この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
11 出生時と1か月児健康診査時の児の身体計測値を表に示す。
1か月児健康診査時の身体計測値のうち、精査を必要とするのはどれか。
1.体重
2.身長
3.頭囲
4.胸囲
解答3
解説
1.× 体重は、精査が必要ない。なぜなら、標準的な体重増加をたどっているため。出生時体重3,280gに対して、1か月児健康診査時の体重4,180gであることから、体重は900g増加している。出生時より概ね1日30g増加している。
【新生児の生理的体重の変化】正期産により出生した正常な新生児の生理的体重減少率は、出生体重の3~10%の範囲であり、生後3~5日がそのピークである。減少率とは、出生時体重からの減少の割合で、「(出生時の体重-現在の体重)÷ 出生時の体重 × 100」で算出される。
【正常乳児の一日体重増加量の目安】
・0~3か月:25~30g
・3~6か月:20~25g
・6~9か月:15~20g
・9~12か月:7~10g
2.× 身長は、精査が必要ない。なぜなら、標準的な身長の成長をたどっているため。出生時身長49.5cmに対して、1か月児健康診査時の身長54.0cmであることから、4.5cm成長している。一般的に身長は、1か月でおよそ3~5cm増加する。
3.〇 正しい。頭囲は、精査を必要とする。なぜなら、頭囲の増加が正常範囲を逸脱しているため。出生時頭囲33.0cmに対して、1か月児健康診査時の頭囲39.0cmであることから、6.0cm増えている。一般的に頭囲は、1か月でおよそ3~4cm増加する。
4.× 胸囲は、精査が必要ない。なぜなら、標準的な胸囲の成長をたどっているため。出生時胸囲32.0cmに対して、1か月児健康診査時の胸囲35.5cmであることから、3.5cm成長している。一般的に胸囲は、1か月でおよそ3~4cm増加する。
12 日本の平成26年(2014年)の出生に関する統計で正しいのはどれか。
1.純再生産率は1.2である。
2.出生数は約120万人である。
3.沖縄県の合計特殊出生率は低率である。
4.30〜49歳における合計特殊出生率は過去10年間は上昇傾向である。
解答4
解説
(※引用:「平成 26 年人口動態統計月報年計(概数)の概況 」厚生労働省HPより)
1.× 純再生産率は、「1.2」ではなく0.69である。純再生産率とは、一人の女性が一生の間に出産する女児の人数である。「純再生産率は,1940年以前でも1.3~1.6に留まり,1947~49年も1.7であった.1950年代半ばから1970年代前半まで概ね1.0の水準で推移した後に低下を始め,1990年に0.74,2005年に0.61まで低下して反転し,2014年は0.69となっている」と記載されている(※引用:「全国人口の再生産に関する主要指標:2014年」)
2.× 出生数は、「約120万人」ではなく約100万人(具体的には1,003,539人)である(※データ引用:「全国人口の再生産に関する主要指標:2014年」)。ちなみに、出生数とは、子どもの生まれた数のことであり、一方、出生率とは、一定人口に対するその年の出生数の割合をいう。
3.× 沖縄県の合計特殊出生率は、低率「である」とはいえない。むしろ、沖縄県の合計特殊出生率は、日本全国と比較して1番(1.86)である(※上図参照)。ちなみに、合計特殊出生率とは、15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したものである。1人の女性が一生の間に生む平均子ども数を表したものである。
4.〇 正しい。30〜49歳における合計特殊出生率は過去10年間は上昇傾向である。「平成26年の合計特殊出生率は1.42で、前年の1.43を下回っている。年次推移をみると、平成18年から上昇傾向が続いていたが、平成26年は低下している。年齢(5歳階級)別にみると、20~29歳の各階級では低下し、15~19歳及び30~49歳の各階級では上昇しており、最も合計特殊出生率が高いのは、30~34 歳となっている。(表4-1、図2) 」(※引用:「平成 26 年人口動態統計月報年計(概数)の概況 」厚生労働省HPより)
(※引用:「平成 26 年人口動態統計月報年計(概数)の概況 」厚生労働省HPより)
13 次世代育成支援対策推進法について正しいのはどれか。
1.妊産婦に対してマタニティマークの携帯を推進する。
2.急速な少子化の進行を踏まえて策定された法律である。
3.次世代育成支援対策は3年ごとに取り組みを評価する。
4.常時雇用の従業員が50人以上の企業は行動計画の策定が義務付けられている。
解答2
解説
1.× 妊産婦に対してマタニティマークの携帯を推進するのは、「健やか親子21の取り組み」である。マタニティマークとは、妊産婦を表す日本のピクトグラム(文字や言語に頼らず、視覚的な図記号で情報を提供する案内記号)である。特に妊産婦自らが身に付け、妊産婦であることを示すためのマークを指す。外見からは判別しにくい妊娠初期の妊産婦に対する理解を得ることを主眼とする。
2.〇 正しい。急速な少子化の進行を踏まえて策定された法律である。次世代育成支援対策推進法とは、次世代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ育成される環境整備を図るための次世代育成支援対策の基本理念を定めた法律である。都道府県・市町村の行動計画、一般事業主の行動計画を次世代育成支援対策推進センターなどで規定している。
3.× 次世代育成支援対策は、「3年」ではなく5年ごとに取り組みを評価する。これは、次世代育成支援対策推進法の第8条(市町村行動計画)において、「市町村は、行動計画策定指針に即して、5年ごとに、当該市町村の事務及び事業に関し、5年を一期として、地域における子育ての支援、母性並びに乳児及び幼児の健康の確保及び増進、子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備、子どもを育成する家庭に適した良質な住宅及び良好な居住環境の確保、職業生活と家庭生活との両立の推進その他の次世代育成支援対策の実施に関する計画を策定するものとする」と記載されている(※引用:「次世代育成支援対策推進法」厚生労働省様HPより)
4.× 常時雇用の従業員が、「50人」ではなく100人以上の企業は行動計画の策定が義務付けられている。「次世代法に基づき、企業は、労働者の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定することとなっています。常時雇用する労働者が101人以上の企業は、行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局に届け出ることが義務、100人以下の企業は努力義務です」と記載されている(※引用:「次世代育成支援対策推進法」厚生労働省様)。これは、令和6年5月に改正された。
健やか親子21は、平成25年の第1次計画の最終評価報告書を受け、平成27年度より第2次計画が開始されている。第1次計画では目標を設定した指標が多かったため、第2次計画では見直しを行い、目標を設けた52の指標と、目標を設けない「参考とする指標」として28の指標を設定した。第2次計画の中間評価は5年後、最終評価は10年後を予定している。
<目標>
1. 思春期の保健対策の強化と健康教育の推進(十代の自殺、人工妊娠中絶、性感染症罹患)
2. 妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援(妊産婦死亡、産後うつ病、産婦人科医・助産師数)
3. 小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備(低出生体重児、事故、妊娠・育児期間中の喫煙)
4. 子どものこころの安らかな発達の促進と育児不安の軽減(虐待死亡、母乳育児、心の問題に対応する小児科医)
(※参考:「健やか親子21(第2次)について」厚生労働省HPより)
14 助産外来の運営についてPDCAサイクルのAに該当するのはどれか。
1.運営方法を決める。
2.実施状況を調査する。
3.計画に従って運営する。
4.評価結果を参考に運営方法を変更する。
解答4
解説
医療・介護過程の展開において、PDCAサイクルを用いることが多い。PDCAサイクルは、計画(Plan)→実施(Do)→再評価(Check)→対策・改善(Action)というサイクルのことを指す。
1.× 運営方法を決めることは、Plan(計画)に該当する。
2.× 実施状況を調査することは、Check(評価・再評価)に該当する。
3.× 計画に従って運営することは、Do(実行)に該当する。
4.〇 正しい。評価結果を参考に運営方法を変更することは、Action(対策・改善)に該当する。
15 Aさん(28歳、女性)は妊娠初期の血液検査で早期の梅毒と診断された。
このときのAさんへの梅毒に関する説明で正しいのはどれか。
1.「パートナーは検査の必要がありません」
2.「テトラサイクリン系抗菌薬で治療を開始します」
3.「胎児への感染を防止することはできません」
4.「分娩後に血液検査で赤ちゃんの先天感染の有無を確認します」
5.「治療が終了しても母乳は与えられません」
解答4
解説
梅毒とは、5類感染症の全数把握対象疾患であり、スピロヘータ(細菌)の一種である梅毒トロポネーマ感染により発症し、この梅毒トロポネーマが脳の実施まで至ると、進行性麻痺となる。性行為や胎盤を通じて感染する。梅毒に特徴的な症状として、陰茎・外陰部を中心に生じる無痛性の硬結(指で触れることのできる硬い丘疹)やバラ疹(全身にできる淡い紅斑)などがあり、進行すると神経系の病変を生じて死に至ることもある。
【臨床的特徴】
Ⅰ期梅毒:感染後3~6週間の潜伏期の後に、感染局所に初期硬結や硬性下疳、無痛性の鼠径部リンパ節腫脹がみられる。
Ⅱ期梅毒:感染後3か月を経過すると皮膚や粘膜に梅毒性バラ疹や丘疹性梅毒疹、扁平コンジローマなどの特有な発疹が見られる。
経過晩期:感染後3年以上を経過すると顕症梅毒としてゴム腫、梅毒によると考えられる心血管症状、神経症状、眼症状などが認められることがある。なお、感染していても臨床症状が認められないものもある。先天梅毒は、梅毒に罹患している母体から出生した児で、①胎内感染を示す検査所見のある症例、②Ⅱ期梅毒疹、骨軟骨炎など早期先天梅毒の症状を呈する症例、③乳幼児期は症状を示さずに経過し、学童期以後にHutchinson3徴候(実質性角膜炎、内耳性難聴、Hutchinson歯)などの晩期先天梅毒の症状を呈する症例がある。また、妊婦における梅毒感染は、先天梅毒のみならず、流産及び死産のリスクとなる。(※一部引用:「梅毒」厚生労働省HPより)
1.× パートナーも検査の必要がある。なぜなら、梅毒は性感染症であり、パートナーも感染している可能性が高いため。パートナーも検査を受け、必要に応じて治療を行うことが重要である。
2.× テトラサイクリン系抗菌薬で治療するのは、「感染症(クラミジア感染症、リケッチア感染症、マイコプラズマ感染症など)のほか、肺炎、副鼻腔炎、中耳炎等」に使用される。妊娠中の梅毒治療には、ペニシリン系抗菌薬が第一選択薬である。ペニシリン系抗菌薬は、妊婦に安全かつ有効であり、胎児への感染を防ぐためにも推奨される。
3.× 胎児への感染を防止することができる。梅毒の胎児への感染(先天梅毒)を予防するには、妊娠中に定期的に妊婦健診を受け、梅毒の検査を受けることが大切である。妊婦の初期スクリーニング検査には梅毒の項目が必ず含まれており、妊娠中に感染していた場合は、早期に母体の治療を開始することが予防へとつながる。
4.〇 正しい。「分娩後に血液検査で赤ちゃんの先天感染の有無を確認します」と説明する。分娩後に梅毒に感染していることを先天梅毒という。先天梅毒の有無は、医師による身体診察や母子の血液検査の結果に基づいて診断される。早期先天梅毒(出生から2歳まで)と晩期先天梅毒(2歳以降)に分類され、早期先天梅毒の診断には皮膚病変のほか、胎盤や臍帯検体での暗視野顕微鏡検査が役立つ。適切な治療を行えば完治が可能である。治療の基本はペニシリン系の抗菌薬の服用で、ペニシリンアレルギーがある場合はミノサイクリンやドキシサイクリンなどの抗菌薬を使用する。
5.× 治療が終了した場合、母乳を与えることが可能である。国立感染症研究所によると、通常、母乳による母子感染は成立しないと考えられている。ただし、赤ちゃんへの感染予防に対する配慮は必要である。