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次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aちゃん(8歳、女児)は、両親と妹(3歳)の4人家族である。2歳時に気管支喘息と診断された。5歳までは喘息発作のため救急外来を受診することも多く、年に1回は入院していた。6歳から発作を起こすこともなくなり、定期受診はしなくなっていた。アレルゲンは、ダニとハウスダストである。
101 救急外来で気管支拡張薬の吸入が行われたが、吸入後も呼吸数32/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)94%であったため入院することになった。入院後、鼻カニューレによる酸素投与と点滴静脈内注射が開始され、1日3回のステロイド薬の静脈内注射と1日4回の気管支拡張薬の吸入が開始された。翌日、酸素投与は中止された。バイタルサインは、体温36.8 ℃、呼吸数22/分、心拍数94/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)97%。聴診で喘鳴が聴取された。Aちゃんは「楽になった」と話し、笑顔が見られるようになった。
この時のAちゃんへの看護で適切なのはどれか。
1.排痰を促す。
2.胸式呼吸を促す。
3.水分摂取を控える。
4.ベッド上安静とする。
解答1
解説
・Aちゃん(8歳、女児、気管支喘息)
・入院後:鼻カニューレによる酸素投与と点滴静脈内注射が開始。
・1日3回のステロイド薬の静脈内注射、1日4回の気管支拡張薬の吸入が開始。
・翌日:酸素投与は中止。
・体温36.8℃、呼吸数22/分、心拍数94/分、SpO2:97%。
・聴診:喘鳴が聴取された。
・Aちゃん「楽になった」と、笑顔が見られる。
→気管支喘息の症状は、喘鳴、呼吸困難、呼気延長など(1秒率の低下)がみられる。アレルギー反応やウイルス感染が誘引となる。治療として、気道の炎症を抑えて、発作が起きない状態にする。発作を繰り返すと、気道の粘膜が徐々に厚くなり、狭くなった気道が元に戻らなくなるため治療が難しくなる。そのため、日頃から気道の炎症を抑える治療を行い、喘息をコントロールすることが重要である。
1.〇 正しい。排痰を促す。なぜなら、本症例はまだ喘鳴が聴取されるため。喘鳴とは、狭くなった気管や気管支を無理に通る空気でのどが笛のように鳴っている状態で、「ゼーゼー・ヒューヒュー」という異常な呼吸音が連続的に発生する。気管支喘息の発作や異物誤飲などによって起こる。気管支喘息で喘鳴が起こると、痰の分泌が盛んになって気道を塞ぎ、呼吸困難となる。
2.× 「胸式呼吸」ではなく、腹式呼吸を促す。なぜなら、腹式呼吸は、より少ないエネルギーで効率的な呼吸ができるため。胸式呼吸では、ぜん息発作時には空気中の酸素を吸ったり、肺の中の二酸化炭素をはき出すことが十分にできなくなる。一方、腹式呼吸は無駄なエネルギーを使わない効率的かつ効果的な横隔膜を使う呼吸法で、発作時に行う最も適した呼吸法である。ちなみに、胸式呼吸とは、肋間筋の働きで胸郭を広げることによって行う呼吸運動である。
3.× 水分摂取を「控える」のではなく促す。なぜなら、気管支喘息の発作時、呼吸がはやくなり体から水分がどんどん出て行くため、脱水のリスクが上昇するため。また、脱水が進むと、気道分泌物がさらに濃く粘稠性(粘りけがあること)が高まり、呼吸がしにくくなる。
4.× ベッド上安静とする必要はない。なぜなら、体動により気道分泌物が排痰しやすくなるため。また、臥位より起座位のほうが呼吸を楽に行える。これは、起座位のほうが、横隔膜が重力に従って下がり、肺が拡張しやすくなるためである。
次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aちゃん(8歳、女児)は、両親と妹(3歳)の4人家族である。2歳時に気管支喘息と診断された。5歳までは喘息発作のため救急外来を受診することも多く、年に1回は入院していた。6歳から発作を起こすこともなくなり、定期受診はしなくなっていた。アレルゲンは、ダニとハウスダストである。
102 気管支喘息による発作は軽快して点滴静脈内注射が中止された。咳嗽が軽度あるが全身状態は良好であるため、退院が決定した。Aちゃんに学校での生活状況を確認すると「最近、喘息発作はなかったけど、体育の時は咳が出たり苦しくなったりすることが時々あった」と話した。そのため、Aちゃんと母親に、退院後も抗アレルギー薬の内服と副腎皮質ステロイド薬の吸入を続けるように医師から説明された。
看護師のAちゃんに対する退院後の指導で適切なのはどれか。
1.「咳が出なくても体育の授業は見学しましょう」
2.「学校で咳が続くときは先生に伝えましょう」
3.「咳が出なくなったら薬はやめましょう」
4.「部屋の空気の入れ替えはやめましょう」
解答2
解説
・軽快し点滴静脈内注射が中止。
・咳嗽:軽度、全身状態:良好、退院決定。
・学校「最近、喘息発作はなかったけど、体育の時は咳が出たり苦しくなったりすることが時々あった」と。
・医師「退院後も抗アレルギー薬の内服と副腎皮質ステロイド薬の吸入を続けるように」
1.× 咳が出ないときは、体育の授業を参加する。なぜなら、学校生活の体育は、友達との交流や運動だけではなく、ホルモンバランスを整えたり、ストレス発散される良い機会となる。つまり、子どもの成長・発達にとって欠かせないものである。うまく発作予防薬を使いながら、発作が誘発される場合には早めに休ませ、予防させることが重要である。
2.〇 正しい。「学校で咳が続くときは先生に伝えましょう」と指導する。なぜなら、学校での学習の機会を減らさないようにするためには、保護者や学校関係者との連携が重要であるため。また、学校の教員から同級生に対して、あらかじめ喘息児であることを紹介してもらい、同級生から誤解されないように説明しておくことが必要である。
3.× 咳が出なくなっても薬は継続する。気管支喘息の治療薬は、発作治療薬と長期管理薬に分けられる。退院後も内服・吸入を続けるよう説明された抗アレルギー薬と副腎皮質ステロイド薬は長期管理薬であり、症状消失後も継続する必要がある。
4.× 部屋の空気の入れ替えは、「控える」のではなく、こまめに行うよう指導する。なぜなら、Aさんのアレルゲンは、ダニとハウスダストであるため。ハウスダストとは、ホコリの中でも特に1mm以下の肉眼では見えにくいもののことである。ハウスダストの約3割は、家の外から持ち込まれる土や砂ぼこり、昆虫の死骸やフン、花粉、排気ガスの粒子などである。残りの約7割は家の中で発生する。多いのは、衣類や布団から出る繊維のクズ、食べこぼし、毛髪などである。部屋の空気がこもっているとダニにとって快適な環境となってしまうため、こまめに換気をして風通しのよい空間になるように心がける必要がある。
次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
Aちゃん(生後10か月)は、それまで機嫌よく過ごしていたが、夕方から突然不機嫌になり、15〜20分ごとに激しく泣いては、泣き止むことを繰り返した。Aちゃんは夕食の離乳食を食べず哺乳もしなかったが、嘔吐したため21時に保護者と救急病院を受診した。担当医師は保護者に、腸重積症が疑われるためグリセリン浣腸を行って便性を確認する、と説明した。体温は37.1 ℃であった。
103 浣腸後に想定される反応便はどれか。
1.兎糞便
2.タール便
3.灰白色便
4.米のとぎ汁様便
5.イチゴゼリー様便
解答5
解説
・Aちゃん(生後10か月)
・夕方:突然不機嫌、15〜20分ごとに激しく泣いては、泣き止むことを繰り返した。
・夕食の離乳食を食べず。
・哺乳もしなかったが、嘔吐したため21時受診。
・腸重積症が疑われ、グリセリン浣腸を行って便性を確認する。
・体温:37.1℃。
→腸重積症とは、0~2歳の乳幼児に発症する(腸が未熟なため起こる)ことが多いが、成人で起こる(腫瘍によるものが多い)こともある。 腸管の一部が後ろの腸管に引き込まれ、重なってしまう状態のこと。腸管の一部が隣接した腸管に入り込んでいる症状をイレウス症状と呼ぶ。しばしば、絞扼性イレウスに至る。初期には、狭窄により腸雑音はしばしば亢進するが、絞扼性イレウスにより壊死を来すと腸雑音は弱くなる。(※読み:ちょうじゅうせきしょう)
1.× 兎糞便とは、痙攣性便秘の時にみられるものである。便秘症で、ウサギやヤギやヒツジのようなコロコロした便のことを指す。原因として、便が大腸内に滞在している時間が長く、しかも腸に潤いがないために便が乾燥してしまって起こる。つまり、最も水分が吸収されきった便であり、便秘症を示唆する便性である。(※読み:とふべん)
2.× タール便とは、胃潰瘍など上部消化管出血のときに排出される血便の一種である。一般的に食道、胃、十二指腸からの出血は、ヘモグロビンの鉄が胃酸で酸化されるため起こる。
3.× 灰白色便は、胆道閉鎖症でみられる便である。胆道閉鎖症とは、胆汁の通り道である胆管が生後間もなく完全に詰まってしまい、胆汁を腸管内へ排泄できない疾患である。症状は生後数か月以内の黄疸、灰白色便、肝腫大、ビタミンK不足による出血傾向などがある。治療には手術療法により詰まった胆管の一部を切除、もしくは肝移植が必要になることもある。
4.× 米のとぎ汁様便とは、ロタウイルスが原因の冬季下痢症が原因となり、白い水の様な下痢(米のとぎ汁様)が出る。熱が出ることもあり脱水状態になりやすく、まれにけいれんを起こすことがある。感染の多くは汚れた手(排泄物を扱った後)の不十分な手洗いや、汚染した環境を介してウイルスが体に入ると考えられる。
5.〇 正しい。イチゴゼリー様便とは、腸重積症やアメーバ赤痢でみられる血が混ざったねっとりした便のことである。腸管アメーバ症 下痢、粘血便、しぶり腹、鼓腸、排便時の下腹部痛、不快感などの症状を伴う慢性腸管感染症、腸重積症で排出される便の一種である。一般的に、数日から数週間の間隔で増悪と寛解を繰り返すことが多い。
次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
Aちゃん(生後10か月)は、それまで機嫌よく過ごしていたが、夕方から突然不機嫌になり、15〜20分ごとに激しく泣いては、泣き止むことを繰り返した。Aちゃんは夕食の離乳食を食べず哺乳もしなかったが、嘔吐したため21時に保護者と救急病院を受診した。担当医師は保護者に、腸重積症が疑われるためグリセリン浣腸を行って便性を確認する、と説明した。体温は37.1 ℃であった。
104 Aちゃんへの腹部超音波検査の結果、腸重積症の診断が確定し、静脈内注射による鎮静下で高圧浣腸が行われることになった。
看護師が一連の処置の準備をするにあたり、最も重要な物品はどれか。
1.潤滑ゼリー
2.替えのおむつ
3.ガーグルベースン
4.経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)モニター
解答4
解説
・腹部超音波検査:腸重積症の確定診断。
・静脈内注射による鎮静下で高圧浣腸が行われる。
→高圧浣腸とは、S状結腸またはそれよりも奥の便の排泄を目的に行われる。大量の薬液を使用する(本症例の場合は鎮静化である)ため、注入速度や患者さんの変化に気を付ける。
1.× 潤滑ゼリーは、看護師が一連の処置に必要な物品とはいえない。なぜなら、潤滑ゼリーは、高圧浣腸のカテーテルを肛門に挿入するときだけ必要であるため。
2.× 替えのおむつは、看護師が一連の処置に必要な物品とはいえない。なぜなら、替えのおむつは、処置が終わり最後だけ変える必要があるため。
3.× ガーグルベースンは、看護師が一連の処置に必要な物品とはいえない。なぜなら、Aさんは鎮静化で行われ、仮に処置中に嘔吐の恐れがあっても、あえてガーグルベースンを使用せずとも他の物でも代用もできるため。ちなみに、ガーグルベースンとは、うがい受けのことで、ベッド上などでうがいした水や嘔吐物を受けるのに使うことができるカーブした洗面器のようなものである。
4.〇 正しい。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)モニターは、看護師が一連の処置の準備をするにあたり最も重要な物品である。なぜなら、静脈内注射による鎮静をかけ、呼吸状態の変化に注意が必要であるため。高圧浣腸とは、S状結腸またはそれよりも奥の便の排泄を目的に行われる。大量の薬液を使用する(本症例の場合は鎮静化である)ため、注入速度や患者さんの変化に気を付ける。
次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
Aちゃん(生後10か月)は、それまで機嫌よく過ごしていたが、夕方から突然不機嫌になり、15〜20分ごとに激しく泣いては、泣き止むことを繰り返した。Aちゃんは夕食の離乳食を食べず哺乳もしなかったが、嘔吐したため21時に保護者と救急病院を受診した。担当医師は保護者に、腸重積症が疑われるためグリセリン浣腸を行って便性を確認する、と説明した。体温は37.1 ℃であった。
105 Aちゃんは、高圧浣腸により重積が整復され、経過観察のため入院した。翌朝、経口摂取が可能となり、状態も落ちついているため退院が決定した。保護者から「退院後に何か注意することはありますか」と看護師に質問があった。
保護者への説明で適切なのはどれか。
1.「月1回の受診をしてください」
2.「3日間は入浴を控えてください」
3.「1週間は離乳食を1日1回にしてください」
4.「同じような症状が出たら受診してください」
解答4
解説
・高圧浣腸:重積が整復、経過観察のため入院。
・翌朝:経口摂取可能、状態も落ちつき退院決定。
・保護者「退院後に何か注意することはありますか」。
→本症例は、腸重積の整復後も経過良好で退院予定となっている。クリティカルパス通りであるため、日常生活に支障なく生活できる。ただし、多くの場合、腸重積症の原因は、リンパ濾胞が腫れて起こるため、高圧浣腸で戻した後も、再発率15%で繰り返し発症することがある。ちなみに、外科的手術で戻した後も、再発率5%程度確認されている。再発時の症状は初発時と似ているため、疑わしい場合は受診をするように指導する必要がある。
(※図引用:「腸重積症のクリティカルパス」佐世保市総合医療センター様HPより)
1~3.× 「月1回の受診をしてください」「3日間は入浴を控えてください」「1週間は離乳食を1日1回にしてください」と保護者に説明する必要はない。なぜなら、日常生活に支障なく生活できるため。
4.〇 正しい。「同じような症状が出たら受診してください」と保護者に説明する。本症例は、腸重積の整復後も経過良好で退院予定となっている。クリティカルパス通りであるため、日常生活に支障なく生活できる。ただし、多くの場合、腸重積症の原因は、リンパ濾胞が腫れて起こるため、高圧浣腸で戻した後も、再発率15%で繰り返し発症することがある。ちなみに、外科的手術で戻した後も、再発率5%程度確認されている。再発時の症状は初発時と似ているため、疑わしい場合は受診をするように指導する必要がある。