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次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(28歳、女性)は、両親と3人で暮らしている。24歳のときに統合失調症を発症し治療を開始している。Aさんは大学卒業後に一度就職したが、発症後に退職し、現在も無職である。2週前から元気がなく、自室に引きこもって独り言を言っているのが目立つようになったため、両親同伴で外来を受診した。両親からは、1年前から便秘が続き、Aさんが薬の副作用(有害事象)を気にするようになったという話があった。
106 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1.「薬は飲まないといけません」
2.「薬には副作用があるものですよ」
3.「便秘は副作用ではありませんよ」
4.「便秘の対処方法を一緒に考えましょう」
解答4
解説
・Aさん(28歳、女性、24歳:統合失調症)
・3人暮らし(両親)
・大学卒業後:一度就職、発症後に退職、現在も無職。
・2週前:元気がなく、自室に引きこもって独り言が目立つ。
・両親同伴で外来を受診した。
・両親から「1年前から便秘が続き、Aさんが薬の副作用を気にするようになった」と。
→本症例は、統合失調症の急性期である。統合失調症の急性期は、①安心感、満足感の提供、②生活リズムの回復、③身体感覚の回復、④身辺処理能力の回復(回復期前期)をはかる。本症例の場合、薬物治療による副作用を気にして、自己判断にて内服を中断した可能性が考えられる。その結果、統合失調症の症状が悪化したと考えられる。
1.× 「薬は飲まないといけません」と伝える優先度は低い。なぜなら、Aさんは、内服の必要性を理解していなかったのではなく、便秘の副作用を気にして拒薬した可能性があるため。
2.× 「薬には副作用があるものですよ」と伝える優先度は低い。なぜなら、副作用を気にして内服を拒否している可能性がある患者に対してのこの発言は、患者の気持ちをまったく理解しておらず、患者の不信を招くため。
3.× 「便秘は副作用ではありませんよ」と伝える優先度は低い。なぜなら、看護師の発言が虚偽となるため。抗精神病薬の副作用には、抗コリン作用による口渇・便秘・尿閉・起立性低血圧などがある。
4.〇 正しい。「便秘の対処方法を一緒に考えましょう」と伝える。なぜなら、両親から「1年前から便秘が続き、Aさんが薬の副作用を気にするようになった」という情報から、Aさんは便秘を気にして内服を中断した可能性があるため。したがって、便秘の対処法を一緒に考え、患者の気がかりをともに解決していくことが必要である。
統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。
(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)
次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(28歳、女性)は、両親と人で暮らしている。24歳のときに統合失調症を発症し治療を開始している。Aさんは大学卒業後に一度就職したが、発症後に退職し、現在も無職である。2週前から元気がなく、自室に引きこもって独り言を言っているのが目立つようになったため、両親同伴で外来を受診した。両親からは、1年前から便秘が続き、Aさんが薬の副作用(有害事象)を気にするようになったという話があった。
107 診察では幻聴の悪化が認められたため、薬物治療の見直しが行われた。その後、定期的に両親同伴で外来通院を続けた。3か月後、幻聴は改善傾向を示し、規則正しい生活ができるようになった。外来の診察で、悪化した原因を改めて振り返ったところ、Aさんは「半年前から家族に分からないように薬をトイレに捨てていた」と話した。診察後、Aさんからそれを聞いた両親が、医師や看護師の目の前でAさんを大きな声で叱ると、Aさんの表情は険しくなった。
Aさんの両親に勧めるものとして適切なのはどれか。
1.心理教育
2.内観療法
3.自律訓練法
4.精神分析療法
解答1
解説
・Aさん(28歳、女性、24歳:統合失調症)
・3人暮らし(両親)
・両親から「1年前から便秘が続き、Aさんが薬の副作用を気にするようになった」と。
・診察:幻聴の悪化が認め、薬物治療の見直しへ。
・その後:定期的に両親同伴で外来通院を続けた。
・3か月後:幻聴は改善傾向、規則正しい生活ができる。
・Aさんは「半年前から家族に分からないように薬をトイレに捨てていた」と。
・両親が、医師や看護師の目の前でAさんを大きな声で叱ると、Aさんの表情は険しくなった。
→本症例は、28歳の女性で、大学や就職の経験もある。両親が、医師や看護師の目の前でAさんを大きな声で叱る行為自体が、本症例に過度なストレスを加えかねない。その結果、統合失調症の増悪になりかねない。したがって、家族の指導や教育が必要と考えられる。
1.〇 正しい。心理教育をAさんの両親に勧める。心理教育とは、精神保健問題を抱える患者本人および家族に対して、エンパワーメントおよび最善の対応法を教える患者教育である。 多くの場合、統合失調症、うつ病、不安障害、慢性疾患、摂食障害、パーソナリティ障害によく実施される。
2.× 内観療法とは、吉本伊信の内観法(修養法の一種)を基にした精神療法で、「してもらったこと」、「して返したこと」、「迷惑をかけたこと」の3点に絞って具体的な事実を想起する。両親に勧めるものとして適切とはいえない。内観療法は、アルコールや薬物依存・適応障害の治療法として効果があるといわれている。
3.× 自律訓練法とは、ドイツの精神科医シュルツによって開発されたもので、緊張をゆるめて心身ともにリラックスさせるのに効果的で、代表的な方法である。ストレス緩和、心身症、神経症などに効果がある。両親に勧めるものとして適切とはいえない。
4.× 精神分析療法とは、フロイトによる精神分析学を基にした精神療法で、患者の心に浮かんだ自由連想を用いて患者の無意識下にある問題の原因を分析するものである。神経症性障害患者に効果があるといわれている。両親に勧めるものとして適切とはいえない。
EE< expressed emotion >とは、感情表出のことである。患者と接するときに家族に生じた主に否定的な感情を家族がありのままに表すことをいう。感情表出(EE)の強い(高い)家族のもとでは患者の症状は悪化しやすいとされるため、患者との接触を増やし、家族には家族心理教育では感情表出を抑えるような指導教育が行われる。
【3つのタイプ】
①批判的な感情表出:患者に対して不満や文句を言う。
②敵意のある感情表出:敵意的な感情をぶつける。
③情緒的に巻き込まれている感情表出:過保護や過干渉、少しのことで泣き崩れたり、冷静さを失うようなことも含まれる。
次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(28歳、女性)は、両親と人で暮らしている。24歳のときに統合失調症を発症し治療を開始している。Aさんは大学卒業後に一度就職したが、発症後に退職し、現在も無職である。2週前から元気がなく、自室に引きこもって独り言を言っているのが目立つようになったため、両親同伴で外来を受診した。両親からは、1年前から便秘が続き、Aさんが薬の副作用(有害事象)を気にするようになったという話があった。
108 さらに3か月後、家事の手伝いができるようになり、家庭内で落ち着いた日常生活を送れるようになった。Aさんは「自分のことは自分でできるようになって、将来はまた働きたい」と話すようになり、社会復帰に向けて社会資源の利用を検討することになった。
この時点でAさんに紹介する社会資源で適切なのはどれか。(※解2つ)
1.就労移行支援
2.地域活動支援センター
3.居宅介護<ホームヘルプ>
4.短期入所<ショートステイ>
5.共同生活援助<グループホーム>
解答1/2(複数の選択が正解としている)
理由:複数の正解があるため。
解説
・Aさん(28歳、女性、24歳:統合失調症)
・3人暮らし(両親)
・大学卒業後:一度就職、発症後に退職、現在も無職。
・さらに3か月後:家事の手伝いができ、家庭内で落ち着いた日常生活を送れる。
・Aさん「自分のことは自分でできるようになって、将来はまた働きたい」と。
・社会復帰に向けて社会資源の利用を検討することになった。
→本症例は、統合失調症の維持期である。統合失調症の維持期の場合、退院後の再発防止や体力つくり、よりよい生活の獲得が目標になる。Aさんは家庭内で落ち着いた日常生活が送れており、将来就労を希望していることから、社会復帰に向けた社会資源の提案が望ましい。
1.〇 正しい。就労移行支援は、Aさんに紹介する社会資源である。就労移行支援とは、一般就労などを希望する就業が可能と思われる65歳未満の障害者に対して、知識・能力の向上、実習、職場探しなどを通じ、適性に合った職場への就労が見込まれる障害者を対象としたサービスである。事業所内での作業などを通じた訓練、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援などを実施する。就労移行支援の期限は2年(特例で3年)である。
2.〇 正しい。地域活動支援センターは、Aさんに紹介する社会資源である。地域活動支援センターとは、『障害者総合支援法』によって定められた障害によって働くことが困難な障害者の日中の活動をサポートする福祉施設である。地域で生活している身体障害者、精神障害者、知的障害者などが利用できる通所施設で、社会適応訓練も行っている。創作的活動または生産活動の機会の提供および社会との交流などの支援を行う施設である。
3.× 居宅介護とは、ホームヘルプともいい、デイサービスを中心に訪問介護やショートステイを組み合わせ、在宅での生活の支援や、機能訓練を行うサービスで、居宅・通所・短期入所を状況に応じて組み合わせて行うものである。Aさんは、日常生活が自立していることから優先度は低い。
4.× 短期入所とは、ショートステイともいい、利用者が可能な限り自己の生活している居宅において、その有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができるように、利用者に短期間入所してもらい、入浴、排泄、食事などの介護や日常生活上の世話及び機能訓練を行うサービスである。Aさんは、日常生活が自立していることから優先度は低い。
5.× 共同生活援助とは、グループホームともいい、『障害者総合支援法』の訓練等給付のひとつであり、ひとりで生活できない障害者が共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を受けるものである。主に夜間や休日に精神障害者が共同生活を営む住居で、食事の世話・服薬指導など、相談や日常生活の援助を行う。Aさんは、日常生活が自立していることから優先度は低い。
統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。
109 訪問看護師が行う母親への経管栄養法の指導で適切なのはどれか。
1.注入する前に排便させる。
2.注入中は側臥位を保つようにする。
3.カテーテルは毎日場所を変えて固定する。
4.家族と同じ食事を流動食にして注入する。
解答3
解説
・Aちゃん(6歳、女児、重症の新生児仮死)
・誤嚥性肺炎で入退院を繰り返している。
・今回の入院:経鼻経管栄養法を導入。
・退院後:週1回の訪問看護を利用する。
・現在:四肢と体幹の著しい運動障害、姿勢保持が困難、移動および移乗は全介助。
・声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。
→経鼻経管栄養は、鼻の穴からチューブを挿入して胃や腸まで通し、栄養剤を注入する方法である。特別な手術が不要で、必要な栄養素を比較的容易に摂取することが可能である。胃食道逆流や誤嚥性肺炎などの合併症を引き起こすリスクがあるため、短期間で口から栄養を摂れるまで回復すると見込まれる場合など、一時的な処置として行われる。
1.× 必ずしも毎回、注入する前に排便させる必要はない。なぜなら、経管栄養法のデメリットとして、規則的な排便が困難(下痢)になりやすいため。注入により胃・腸管の嬬動運動が活発になる。ちなみに、経腸栄養剤の投与時に、悪心、嘔吐、腹痛、腹部膨満や下痢などの消化器系合併症が起こることがある。その中でも下痢はもっとも発生頻度が高く、栄養状態の低下を招くとともに、経腸栄養を中止せざるを得ない大きな要因となる。
2.× 注入中は、「側臥位」ではなく、30~90度の座位(半座位)を保つようにする。なぜなら、栄養剤の逆流や誤嚥を防ぐため。本症例は姿勢保持が困難なため、ベッドのギャッジアップやクッションなどを用い体位を保持する必要がある。
3.〇 正しい。カテーテルは、毎日場所を変えて固定する。なぜなら、毎日場所を固定すると、固定するテープの粘着成分やカテーテルの圧迫により皮膚トラブルが生じやすいため。毎日場所を変えて、皮膚の観察、テープの貼り替えを毎日行う。ちなみに、小児では、鼻尖部と頬の2か所に固定をすることが一般的である。
4.× 家族と同じ食事を流動食にして注入する必要はない。なぜなら、栄養剤は医師が処方するものであるため。本症例にあった消化機能や栄養状態を含めて処方してもらえる。
新生児仮死とは、出生時における新生児の呼吸循環不全を主徴とする症候群である。胎児期および分娩中に生じた低酸素血症に起因することが多く、全分娩の2~9%に発生する。誘因となる基礎疾患は多岐(高齢初産、薬物使用、ショックなど)にわたる。新生児仮死は胎児ジストレスに引き続き発症することが多い。
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。
110 訪問看護師は、Aちゃんの誤嚥性肺炎を予防するケアの方法を母親に指導することにした。
母親が行うAちゃんへのケアとして適切なのはどれか。
1.腹式呼吸を促す。
2.咳嗽の訓練を行う。
3.胸郭可動域の訓練を行う。
4.含嗽液を用いてうがいをさせる。
解答3
解説
・Aちゃん(6歳、女児、重症の新生児仮死)
・誤嚥性肺炎で入退院を繰り返している。
・今回の入院:経鼻経管栄養法を導入。
・退院後:週1回の訪問看護を利用する。
・現在:四肢と体幹の著しい運動障害、姿勢保持が困難、移動および移乗は全介助。
・声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。
・訪問看護師:誤嚥性肺炎を予防するケアの方法を母親に指導する。
→本症例は、誤嚥性肺炎を繰り返している。誤嚥とは、食物や唾液などが声門を越えて気道に侵入することをいう。食事を口に運び、飲み込むー連の運動のどこかの段階が障害されることを嚥下障害といい、誤嚥の要因となる。誤嚥性肺炎とは、口腔内常在菌が食物の誤嚥とともに肺の中へ流れ込んで生じる肺炎のことである。原因は、①嚥下機能自体の低下、②寝たきり状態などによるADL(日常生活活動)の低下、③食物がスムーズに食道へ進めない状態などで、口腔内に長時間食物が存在してしまう状況などが挙げられる。
1~2.× 腹式呼吸を促す/咳嗽の訓練を行う/含嗽液を用いてうがいをさせることは困難である。なぜなら、設問文より本症例は、指示に応じることはできないため。各選択肢は、指示をして行う誤嚥防止法である。
3.〇 正しい。胸郭可動域の訓練を行う。なぜなら、胸郭可動域訓練は、他動的に指示なく行える呼吸機能維持の方法(誤嚥予防法)であるため。また、Aちゃんは出生時からの呼吸器系の障害に加え、成長とともに脊柱変形や胸郭変形が強くなる可能性が高いこと、上肢の運動障害もあることから、胸郭可動域を維持できるようなリハビリテーションを日常的に実施することが必要である。