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11 胎盤、臍帯および卵膜の写真を下図に示す。
胎盤、臍帯および卵膜の所見で正しいのはどれか。
1.周郭胎盤
2.膜状胎盤
3.臍帯の過捻転
4.臍帯の卵膜付着
解答4
解説
1.× 周郭胎盤とは、表面から見て襞(ひだ)のある胎盤である。卵膜が胎盤辺縁より胎児面側で重なっているために起こる。卵膜が重なって厚くなることで胎児面が狭くなり、妊娠分娩の転帰が不良である。
2.× 膜状胎盤とは、胎嚢全体または大部分が絨毛組織で被われた状態である。限局した通常の胎盤を形成せず、薄く膜のような胎盤であり、卵膜がほとんど絨毛でおおわれている。
3.× 臍帯の過捻転とは、臍帯が生理的な範囲を超えてねじれが強くなり、臍帯血流が阻害される状態である。胎児自身の偏った胎動(回転や旋回)によって発生することが多く、胎児発育不全や胎児死亡、分娩中の胎児の状態悪化、新生児仮死などと関連することが報告されている。
4.〇 正しい。臍帯の卵膜付着が画像の所見である。臍帯の卵膜付着とは、胎盤から完全に外れてしまった卵膜に臍帯が付着している状態である。つまり、臍帯の付着部位の異常で、卵膜に付着していることを指す。卵膜付着は、卵膜血管が子宮収縮(陣痛)や胎児からの圧迫をうけ、臍帯血流の循環障害を起こし、胎児の低酸素などの異常と関連する(胎児機能不全)。臍帯の付着場所は、胎盤の中心から外側に向かって、中心付着(約20%)、側方付着(約75%)、辺縁付着(約5%)、卵膜付着(約0.05%)の4種類に分けられる。 卵膜付着では血管が損傷しやすい。
(※図引用:「臍帯付着位置」illustAC様HPより)
12 Aさん(27歳、女性、未婚)。2年前から精神科に通院し、うつ病の診断にて選択的セロトニン再取り込み阻害薬<SSRI>を内服している。発症時には希死念慮があったが、現在の症状は内服によって落ち着いている。最終月経から5週経っても月経がなく、市販の妊娠検査薬で陽性であったため産婦人科を受診した。経腟超音波検査で子宮腔内に15mmの胎囊を認めた。Aさんは「うつ病があるので今後どうなるか不安です」と言う。
助産師の説明内容で適切なのはどれか。
1.パートナーとの入籍を勧める。
2.人工妊娠中絶の適応となると伝える。
3.薬の内服をいったん中止するよう勧める。
4.薬について精神科の主治医に相談するよう勧める。
解答4
解説
・Aさん(27歳、女性、未婚、うつ病)。
・2年前から精神科に通院(選択的セロトニン再取り込み阻害薬<SSRI>を内服)
・発症時:希死念慮(現在の症状は内服によって落ち着いている)。
・最終月経:5週経っても月経なし。
・市販の妊娠検査薬:陽性。
・経腟超音波検査:子宮腔内に15mmの胎囊あり。
・Aさんは「うつ病があるので今後どうなるか不安です」と言う。
→本症例の優先順位を考えよう。
1.× パートナーとの入籍を勧めるより優先されるものが他にある。なぜなら、本症例はうつ病であり、症状の波や程度はあれど、人生が左右される大きな決断は、身体的な負担を考慮し延期にしたほうが良い。また、助産師が個人的な生活の決定を勧める必要性は低い。
2.× 人工妊娠中絶の適応となると伝える必要はない。なぜなら、現時点でAさんは「うつ病があるので今後どうなるか不安です」と言っているだけで、産まない決断や中絶の意向など一切見られないため。
3.× 薬の内服をいったん中止するよう勧める必要はない。なぜなら、選択的セロトニン再取り込み阻害薬は、妊娠中の禁忌ではないため。むしろ、妊娠中も授乳中も、抗うつ剤が赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはほとんどないと報告されている。また、薬の内服を中止の判断は、助産師ではなく医師が行う。
4.〇 正しい。薬について精神科の主治医に相談するよう勧める。なぜなら、Aさん「うつ病があるので今後どうなるか不安です」と言っていることから、妊娠を機にうつ病の悪化も考えらえるため。Aさんは発症時、希死念慮を呈していたため、薬の調整は慎重に行い、胎児の今後について悩めるように、精神的な安定を支援する必要がある。
かかりやすい:几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い。
うつ病の特徴:意欲低下、精神運動抑制などの症状のため、自己評価が低く、疲労感が強い。
①調子が悪いのは病気のせいであり、治療を行えば必ず改善すること。
②重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
③自殺しないように約束してもらうことなど。
【作業基準】
①工程がはっきりしている。
②短期間で完成できる。
③安全で受身的で非競争的である。
④軽い運動(いつでも休憩できる)
【対応】
①気持ちを受け入れる。
②共感的な態度を示す。
③心理的な負担となるため、激励はしない。
④無理をしなくてよいことを伝える。
⑤必ず回復することを繰り返し伝えていく。
⑥静かな場所を提供する。
13 日本の平成22年(2010年)以降の母子保健統計について正しいのはどれか。
1.自然死産率は人工死産率よりも高い。
2.妊産婦死亡率は緩やかに低下を続けている。
3.乳児死亡の原因で最も多いのは不慮の事故である。
4.母の年齢階級別出生率が最も高いのは30〜34歳である。
解答4
解説
(※図引用:「第8表 死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合」厚生労働省HPより)
1.× 逆である。「自然死産率」よりも「人工死産率」の方が高い。平成28年(2016年)の日本の母子保健統計では、死産率のうち自然死産率は10.1、人工死産率は10.9である。死産について、10年連続で減少・低下となっている。ちなみに、自然死産率とは、各年の出産1,000人に対して自然死産が何件あったかを示す。一般的に、自然死産は、主に母体の健康状態に影響を受けるといわれている。また、人工死産とは、胎児の母体内生存が確実であるときに、人工的処置(胎児又は付属物に対する措置及び陣痛促進剤の使用)を加えたことにより死産に至った場合をいい、それ以外はすべて自然死産とする。
2.× 妊産婦死亡率は、緩やかに「低下」ではなく上下(ほぼ横ばい)している。なぜなら、医療の進歩はあれど、高齢出産の増加も増えているため。妊産婦死亡率において2014年は2.7、2022年は4.2である(※参考:「人口統計資料集(2024)」)。ちなみに、妊産婦死亡率とは、妊産婦10万人中の死亡数のことである。学校区別の比較することで得られる情報は少ない。ただし、都道府県によって5倍以上の差があることが、厚生労働省の研究班の調べでわかっており、 過去10年間の平均をとったところ、最も低い広島が出生10万件あたり1.84人だったのに対し、最も高い京都は10.70人であった。
3.× 乳児死亡の原因で最も多いのは、「不慮の事故」ではなく、先天奇形,変形及び染⾊体異常によるものが多い。例えば、ダウン症候群やエドワーズ症候群などである。乳児とは、生後1年ころまでの小児のことをさす。
4.〇 正しい。母の年齢階級別出生率が最も高いのは30〜34歳である。上昇傾向である。
(※図引用:「⼦どもの不慮の事故の発⽣傾向」消費者庁HPより)
(※図引用:「母の年齢別出生率の推移」厚生労働省HPより)
14 助産録について正しいのはどれか。
1.記載事項は医療法に定められている。
2.帝王切開術の場合は記載義務はない。
3.電子カルテの場合の保存期間は3年である。
4.記載義務は保健師助産師看護師法に定められている。
解答4
解説
診療録、カルテとは、医療に関してその診療経過等を記録したものである。 診療録には手術記録・検査記録・看護記録等を含め診療に関する記録の総称をいう。
1.× 記載事項は、「医療法」ではなく保健師助産師看護師法に定められている。医療機関の記録には、看護記録の他に①診療録(カルテ)と②助産録がある。①診療録は、医師法第24条に、②助産録は保健師助産師看護師法(施行規則第34条)に、その記録が法的に規定されている。しかし、看護記録は保健師助産師看護師法に記録の規定はない。診療記録には、主に、①診療録(カルテ)、②処方箋、③手術記録、④看護記録、⑤検査所見、⑥エックス線写真、⑦紹介状など保管する。ちなみに、医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。また、保健師助産師看護師法とは、保健師・助産師および看護師の資質を向上し、もって医療および公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする日本の法律である。通称は保助看法。(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)
2.× 帝王切開術の場合「も」記載義務は「ある」。助産録の記載内容は①妊産婦の住所・氏名・年齢・職業、②分娩・死産回数・生死産の別、③妊産婦の既往疾患の有無およびその経過、④今回の妊娠経過・所見・保健指導の要項、⑤医師による妊娠中の健康診断受診の有無、⑥分娩場所・年月日時分、⑦分娩経過・処置、⑧分娩異常の有無、経過および処置、⑨児の数・性別・生死別、⑩児および胎児付属物の所見、⑪産褥経過、褥婦および新生児の保健指導の要項、⑫産後の医師による健康診断の有無の12項目である。
3.× 電子カルテの場合の保存期間は、「3年」ではなく5年である。これは、保健師助産師看護師法の第42条2項において「助産録であつて病院、診療所又は助産所に勤務する助産師が行つた助産に関するものは、その病院、診療所又は助産所の管理者において、その他の助産に関するものは、その助産師において、五年間これを保存しなければならない」と記載されている(※引用:「保健師助産師看護師法」e-GOV法令検索様HPより)。
4.〇 正しい。記載義務は保健師助産師看護師法に定められている。これは、保健師助産師看護師法の第42条においても「助産師が分べんの介助をしたときは、助産に関する事項を遅滞なく助産録に記載しなければならない」と記載されている(※引用:「保健師助産師看護師法」e-GOV法令検索様HPより)。
①妊産婦の住所、氏名、年齢、職業
②分娩・死産回数、生死産の別
③妊産婦の既往疾患の有無およびその経過
④今回の妊娠経過、所見、保健指導の要項
⑤医師による妊娠中の健康診断受診の有無
⑥分娩場所、年月日時分
⑦分娩経過・処置
⑧分娩異常の有無、経過および処置
⑨児の数、性別、生死別
⑩児および胎児付属物の所見
⑪産褥経過、褥婦および新生児の保健指導の要項
⑫産後の医師による健康診断の有無
15 助産所における嘱託医師および嘱託医療機関について正しいのはどれか。
1.嘱託医療機関には小児科がなくてもよい。
2.嘱託医師は産科または産婦人科の医師でなくてもよい。
3.分娩を取り扱わなくても嘱託医師および嘱託医療機関の確保が必要である。
4.包括的指示書の変更は、その旨を記載して嘱託医師および嘱託医療機関と共有する。
解答4
解説
1.× 嘱託医療機関には小児科がなくて「はならない」。医療法施行規則の第15条3項において「中略・・・診療科名中に産科又は産婦人科及び小児科を有し、かつ、新生児への診療を行うことができる病院又は診療所を当該妊婦等の異常に対応する病院又は診療所として定めておかなければならない」と記載されている(※引用:「医療法施行規則」e-GOV法令検索様HPより)。
2.× 嘱託医師は産科または産婦人科の医師でなくて「はならない」。医療法施行規則の第15条2項において「分娩を取り扱う助産所の開設者は、分娩時等の異常に対応するため、病院又は診療所において産科又は産婦人科を担当する医師を嘱託医師として定めておかなければならない」と記載されている(※引用:「医療法施行規則」e-GOV法令検索様HPより)。
3.× 分娩を取り扱わない「場合は」、嘱託医師および嘱託医療機関の確保が「不要である」。これは、厚生労慟省医政局長通知「分娩を取り扱う助産所の嘱託医師および嘱託する病院又は診療所の確保について」において記載されている。
4.〇 正しい。包括的指示書の変更は、その旨を記載して嘱託医師および嘱託医療機関と共有する。これは、「分娩を取り扱う助産所の開業基準(公益社団法人日本助産師会様より)」に記載されている。
「分娩を取り扱う助産所の開業基準(公益社団法人日本助産師会様より)」