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66 Aさん(42歳、女性)は、交通事故による脊髄損傷で入院し、リハビリテーションを受けた。Aさんの排泄の状況は、間欠的導尿による排尿と、坐薬による3日に1回の排便である。同居する夫と実母が導尿の指導を受け、退院することになった。初回の訪問看護は退院後3日目とし、その後は訪問看護を週2回受けることになった。
入院していた医療機関から提供された患者情報のうち、初回訪問のケア計画を立案するのに最も優先度の高い情報はどれか。
1.食事の摂取量
2.1日の導尿回数
3.最終排便の日時
4.リハビリテーションの内容
解答3
解説
・Aさん(42歳、女性、交通事故による脊髄損傷)
・排泄:間欠的導尿による排尿、坐薬による3日に1回の排便。
・同居する夫と実母が導尿の指導を受け、退院。
・初回の訪問看護:退院後3日目
・その後の訪問看護:週2回
→本症例は、脊髄損傷である。脊髄とは、脳から延長した円柱状の神経の束で、中枢神経の一部で、脳からの司令で手足を動かしたり、痛みやしびれといった感覚を脳に伝える重要な回路である。本症例は、排尿・排便が主問題として挙げられ、退院指導を実施していることから、正解を導き出そう。
1.× 食事の摂取量は、優先度が最も高い事項ではない。なぜなら、本症例の主問題は排便コントロール(坐薬による3日に1回の排便)であるため。
2.× 1日の導尿回数は、優先度が最も高い事項ではない。なぜなら、入院中に夫の実母が実践できるようになっているため。導尿については、夫や実母の手技や困っていることがないかの確認が必要である。
3.〇 正しい。最終排便の日時は、優先度が最も高い。なぜなら、本症例の排便は、3日に1回で座薬を使用しており、初回の訪問看護は退院後3日目の予定で、排便ができているか確認することが大切であるため。
4.× リハビリテーションの内容は、優先度が最も高い事項ではない。なぜなら、すでに退院しており、訪問看護師が行うケアに関することとして、排泄に関することが優先されるため。
訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。訪問看護の指示書には、①訪問看護指示書、②特別訪問看護指示書、③精神科訪問看護指示書などがある。②特別訪問看護指示書とは、「厚生労働大臣が定める疾病等」の療養者や指定された医療処置・管理が必要であると主治医が認める者などに交付される。医療保険が適用され、交付は原則として月1回まで、有効期間は14日である。③精神科訪問看護指示書とは、精神疾患のある利用者とその家族を対象とし、地域や家庭で療養上の援助・指導が必要であると主治医が認める場合に交付される。有効期間は6か月以内で、介護保険対象者であっても医療保険によるサービス提供となる。
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67 A君(6歳、男児)は、父母と姉との4人で暮らしている。3歳児健康診査で運動機能の発達の遅延を指摘され、5歳のときにDuchenne<デュシェンヌ>型筋ジストロフィーの確定診断を受けた。現在は、床からの立ち上がり動作に介助が必要である。見守りが必要ではあるが、室内の歩行は自立している。在宅支援サービスは利用していない。A君の外来受診時に母親から「最近、Aの世話をしていると、8歳の姉が私にしがみついて離れないので困ります」と看護師に相談があった。
このときの看護師の対応で最も優先されるのはどれか。
1.姉の小学校の養護教諭に家庭訪問を依頼する。
2.姉にA君の歩行の見守りをさせるよう勧める。
3.短期入所を利用して父母と姉とで旅行するよう勧める。
4.居宅介護を利用して母が姉と関わる時間を確保することを提案する。
解答4
解説
・A君(6歳、男児、デュシェンヌ型筋ジストロフィー)
・4人暮らし:父母と姉(8歳)。
・3歳児健康診査:運動機能の発達の遅延を指摘。
・5歳:デュシェンヌ型筋ジストロフィーの確定診断。
・現在:床からの立ち上がり動作に介助が必要。
・見守りが必要ではあるが、室内の歩行は自立。
・在宅支援サービスは利用していない。
・母親「最近、Aの世話をしていると、8歳の姉が私にしがみついて離れないので困ります」と。
→8歳の姉が、防衛機制の一つである「赤ちゃん返り(退行)」の症状がみられていると考えられる。赤ちゃんを家族として受け入れながら、兄の情緒的な安定が保てるように配慮することが大切になる。退行とは、ある程度の発達を遂げた者が、より低い発達段階に「子供がえり」して、未熟な行動をすることをいう。
→筋ジストロフィーとは、骨格筋の変性・壊死と筋力低下を主徴とする遺伝性の疾患総称である。そのうちのDuchenne型筋ジストロフィーは、X連鎖劣性遺伝で①幼児期から始まる筋力低下、②動揺性歩行、③登攀性起立(Gowers徴候:ガワーズ徴候)、④腓腹筋などの仮性肥大を特徴とする。筋ジストロフィー症の中でもっとも頻度が高い。3歳頃に歩行や粗大運動の異常で気がつかれることが多い。
1.× 姉の小学校の養護教諭に家庭訪問を依頼する必要はない。なぜなら、母が姉と関わる時間を増やすことが必要であるため。養護教諭とは、主に、小・中・高校に配属されている「保健室の先生」のことである。 学校でケガをしたり体調を崩したりしたとき、保健室に行くと対応してくれるのが養護教諭である。養護教諭がいることで、生徒たちが安心して学校に通える環境が整えられている。
2.× 姉にA君の歩行の見守りをさせるよう勧める必要はない。なぜなら、A君の室内歩行は自立しているため。むしろ、寂しさを感じている姉に負担をさらにかけることになる可能性もある。
3.× 短期入所を利用して父母と姉とで旅行するよう勧める必要はない。なぜなら、A君以外の家族だけで旅行をすることは、家族の希望でもなければ、A君の精神的な負担を考えていない行動となるため。A君と姉との関係性の改善に要する時間や、家族と一緒に過ごす時間を大切にする必要がある。
4.〇 正しい。居宅介護を利用して母が姉と関わる時間を確保することを提案する。8歳の姉が、防衛機制の一つである「赤ちゃん返り(退行)」の症状がみられていると考えられる。赤ちゃんを家族として受け入れながら、兄の情緒的な安定が保てるように配慮することが大切になる。退行とは、ある程度の発達を遂げた者が、より低い発達段階に「子供がえり」して、未熟な行動をすることをいう。したがって、姉の精神的ストレス軽減のため、居宅介護支援を導入し、家庭内で母親が姉と過ごす時間をつくることが最も優先される。
小規模多機能型居宅介護とは、デイサービスを中心に訪問介護やショートステイを組み合わせ、在宅での生活の支援や、機能訓練を行うサービスで、居宅・通所・短期入所を状況に応じて組み合わせて行うものである。
68 在宅で訪問看護師が行う要介護者の入浴に関する援助で適切なのはどれか。
1.入浴前後に水分摂取を促す。
2.浴室の換気は入浴直前に行う。
3.浴槽に入っている間に更衣の準備をする。
4.入浴前の身体状態の観察を家族に依頼する。
解答1
解説
1.〇 正しい。入浴前後に水分摂取を促す。なぜなら、脱水を防ぐため。入浴中、発汗しやすい。したがって、脱水予防のため入浴前にしっかり水分補給し、入浴後に発汗した分の水分を摂取する。
2.× 浴室の換気は、「入浴直前」ではなく入浴後に行う。なぜなら、浴室の温度は25度前後に保った方が良いため。入浴前に換気を行うと浴室の室温が下がり、ヒートショックを引き起こす可能性があるため。ヒートショックとは、急激な気温差によって血圧が大きく変動し、心臓や血管に負担がかかった状態のことをいう。軽度な症状であれば立ちくらみ程度で少し休むと回復するが、重度になると、心筋梗塞や脳梗塞、大動脈解離など、命にかかわる病気を発症する。
3.× 浴槽に入っている間に更衣の準備をする必要はない。なぜなら、要介護者が浴槽に入っている間に目を離すことは溺水の原因となるため。
4.× 入浴前の身体状態の観察を、「家族に依頼する」のではなく、訪問看護師も行うべきである。なぜなら、看護師が身体状態を観察することは、専門的な視点から非常に大切であるため。
訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。訪問看護の指示書には、①訪問看護指示書、②特別訪問看護指示書、③精神科訪問看護指示書などがある。②特別訪問看護指示書とは、「厚生労働大臣が定める疾病等」の療養者や指定された医療処置・管理が必要であると主治医が認める者などに交付される。医療保険が適用され、交付は原則として月1回まで、有効期間は14日である。③精神科訪問看護指示書とは、精神疾患のある利用者とその家族を対象とし、地域や家庭で療養上の援助・指導が必要であると主治医が認める場合に交付される。有効期間は6か月以内で、介護保険対象者であっても医療保険によるサービス提供となる。
69 Aさん(65歳、女性)は、夫と実父との3人暮らしである。脊柱管狭窄症の術後、地域包括ケア病棟に入院中である。退院後は自宅に戻り室内で車椅子を利用する予定である。Aさんの障害高齢者の日常生活自立度判定基準はB-1である。
看護師による家族への指導で最も適切なのはどれか。
1.家族の生活習慣を中心に屋内環境を整備する。
2.夜間の車椅子によるトイレへの移動は制限する。
3.退院後の生活の課題に応じて福祉用具を選定する。
4.ベッドから車椅子への移動介助にリフトの導入を勧める。
解答3
解説
・Aさん(65歳、女性、脊柱管狭窄症の術後)
・3人暮らし:夫と実父。
・地域包括ケア病棟に入院中。
・退院後:自宅に戻り室内で車椅子を利用する予定。
・障害高齢者の日常生活自立度判定基準はB-1。
→本症例は、障害高齢者の日常生活自立度判定基準B-1(自力で座位を保つことができ、介助なしで車椅子などに移乗できる状態)である。ベッド上での体位変換が自立して行えると考えられる。
1.× 「家族」ではなくAさんの生活習慣を中心に屋内環境を整備する。なぜなら、本症例は、日常生活自立度判定基準のランクB-1(屋内では介助を要するが坐位は可能で、車椅子に移乗し、食事や排泄はベッドから離れて行う)であるため。ただし、Aさんの生活習慣を中心にしすぎるあまり、介護者である夫や実父が生活しにくくなってはならない。介護者の状況を把握し、介護負担が軽減できるように屋内環境を整えていく。
2.× 夜間の車椅子によるトイレへの移動は制限する優先度は低い。なぜなら、本症例は夜間に身体機能や活動レベルが落ちるといった情報はないため。しかし、安全面や家族の介護負担などを考慮し、本人・家族と相談して、夜間はポータブルトイレを利用するなど転倒に注意し、環境を整えていく必要がある。
3.〇 正しい。退院後の生活の課題に応じて福祉用具を選定する。なぜなら、本症例の屋内での生活に、介助が必要な状況にあるため。本人の自立を促しつつ、家族の介護負担が軽減するようアプローチしていく。
4.× ベッドから車椅子への移動介助にリフトの導入を勧める必要はない。なぜなら、Aさんは坐位保持や車椅子への移乗は可能であるため。常生活自立度判定基準のランクB-1は、屋内では介助を要するが坐位は可能で、車椅子に移乗し、食事や排泄はベッドから離れて行うものレベルである。
腰部脊柱管狭窄症とは、脊柱管が腰部で狭くなる病気である。そのため、腰から下の神経に関連する症状(しびれや疼痛、脱力など)が出現する。歩行時には腰痛があまり強くならない事が多く、歩行と休息を繰り返す間歇性跛行が特徴である。
70 特定行為に係る看護師の研修制度に関して正しいのはどれか。
1.特定行為は診療の補助行為である。
2.研修は都道府県知事が指定する研修機関で実施する。
3.研修を受けるには10年以上の実務経験が必要である。
4.看護師等の人材確保の促進に関する法律に定められている。
解答1
解説
特定行為とは、高度な技能と知識を必要とされる診療の補助行為のことを指す。診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる行為のことである。
【保健師助産師看護師法】※e-GOV法令検索様より引用
第三十七条 保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣かん腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。
第三十七条の二 特定行為を手順書により行う看護師は、指定研修機関において、当該特定行為の特定行為区分に係る特定行為研修を受けなければならない。
2 この条、次条及び第四十二条の四において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 特定行為 診療の補助であつて、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。
二 手順書 医師又は歯科医師が看護師に診療の補助を行わせるためにその指示として厚生労働省令で定めるところにより作成する文書又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)であつて、看護師に診療の補助を行わせる患者の病状の範囲及び診療の補助の内容その他の厚生労働省令で定める事項が定められているものをいう。
三 特定行為区分 特定行為の区分であつて、厚生労働省令で定めるものをいう。
四 特定行為研修 看護師が手順書により特定行為を行う場合に特に必要とされる実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能の向上を図るための研修であつて、特定行為区分ごとに厚生労働省令で定める基準に適合するものをいう。
五 指定研修機関 一又は二以上の特定行為区分に係る特定行為研修を行う学校、病院その他の者であつて、厚生労働大臣が指定するものをいう。
3 厚生労働大臣は、前項第一号及び第四号の厚生労働省令を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。
1.〇 正しい。特定行為は診療の補助行為である。これは、保健師助産師看護師法の33条において、”特定行為とは、「診療の補助であって、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力・思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされるものとして厚生労働省令で定めるもの”と定められている(※参考:「保健師助産師看護師法」e-GOV法令検索様より)。
2.× 研修は、「都道府県知事」ではなく厚生労働大臣が指定する研修機関で実施する。
3.× 研修を受けるには、「10年以上の実務経験は必要なく」、法令上、実務経験は規定されていない。ただし、特定行為研修の受講資格は養成機関によって違い、3~5年以上の実務経験を有することが想定されている。
4.× 「看護師等の人材確保の促進に関する法律」ではなく、『保健師助産師看護師法』に定められている。
この法律は、我が国における急速な高齢化の進展及び保健医療を取り巻く環境の変化等に伴い、看護師等の確保の重要性が著しく増大していることにかんがみ、看護師等の確保を促進するための措置に関する基本指針を定めるとともに、看護師等の養成、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等を、看護に対する国民の関心と 理解を深めることに配慮しつつ図るための措置を講ずることにより、病院等、看護を受ける者の居宅等看護が提供される場所に、高度な専門知識と技能を有する看護師等を確保し、もって国民の保健医療の向上に資することを目的とする(※引用:「看護師等の人材確保の促進に関する法律」厚生労働省HPより)。
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