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26 更年期障害に対するホルモン補充療法を行う際に、慎重投与あるいは条件付きでの投与が可能なのはどれか。
1.原因不明の不正性器出血のある者
2.子宮内膜癌の既往のある者
3.心筋梗塞の既往のある者
4.脳卒中の既往のある者
5.乳癌の既往のある者
解答2
解説
1.3〜5.× 原因不明の不正性器出血のある者/心筋梗塞の既往のある者/脳卒中の既往のある者/乳癌の既往のある者は、禁忌症例に該当する。
2.〇 正しい。子宮内膜癌の既往のある者は、慎重投与あるいは条件付きでの投与が可能である。子宮内膜癌(子宮体がん)とは、子宮の内側を覆(おお)う子宮内膜と呼ばれる場所に発生するがんである。女性ホルモンであるエストロゲンが多い状態が続くことで発症すると考えられている。主な症状は、不正出血(生理中ではないのに性器から出血、閉経後に性器から出血など)である。治療は、手術や薬物療法、放射線治療を組み合わせた治療が検討される。
[禁忌症例]
・重度の活動性肝疾患
・現在の乳癌とその既往
・現在の子宮内膜癌、低悪性度子宮内膜間質肉腫
・原因不明の不正性器出血
・妊娠が疑われる場合
・急性血栓性静脈炎または静脈血栓塞栓症とその既往
・心筋梗塞および冠動脈に動脈硬化性病変の既往
・脳卒中の既往
[慎重投与ないしは条件付きで投与が可能な症例]
・子宮内膜癌の既往
・卵巣癌の既往
・肥満
・60歳以上または閉経後10年以上の新規投与
・血栓症のリスクを有する場合
・冠攣縮および微小血管狭心症の既往
・慢性肝疾患
・胆嚢炎および胆石症の既往
・重症の高トリグリセリド血症
・コントロール不良な糖尿病
・コントロール不良な高血圧
・子宮筋腫,子宮内膜症、子宮腺筋症の既往
・片頭痛
・てんかん
・急性ポルフィリン症
(※参考:「ホルモン補充療法ガイドライン 2017 年度版」日本産科婦人科学会より)
27 Aさん(28歳、初妊婦)。胎児推定体重は妊娠24週時点では正常範囲であったが、その後の妊婦健康診査で次第に発育が不良となり、妊娠34週の時点では胎児推定体重の標準偏差が-2.5SDとなった。Aさんの妊娠24週から妊娠34週までの2週ごとの胎児推定体重の推移を図に示す。妊娠時期に応じた胎児推定体重の平均および±2.0SDの範囲が図中に示されている。
Aさんの胎児の推定体重の変化を示すのはどれか。
解答3
解説
・Aさん(28歳、初妊婦)
【胎児推定体重】
・妊娠24週:正常範囲
・その後:次第に発育が不良
・妊娠34週:標準偏差-2.5SD
→図は「在胎週数別基準発育曲線」である。胎児発育が正常か否かを判断するだけでなく、新生児のリスク予知や早産児の出生後の成長の指標として活用できる。
1.× 本症例は、妊娠34週において「標準偏差-2.5SD」であるが、図は+2.0SDに位置している。
2.× 本症例は、妊娠34週において「標準偏差-2.5SD」であるが、図は-2.0SDに位置している。
3.〇 正しい。Aさんの胎児の推定体重の変化である。なぜなら、①妊娠24週:正常範囲、②その後:次第に発育が不良、③妊娠34週:標準偏差-2.5SDの条件に当てはまるため。
4.× 本症例は、妊娠24週において「正常範囲」であるが、図は-2.0SDに位置している。
5.× 本症例は、①妊娠24週:正常範囲、②その後:次第に発育が不良、③妊娠34週:標準偏差-2.5SDであるが、図は妊娠24週からずっと-2.0SDを推移している。
胎児発育不全とは、平均と比べて成⻑が遅くなっていることをいい、胎盤由来の妊娠合併症の代表的なものである。子宮内での胎児の発育が遅延あるいは停止したために在胎週数に相当した胎児の発育が見られない状態で、妊娠週数に対して胎児が明らかに小さい場合をいい、胎児発育曲線において「-1.5SD以下」の場合に診断される。
28 トキソプラズマ感染症で正しいのはどれか。
1.妊婦の尿検査で診断する。
2.胎児への感染は産道感染が多い。
3.妊婦の初感染は胎内感染のリスクが低い。
4.出生時に症状がなければ先天感染は否定できる。
5.感染した動物の生肉の摂取によって母体が感染する。
解答5
解説
先天性トキソプラズマ症とは、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)の経胎盤感染によって引き起こされる。症状として、未熟性、子宮内胎児発育不全、黄疸、肝脾腫、心筋炎、肺炎、発疹、脈絡網膜炎、水頭症、頭蓋内石灰化、小頭症、痙攣である。十分な加熱処理がされていない生肉、トキソプラズマの終宿主である猫との接触・糞尿処理が感染のリスクとなる。
1.× 診断は「妊婦の尿検査」ではなく血清学的検査またはPCR検査で行う。トキソプラズマIgG抗体陽性となった場合には、トキソプラズマ症に罹患していることが疑われる。トキソプラズマは日本において妊婦の抗体保有率が最も低い。日本人のトキソプラズマ抗体陽性率は年齢x(0.1~1)%(例えば、30歳では3~30%)と年齢とともに上昇し、妊婦のトキソプラズマ抗体保有率は全体で10.3%、35歳以下では9.6%と報告されている。トキソプラズマに感染したことのない妊婦が約9割を占めており、妊娠中の初感染を起こしうる。
2.× 胎児への感染は、「産道感染」ではなく胎内感染(経胎盤感染)が多い。経胎盤感染は、トキソプラズマのほかに梅毒、サイトメガロウイルス、パルボウイルス、風疹などがあげられる。
3.× 妊婦の初感染は、胎内感染のリスクが「低い」とはいいがたい。妊婦がトキソプラズマに初感染した場合を除いて原則的に胎児感染することはなく、妊娠中の初感染と判断される場合に治療対象となる。妊婦のトキソプラズマ初感染による胎児感染率は妊娠時期の影響をうけ、妊娠12週の胎児感染率は6%程度であるが、臨床症状出現率は75%と高く、妊娠経過とともに胎児感染率は上昇するものの臨床症状出現率は低下する。 しかし、妊娠初期に感染したものほど、症状が重症化する確率が高いとされる。(※参考:「妊婦のトキソプラズマ感染で使用する抗トキソプラズマ原虫剤「スピラマイシン」の発売」日本産婦人科会より)
4.× 出生時に症状がなくても、先天感染は否定できない。なぜなら、大部分は無症候に経過するか、中には生後1年以降から思春期頃に脈絡網膜炎の病型で発症するため。先天性トキソプラズマ症の小児は、重症で生後まもなく死亡することもあれば、何カ月または何年も症状が現れないこともある。その一方で、まったく病気にならない小児も存在する。(※参考:「新生児のトキソプラズマ症」MSDマニュアル家庭版より)
5.〇 正しい。感染した動物の生肉の摂取によって母体が感染する。十分な加熱処理がされていない生肉、トキソプラズマの終宿主である猫との接触・糞尿処理が感染のリスクとなる。トキソプラズマ症は、ネコの体内に生息し、そこで増殖する寄生虫が原因である。
29 子宮双手圧迫法で正しいのはどれか。
1.両手で子宮底部の輪状マッサージを行う。
2.子宮体部を両手で把持し、左側上方に圧迫する。
3.腟内にガーゼを充塡し、腹壁上から子宮体部を圧迫する。
4.片手で恥骨直上を圧迫し、他方の手で子宮体部を圧迫する。
5.片方の手拳を前腟円蓋部にあて、他方の手を腹壁上から子宮体部にあてて圧迫する。
解答5
解説
子宮双手圧迫法(読み:しきゅうそうしゅあっぱくほう)とは、左手を腟内に、右手を子宮底部のある腹壁に、それぞれ置き、それら両手で子宮を挟み込むように圧迫する方法である。適応は弛緩出血である。輸液、子宮収縮薬投与などの初期治療を開始する。ちなみに、弛緩出血とは、児と胎盤の娩出後に本来なら子宮が収縮することで止まるはずの出血が続いてしまう状態である。原因は、子宮筋の収縮不全に起因して起こる。
1.× 両手で子宮底部の輪状マッサージを行うものではない。なぜなら、子宮底輪状マッサージは分娩直後の子宮収縮不全の防止に有効であるため。子宮底部の輪状マッサージとは、子宮筋を刺激して、子宮収縮を促進させるマッサージである。 排尿・排便を定期的に促し、膀胱・直腸充満からの圧迫による子宮収縮不全を防止する。早期離床を促し、悪露の貯留による子宮収縮不全を防止する。
2.× 子宮体部を両手で把持し、左側上方に圧迫するものではない。左手を腟内に、右手を子宮底部のある腹壁に、それぞれ置き、それら両手で子宮を挟み込むように圧迫する方法である。
3.× 腟内にガーゼを充塡し、腹壁上から子宮体部を圧迫するものではない。充填(読み:じゅうてん)とは、いれ物・すき間に物を(一杯に)詰めることである。特に分娩後の対応として、①止血操作とし双手圧迫、②子宮膣内強圧タンポン法、③子宮収縮薬の使用が挙げられる。腟内ガーゼ充塡は、分娩時の助産過程における必要に応じた救急処置である。
4.× 片手で恥骨直上を圧迫し、他方の手で子宮体部を圧迫するものではない。左手を腟内に、右手を子宮底部のある腹壁に、それぞれ置き、それら両手で子宮を挟み込むように圧迫する方法である。
5.〇 正しい。片方の手拳を前腟円蓋部にあて、他方の手を腹壁上から子宮体部にあてて圧迫する。子宮双手圧迫法(読み:しきゅうそうしゅあっぱくほう)とは、左手を腟内に、右手を子宮底部のある腹壁に、それぞれ置き、それら両手で子宮を挟み込むように圧迫する方法である。適応は弛緩出血である。輸液、子宮収縮薬投与などの初期治療を開始する。ちなみに、弛緩出血とは、児と胎盤の娩出後に本来なら子宮が収縮することで止まるはずの出血が続いてしまう状態である。原因は、子宮筋の収縮不全に起因して起こる。
30 正期産で出生した男児の出生後24時間以内に認められる臨床症状のうち、早急に対応すべき所見はどれか。
1.頭蓋癆
2.結膜下出血
3.肉眼的黄疸
4.周期性呼吸
5.停留精巣
解答3
解説
1.× 頭蓋癆(とうがいろう)とは、頭蓋骨や頭頂骨を圧迫するとペコペコと凹む症状である。出生直後は、頭蓋の各骨が重なり合って産道を通過するため頭蓋癆がみられる。ただし、数日で消失しない場合はくる病や水頭症を疑う必要がある。くる病とは、小児期に見られる骨の石灰化不全であり、主に成長障害と骨の弯曲が起こる疾患である。ビタミンDの代謝あるいは感受性の障害により、骨に石灰化が起こらず、強度が不足する病気である。 成人期ではビタミンD依存性骨軟化症と呼ばれる。小児期には成長も障害され、骨X線検査で特徴的な所見を呈し、ビタミンD依存性くる病とも呼ばれる。
2.× 結膜下出血とは、結膜下の小さい血管が破れて出血したもので、白目部分が赤く染まっている状態である。痛みはなく、原因はさまざまで、くしゃみ・せき、過飲酒、月経、水中メガネの絞め過ぎなどでも出血する。とはいえ、眼球内部に血液が入ることはないため、視力の低下の心配もなく自然経過で消失する。
3.〇 正しい。肉眼的黄疸は、早急に対応すべき所見である。生後24時間以内に肉眼的黄疸が出現する場合は、病的黄疸のひとつである早発黄疸である。早発黄疸は、溶血性疾患の可能性が高い(溶血性貧血)。早発黄疸を含め重症の黄疸は、核黄疸のリスクがあり治療の機会を逸すると重篤な後遺症を残す危険がある。核黄疸とは、間接ビリルビンが新生児の主として大脳基底核等の中枢神経細胞に付着して黄染した状態をいう。神経細胞の代謝を阻害するため死に至る危険が大きく、救命されても不可逆的な脳損傷を受けるため治癒不能の脳性麻痺等の後遺症を残す疾患である。
4.× 周期性呼吸とは、正常新生児にときどき認められる5~10秒程度の呼吸休止が不規則的にみられる呼吸パターンのことである。呼吸中枢の未熟が原因と考えられていて、特別異常なことではないが、無呼吸発作の移行や、SPO2の低下、徐脈などが伴わないか観察が必要である。とはいえ、生理的に認められるため自然観察する。日齢とともに減少していく。
5.× 停留精巣とは、出生時の男児において、精巣の下降が不完全で陰嚢内に触知しない状態をさす。新生児期に5%前後にみられますが、1歳頃には1.5%前後の頻度になります。 生後6ヶ月までは自然下降が期待できると報告されている。