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76 看護師Aが患者Bの点滴ボトルに薬剤を注入しているとき、新人看護師から患者Cについて相談を受けた。看護師Aが作業を中断し新人看護師に対応した後、患者Bの点滴ボトルに患者Cの名前を記入するというヒヤリハットが発生した。
この病棟の看護師長が行う再発防止策で適切なのはどれか。
1.看護師Aに対策を考えさせる。
2.看護師Aを注射の業務から外す。
3.作業中断の対策を病棟チームで検討する。
4.再発防止カンファレンスを1か月後に計画する。
解答3
解説
【看護師Aのヒヤリハット】
・患者Bの点滴ボトルに薬剤を注入している。
・新人看護師から患者Cについて相談を受けた。
・看護師Aが作業を中断。
・新人看護師に対応した。
・患者Bの点滴ボトルに患者Cの名前を記入した。
→インシデントとは、適切な対処がなされなかった場合に事故となる可能性を含んだ事象を示し、ヒヤリ・ハットともいう。インシデントは当事者だけでなく皆でなぜ起こったのかなどを共有し話し合うことで、同じインシデントの防止のための対策を立てることができる。インシデントを組織全体で共有・分析し、問題拍出して、事故防止策を検討することで再発を防止できる。
1.× 対策を考えるのは、「看護師Aのみ」ではなく、病棟全体で考える。なぜなら、インシデントを組織全体で共有・分析し、問題拍出して、事故防止策を検討することで再発を防止できるため。
2.× 看護師Aを注射の業務から外す必要はない。なぜなら、全ての看護師が同様の問題を起こす可能性があるため。再発防止策を検討することが適切である。
3.〇 正しい。作業中断の対策を病棟チームで検討する。インシデントとは、適切な対処がなされなかった場合に事故となる可能性を含んだ事象を示し、ヒヤリ・ハットともいう。インシデントは当事者だけでなく皆でなぜ起こったのかなどを共有し話し合うことで、同じインシデントの防止のための対策を立てることができる。インシデントを組織全体で共有・分析し、問題拍出して、事故防止策を検討することで再発を防止できる。
4.× 再発防止カンファレンスは、「1か月後に計画する」のではなく早急に対策を検討する。なぜなら、1か月の間で、同じインシデントを起こしかねないため。早急に対応し、同様の問題を繰り返さない。
77 日本における政府開発援助(ODA)の実施機関として正しいのはどれか。
1.国際協力機構(JICA)
2.世界保健機関(WHO)
3.国連児童基金(UNICEF)
4.国連世界食糧計画(WFP)
解答1
解説
国際協力機構とは、開発途上地域に対する技術協力の実施、無償資金協力の実施の促進、開発途上地域の住民を対象とする国民等の協力活動の促進に必要な業務等を行い、これらの地域等の経済及び社会の発展または復興に寄与し、国際協力の促進に資することを目的とする。
設置年:昭和49(1974)年
協力形態:二国間協力
事業内容:①技術協力(専門家の派遣、研究員の受け入れ)、②有償・無償資金協力、③ボランティア派遣(青年海外協力隊など)、④国際緊急援助
備考:国際緊急援助では、大規模災害時、被災国政府等の要請に応じ、国際緊急援助隊が派遣されている。
青年海外協力隊とは、日本国政府が行う政府開発援助 の一環として、外務省所管の独立行政法人国際協力機構 が実施する海外ボランティア派遣制度である。
(※参考:「(1)独立行政法人 国際協力機構(JICA)」外務省HPより)
1.〇 正しい。国際協力機構(JICA)は、日本における政府開発援助(ODA)の実施機関である。国際協力機構(JICA)とは、開発途上地域に対する技術協力の実施、無償資金協力の実施の促進、開発途上地域の住民を対象とする国民等の協力活動の促進に必要な業務等を行い、これらの地域等の経済及び社会の発展または復興に寄与し、国際協力の促進に資することを目的としている。
2.× 世界保健機関(WHO)は、スイスのジュネーブに本部がある国際機関である。「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国連の専門機関である。目的は、「すべての人が可能な最高の健康水準に到達すること」であり、①発展途上国への国際保健協力、②感染症およびその他の疾病(エイズ・結核・マラリア等)の撲滅事業、③国際疾病分類(ICD)の作成などが活動である。
3.× 国連児童基金(UNICEF)は、ニューヨークに本部がある国際機関である。国連児童基金(UNICEF)とは、第二次世界大戦によって荒廃した国々の子どもたちに緊急の食料を与え、健康管理を行う目的で1946年に設立された。 ユニセフは開発途上国の子どもや母親に長期の人道援助や開発援助を行う。 ユニセフは緊急援助基金から開発機関へと発展した。
4.× 国連世界食糧計画(WFP)は、ローマに本部がある国連の機関である。飢餓のない世界を目指して活動している。紛争や武力衝突のほか、干ばつ、洪水や農作物被害といった自然災害の緊急事態の際に、必要とされる場所に速やかに食糧支援を届けるなどの活動をしている。食糧支援の形式のひとつとして学校給食プログラムを実施している。
世界保健機関とは、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国連の専門機関である。
設置年:昭和23(1948)年
本部:ジュネーブ(スイス)
協力形態:多国間交流
事業内容:発展途上国への国際保健協力、感染症およびその他の疾病(エイズ・結核・マラリア等)の撲滅事業、国際疾病分類(ICD)の作成
備考:①WHOの構成組織である地域的機関は、6つ(アフリカ、アメリカ、東南アジア、ヨーロッパ、東地中海、西太平洋)あり、日本は西太平洋に所属している。②194か国加盟 (2018年4月時点)、③たばこ規制枠組み条約:たばこの消費等が健康に及ぼす悪影響から現在および将来の世代を保護することを目的とし、たばこに関する広告、包装上の表示等の規制及びたばこの規制に関する国際協力について規定。
(※参考:「日本とWHO」厚生労働省HPより)
78 災害に関する記述で正しいのはどれか。
1.災害時の要配慮者には高齢者が含まれる。
2.人為的災害の被災範囲は局地災害にとどまる。
3.複合災害は同じ地域で複数回災害が発生することである。
4.発災直後に被災者診療を行う場では医療の供給が需要を上回る。
解答1
解説
1.〇 正しい。災害時の要配慮者には、高齢者が含まれる。避難所生活とは、何らかの特別な配慮を必要とする要配慮者(具体的には、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、病弱者など)のための施設である。老人福祉施設や養護学校などを利用するが、不足する場合は公的な宿泊施設などに福祉避難所として機能するための物資・器材、人材を整備し活用する。
2.× 人為的災害の被災範囲は、局地災害にとどまるとは限らない。なぜなら、福島原子力発電所の事故のような広域災害もあるため。人為的災害とは、人が起こした事故、自然破壊、環境汚染など、人間の何らかの行ないが原因となって起こる災害のことをいう。ちなみに、局地災害とは、局地的な災害のことで、例えば列車による鉄道災害、道路上での交通事故、危険物等の爆発・漏洩等による危険物災害、航空機災害などにおける事故である。
3.× 複合災害は、「同じ地域で複数回災害が発生すること」ではなく、自然災害や人為的災害などの同種または異種の災害が同時に発生することである。例えば、東日本大震災における①地震・②津波・③原発事故の災害などである。
4.× 逆である。発災直後に被災者診療を行う場では、「医療需要(患者数)」が「医療供給(薬剤や医療資機材)」を上回る。なぜなら、発災直後は負傷者が多く、医療物資や機関は失われている場合が多いため。したがって、DMAT(災害派遣医療チーム)が派遣される。DMAT(災害派遣医療チーム)の特徴として、①都道府県の派遣要請に基づく。②災害の急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性をもつ。③主な活動は、広域医療搬送、病院支援、地域医療搬送、現場活動などである。
79 血漿の電解質組成を陽イオンと陰イオンに分けたグラフを示す。
矢印で示すのはどれか。
1.ナトリウムイオン
2.カリウムイオン
3.リン酸イオン
4.塩化物イオン
5.重炭酸イオン
解答5
解説
1.× ナトリウムイオン(Na+)は、血漿中で最も多い陽イオンである。ナトリウムイオンは、主にカリウムとともに体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持している。他にも、酸・塩基平衡、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送、水分を保持しながら細胞外液量や循環血液の量を維持し、血圧を調節している。
2.× カリウムイオン(K+)は、細胞内液で最も多い陽イオンである。カリウムは、細胞内の主要な陽イオンであり、体内のカリウムのほとんどが細胞内に分布しているため、溶血が起きると、血清カリウムの濃度が上昇する。溶血の原因としては、①不適切な採血手技、②血球成分の異常、③採血検体の不適切な保存が主に挙げられる。
3.× リン酸イオン(HPO42-)は、細胞内液で最も多い陰イオンである。リン酸イオン(リン)は、リンは骨や歯の正常な発達に不可欠な成分である。生体内のリン酸濃度は、副甲状腺ホルモンなどの働きにより、腎臓からの再吸収や、骨への沈着と骨から血液中への溶出を制御することで一定に保たれている。
4.× 塩化物イオン(CI-)は、血漿中では最も多い陰イオンである。塩化物イオンは、胃酸の主成分で、胃で食べ物を殺菌したり、消化を助けたりしている。
5.〇 正しい。重炭酸イオン(HCO3-)は、血染中では酸塩基平衡に重要な陰イオンである。図の矢印部分は、陰イオンの1/5程度なので、重炭酸イオンである。重炭酸イオンは、体が酸性に傾いたとき、腎臓によって、血液中に重炭酸イオン(アルカリ性物質)を放出し、アシドーシスを防ぐ働きをする。
電解質異常とは、体内の電解質バランスが崩れることによって引き起こされる病気のことである。電解質とは、体内の液体に存在するイオン(带電粒子)のことで、主なものにナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、カルシウム(Ca2+)、マグネシウム(Mg2+)などがある。電解質異常は、体液の浸漏や脱水、腎臓や腸の異常、薬剤などによって引き起こされる。症状は異常によって異なる。
類似問題です↓
80 血液中のカルシウムイオン濃度が低下した際に、ホルモン分泌量が増加するのはどれか。
1.膵島
2.甲状腺
3.下垂体
4.副腎皮質
5.副甲状腺
解答5
解説
カルシウムイオンは、生体内の主要な陽イオンの1つで、血液の細胞外液中におけるその濃度は約1%である。骨石灰化や、心臓および骨格筋系の収縮、神経筋伝達、ホルモン分泌や血液凝固における一連の反応に寄与する。
1.× 膵島とは、膵臓のランゲルハンス島のことをいう。膵島から、インスリン(血糖値低下)、グルカゴン(血糖値上昇)、ソマトスタチン(インスリンやグルカゴンの分泌抑制)が分泌される。
2.× 甲状腺から、甲状腺ホルモンが分泌される。細胞の代謝を維持したり、他のホルモンの作用を増強したりする作用をもつ。甲状腺刺激ホルモンにより分泌が促進される。
3.× 下垂体の前葉、後葉からそれぞれホルモンが分泌される。下垂体前葉から分泌されるホルモンは、①成長ホルモン(欠損すると小人病)、②甲状腺刺激ホルモン、③副腎皮質刺激ホルモン(欠損するとアジソン病)、④性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン・黄体形成ホルモン)、⑤プロラクチン(催乳ホルモン)が分泌される。ちなみに、下垂体後葉から分泌されるホルモンは、オキシトシンとバソプレシン(抗利尿ホルモン)である。
4.× 副腎皮質から、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などが分泌される。コルチゾールは、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。
5.〇 正しい。副甲状腺は、血液中のカルシウムイオン濃度が低下した際に、ホルモン(パラトルモン)分泌量が増加する。副甲状腺ホルモン (PTH:パラトルモン)は、副甲状腺から分泌される。腎臓のカルシウム再吸収およびリンの排泄促進作用などがあり、血中のカルシウム濃度を上昇させる。つまり、副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌が低下すると、血中カルシウム濃度が低下する。それに伴い、しびれ感、テタニー(手指の不随意な筋収縮)、けいれんなどの症状が起こる。