第99回(H28) 助産師国家試験 解説【午後46~50】

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次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、初妊婦、専業主婦)。既往歴に特記すべきことはない。身長156cm、非妊時体重52kg。妊娠7週2日、経腟超音波検査で胎児の心拍動が確認できた。1週前から起床時の胃部不快感があり、食欲が減退している。嘔吐は1日1回程度。

46 2週後、夫から外来に電話があり「しばらく食事の工夫をして様子をみていたがどんどん吐き気がひどくなり、現在、1日4、5回吐いている。食欲はほとんどなく、スポーツドリンクしかのどを通らないようだ。ずっとベッドに寝ている」と言う。妊娠9週3日、Aさんは夫に付き添われて受診した。下腹部痛や性器出血はない。顔色が悪くタオルを口元にあて、夫に支えられるようにして椅子に座っている。
 入院の判断をするために重要な情報はどれか。

1.内診所見
2.吐物の内容
3.尿ケトン体
4.現在のBMI

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(34歳、初妊婦、専業主婦)。
・既往歴に特記すべきことはない。
・夫「しばらく食事の工夫をして様子をみていたがどんどん吐き気がひどくなり、現在、1日4、5回吐いている。食欲はほとんどなく、スポーツドリンクしかのどを通らないようだ。ずっとベッドに寝ている」と言う。
・妊娠9週3日:下腹部痛や性器出血はない
顔色が悪くタオルを口元にあて、夫に支えられるようにして椅子に座っている。
→本症例は、妊娠悪阻が疑われる。妊娠悪阻と診断できるよう検査が必要である。診断基準として、①5%以上の体重減少、②血中・尿中のケトン体の増加が見られる。

→妊娠悪阻とは、妊娠中にみられる極めて強い吐き気や激しい嘔吐のことである。通常の「つわり」がみられる女性とは異なり、妊娠悪阻の女性は体重が減少し、脱水を起こす。妊娠悪阻の重篤な合併症としてビタミンB1の欠乏から発症するウエルニッケ脳症があり、意識障害や小脳性運動失調などが出現し、50%以上で逆行性健忘、記銘力の低下、作話が特徴のコルサコフ症候群という後遺症が残る。 母体死亡に至る症例もあるため、慎重に管理する必要がある。悪心・嘔吐が強く、脱水、3kg以上の体重減少、飢餓によるケトアシドーシスをきたすもの、経口摂取が困難な時、尿ケトン体が陽性の場合は、輸液を行い水分と栄養、ビタミン類を補充する。

1.× 内診所見は優先度は低い。なぜなら、本症例は妊娠悪阻が疑われ、下腹部痛や性器出血はないため。

2.× 吐物の内容は優先度は低い。なぜなら、本症例の夫から「食欲はほとんどなく、スポーツドリンクしかのどを通らない」という情報が得られているため。

3.〇 正しい。尿ケトン体は、入院の判断をするために重要な情報である。なぜなら、妊娠悪阻の診断基準として、①5%以上の体重減少、②血中・尿中のケトン体の増加が見られるため。したがって、飢餓によるケトアシドーシスがみられる。

4.× 現在のBMIは優先度は低い。なぜなら、現在のBMIだけでは妊娠悪阻の程度を評価できないため。体重減少率(5%以上)が妊娠悪阻の診断基準であるため、非妊時体重と現在の体重を比べる必要がある。ちなみに、BMIとは、体重(㎏) ÷ 身長の2乗(m) で計算される体格指数のことである。日本肥満学会の基準では、18.5以下:低体重、25以下:普通、30以下:肥満Ⅰ度、35以下:肥満Ⅱ度、40以下:肥満Ⅲ度、40以上:肥満Ⅳ度である。

マイナートラブルとは?

マイナートラブル(minor trouble)とは、小さな問題という意味で、妊娠に伴って生ずる不快症状を指す。妊娠による生理的変化や心理的な要因によって引き起こされる種々の不快症状で、重篤な器質的疾患を伴わないものをいう。不快感の程度は個人差が大きく、妊娠の経過に伴い自然に軽快・回復したり、新たな症状が自覚されたりすることもある。マイナートラブルは、妊娠によって生ずる体の生理的変動が、また精神的変化が不定愁訴の原因となっている場合が多いが、そのほか、妊娠による心理的葛藤や不安などが自律神経症状やその他の精神的および身体的症状を起こしやすくしている。

 

 

 

 

 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、初妊婦、専業主婦)。既往歴に特記すべきことはない。身長156 cm、非妊時体重52 kg。妊娠7週2日、経腟超音波検査で胎児の心拍動が確認できた。1週前から起床時の胃部不快感があり、食欲が減退している。嘔吐は1日1回程度。

47 入院後10日が経過し、安静および点滴治療によって症状は軽減してきた。訪室した助産師に対しAさんは「たくさん点滴しているので子どもに影響しないのか、とても心配です。インターネットで胎児の異常について検索してしまいます」とスマートフォンを持ちながら訴えた。
 このときのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

1.「今はあなたの治療が最優先ですよ」
2.「両親学級を受講して正しい知識を得ましょう」
3.「インターネットの情報に惑わされてはいけません」
4.「入院中の出産経験者の方に相談されてはどうですか」
5.「主治医から現在の状態について説明してもらいましょう」

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(34歳、初妊婦、専業主婦、妊娠悪阻)。
・既往歴に特記すべきことはない。
・身長156cm、非妊時体重52kg。
・入院後10日:安静および点滴治療によって症状は軽減。
・Aさん「たくさん点滴しているので子どもに影響しないのか、とても心配です。インターネットで胎児の異常について検索してしまいます」とスマートフォンを持ちながら訴えた。
→Aさんの精神的ケアと医学的情報を提供する必要がある。

1.× 「今はあなたの治療が最優先ですよ」と説明する必要はない。なぜなら、Aさんの児に対する心配を軽視していると感じられる可能性があるため。また、その説明では、児に対する不安に対し、直接的な解決へとはつながらない。

2.× 「両親学級を受講して正しい知識を得ましょう」と説明する必要はない。なぜなら、Aさんは入院中であり、両親学級への受講は現実的に困難であるため。また、入院しているため、医学的情報を病院が提示するべきである。ちなみに、両親学級とは、妊婦さんとパートナーが一緒に妊娠・出産・育児について学んだり、赤ちゃんのお世話を体験したりする場で、自治体、病院や産院、民間企業などが主催している。 医師、助産師、看護師、保健師、管理栄養士といった専門家から直接アドバイスを受けることができ、不安なことがあれば相談することもできる。

3.× 「インターネットの情報に惑わされてはいけません」と説明する必要はない。なぜなら、単に「惑わされてはいけない」と言うだけでは、Aさんの不安は解決へとつながるとはいえないため。具体的な点滴と副作用との説明を医学的に行うことが不安の解決へとつながる。

4.× 「入院中の出産経験者の方に相談されてはどうですか」と説明する必要はない。なぜなら、Aさんが抱いている医学的な不安に、入院中の出産経験者は対応できない可能性があるため。また、プライバシーの観点からも不安を助長しかねない。

5.〇 正しい。「主治医から現在の状態について説明してもらいましょう」と対応するのが最も優先度が高い。なぜなら、具体的に医学的かつ正確な情報こそ、Aさんの不安を取り除く直接的な方法であるため。主治医による点滴治療の目的や安全性、胎児への影響について直接説明してもらう。

(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編 2020 P108」)

 

 

 

 

次の文を読み48〜50の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、初産婦)。2年前に人間ドックで高血圧を指摘されていたが、自覚症状はなく、特に医療機関には通院していなかった。妊娠7週0日の初診時、血圧150/90mmHg、尿蛋白(-)であり、食事指導を受けた。その後、血圧は130/80mmHg前後で推移した。妊娠35週3日の妊婦健康診査では、血圧164/100mmHg、尿蛋白3+、尿糖(-)、下腿の浮腫2+であった。同日、血圧管理を目的に入院し、安静によって血圧は142/88mmHgまで低下した。翌日、血圧140/82mmHg、尿蛋白定量2.5g/日であった。

48 Aさんのアセスメントで正しいのはどれか。

1.妊娠高血圧
2.妊娠高血圧腎症
3.加重型妊娠高血圧腎症
4.HELLP症候群
5.ネフローゼ症候群

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(36歳、初産婦)。
・2年前:高血圧(自覚症状・通院なし)
・妊娠7週0日の初診:血圧150/90mmHg、尿蛋白(-)、食事指導。
・その後:血圧130/80mmHg前後で推移。
妊娠35週3日:血圧164/100mmHg、尿蛋白3+、尿糖(-)、下腿の浮腫2+。
・同日、血圧管理を目的に入院し、血圧は142/88mmHgまで低下。
・翌日、血圧140/82mmHg、尿蛋白定量2.5g/日
→ほかの選択肢の消去できる理由をあげられるようにしよう。

(※図引用:「妊娠高血圧腎症の診断」著:神田昌子より)

1.× 妊娠高血圧は考えにくい。なぜなら、本症例は、2年前から高血圧を指摘され、妊娠7週0日の初診は血圧150/90mmHgであるため。ちなみに、妊娠高血圧とは、妊娠20週以降に高血圧が出現し、分娩後12週までに正常化する場合である。ただし、妊娠高血圧腎症に当てはまらないものをいう。

2.× 妊娠高血圧腎症は考えにくい。なぜなら、なぜなら、本症例は、2年前から高血圧を指摘され、妊娠7週0日の初診は血圧150/90mmHgであるため。ちなみに、妊娠高血圧腎症とは、妊娠20週以降に高血圧と蛋白尿が出現し、分娩後12週までに正常化する場合である。

3.〇 正しい。加重型妊娠高血圧腎症が最も考えられる。なぜなら、本症例は2年前から高血圧を指摘され、妊娠35週3日に尿蛋白3+がみられるため。
【加重型妊娠高血圧腎症の定義】
①高血圧が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し、妊娠20週以降に蛋白尿、もしくは基礎疾患のない肝腎機能障害、脳卒中、神経障害、血液凝固障害のいずれかを伴う場合。
②高血圧と蛋白尿が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し、妊娠20週以降にいずれかまたは両症状が増悪する場合。
③蛋白尿のみを呈する腎疾患が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し、妊娠20週以降に高血圧が発症する場合。
④高血圧が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し、妊娠20週以降に子宮胎盤機能不全を伴う場合。

4.× HELLP症候群は考えにくい。なぜなら、特に設問文においてHELLP症候群と判断できる記載がないため。ちなみに、HELLP症候群とは、妊娠中あるいは産褥期に溶血(hemolysis)、肝酵素上昇(elevated liver enzymes)、血小板減少(low platelet)を呈し、多臓器障害をきたして母体生命を脅かす重篤な妊産婦救急疾患である。主な症状は上腹部(心窩部あるいは右季肋部)痛であり、嘔気や嘔吐、強い倦怠感を伴うこともある。今回妊娠時に高血圧を発症した妊娠高血圧症候群であり、妊娠高血圧症候群は重症になると血圧上昇、蛋白尿に加えてけいれん発作(子癇)、脳出血、肝臓や腎臓の機能障害、HELLP症候群などを引き起こすことがある。直ちに行う検査としては、HELLP症候群の3徴候である①溶血、②肝酵素上昇、③血小板減少を血液検査所見で確認する。

5.× ネフローゼ症候群は考えにくい。なぜなら、本症例の尿蛋白定量は2.5g/日であるため。成人ネフローゼ症候群の診断基準は、尿蛋白が1日あたり3.5g以上(随時尿において尿蛋白/尿クレアチニン比が3.5g/gCr以上の場合もこれに準ずる)が継続し、血清アルブミン値が3.0g/dL以下に低下することである。ちなみに、ネフローゼ症候群とは、尿から大量の蛋白が漏れ出すことで血液中の蛋白が減少、血液の浸透圧が低下し水分が血管内から血管外へ移動することで、全身の浮腫や腹水・胸水などを引き起こすものである。小児の治療として、ステロイド治療により改善することが多い。ネフローゼ症候群に対する食事に関しては、蛋白尿が陽性の間は減塩食にする。一般的に水分の制限は必要ないとされており、その理由は水分制限による脱水や血栓症の危険性が増加するためである。

 

 

 

 

 

次の文を読み48〜50の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、初産婦)。2年前に人間ドックで高血圧を指摘されていたが、自覚症状はなく、特に医療機関には通院していなかった。妊娠7週0日の初診時、血圧150/90 mmHg、尿蛋白(-)であり、食事指導を受けた。その後、血圧は130/80mmHg前後で推移した。妊娠35 週3日の妊婦健康診査では、血圧164/100 mmHg、尿蛋白3+、尿糖(-)、下腿の浮腫2+であった。同日、血圧管理を目的に入院し、安静によって血圧は142/88 mmHgまで低下した。翌日、血圧140/82 mmHg、尿蛋白定量2.5 g/日であった。

49 その後も入院を継続し、血圧は安定していた。妊娠37週0日、Aさんは全身性のけいれん発作を起こし、血圧が190/122mmHgまで上昇した。
 最初に行われる処置はどれか。

1.気道確保
2.起座位への体位変換
3.口腔内へのタオルの挿入
4.膀胱留置カテーテルの挿入

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(36歳、初産婦、加重型妊娠高血圧腎症)。
・その後も入院を継続し、血圧は安定していた。
・妊娠37週0日:全身性のけいれん発作、血圧が190/122mmHgまで上昇。
加重型妊娠高血圧腎症の合併症と対応をおさえておこう。本症例は、けいれんを呈していると考えられる。ちなみに、加重型妊娠高血圧腎症の合併症は、肝腎機能障害、血小板の減少、肺水腫、子癇、視野障害、頭痛などを伴う。

(※引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編 2020 P177」)

1.〇 正しい。気道確保が最も優先度が高い。なぜなら、けいれん発作中や直後は、気道が閉塞する可能性があるため。気道確保は最優先されるべき処置で、生命を守るために必須である。ちなみに、子癇とは、妊娠20週以降に初めて痙攣発作を起こし、痙攣発作の起こった時期により、妊娠子癇・分娩子癇・産褥子癇に分けられる。 子癇発作の発症頻度は、0.04%程度であり、妊娠中が19%、分娩時39%、産褥期42%との報告がある。てんかんや二次痙攣が否定されるものである。子癇の病態の詳細はまだ明らかになっていないが、高血圧に伴う一過性の脳浮腫が原因といわれている。(子癇のよみかた:しかん)

2.× 「起座位」ではなく背臥位(顔は横向き)への体位変換を実施する。なぜなら、背臥位は比較的支持基底面が広く安定しやすいため。また誤嚥や窒息防止のため、顔は横向きの方が望ましい。

3.× 口腔内へのタオルの挿入は優先度が低い。なぜなら、そのままタオルを飲み込んで誤って気道を塞ぐ危険があるため。昔はやむを得ない場合行っていたようだが、現在は開口器やタオルをスプーンに巻き安全に実施することが望ましい。

4.× 膀胱留置カテーテルの挿入は優先度が低い。なぜなら、現在、けいれん発作が実際に起こっている最中であるため。膀胱留置カテーテルの挿入は、状態が落ち着き、時間尿を測定する際に行われる。

 

 

 

 

 

次の文を読み48〜50の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、初産婦)。2年前に人間ドックで高血圧を指摘されていたが、自覚症状はなく、特に医療機関には通院していなかった。妊娠7週0日の初診時、血圧150/90 mmHg、尿蛋白(-)であり、食事指導を受けた。その後、血圧は130/80mmHg前後で推移した。妊娠35 週3日の妊婦健康診査では、血圧164/100 mmHg、尿蛋白3+、尿糖(-)、下腿の浮腫2+であった。同日、血圧管理を目的に入院し、安静によって血圧は142/88 mmHgまで低下した。翌日、血圧140/82 mmHg、尿蛋白定量2.5 g/日であった。

50 3分程度でけいれん発作は消失した。Aさんの意識はもうろうとしており、呼びかけにはうなずくが返答がない。脈拍80/分、血圧145/88 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>96%。NSTを開始したところ胎児心拍数は正常であった。
 このときAさんに必要となる対応で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.血液検査
2.輸血の準備
3.頭部CTの準備
4.分娩誘発の準備
5.気管内挿管の準備

解答1・3

解説

本症例のポイント

・Aさん(36歳、初産婦、加重型妊娠高血圧腎症)。
・3分程度でけいれん発作は消失した。
・意識はもうろうとしており、呼びかけにはうなずくが返答がない
脈拍80/分、血圧145/88 mmHg、SpO2:96%
・NSTを開始したところ胎児心拍数は正常であった。
→経連後の対応の管理をおさえておこう。主にけいれんが消失したら、子癇やその他の疾患(脳卒中など)を念頭に入れて鑑別診断並びに治療を実施する。痙攣発作を管理した後は、①高血圧対策、②肺水腫対策、③誤臙性肺炎対策を計ることが重要である。

→子癇発作の場合、高頻度で、HELLP症候群を呈すことがあげられる。HELLP症候群とは、妊娠中あるいは産褥期に溶血(hemolysis)、肝酵素上昇(elevated liver enzymes)、血小板減少(low platelet)を呈し、多臓器障害をきたして母体生命を脅かす重篤な妊産婦救急疾患である。主な症状は上腹部(心窩部あるいは右季肋部)痛であり、嘔気や嘔吐、強い倦怠感を伴うこともある。今回妊娠時に高血圧を発症した妊娠高血圧症候群であり、妊娠高血圧症候群は重症になると血圧上昇、蛋白尿に加えてけいれん発作(子癇)、脳出血、肝臓や腎臓の機能障害、HELLP症候群などを引き起こすことがある。直ちに行う検査としては、HELLP症候群の3徴候である①溶血、②肝酵素上昇、③血小板減少を血液検査所見で確認する。

(※引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編 2020 P177」)

1.3.〇 正しい。血液検査/頭部CTの準備が優先度が高い検査である。なぜなら、現在のAさんは意識障害を呈しているため。けいれん(子癇)の再発作予防を考慮し、腎機能の評価や脳卒中などを除外するために血液検査をおこなう。ちなみに、加重型妊娠高血圧腎症の合併症は、肝腎機能障害、血小板の減少、肺水腫、子癇、視野障害、頭痛などを伴う。

2.× 輸血の準備より優先されるものが他にある。なぜなら、輸血の必要性を評価する必要があるため。また、主に輸血は出血時に行うが、バイタルサインの結果を見ても、出血の兆候はなく、輸血の必要性は低いと考えられる。

4.× 分娩誘発の準備より優先されるものが他にある。なぜなら、現在のAさんは意識障害を呈しているため。母・児の状態が安定し、医師の判断にて分娩誘発の準備を行う。

5.× 気管内挿管の準備より優先されるものが他にある。なぜなら、現在のAさんは意識障害を呈しているが、呼吸状態(SpO2:96%)は安定しているため。

(※引用:「子癇の管理」著:山本捻彦様)

 

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