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11 セルフヘルプグループ活動に該当するのはどれか。
1.祖父母を対象とした出産準備教室
2.出産経験者が運営に協力する母親教室
3.助産師による乳房マッサージの講習会
4.ペリネイタルロス<Perinatal Loss>を経験した母親の会
解答4
解説
自助グループ(セルフヘルプグループ、当事者グループ)に、同じ問題や悩みを抱える者同士が集まり、自分の苦しみを訴えたり、仲間の体験談を聞いたりすることで問題を乗り越える力を養っていくものである。同じ悩みをかかえる人々がコミュニティをつくって交流するもので、例えば、青年期のひきこもり状態にある者の支援として、同じような健康課題への対処能力を高めるために活動するグループをつくることが有効である。
1~3.× 祖父母を対象とした出産準備教室/出産経験者が運営に協力する母親教室/助産師による乳房マッサージの講習会は、セルフヘルプグループ活動に該当しない。なぜなら、出産準備教室/母親教室/講習会は、体系的で専門的な指導が受けられる一方で、一方的な知識の提供になりやすいため。
4.〇 正しい。ペリネイタルロス<Perinatal Loss>を経験した母親の会は、セルフヘルプグループ活動に該当する。ペリネイタルロス<Perinatal Loss>とは、流産・ 死産・新生児死亡で子どもを亡くした両親が「元気な子どもを産めない事実に直面する一方で、親であるという認識と同時に、夫婦や家族の気持ちに気づく」ことである。
12 助産所および院内助産の分娩において、助産師と産婦人科医師との協働管理をするのが望ましい対象者の要件に該当するのはどれか。
1.年齢30歳
2.身長155 cm
3.妊娠前BMI 22
4.前回妊娠35 週の早産
解答4
解説
①理学的所見のあるもの(身長150cm未満、非妊時BMI 18.5未満または25以上、年齢35歳以上)
②産科以外の既往または合併症
③産科的既往がある妊婦、妊娠中の発症を認めないもの(妊娠高血圧症候群の既往、常位胎盤早期剝離の既往、妊娠34~36週の早産の既往)
④異常妊娠経過が予測される妊婦、妊娠中に発症した異常
※詳しくは下図参照
1.× 年齢30歳ではなく年齢35歳以上である。
2.× 身長155 cmではなく身長150cm未満である。
3.× 妊娠前BMI 22ではなく「非妊時BMI 18.5未満または25以上」である。
4.〇 正しい。前回妊娠35 週の早産は、助産所および院内助産の分娩において、助産師と産婦人科医師との協働管理をするのが望ましい対象者の要件に該当する。③産科的既往がある妊婦、妊娠中の発症を認めないものに該当し、そこには他にも妊娠高血圧症候群の既往、常位胎盤早期剝離の既往が記載されている。
(※図引用:「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」助産業務ガイドライン 2019より)
13 Aさん(26歳、初妊婦)。留学生。妊娠9週。来日2年目。Aさんのパートナーも留学生で、2人ともアルバイトをしながら学業を継続している。日本での出産を希望している。出産費用が心配になり、助産師に相談してきた。
Aさんが出産育児一時金を支給されるための条件はどれか。
1.自国の大使館に妊娠届を提出していること
2.日本の公的医療保険に加入していること
3.母子健康手帳を交付されていること
4.日本で婚姻届けを提出していること
解答2
解説
・Aさん(26歳、初妊婦、留学生、妊娠9週、来日2年目)
・Aさんのパートナーも留学生で、2人ともアルバイトをしながら学業を継続している。
・日本での出産を希望している。
・出産費用を心配している。
→出産育児一時金とは、健康保険法に基づき、日本の公的医療保険制度の被保険者が出産したときに支給される手当金(1児ごとに42万円)である。そもそも正常な出産のときは病気とみなされないため、定期健診や出産のための費用は自費扱いとなる。出産育児一時金は直接支払制度となっている。直接支払制度とは、出産育児一時金42万円が直接医療機関に支払われる制度であり、分娩後、褥婦は医療機関に保険証を提示し、所定の合意書に記載することでこの制度を利用する。出産費用が出産育児一時金の額より少ない場合、その差額を被保険者等に支給する。したがって、日本の公的医療保険に加入していることが条件となる。
1.3~4.× 自国の大使館に妊娠届を提出していること/母子健康手帳を交付されていること/日本で婚姻届けを提出していることは、出産育児一時金を支給されるための条件には該当しない。出産育児一時金を支給されるための条件には、①妊娠4ヵ月(85日)以上の出産であること(早産、死産、流産、人工妊娠中絶(経済的理由によるものも含む)、②資格喪失日の前日(退職日)までに継続して1年以上被保険者期間(任意継続被保険者期間は除く)があること、③資格喪失後(退職日の翌日)から6ヵ月以内の出産であることがあげられている。
2.〇 正しい。日本の公的医療保険に加入していることは、出産育児一時金を支給されるための条件である。出産育児一時金とは、健康保険法に基づき、日本の公的医療保険制度の被保険者が出産したときに支給される手当金(1児ごとに42万円)である。そもそも正常な出産のときは病気とみなされないため、定期健診や出産のための費用は自費扱いとなる。出産育児一時金は直接支払制度となっている。直接支払制度とは、出産育児一時金42万円が直接医療機関に支払われる制度であり、分娩後、褥婦は医療機関に保険証を提示し、所定の合意書に記載することでこの制度を利用する。出産費用が出産育児一時金の額より少ない場合、その差額を被保険者等に支給する。したがって、日本の公的医療保険に加入していることが条件となる。
<事例11>
日本で留学中の外国人女性が妊娠し、クリニックで分娩することになった。
① 留学生が妊娠中に受けることができる支援は?
② 分娩後に母児が受けることができる支援は?
【Answer】
① 外国人留学生の妊婦は、日本人が受けられる支援と同様のものを受けることができる。
母子健康手帳交付はもちろんのこと、産科医療補償制度や助産制度、出産育児一時金制度などの妊産婦にかかわる制度を利用することができる。妊婦が日本の出産・育児制度が分からなかったり、日本語が不十分といった場合は、外国語併記の妊娠・子育てに関する資料を提供することができる。また、コミュニケーションをとる際に日本語が不十分であれば、医療通訳を提供する自治体や民間のサービスを利用することも可能である。
留学生の場合の注意点としては、出産・育児で学校を欠席する場合は在籍する学校および入国管理局に届け出をしないと出席率などの関係で在留資格に影響を及ぼす場合があるため、欠席する前の早い段階で確認するよう促すことが必要である。
② 住民登録をしている自治体の母子保健担当が行っている母子訪問や乳幼児健診を受けることができる。生まれた子どもは自治体からの接種券を利用し予防接種を受けることができる。
(※一部引用:「(1)外国人住民のための出産・育児支援について」日本産婦人科医会HPより)
(※一部引用:「(1)外国人住民のための出産・育児支援について」日本産婦人科医会HPより)
14 肥満が疾患発症のリスク因子となるのはどれか。
1.胞状奇胎
2.卵管妊娠
3.子宮腺筋症
4.子宮内膜癌
5.成熟囊胞性奇形腫
解答4
解説
肥満のリスク因子として、糖尿病や高血圧症など生活習慣病に関与することが多い。生活習慣病は、「食習慣、運動習慣、休養の取り方、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・進展に関与する疾患群」と定義されている。生活習慣病の背景因子として、①遺伝性因子、②環境因子、③生活習慣因子が考えらえているが、「生活習慣因子」は生活習慣病の積極的予防に最も重要な要素とされている。
1.× 胞状奇胎の原因として、妊娠成立時の精子と卵子の受精の異常(遺伝学的には雄核発生)によっておこる。胞状奇胎とは、異常な受精卵が増殖したもの、あるいは胎盤の組織が過剰に増殖したものである。患者は妊娠したように見えるが、子宮は正常な妊娠時と比べてはるかに速く大きくなる。ほとんどの場合、吐き気や嘔吐がひどく、性器出血や著しい血圧上昇がみられる。
2.× 卵管妊娠(子宮外妊娠、異所性妊娠)の原因として、性感染症であるクラミジアや一般細菌などへの感染が卵管付近の炎症を引き起こしたり、卵管の癒着につながったりするとされている。卵管妊娠(子宮外妊娠、異所性妊娠)とは、正常妊娠と異なり、受精卵が子宮内膜以外に着床し、胎芽・胎児の発育が進んでしまうことである。最も多いのは卵管に着床するケースで、そのほかに卵巣や腹腔、子宮頸管などに着床することもある。全妊娠数の1%程度で発症する。
3.× 子宮腺筋症の原因として、妊娠が挙げられ、若い頃に人工妊娠中絶を受けたり、子宮内膜症と同じ原因で発生することがある。つまり、若い頃から月経痛が強い人(女性ホルモンの影響)に発生しやすい。ちなみに、子宮腺筋症とは、子宮内膜に類似した組織が子宮平滑筋組織の中に出来る疾患で、月経痛や月経血量の過多などの症状を来す。女性ホルモン(エストロゲン)が子宮腺筋症を進展・増悪させ、月経が有る限り、子宮腺筋症は進行していく。子宮腺筋症の病変が有ると、その部分の子宮筋層が肥厚する。
4.〇 正しい。子宮内膜癌(子宮体癌)は肥満が疾患発症のリスク因子となる。子宮内膜癌(子宮体癌)とは、子宮の内側を覆う子宮内膜と呼ばれる場所に発生する腺癌である。閉経後に多く、ライフスタイル(肥満や糖尿病、 エストロゲンの単独服用、不妊など)がリスクとなる。
5.× 成熟囊胞性奇形腫(皮様嚢腫)の原因は、解明されておらず妊娠や検診を契機に診断されることも少なくない。成熟囊胞性奇形腫(皮様嚢腫)とは、脂肪、髪の毛、歯などが溜まった腫瘍で全卵巣腫瘍の15~25%を占め、あらゆる年代に見られるが特に20~40代(約8割)に多く見られる。
15 女性において肝周囲炎をきたすのはどれか。
1.放線菌
2.カンジダ属
3.性器クラミジア
4.B群溶血性レンサ球菌
5.ヒト免疫不全ウイルス<HIV>
解答3
解説
肝周囲炎とは、肝臓を包む皮膜に病原体が感染し、発熱や疼痛をきたす疾患のことである。骨盤内感染を経て肝周囲炎にいたったものを「フィッツ・ヒュー・カーティス症候群」という。多くは産道から卵管を通じて、骨盤腔・腹腔内と病原体が波及し、肝皮膜に到達することにより発症する。
1.× 放線菌に感染した状態(放線菌症)となると、慢性の腹痛、発熱、嘔吐、下痢または便秘、重度の体重減少が起こる。腹腔内とその近くの皮膚の間や、腸と別の臓器の間に瘻孔ができることがある。
2.× カンジダ属による感染症は大きく分けて①表在性カンジダ症と②深在性カンジダ症とがある。 ①表在性カンジダ症の代表的な疾患としては、口腔咽頭カンジダ症(鷲口瘡)、外陰・膣カンジダ症、カンジダ皮膚炎などがある。 口腔咽頭カンジダ症では、粘膜に白苔が認められ口腔異常感、味覚異常や疼痛など自覚される。
3.〇 正しい。性器クラミジアは女性において肝周囲炎をきたす。性器クラミジアは、性行為を介して腟内に侵入し、感染後1~3週間で子宮頸管炎を発症する。子宮頸管粘膜で増殖し、子宮内膜や子宮付属器、腹腔内へと広がり、子宮内膜炎や子宮付属器炎、骨盤腹膜炎を発症し、上腹部まで感染が広がると、肝臓周囲の炎症・癒着を引き起こし、肝周囲炎となる。
4.× B群溶血性レンサ球菌は、腸や腟などに存在する常在細菌の一種で、多くの人が保有しており無症状である場合が多い。 一方、妊婦の方が感染していると出産時の産道感染などにより、新生児がB群連鎖球菌感染症を起こす。
5.× ヒト免疫不全ウイルス<HIV>は、人の免疫細胞に感染してこれを破壊し、最終的に後天性免疫不全症候群を発症させるウイルスである。ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症に対する治療法は飛躍的に進歩しており早期に発見することでエイズの発症を予防できるようになってきている。しかし、治療を受けずに自然経過した場合、免疫力の低下により様々な障害が発現する。
女性のクラミジア性器感染症は、放置すると子宮頚部から腹腔内へと進展し、子宮付属器炎や骨盤内炎症性疾患も発症する。しかし、無症状である場合が多く、卵管障害や卵管性不妊症が判明して、はじめて診断されるケースもある。そういう意味で、女性のクラミジア感染症は、男性に比して症状が軽度である一方で、合併症や後遺症などが深刻な問題になる場合が多いといえる。一般的にクラミジアによる症状は非特異的で、帯下(おりもの)増量、不正出血、下腹痛、性交痛などである。主な合併症:①子宮頸管炎、②子宮付属器炎、③骨盤腹膜炎、④肝周囲炎、⑤咽頭感染などである。