この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
61 Aさん(16歳、女子)。身長160cm、体重40kg。1年で体重が12kg減少した。Aさんは6か月前から月経がみられないため婦人科クリニックを受診し、体重減少性無月経と診断された。
今後、Aさんの無月経が長期間続いた場合、増加することが予想されるのはどれか。
1.血糖値
2.骨吸収
3.体脂肪率
4.エストロゲン
解答2
解説
・Aさん(16歳、女子、体重減少性無月経)。
・身長160cm、体重40kg。1年で体重が12kg減少。
・6か月前から月経がみられない。
→体重減少性無月経とは、やせすぎが原因で起こる無月経の状態である。基準や特徴として、標準体重の-15%以上のやせであるが、食行動の極端な異常はみられず、努力して食事制限をしていることが多く、体重減少の病識がある。そのため、ホルモン治療を行う前に、体重を増やすことで月経周期を回復させることが治療目標になる。
1.× 血糖値は、低血糖となる。なぜなら、摂食障害や体重減少に伴い、低栄養となるため。
2.〇 正しい。骨吸収は、増加する。なぜなら、無月経になるとエストロゲンにより抑制されていた骨吸収が増加し、骨粗鬆症も起こりやすくなるため。エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
3.× 体脂肪率は、減少する。なぜなら、体重減少するため。
4.× エストロゲンの分泌不全が起こる。下垂体の黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)の低下を引き起こすため。
無月経(月経がない状態)には①原発性、②続発性、③その他のものがある。
①原発性無月経:正常な成長と第二次性徴が認められる患者において15歳までに月経が起こらないことである。しかし、13歳までに月経が開始せず、思春期の徴候(例、何らかのタイプの乳房の発達)がみられない場合は、原発性無月経の評価を行うべきである。
②続発性無月経:規則的な月経周期の確立後に6カ月以上または月経周期で3周期以上の期間、月経がない状態である。しかし、以前の周期が規則的であった患者では月経が3カ月以上なければ続発性無月経の評価が行われ、以前の周期が不規則であった患者では月経が6カ月以上なければ続発性無月経の評価が行われる。
③その他:解剖学的原因(妊娠を含む)、慢性無排卵、卵巣不全など
(※参考:「無月経」MSDマニュアルプロフェッショナル版様より)
62 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律<DV防止法>で正しいのはどれか。
1.婚姻の届出をしていない場合は保護の対象とはならない。
2.暴力を受けている者を発見した者は保健所へ通報する。
3.暴力には心身に有害な影響を及ぼす言葉が含まれる。
4.母子健康センターは被害者の保護をする。
解答3
解説
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)とは、今まで家庭内に潜在してきた女性への暴力について、女性の人権擁護と男女平等の実現を図るため、夫やパートナーからの暴力の防止、及び被害者の保護・支援を目的として作られた法律である。
【主な内容】
①配偶者からの暴力の定義
②国及び地方公共団体の責務
③配偶者暴力相談支援センター
④一時保護
⑤情報提供・通報
⑥警察官による被害の防止・警察本部長等の援助
⑦福祉事務所による自立支援
⑧各関係機関連携
⑨保護命令
(※参考:「DV防止法とは?」千葉県HPより)
1.× 婚姻の届出をしていない場合でも、保護の対象となる。1条3項には、”この法律にいう「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、「離婚」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者が、事実上離婚したと同様の事情に入ることを含むものとする”と記載されている(※引用:「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」千葉県HPより)。
2.× 暴力を受けている者を発見した者は、「保健所」ではなく、配偶者暴力相談支援センターまたは警察官へ通報するよう努めなければならない。6条1項”配偶者からの暴力を受けている者を発見した者は、その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報するよう努めなければならない”と記載されている(※引用:「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」千葉県HPより)。
3.〇 正しい。暴力には心身に有害な影響を及ぼす言葉が含まれる。1条1項”この法律において「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。)又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいい、配偶者からの身体に対する暴力等を受けた後に、その者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力等を含むものとする”と記載されている(※引用:「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」千葉県HPより)。
4.× 被害者の保護をするのは、「母子健康センター」ではなく、配偶者暴力相談支援センター(子育て世代包括支援センター)である。3条3項”配偶者暴力相談支援センターは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のため、次に掲げる業務を行うものとする”と記載されている(※引用:「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」千葉県HPより)。
母子健康センターとは、母子保健センターともいい、母子保健法を根拠とする妊娠中の女子の栄養指導や新生児の育児指導、離乳食指導、予防接種、定期検診などを行う保健施設。発達の遅れ、低出生体重児など特殊な育児相談にも応じている。
63 妊婦の感染症と児への影響の組合せで正しいのはどれか。
1.風疹:白内障
2.性器ヘルペス:聴力障害
3.トキソプラズマ症:先天性心疾患
4.性器クラミジア感染症:小頭症
解答1
解説
風疹とは、風疹ウイルスに感染することで引き起こされる感染症である。俗に「三日ばしか」と呼ばれる。風疹ウイルスに感染してからおよそ2~3週間の潜伏期間を経て、発疹や発熱などの症状が現れる。ただし、症状がない、もしくは気付かないほど軽いこともある。一般的な症状として、発熱、皮膚の発疹、リンパ節の腫れ、関節痛などである。多くの場合、特別な治療をしなくても自然に治るため、症状を和らげる治療が行われるが、妊娠中に風疹にかかると赤ちゃんに悪影響が出ることもあるため、予防接種をすることがすすめられる。
1.〇 正しい。風疹の免疫のない妊婦が罹患すると胎児に風疹ウイルスが感染し、白内障や心疾患、難聴などの先天性風疹症候群を起こすことがある。
2.× 性器ヘルペスを起こす単純ヘルペスウイルスに感染すると胎児にも感染し、新生児ヘルペスを起こすことがあり、皮疹や発熱、肝腫大や呼吸障害などの症状がある。聴力障害はきたさない。
3.× トキソプラズマ症とは、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)の経胎盤感染によって引き起こされる。症状として、未熟性、子宮内胎児発育不全、黄疸、肝脾腫、心筋炎、肺炎、発疹、脈絡網膜炎、水頭症、頭蓋内石灰化、小頭症、痙攣である。十分な加熱処理がされていない生肉、トキソプラズマの終宿主である猫との接触・糞尿処理が感染のリスクとなる。
4.× 性器クラミジア感染症とは、性行為を介して腟内に侵入し、感染後1~3週間で子宮頸管炎を発症する。子宮頸管粘膜で増殖し、子宮内膜や子宮付属器、腹腔内へと広がり、子宮内膜炎や子宮付属器炎、骨盤腹膜炎を発症し、上腹部まで感染が広がると、肝臓周囲の炎症・癒着を引き起こし、肝周囲炎となる。
64 Aさん(68歳、女性)は、胃癌のため入院した。入院初日に「夫も癌になって、亡くなる前に痛みで苦しんでいました。私も痛みが怖いんです」と言った。看護師は、Aさんが夫のように苦しむことへの恐怖や不安があることが分かり、Aさんとともに対処法について考えた。
この時点での患者-看護師関係の段階はどれか。
1.方向付け
2.同一化
3.開拓利用
4.問題解決
解答1
解説
・Aさん(68歳、女性、胃癌のため入院)
・入院初日「夫も癌になって、亡くなる前に痛みで苦しんでいました。私も痛みが怖いんです」と。
・夫のように苦しむことへの恐怖や不安がある。
→患者-看護師関係の段階とは、ペプロウは、①方向づけ、②同一化、③開拓利用、④問題解決から構成される4 つの局面として説明している。
①方向づけ:患者が自分の問題を認識し、必要な援助をもとめることができるように支援していく。看護師は援助者として患者の前に登場することになる。
②同一化:患者が看護師に近づき、関係を結ぼうとする。患者は看護師を母親や兄弟姉妹と見立てたりして、自分の中にある感情に直面することになる。
③開拓利用:こうした過去に経験した人間関係から、患者看護師の力を借りながら自分で自分の問題を解決しようとする方向に向かう。
④問題解決:問題解決の局面である。患者が自分自身で問題に立ち向かい、新たな目標に向かって進んでいく。
1.〇 正しい。方向付けは、ペプロウの患者・看護師関係の理論の第1段階である。方向づけとは、患者が自分の問題を認識し、必要な援助をもとめることができるように支援していく。看護師は援助者として患者の前に登場することになる。
2.× 同一化は、ペプロウの患者・看護師関係の理論の第2段階である。同一化とは、患者が看護師に近づき、関係を結ぼうとする。患者は看護師を母親や兄弟姉妹と見立てたりして、自分の中にある感情に直面することになる。
3.× 開拓利用は、ペプロウの患者・看護師関係の理論の第3段階である。開拓利用とは、こうした過去に経験した人間関係から、患者看護師の力を借りながら自分で自分の問題を解決しようとする方向に向かう。
4.× 問題解決は、ペプロウの患者・看護師関係の理論の第4段階である。問題解決とは、問題解決の局面である。患者が自分自身で問題に立ち向かい、新たな目標に向かって進んでいく。
65 訪問看護の利用者に関する訪問看護と病院の外来看護の連携で適切なのはどれか。
1.訪問看護報告書は外来看護師に提出する。
2.利用者の個人情報の相互共有に利用者の承諾書は不要である。
3.利用者が使用している医療材料の情報を外来看護師と共有する。
4.訪問看護師から外来看護師に利用者の外来診察の予約を依頼する。
解答3
解説
訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。訪問看護の指示書には、①訪問看護指示書、②特別訪問看護指示書、③精神科訪問看護指示書などがある。②特別訪問看護指示書とは、「厚生労働大臣が定める疾病等」の療養者や指定された医療処置・管理が必要であると主治医が認める者などに交付される。医療保険が適用され、交付は原則として月1回まで、有効期間は14日である。③精神科訪問看護指示書とは、精神疾患のある利用者とその家族を対象とし、地域や家庭で療養上の援助・指導が必要であると主治医が認める場合に交付される。有効期間は6か月以内で、介護保険対象者であっても医療保険によるサービス提供となる。
1.× 訪問看護報告書は、「外来看護師」ではなく主治医に提出する。訪問看護報告書とは、実際に利用者に対してどのようなサービス内容を提供したか、という結果について記録する報告書を指す。
2.× 利用者の個人情報の相互共有に利用者の承諾書は、必要である。『個人情報保護法』や「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン」に基づき、慎重に扱う必要がある。
3.〇 正しい。利用者が使用している医療材料の情報を外来看護師と共有する。なぜなら、外来看護師と医療材料の情報を共有することで、より安定した医療材料の入手や取得につながるため。また、お互い把握することでより利用者の変化に気づきやすい。
4.× 訪問看護師から外来看護師に利用者の外来診察の予約を依頼する必要はない。なぜなら、外来診察の予約は、本人・家族が行うのが適切であるため。
個人情報保護法とは、個人情報の保護に関する法律の略称である。個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした個人情報の取扱いに関連する日本の法律である。定義(第2条)には、「この法律において『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」とされている。
個人情報保護に関するコンプライアンスプログラムの要求事項では、センシティブ情報の具体的項目に関して、以下の5項目を挙げている。①思想及び信条に関する事項、②政治的権利の行使に関する事項、③労働者の団体交渉に関する事項、④医療、性に関する事項、⑤犯罪の経歴、人種、民族、社会的身分、門地並びに出生地及び本籍地など社会的差別の原因となる事項である。
類似問題です↓