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56 加齢による咀嚼・嚥下障害の特徴で正しいのはどれか。
1.咳嗽反射が低下する。
2.口腔内の残渣物が減る。
3.唾液の粘稠度が低下する。
4.食道入口部の開大が円滑になる。
解答1
解説
①歯の欠損、②舌運動の機能低下、③咀嚼力低下、④唾液分泌の低下、⑤口腔感覚の鈍化、⑥咽頭の食物通過時間の延長などが挙げられる。他にも、喉頭位置の下降も認められ、喉頭挙上や喉頭閉鎖が不十分となることに加え、咽頭収縮筋の筋力低下に伴って咽頭に唾液や食物が残留しやすくなることにより誤嚥を来しやすくなる。
1.〇 正しい。咳嗽反射が低下する。そのため、誤嚥しやすくなる。ちなみに、咳嗽反射とは、いわゆる「せき・くしゃみ」で咳反射ともいう。鼻腔や気道に異物が入り込んだとき、その異物を排除するための反射である。
2.× 口腔内の残渣物が、「減る」のではなく増加する。喉頭位置の下降も認められ、喉頭挙上や喉頭閉鎖が不十分となることに加え、咽頭収縮筋の筋力低下に伴って咽頭に唾液や食物が残留しやすくなることにより誤嚥を来しやすくなる。
3.× 唾液の粘稠度が、「低下」ではなく増加する。なぜなら、口腔粘膜下の水分が低下するため。ちなみに、粘稠度とは、液体が「ネバネバしている」という性状を表す際に使われる用語である。粘稠度が高いということは、ねばねばした状態を意味する(※読み:ねんちゅうど)。
4.× 食道入口部の開大が、「円滑」ではなく不良になる。なぜなら、高齢者の食道入口部は、開大不全となり、誤嚥しやすくなる。
(※図引用:「illustAC様」)
57 Aさん(85歳、女性)は、両側の感音難聴で「音は聞こえるけれど、話の内容が聞き取れないので困っています」と話した。
Aさんに対する看護師の対応で適切なのはどれか。
1.大きな声で話す。
2.話の内容をより詳しく説明する。
3.Aさんが文字盤を使えるようにする。
4.看護師の口の動きが見えるように話す。
解答4
解説
・Aさん(85歳、女性)
・両側の感音難聴で「音は聞こえるけれど、話の内容が聞き取れないので困っています」と。
→本症例は、感音難聴である。感音性難聴とは、内耳や聴神経など「感音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴である。特徴として、音のゆがみによる日常会話の聞き取りにくさ(語音弁別能の低下)がみられる。
1.× 大きな声で話す必要はない。なぜなら、Aさんは「音は聞こえる」と言っているため。感音性難聴の聴力はある程度保たれていることが多く、むしろ大きな声で話すと感音難聴に伴う聴覚過敏症の症状によって、より大きく強く不快に響く補充現象が生じる場合がある。
2.× 話の内容をより詳しく説明する必要はない。なぜなら、話の内容に対しての不満はないため。むしろ、より詳しく説明しても、聞こえてくる話し声(音声)のゆがみは改善しないため、混乱を招きやすい。
3.× Aさんが文字盤を使えるようにする必要はない。なぜなら、文字盤の適応は、運動障害性構音障害(発声・発語の障害)であるため。ちなみに、文字盤とは、シートに五十音が示されているものである。
4.〇 正しい。看護師の口の動きが見えるように話す。なぜなら、口の動きから何の発音なのか理解が上がるため。つまり、話し手の口の動きが視覚情報として、良好な理解をもたらす可能性が高くなる。
(※画像引用:やまだカイロプラクティック院様)
58 Lewy<レビー>小体型認知症の初期にみられる症状はどれか。
1.幻視
2.失語
3.脱抑制
4.人格変化
解答1
解説
Lewy小体型認知症とは、Lewy小体が広範な大脳皮質領域で出現することによって、①進行性認知症と②パーキンソニズムを呈する病態である。認知機能の変動・動揺、反復する幻視(人、小動物、虫)、パーキンソニズム、精神症状、REM睡眠型行動障害、自律神経障害などが特徴である。
1.〇 正しい。幻視は、Lewy<レビー>小体型認知症の初期にみられる症状である。認知機能の変動・動揺、反復する幻視(人、小動物、虫)、パーキンソニズム、精神症状、REM睡眠型行動障害、自律神経障害などが特徴である。
2.× 失語/脱抑制/人格変化は、前頭側頭型認知症である。脱抑制とは、状況に対する反応としての衝動や感情を抑えることが不能になった状態のことである。人格変化には、無気力・易怒性・道徳感の低下などがある。ちなみに、前頭側頭型認知症とは、前頭葉・側頭葉に限局した萎縮性病変を認める症候群をいう。代表的な疾患にPick病がある。発症は初老期(40~60歳代)にみられる。初期は、自発性の低下、自発語の減少、偏食・過食、脱抑制などの人格変化・行動異常で潜行性に発症する。
・遂行機能障害
・易疲労性
・意欲・発動性の低下
・脱抑制・易怒性
・注意障害
・非流暢性失語
病理所見として、前頭葉と側頭葉が特異的に萎縮する特徴を持つ認知症である。脳血流量の低下や脳萎縮により人格変化、精神荒廃が生じ、植物状態におちいることがあり、2~8年で衰弱して死亡することが多い。発症年齢が50~60代と比較的若く、初発症状は人格障害・情緒障害などがみられるが、病期前半でも記憶障害・見当識障害はほとんどみられない。働き盛りの年代で発症することが多いことで、患者さんご本人が「自分は病気である」という自覚がないことが多い。その後、症状が進行するにつれ、性的逸脱行為(見知らぬ異性に道で抱きつくなどの抑制のきかない反社会的な行動)、滞続言語(何を聞いても自分の名前や生年月日など同じ語句を答える)、食行動の異常(毎日同じものを食べ続ける常同行動)などがみられる。治療は、症状を改善したり、進行を防いだりする有効な治療方法はなく、抗精神病薬を処方する対症療法が主に行われている。
(参考:「前頭側頭型認知症」健康長寿ネット様HPより)
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59 介護保険法で「入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設」と規定されているのはどれか。
1.介護老人保健施設
2.介護老人福祉施設
3.介護療養型医療施設
4.介護療養型老人保健施設
解答2
解説
介護保険法とは、1997年12月に公布された法律で、40歳以上で介護が必要になった人の自立生活を支援するために、国民が負担する保険料や税金を財源として、日常生活の行為にかかるさまざまな介助やリハビリなどのサービスにかかる給付を行うことを目的にしている。加齢に伴って生じる心身の変化による疾病等により介護を要する状態となった者を対象として、その人々が有する能力に応じ、尊厳を保持したその人らしい自立した日常生活を営むことができることを目指している。
1.× 介護老人保健施設とは、要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護・医学的管理のもと、介護および機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設である。
2.〇 正しい。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム:特養)とは、介護保険法で「入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設」と規定されている。
3.× 介護療養型医療施設とは、病院・診療所の療養病床であって、介護保険が適用になるものである。経過措置により平成30年3月末までは存続できる。医療サービスを受けながらの長期療養が可能な施設である。病状は安定していても自宅での療養生活は難しいという方が入所して、必要な医療サービス、日常生活における介護、リハビリテーションなどを受けることができる。
4.× 介護療養型老人保健施設とは、比較的重度の要介護者に対し、充実した医療処置と機能訓練を提供する施設である。介護老人保健施設と医療療養病床との中間の性質を持つ。医療や看護に重点を置いたサービスが行われる。
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)とは、常時介護を必要とし、在宅での生活が困難な高齢者に対して、生活全般の介護を提供する施設である。入浴、排泄、食事などの介護、その他の日常生活の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行う。原則として要介護3以上の認定を受けた高齢者が対象である。ただし、要介護1・2の特例的な入所が認められる要件があり、「認知症で日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態にあること」である。
60 出産や育児に関する社会資源と法律の組合せで正しいのはどれか。
1.入院助産:児童福祉法
2.出産扶助:母体保護法
3.出産手当金:母子保健法
4.養育医療:児童手当法
解答1
解説
1.〇 正しい。児童福祉法は、入院助産(助産の実施)に規定されている。児童福祉法とは、児童の福祉を担当する公的機関の組織や、各種施設及び事業に関する基本原則を定める日本の法律である。児童が良好な環境において生まれ、且つ、心身ともに健やかに育成されるよう、保育、母子保護、児童虐待防止対策を含むすべての児童の福祉を支援する法律である。
2.× 出産扶助は、「母体保護法」ではなく生活保護法である。ちなみに、母体保護法とは、不妊手術及び人工妊娠中絶に関する堕胎罪の例外事項を定めること等により、母親の生命健康を保護することを目的とした法律である。1948年7月13日に公布された。
3.× 出産手当金は、「母子保健法」ではなく健康保険法である。健康保険法とは、労働者及びその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関する医療保険給付等について定めた日本の法律である。出産手当金は、出産の日以前42日から、出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間につき、1日の賃金の約3分の2相当額が支給される。
4.× 養育医療は、「児童手当法」ではなく母子保健法である。母子保健法とは、母性、乳幼児の健康の保持および増進を目的とした法律である。母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的として制定された法律である。各種届出は市町村長または特別区、指定都市の区長に届け出る。ちなみに、児童手当法とは、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健全な育成および資質の向上に資することを目的として制定された法律である。
生活保護法とは、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者を対象に、国の責任において、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的としている。8つの扶助(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助)があり、原則現金給付であるが、医療扶助と介護扶助は現物給付である。被保護人員は約216.4万人(平成27年度,1か月平均)で過去最高となっている。
①生活扶助:日常生活に必要な費用
②住宅扶助:アパート等の家賃
③教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
④医療扶助:医療サービスの費用
⑤介護扶助:介護サービスの費用
⑥出産扶助:出産費用
⑦生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
⑧葬祭扶助:葬祭費用
【生活保護法の4つの基本原理】
①国家責任の原理:法の目的を定めた最も根本的原理で、憲法第25条の生存権を実現する為、国がその責任を持って生活に困窮する国民の保護を行う。
②無差別平等の原理:全ての国民は、この法に定める要件を満たす限り、生活困窮に陥った理由や社会的身分等に関わらず無差別平等に保護を受給できる。また、現時点の経済的状態に着目して保護が実施される。
③最低生活の原理:法で保障する最低生活水準について、健康で文化的な最低限度の生活を維持できるものを保障する。
④保護の補足性の原理:保護を受ける側、つまり国民に要請される原理で、各自が持てる能力や資産、他法や他施策といったあらゆるものを活用し、最善の努力をしても最低生活が維持できない場合に初めて生活保護制度を活用できる。
【4つの原則】
①申請保護の原則:保護を受けるためには必ず申請手続きを要し、本人や扶養義務者、親族等による申請に基づいて保護が開始。
②基準及び程度の原則:保護は最低限度の生活基準を超えない枠で行われ、厚生労働大臣の定める保護基準により測定した要保護者の需要を基とし、その不足分を補う程度の保護が行われる。
③必要即応の原則:要保護者の年齢や性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行われる。
④世帯単位の原則:世帯を単位として保護の要否及び程度が定められる。また、特別な事情がある場合は世帯分離を行い個人を世帯の単位として定めることもできる。
(※参考:「生活保護制度」厚生労働省HPより)
(※参考:「生活保護法の基本原理と基本原則」室蘭市HPより)