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※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。
※問題引用:第104回保健師国家試験、第101回助産師国家試験、第107回看護師国家試験の問題および正答について
1 世界保健機関(WHO)が定義する健康について正しいのはどれか。
1.単に病気や虚弱のない状態である。
2.国家に頼らず個人の努力で獲得するものである。
3.肉体的、精神的及び社会的に満たされた状態である。
4.経済的もしくは社会的な条件で差別が生じるものである。
解答3
解説
WHO憲章では以下のように定義している。「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」また、同憲章にはこんなことも謳われている。「到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである。」「全ての人民の健康は、平和と安全を達成する基礎であり、個人と国家の完全な協力に依存する。」「ある国が健康の増進と保護を達成することは、全ての国に対して価値を有する。」つまり、健康が個人にとって、また国家にとっても極めて大切なものであり、その達成に向けて個人と国家が協力していくことが必要ということである。これが既に半世紀以上前に作成されており、今でもなお憲章としての意味を持ち続けているのである。
(引用:「健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年~」厚生労働省HPより)
2.4.× 国家に頼らず個人の努力で獲得するものである/経済的もしくは社会的な条件で差別が生じるものであることは、健康の定義とはいえない。WHO憲章では、「到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである」とされている。
3.〇 正しい。「肉体的、精神的及び社会的に満たされた状態である」ことが健康の定義である。「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」と定義されている。したがって、選択肢1.単に病気や虚弱のない状態であることは否定できる。
世界保健機関とは、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国連の専門機関である。
設置年:昭和23(1948)年
本部:ジュネーブ(スイス)
協力形態:多国間交流
事業内容:発展途上国への国際保健協力、感染症およびその他の疾病(エイズ・結核・マラリア等)の撲滅事業、国際疾病分類(ICD)の作成
備考:①WHOの構成組織である地域的機関は、6つ(アフリカ、アメリカ、東南アジア、ヨーロッパ、東地中海、西太平洋)あり、日本は西太平洋に所属している。②194か国加盟 (2018年4月時点)、③たばこ規制枠組み条約:たばこの消費等が健康に及ぼす悪影響から現在および将来の世代を保護することを目的とし、たばこに関する広告、包装上の表示等の規制及びたばこの規制に関する国際協力について規定。
(※参考:「日本とWHO」厚生労働省HPより)
2 健康日本21(第二次)で平成34年度(2022年度)の目標として示されている1日当たりの食塩摂取量はどれか。
1. 5g
2. 8g
3.11g
4.14g
解答2
解説
日本における健康対策の現状や第三次国民健康づくり対策(健康日本21)の最終評価で提起された課題などを踏まえ、第四次国民健康づくり対策として、21世紀における第二次国民健康づくり運動「健康日本21(第二次)」が平成24年6月に策定された。健康日本21(第二次)の期間は、平成25年度から平成34年度までであり、①健康寿命の延伸と②健康格差の縮小などが盛り込まれた。健康日本21(第二次)では、生活習慣病の予防やこころの健康など5つの分野にわたり、53項目の数値目標を設定している。健康日本21(第二次)の目標項目として、①「健康寿命の延伸と健康格差の縮小の実現」、②「生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底」、③「社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上」、④「健康を支え、守るための社会環境の整備」、⑤「生活習慣および社会環境の改善」があげられている。
(※参考:「健康日本21(第二次)」厚生労働省HPより)
(※参考:「健康日本21(第二次)各目標項目の進捗状況について」厚生労働省HPより)
1.× 5gは、世界保健機関(WHO)の目標である。
2.〇 正しい。8gは、健康日本21(第二次)で平成34年度(2022年度)の目標として示されている1日当たりの食塩摂取量である。ちなみにほかの目標として、野菜の摂取量は平均値350gをあげている。
3.× 11gは、日本人男性の現状に相当する。平成27年国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、男性11.0g、女性9.2gであった。
4.× 14gは、日本人の1970年代前半の食塩摂取量に相当する。
3 大気汚染物質の二酸化硫黄(SO2)について正しいのはどれか。
1.発がん性がある。
2.じん肺を引き起こす。
3.酸性雨の原因物質である。
4.不完全燃焼によって発生する。
解答3
解説
①二酸化硫黄は、ガス状大気汚染物質に含まれ、主要大気汚染物質のひとつである。窒素酸化物とともに酸性雨の原因物質として知られる。 二酸化硫黄による汚染大気は呼吸器を刺激し、せき、ぜんそく、気管支炎などの障害を引き起こす。 代表的な例として、1961年頃より発生した四日市ぜんそくがあげられる。
1.× 発がん性はない。発がん性がある大気汚染物質として、ベンゼン、トリクロロエチレン、塩化ビニルモノマー、ホルムアルデヒド、ベンゾピレンなどがある。二酸化硫黄(SO2)は、刺激性があり、せき、ぜんそく、気管支炎などの障害を引き起こす。
2.× じん肺は引き起こさない。じん肺とは、主に小さな土ホコリや金属の粉などの無機物または鉱物性の粉塵の発生する環境で仕事をしている人が、その粉塵を長い年月にわたって多量に吸い込むことで肺組織が線維化してしまった状態である。肺線維症のひとつで、微細な無機粉じんに分類される鉱物由来の粒子(ケイ酸、アスベスト)などを長期にわたり吸入したことで肺胞に沈着し、肺が線維化して呼吸困難が生じる。
3.〇 正しい。酸性雨の原因物質である。二酸化硫黄(SO2)は、窒素酸化物とともに酸性雨の原因物質として知られる。代表的な例として、1961年頃より発生した四日市ぜんそくがあげられる。
4.× 不完全燃焼によって発生するのは、「二酸化硫黄」ではなく一酸化炭素(CO)である。一酸化炭素の特徴として、常温、常圧で無色、無臭、可燃性のある気体で、酸素よりヘモグロビンと結合しやすいため、酸素が血液中に取り込めなくなり低酸素血症となる。つまり、自殺をする際に用いられる。ちなみに、木炭や石炭、ガスなどの不完全燃焼によって発生する。二酸化硫黄は、常温では刺激臭を有する気体であり、化石燃料の燃焼などで大量に排出される硫黄酸化物の一種である。
【大気汚染の定義】大気中に排出された物質が自然の物理的な拡散・沈着機能や化学的な除去機能、及び生物的な浄化機能を上回って大気中に存在し、その量が自然の状態より増加し、これらが人を含む生態系や物などに直接的、間接的に影響を及ぼすこと。自然一般にある空気組成を変化させる物質は総て広い意味での大気汚染物質である。
【発生源と種類】発生源は①自然起源と②人為起源に分けられる。①自然起源:火山排出物、森林火災、花粉の飛散、砂座・黄砂などの風による地面からの巻き上げ、海塩粒子などの風による海面からの巻き上げ、成層圏から対流闘に沈降するオゾンなどが上げられる。②人為起源:工場や火力発電所、自動車などの化石燃料の燃焼による排出物、生産活動により生成するガスや粒子状物質、廃楽物の処理に伴う粒子状物質や化学物質などが上げられる。
【一次汚染物質】発生源から直接発生する(一酸化炭素、二酸化硫黄、炭化水素、粉塵など)。
【二次汚染物質】環境大気中において化学変化により生成する(二酸化窒素、光化学オゾン、エアロゾルなど)
【ガス状大気汚染物質】①二酸化硫黄、②二酸化窒素、③浮遊粒子状物質、④一酸化炭素、(その他:一酸化窒素、ガス状硝酸、PAN、ガス状フッ素、塩化水素、アンモニア、メチルメルカブタン、硫化水素、硫化メチル、トリメチルアミン、二硫化メチル、アルデヒド、スチレンなど)
(※参考:「大気汚染の定義と汚染物質」環境省HPより)
4 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章が策定された年はどれか。(※不適切問題:採点除外)
1.1947年
2.1967年
3.1987年
4.2007年
解答4(※採点除外)
理由:問題として適切であるが,必修問題としては妥当でないため。
解説
平成19年(2007年)に内閣府が定めた「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」によると、ワーク・ライフ・バランスが実現した社会とは、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」と定められている。
したがって、選択肢4. 2007年が仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章が策定された年である。
5 倫理原則の「正義」はどれか。(※不適切問題:採点除外)
1.約束を守る。
2.害を回避する。
3.自己決定を尊重する。
4.公平な資源の配分を行う。
解答4(※採点除外)
理由:問題として適切であるが,必修問題としては妥当でないため。
解説
医療倫理の四原則は、トム・L・ビーチャムとジェイムズ・F・チルドレスが『生命医学倫理の諸原則』で提唱したもので、医療従事者が倫理的な問題に直面した時に、どのように解決すべきかを判断する指針となっています。
・自律性の尊重(respect for autonomy)
・無危害(non-maleficence)
・善行(beneficence)
・公正(justice)
(引用:「医療倫理」厚生労働省HPより)
1.× 約束を守ることは、「誠実・忠誠の原則」である。倫理学者であるフライ(Fry,S.T.)らは、この4つの原則に看護実践における「誠実・忠誠の原則」を追加した。正義原則とは、「社会的な利益と負担は正義の要求(各人にその正当な持ち分を与えようとする不変かつ不断の意思)と一致するように配分されなければならない」とした。「誠実の原則」は患者に対して正直であること、「忠誠の原則」は患者と看護師間に存在する義務に誠実であることを意味する。
2.× 害を回避することは、「無危害原則」である。「無危害原則」とは、患者に身体的損傷を与えないこと、さらには患者に身体的・精神的・社会的な危害が生じないようにすることである。
3.× 自己決定を尊重することは、「自律尊重原則」である。「自律尊重原則」とは、患者が自己決定できるよう必要な情報を提供するとともに、患者が決定した内容を尊重し、それに従うことである。
4.〇 正しい。公平な資源の配分を行うことは、「正義原則」である。「正義原則」とは、全ての患者に対し、患者ニーズに応じて、適正かつ公平なヘルスケア資源の配分を行うことである。