2人で行うこと、産後のサポートが不足している。
→本症例の相談事項に対応する母子保健サービスを提案する。本症例は、育児を夫婦2人で行うことに不安を感じ、産後のサポートが不足している点があげられている。
1.〇 正しい。新生児・褥婦訪問指導が、Aさんに説明する母子保健サービスで優先される。なぜなら、本症例は、産後夫婦2人での育児に不安を感じているため。ちなみに、新生児・褥婦訪問指導とは、妊産婦や新生児を対象に助産師または保健師が家庭訪問して健康状態の確認や必要な保育指導、健康や育児に関する相談、子育て支援に関する情報提供などを行う事業である。
2.× 乳幼児健康診査より優先度が高いものが他にある。なぜなら、本症例は妊娠34週であるため。ゆくゆく必要になる説明ではあるものの、相談内容と合致しないため優先度は低い。ちなみに、乳幼児健康診査とは、母子保健法により1歳6ヶ月検診と3歳児検診が市町村によって行われる母子保健サービスである。
3.× 一時預かり事業より優先度が高いものが他にある。なぜなら、本症例は妊娠34週であるため。ゆくゆく必要になる説明ではあるものの、相談内容と合致しないため優先度は低い。ちなみに、一時預かり事業とは、家庭において保育を受けることが一時的に困難となった乳幼児を認定こども園・幼稚園・保育所等で一時的に預かる事業である。
4.〇 正しい。産後ケア事業が、Aさんに説明する母子保健サービスで優先される。なぜなら、本症例は、産後夫婦2人での育児に不安を感じているため。ちなみに、産後ケア事業とは、母子ショートステイやデイケア、助産師による家庭訪問により、育児相談や授乳相談などを受けることができる事業である。
5.× 入院助産より優先度が高いものが他にある。なぜなら、本症例からの不安は「出産費用」ではなく育児不安であるため。入院助産とは、児童福祉法により本人からの申請があった場合に出産にかかる費用を公費で負担する制度である。つまり、経済的な理由で入院することが困難な妊産婦を支援する制度である。
産後ケア事業とは、分娩施設退院後から一定の期間、病院・診療所・助産所・対象者の居宅などにおいて、助産師などの看護職が中心となり、母親の身体的回復と心理的な安定を促進するとともに、母親自身がセルフケア能力を育み、母子とその家族が健やかな育児ができるよう支援することを目的としている。市町村が実施主体である。
(※参考:「産後ケア事業ガイドライン 」厚生労働省HPより)
次の文を読み54、55の問いに答えよ。
Aさん(39歳、初産婦)。身長154cm、体重60kg(非妊時50kg)。体外受精で妊娠し、妊娠経過は順調であった。妊娠40週3日、規則的な子宮収縮がありパートナーと一緒に午前11時に来院した。入院時の所見は、体温37.0℃、脈拍84/分、血圧110/74 mmHg。頭位、第2胎向、児の推定体重2,760gであった。内診所見は子宮口開大2cm、展退度60%、Station-1であった。Aさんの入院後の陣痛間欠時間と陣痛持続時間は表のとおりである。
54 分娩開始と考えられる時刻はどれか。
1.午前11時
2.午後1時
3.午後3時
4.午後5時
5.午後7時
解答4
解説
・Aさん(39歳、初産婦)
・身長154cm、体重60kg(非妊時50kg)
・体外受精、妊娠経過:順調。
・妊娠40週3日:規則的な子宮収縮がありパートナーと一緒に午前11時に来院した。
・入院時の所見:体温37.0℃、脈拍84/分、血圧110/74mmHg。
・頭位、第2胎向、児の推定体重2,760gであった。
・内診所見:子宮口開大2cm、展退度60%、Station-1。
→分娩開始の定義は、陣痛周期:子宮の収縮が、規則的に1時間に6回以上(間隔が10分以内)になったときである。陣痛周期とは、陣痛発作と陣痛間欠を合わせた時間である。
1〜3.× 午前11時/午後1時/午後3時は、分娩開始時期として時期尚早である。なぜなら、陣痛周期が10分以上であるため。陣痛周期とは、陣痛発作と陣痛間欠を合わせた時間である。分娩開始の定義は、陣痛周期:子宮の収縮が、規則的に1時間に6回以上(間隔が10分以内)になったときである。
4.〇 正しい。午後5時が分娩開始と考えられる時刻である。なぜなら、午後5時の陣痛周期は8分40秒(陣痛間欠時間8分+陣痛持続時間40秒)で、10分以内であるため。
5.× 午後7時は、すでに分娩開始されている。なぜなら、午後7時よりも前に午後5時から陣痛間欠時間は10分以内となっているため。
次の文を読み54、55の問いに答えよ。
Aさん(39 歳、初産婦)。身長154 cm、体重60 kg(非妊時50 kg)。体外受精で妊娠し、妊娠経過は順調であった。妊娠40週3日、規則的な子宮収縮がありパートナーと一緒に午前11 時に来院した。入院時の所見は、体温37.0 ℃、脈拍84/分、血圧110/74 mmHg。頭位、第2胎向、児の推定体重2,760 gであった。内診所見は子宮口開大2cm、展退度60 %、Station -1 であった。Aさんの入院後の陣痛間欠時間と陣痛持続時間は表のとおりである。
55 陣痛発来から11時間経過した。体温37.3℃、脈拍88/分、血圧118/76mmHg。陣痛間欠時間3分、陣痛持続時間50秒。胎児心拍数基線140bpm、胎児心拍数基線細変動中等度、胎動時に心拍が20bpm増加し30秒後基線に戻る波形があり、徐脈はない。内診所見は子宮口開大5cm、展退度80%、Station±0、恥骨後面1/2触知可、小泉門は11時方向に触れる。Aさんは「入院してから随分時間が経ちますが、まだお産にならないですか。赤ちゃんは大丈夫ですか」と不安気な表情で話す。
このときの助産診断で正しいのはどれか。
1.遷延分娩である。
2.第一胎向である。
3.reassuring fetal status である。
4.児頭の最大周囲径は骨盤濶部である。
解答3
解説
・陣痛発来:11時間経過。
・体温37.3℃、脈拍88/分、血圧118/76mmHg。陣痛間欠時間3分、陣痛持続時間50秒。
・胎児心拍数基線140bpm、胎児心拍数基線細変動中等度、胎動時に心拍が20bpm増加し30秒後基線に戻る波形があり、徐脈はない。
・内診所見:子宮口開大5cm、展退度80%、Station±0、恥骨後面1/2触知可、小泉門は11時方向に触れる。
・Aさん「入院してから随分時間が経ちますが、まだお産にならないですか。赤ちゃんは大丈夫ですか」と不安気な表情で話す。
→本症例の検査結果は、どれも正常範囲内である。異常値が分かるようにそれぞれ定義から勉強しておく。
1.× 遷延分娩「ではない」。なぜなら、本症例は陣痛発来から11時間であるため。遷延分娩とは、有効な陣痛があるが子宮頸管の開大や胎児の下降が異常に緩徐な場合である。定義として、初産婦では30時間、経産婦では15時間を経過しても児娩出に至らない場合である。なお、初産婦の分娩開始から子宮口が全開大するまでの分娩第一期のみの所要時間は10〜12時間であり、全体の分娩所要時間は12〜15時間である。
2.× 第一胎向「ではない」。第一胎向は児背が母体の左側である。入院時は児背が母体の右側である第二胎向であり、現在も小泉門は11時方向に触れており第二胎向である。なお、胎児の頭が下にあるものの、母体の腹側を向いた状態を後方後頭位(サニーサイドアップ)といい、吸引分娩や鉗子分娩、帝王切開が必要になることがある。
3.〇 正しい。reassuring fetal status(RFS)である。reassuring fetal status(RFS)とは、健常な胎児の状態を呼び、安心できない胎児の状態をnon-reassuring fetal status(NRFS)と呼ぶ。本症例は、設問から胎児心拍数基線は問題なく徐脈も見られておらず、児の健康状態は良好であると判断できる。
4.△ 児頭の最大周囲径は、骨盤濶部である。この選択肢も正しいという意見が多いが、厚生労働省の正解は選択肢3.reassuring fetal status(RFS)となっている。分かる方いらしたらコメント欄にて教えて下さい。ドゥリーのステーション法に基づき、左右の坐骨棘間を結んだ線上をStation±0として、それより上方に1cmきざみで−1、−2、−3…、下方に1cmきざみで+1、+2、+3…と表現する。つまり、Station±0は、坐骨棘間を結ぶ位置にあり、ホッジの第3平行平面に一致し、児頭の最大周囲径は骨盤濶部である。しかし、必ずしも「児頭の最大周囲径は骨盤濶部である」と断言することはできず、内診所見でStation±0で恥骨後面1/2触知可能であるため、児頭の最大通過面が骨盤入口を越えて「小骨盤腔内に嵌入した状態である」という意見もある。
(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」)