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26 日本の人口動態統計調査における周産期死亡率を求める式を示す。
( )に入るのはどれか。
1.妊娠満12週以後22週未満の死産数
2.人工妊娠中絶数
3.新生児死亡数
4.年間出生数
5.年間出産数
解答4
解説
周産期死亡率とは、妊娠満22週以後の死産数と早期新生児死亡数を合計したものを出生数と妊娠満22週以後の死産数を加えたもので除したものである。
【求め方】
周産期死亡率 = 年間周産期死亡数 ÷(年間出生数 + 年間の妊娠満22週以降の死産数)× 1000
したがって、選択肢4.年間出生数が設問中の( )に入る。
27 有床助産所で分娩の安全管理のために使用するもので、最も優先度が高いのはどれか。
1.分娩監視装置
2.携帯用保育器
3.超音波断層装置
4.血液ガス分析測定器
5.識別用ネームバンド
解答1
解説
助産業務ガイドライン2014の50ページ「6.分娩期の胎児心拍数聴取」の項では、「分娩期は、適宜、分娩監視装置による胎児心拍モニタリングを行うことが望ましい」とされており、「分娩監視装置による胎児心拍モニタリングが難しい場合、間欠的胎児心音聴取(中略)。子宮収縮に対する胎児心拍の変動について児の状態(well being)を評価する」となっています。また、「分娩第 1 期(入院時を含む)には分娩監視装置を一定時間(20 分以上)使用し、胎児心拍パターンを確認することが望ましい」と記載おり、分娩進行中必要時(いわゆるイベント発生時)とされる以下のような状況の時は 20 分以上の分娩監視装置装着が推奨されています。
1)破水時
2)羊水混濁あるいは血性羊水を認めた時
3)間欠的児心拍聴取で徐脈、頻脈を認めた時
4)分娩が急速に進行したり、排尿・排便後など、胎児の位置の変化が予測される場合
(※一部引用「助産所開業者及び助産所勤務助産師の皆様へ」公益社団法人日本助産師会より)
1.〇 正しい。分娩監視装置は最も優先度が高い。分娩監視装置とは、子宮収縮や胎児心拍、胎動の状態で調べられるものである。正常分娩急変時の分娩期における搬送までの対応例においても分娩監視装置による胎児心拍数モニタリングは必要である。
2.× 携帯用保育器より優先度が高いものが他にある。成入が一人で運ぶことのできる小さな箱であり、窓は小さく、着衣のまま新生児を入れるのでこどもの顔しか見ることができず、観察が不十分であり、こどもの状態に変化が起こっても、救急処置を行なうことができない。また、湯たんぼで保温するようになっているが、保温効果は不良で、短距離の輸送でも体温を維持することができないことがあげられる。
3.× 超音波断層装置より優先度が高いものが他にある。超音波断層装置とは、超音波装置を体にあてて、対象物に反響させたものを映像化し、モニターに映し出す画像検査法である。X線検査のような放射線被爆がないため、安全性が高い。診察室や病室でも使用できるほか、院外に持ち出せるポータブルタイプもあり、多くの臓器の診断に利用されている。特に妊娠中の母体に対して検査を行う際は多用される。
4.× 血液ガス分析測定器より優先度が高いものが他にある。血液ガス分析測定器の目的は大きく①酸素化を評価する、②呼吸(ガス交換)の状態を評価する、③ 酸塩基平衡を評価することである。
5.× 識別用ネームバンドより優先度が高いものが他にある。識別用ネームバンドとは、入院中に患者の手首に装着されるベルトのことである。患者識別のために用いられている。 医療安全において、ネームバンドを用いた患者誤認予防は、年々その重要性を増している。
28 閉経以降の女性に生じる身体変化の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.骨吸収は減少する。
2.中性脂肪は上昇する。
3.1型糖尿病が増加する。
4.LDLコレステロールは低下する。
5.HDLコレステロールは低下する。
解答2・5
解説
閉経は、加齢とともに卵胞が枯渇するため、卵巣からの卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少することで起こる。12か月以上の無月経を確認するか、黄体ホルモン剤を投与しても消退出血を認めないことにより診断する。閉経後も女性の体は変化し続け、①黄色のおりもの、②外陰部の乾燥感、③掻痒感を伴う萎縮性腟炎、④尿失禁、⑤心血管疾患(動脈硬化、高血圧、脳卒中)、⑥骨粗鬆症が出現する。特に萎縮性腟炎は繰り返し出現し、女性に不快感を与え、性交痛の原因にもなる。
1.× 骨吸収は、「減少」ではなく増加する。なぜなら、卵胞ホルモン(エストロゲン)は、骨形成を促進し、骨吸収を抑制する重要な作用があるため。骨吸収とは、その名の通り骨組織の吸収であり、つまり、破骨細胞が骨の組織を分解してミネラルを放出し、骨組織から血液にカルシウムが移動するプロセスである。
2.5.〇 正しい。閉経以降の女性に生じる身体変化として、中性脂肪は上昇する/HDLコレステロール(善玉コレステロール)は低下する。なぜなら、卵胞ホルモン(エストロゲン)は、脂質の代謝に深く関わっているため。血中中性脂肪値が上昇すると血中エストロゲン値が上昇し、それが胃由来のエストロゲンの分泌の増加によるものである。性周期の調節以外にも、摂食行動、脂肪合成、脂肪の血中への放出を抑制し、脂肪の蓄積・消費を促進する。ちなみに、HDLコレステロール血症(善玉コレステロール)とは、末梢から肝臓にコレステロールを運搬する作用がある。心筋梗塞の危険因子となるのは、高LDLコレステロール(悪玉コレステロール)血症、低HDLコレステロール血症である。
3.× 「1型糖尿病」ではなく2型糖尿病が増加する。1型糖尿病の原因として、自己免疫異常によるインスリン分泌細胞の破壊などがあげられる。一方、2型糖尿病の原因は生活習慣の乱れなどによるインスリンの分泌低下である。
4.× LDLコレステロールは、「低下」ではなく増加する。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)とは、全身の末梢血管にコレステロールを運ぶ作用を持つ。肝臓で主に代謝され、140mg/dL以上あると脂質異常症と診断される。
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
29 卵巣過剰刺激症候群が重症化した場合に注意する合併症はどれか。2つ選べ。
1.胸水
2.血栓症
3.高血圧症
4.腎盂腎炎
5.甲状腺機能低下症
解答1・2
解説
卵巣過剰刺激症候群とは、女性の卵巣は親指大ほど(3~4 cm)の臓器であるが、その中の卵(卵胞)が不妊治療における排卵誘発剤に過剰に刺激されることによって、卵巣がふくれ上がり、お腹や胸に水がたまる(胸水)などの症状が起こることをさす。卵巣が腫大し、腹水が貯まることにより腹部膨満感、体重増加、腹囲増加が認められる。次いで腹部膨満に伴う腹膜刺激によって下腹部痛、悪心、嘔吐が起こる。また、毛細血管の透過性亢進により血管外への水分・血漿成分の流出が引き起こされるため、血管内で血液の濃縮が起こり、のどの渇きや尿量の減少をきたす。重症例では、腎不全や血栓症など様々な合併症を引き起こす。卵巣過剰刺激症候群は重症になると様々な合併症を来たし、とても危険な状態になる場合があるので、早期に発見して対応することが大切である。薬による卵巣過剰刺激症候群は原因となった薬を中止することにより改善することが多いため、不妊治療中に「おなかが張る」、「はき気がする」、「急に体重が増えた」、「尿量が少なくなる」などの症状に気がついた場合は、速やかに医師・薬剤師に連絡を促す。
【患者側のリスク因子 】
• 若年
• やせ
• 多囊胞性卵巣症候群
• ゴナドトロピン製剤投与量の増加
• 血中エストラジオール値の急速な増加
• 卵巣過剰刺激症候群の既往
• 発育卵胞数の増加と生殖補助医療における採卵数の増加
• hCG投与量の増加、hCGの反復投与
• 妊娠成立
(※参考:「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」厚生労働省HPより)
1~2.〇 正しい。胸水/血栓症は、卵巣過剰刺激症候群が重症化した場合に注意する合併症である。卵巣過剰刺激症候群とは、女性の卵巣は親指大ほど(3~4 cm)の臓器であるが、その中の卵(卵胞)が不妊治療における排卵誘発剤に過剰に刺激されることによって、卵巣がふくれ上がり、お腹や胸に水がたまる(胸水)などの症状が起こることをさす。卵巣が腫大し、腹水が貯まることにより腹部膨満感、体重増加、腹囲増加が認められる。次いで腹部膨満に伴う腹膜刺激によって下腹部痛、悪心、嘔吐が起こる。また、毛細血管の透過性亢進により血管外への水分・血漿成分の流出が引き起こされるため、血管内で血液の濃縮が起こり、のどの渇きや尿量の減少をきたす。重症例では、腎不全や血栓症など様々な合併症を引き起こす。
3.× 「高血圧症」ではなく低血圧が起こる。卵巣過剰刺激症候群の発症機序については、ゴナドトロピン製剤などの投与により、腫大した卵巣から過剰のエストロゲンが分泌され、その作用により卵巣の毛細血管の透過性が高まり、アルブミンとともに血液中の水分が腹腔内に漏出する。その結果、循環血液量の減少をきたし、2 次的に血液濃縮が起こるため、ヘマトクリット値の上昇、低血圧、さらには頻脈をきたす。
4.× 「腎盂腎炎」ではなく腎不全をきたす。腎盂腎炎とは、尿を出すところから細菌(大腸菌など)が入り込み、膀胱から腎臓まで感染が広がることである。膀胱炎と同様に排尿時痛、頻尿、残尿感などの症状に加え、発熱、全身倦怠感などの全身症状、腰や背中の痛み、悪心、嘔吐などの消化器症状などがあげられる。
5.× 甲状腺機能低下症の原因として、脳腫瘍、脳外傷・やくも膜下出血後(十年以上して発症することも)、脳外科手術後、ラトケのう胞などの脳の病気や、下垂体前葉機能低下症の一症状として起こる場合、自己免疫性下垂体炎などがあげられる。症状として、無気力、疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、動作緩慢、記憶力低下、便秘などがあげられる。
30 妊娠後期における母体の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.子宮峡部は長くなる。
2.子宮頸部の強度は増す。
3.子宮胎盤血流量は増加する。
4.腟前庭は仙骨側に圧排される。
5.Braxton-Hicks<ブラックストン・ヒックス>収縮は前駆陣痛が出現すると消失する。
解答1・3
解説
妊娠後期とは、妊娠28~40週までのことで、おなかはますます大きくなり、張りを感じることも増えてくる時期である。
妊娠初期:妊娠1か月~4か月(妊娠0~15週)
妊娠中期:妊娠5か月~7か月(妊娠16~27週)
妊娠後期:妊娠8か月~10か月(妊娠28週~)
1.〇 正しい。子宮峡部は長くなる。子宮峡部とは、解剖学的内子宮口と組織学的内子宮口との間にある部位のことをいう。つまり、子宮の外に出て外側に向かって直進する細い部分で、非妊娠時には約1cm以下であるが、妊娠時には広く長くなる。とくに分娩時には抵抗なく容易に開大し、7~10cm程度になる。
2.× 子宮頸部の強度は「増す」のではなく低下する。つまり経過に伴い軟化していく。
3.〇 正しい。子宮胎盤血流量は増加する。正常妊娠は、循環血漿量の増加は妊娠5~6週頃に始まり、胎盤は妊娠16週頃にはほぼ原形が出来上がり、妊娠30~36頃には循環血漿量のピークとなり、最大50%、血漿量として1,500~2,000ml増加する。
4.× 腟前庭は、「仙骨側」ではなく恥骨側に圧排される。腟前庭とは、左右の小陰唇に囲まれた舟型のくぼみのことをいう。その中心が腟口である。
5.× Braxton-Hicks<ブラックストン・ヒックス>収縮は、前駆陣痛が出現すると「消失する」とはいえず出現しても生じる。Braxton-Hicks<ブラックストン・ヒックス>収縮とは、「偽陣痛、本陣痛への練習」 とも呼ばれており、本陣痛の時に感じる収縮と似ている。子宮口は開いていないが、不規則な子宮収縮をすることで、母体の子宮が出産への準備をしている。