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76 成人で、骨髄が脂肪組織になっているのはどれか。
1.寛骨
2.胸骨
3.大腿骨の骨幹
4.椎骨の椎体
5.肋骨
解答3
解説
骨髄とは、骨の中心部にあり、血液細胞(白血球、赤血球、血小板)をつくる組織のことである。骨髄には、造血幹細胞と呼ばれる、すべての血液細胞に成長でき、かつ自分自身も複製することができる「血液の種」のような細胞が存在している。骨髄は、①赤色髄と②黄色髄に分類される。①赤色髄:血液の造血が盛ん。②黄色髄:造血組織が少なくなり脂肪組織に置き換わっている。乳幼児期の骨髄は、ほとんど赤色髄であるが、成人になるにつれ、一部の骨髄は黄色髄になる。成人でも赤色髄のままであるのは、身体の中心に近い部分の骨や肩平骨(寛骨)、短骨である。
1〜2.4〜5.× 寛骨/胸骨/椎骨の椎体/肋骨は、赤色髄が豊富である。乳幼児期の骨髄は、ほとんど赤色髄であるが、成人になるにつれ、一部の骨髄は黄色髄になる。成人でも赤色髄のままであるのは、身体の中心に近い部分の骨や肩平骨(寛骨)、短骨である。
3.〇 正しい。大腿骨の骨幹は、成人で骨髄が脂肪組織(黄色髄)になっている。なぜなら、大腿骨は長管骨で比較的身体の中心からも遠いため。
77 臓器と産生されるホルモンの組合せで正しいのはどれか。
1.膵臓:グルカゴン
2.副腎:プロラクチン
3.腎臓:アルドステロン
4.脳下垂体:インクレチン
5.視床下部:テストステロン
解答1
解説
1.〇 正しい。膵臓から、グルカゴンが産生される。膵臓のランゲルハンス島のα細胞からグルカゴンが、β細胞からインスリンが、δ細胞からソマトスタチンが分泌される。ちなみに、グルカゴンは血糖値上昇、インスリンは血糖値低下、ソマトスタチンはグルカゴンやインスリンの分泌抑制の作用をもつ。
2.× プロラクチン(催乳ホルモン)は、「副腎」ではなく、下垂体前葉から分泌されるホルモンである。作用は、乳腺の発育、乳汁の産生・分泌をもつ。したがって、出産後に多く分泌されるホルモンである。ちなみに、下垂体前葉は、①成長ホルモン(欠損すると小人病)、②甲状腺刺激ホルモン、③副腎皮質刺激ホルモン(欠損するとアジソン病)、④性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン・黄体形成ホルモン)、⑤プロラクチン(催乳ホルモン)を分泌する。
3.× アルドステロン(鉱質コルチコイド)は、「腎臓」ではなく、副腎皮質から分泌されるホルモンである。腎臓に作用してナトリウムの再吸収、水の再吸収を促進、血圧を上昇させる。ちなみに、副腎皮質は、①コルチゾール、②アルドステロン、③性ホルモンを分泌する。
4.× インクレチンは、「脳下垂体」ではなく、食事摂取に伴い小腸から分泌されるホルモンである。主にインスリン分泌を促進する働きがある。
5.× テストステロン(アンドロゲン、男性ホルモン)は、「視床下部」ではなく、主に精巣(一部は副腎)から分泌されるホルモンである。作用は、筋肉の増大・骨格の発達・陰毛の発毛に作用する。女性でも卵巣や副腎からごく微量分泌される。分泌量は、男性の人生の中で20〜30代の頃がピークといわれている。
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78 抗甲状腺薬の副作用(有害事象)で正しいのはどれか。
1.頻脈
2.肝障害
3.低血糖
4.不整脈
5.眼球突出
解答2
解説
甲状腺機能低下症状は、甲状腺ホルモン減少により、皮膚の乾燥、疲労感、眠気、むくみ、無気力、月経異常、便秘、体重減少などが起こる。甲状腺ホルモンにはエネルギー産生作用があり、基礎代謝率を上昇させる。
1.4.5.× 頻脈/不整脈/眼球突出は、バセドウ病など甲状腺機能が亢進した場合にみられる。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の症状として、発汗や食欲亢進、体重減少、下痢、振戦、メルセブルグ3徴(眼球突出、甲状腺腫、頻脈)がみられる。
2.〇 正しい。肝障害は、抗甲状腺薬の副作用(有害事象)で正しい。抗甲状腺薬の副作用としては、かゆみ・じん麻疹、肝障害、無顆粒球症などがあげられる。顆粒球が減少すると易感染状態になるため、感染徴候の早期発見は重要である。
3.× 低血糖より優先されるものが他にある。バセドウ病治療薬(チアマゾール)の副作用に低血糖はあるが、プロピルチオウラシルは低血糖は起こらない。したがって、必ずしも低血糖が起こらないため、選択肢から外すことができる。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の症状として、発汗や食欲亢進、体重減少、下痢、振戦、メルセブルグ3徴(眼球突出、甲状腺腫、頻脈)がみられる。
79 Barthel(バーセル)インデックスで評価するのはどれか。
1.栄養状態
2.疼痛の強さ
3.褥瘡の深さ
4.日常生活動作
5.呼吸困難の程度
解答4
解説
Barthel Indexは、日常生活動作の評価である。評価項目は10項目(①食事、②椅子とベッド間の移乗、③整容、④トイレ動作、⑤入浴、⑥移動、⑦階段昇降、⑧更衣、⑨排便コントロール、⑩排尿コントロール)あり、100点満点で評価される。
1.× 栄養状態の評価は、体重減少率、BMI、血清アルブミン、コレステロール値などで行う。ちなみに、BMIとは、体重(㎏) ÷ 身長の2乗(m) で計算される体格指数のことである。日本肥満学会の基準では、18.5以下:低体重、25以下:普通、30以下:肥満Ⅰ度、35以下:肥満Ⅱ度、40以下:肥満Ⅲ度、40以上:肥満Ⅳ度である。
2.× 疼痛の強さの評価は、VAS(Visual Analogue Scale)、フェイススケールなどで行う。
3.× 褥瘡の深さの評価は、米国褥瘡諮問委員会(NPUAP)による分類などで行う。
4.〇 正しい。日常生活動作は、バーセルインデックスで評価する。Barthel Indexは、日常生活動作の評価である。評価項目は10項目(①食事、②椅子とベッド間の移乗、③整容、④トイレ動作、⑤入浴、⑥移動、⑦階段昇降、⑧更衣、⑨排便コントロール、⑩排尿コントロール)あり、100点満点で評価される。
5.× 呼吸困難の程度は、Hugh-Jones分類(ヒュー・ジョーンズ分類)など評価基準が用いられる。呼吸器疾患患者の運動機能と呼吸困難からみた重症度(Ⅰ~Ⅴ段階)評価基準である。
Ⅰ:同年齢の健康者と同様の労作ができ、歩行、階段昇降も健康者なみにできる。
Ⅱ:同年齢の健康者と同様に歩行できるが、坂道・階段は健康者並には出来ない。
Ⅲ:平地でも健康者並に歩けないが、自分のペースなら1マイル(1.6km)以上歩ける。
Ⅳ:休み休みでなければ50m以上歩けない。
Ⅴ:会話・着替えにも息切れがする。息切れの為外出できない。
80 急性心筋梗塞患者の合併症を早期に発見するための徴候で正しいのはどれか。
1.皮疹の出現
2.頻脈の出現
3.時間尿の増加
4.腹壁静脈の怒張
5.うっ血乳頭の出現
解答2
解説
急性心筋梗塞とは、冠状動脈内に血栓が形成され、動脈を閉塞し心筋が壊死することである。リスクファクターとして、①高血圧、②喫煙、③糖尿病、④脂質代謝異常などである。合併症には、不整脈や心不全、脳梗塞がある。そのほかに重篤なものとして心破裂や心室中隔穿孔などがある。
1.× 皮疹の出現は、アレルギー反応の症状としてみられる。皮疹とは、皮膚(表皮・真皮含むおおまかなもの)にみられる病変のことで、症状や状態を表す言葉で、発疹は皮疹とほぼ同義である。ウイルス感染やかぶれ、じんましんのように急に出る皮ふの変化をいう。
2.〇 正しい。頻脈の出現は、急性心筋梗塞患者の合併症を早期に発見するための徴候である。なぜなら、合併症に不整脈や心不全、脳梗塞があるため。不整脈脈がとんだり、乱れたり、一時的に脈が遅くなる。突然死につながる致死性不整脈が出現する事もあり、慢性期に植え込み型除細動器(ICD)が必要になる事もある。
3.× 時間尿は、「増加」ではなく減少(乏尿)が起こる。なぜなら、急性心筋梗塞により急性心不全が生じると、腎血流量も伴って低下するため。
4.× 「腹壁静脈」ではなく、頚静脈の怒張である。頚静脈怒張とは、頸静脈がぱんぱんに張っている状態(怒張)のことである。頸静脈怒張の機序として、心筋梗塞により心筋が動きにくい(心不全)→血液がうっ血する→頸静脈が怒張するという流れである。ちなみに、腹壁静脈の怒張は、肝硬変などでみられる。肝硬変などによって、門脈圧が亢進すると側副血行路がつくられ、食道や胃につくられることが多い(食道・胃静脈癌)。腹部の皮下につくられると腹壁静脈の怒張がみられる。
5.× うっ血乳頭の出現は、脳腫瘍、脳炎、頭蓋内出血などで起こる眼底所見である。うっ血乳頭の出現とは、頭蓋内圧亢進に伴う視神経乳頭の腫脹である。うっ血乳頭の唯一の初期症状として、一過性霧視がみられる。姿勢変動時の片眼ないし両眼の数秒以内におさまる。ちなみに、頭蓋内圧亢進により、①頭痛、②嘔気・嘔吐、③うっ血乳頭、④複視(外転神経麻痺)などを生じる。Cushing現象(脳ヘルニアの直前状態)で、①血圧上昇、②徐脈、③緩徐深呼吸などの症状が出現する。これらは、脳幹下部の脳圧亢進による乏血状態に対する生体の代償作用である。