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71 胸腺腫に合併する疾患で多くみられるのはどれか。
1.Parkinson(パーキンソン)病
2.筋ジストロフィー
3.重症筋無力症
4.多発性硬化症
5.多発性筋炎
解答3
解説
胸腺とは、胸骨裏面の前縦隔に位置する免疫担当臓器で、Tリンパ球が成熟する場所である。10~12歳頃に最も大きくなり、その後は加齢とともに小さくなる。高齢者では著しく萎縮し、CT画像で存在が判然としない場合もある。大人では摘出しても特に問題ない。
ちなみに、胸腺腫とは、胸腺の上皮から発生する腫瘍で、30歳以上に発生することが多く、男女同程度の発症頻度である。人口10万人あたり0.5%前後の発症頻度と、比較的稀な疾患である。
1.× Parkinson(パーキンソン)病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。
2.× 筋ジストロフィーとは、骨格筋の変性・壊死と筋力低下を主徴とする遺伝性の疾患総称である。そのうちのDuchenne型筋ジストロフィーは、X連鎖劣性遺伝で①幼児期から始まる筋力低下、②動揺性歩行、③登攀性起立(Gowers徴候:ガワーズ徴候)、④腓腹筋などの仮性肥大を特徴とする。
3.〇 正しい。重症筋無力症は、胸腺腫に合併する疾患で多くみられる。胸腺腫患者の約30~50%にみられる。重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。
4.× 多発性硬化症とは、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
5.× 多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
72 頭部CTを下図に示す。
論理的思考を制御する領域はどれか。
1.A
2.B
3.C
4.D
5.E
解答1
解説
1.〇 正しい。A(左右の前頭葉)は、論理的思考を制御する領域である。前頭葉障害の主症状として、①遂行機能障害、②易疲労性、③意欲・発動性の低下、④脱抑制・易怒性、⑤注意障害、⑥非流暢性失語等が挙げられる。
2.4.× B/D(頭頂葉)は、主に感覚情報を受ける領域である。ちなみに、右頭頂葉の障害は、①着衣失行、②半側空間無視、③身体失認、④病態失認などがみられる。左頭頂葉の障害では、①観念運動性失行、②観念失行、③観念性失行などがみられる。
3.× C(海馬)は、記憶を司っている。
5.× E(左右の後頭葉)は、視覚情報を受ける領域である。後頭葉の障害は、①相貌失認、②視覚性失認、③アントン症状などがみられる。アントン症状とは、目が見えないことを否認し、見えていると主張する症状である。
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73 糖尿病の合併症のうち、健康日本21(第二次)の目標に含まれるのはどれか。
1.腎症
2.感染症
3.網膜症
4.神経障害
5.血行障害
解答1
解説
(※図引用:「健康日本21推進全国連絡協議会」健康日本21より)
1.〇 正しい。腎症(糖尿病性腎症)は、糖尿病の合併症のうち、健康日本21(第二次)の目標に含まれる。糖尿病性腎症による年間新規透析導入患者数の減少を掲げている。
2~5.× 感染症/網膜症/神経障害/血行障害は、健康日本21(第二次)の目標項目になっていない。
日本における健康対策の現状や第三次国民健康づくり対策(健康日本21)の最終評価で提起された課題などを踏まえ、第四次国民健康づくり対策として、21世紀における第二次国民健康づくり運動「健康日本21(第二次)」が平成24年6月に策定された。健康日本21(第二次)の期間は、平成25年度から平成34年度までであり、①健康寿命の延伸と②健康格差の縮小などが盛り込まれた。健康日本21(第二次)では、生活習慣病の予防やこころの健康など5つの分野にわたり、53項目の数値目標を設定している。健康日本21(第二次)の目標項目として、①「健康寿命の延伸と健康格差の縮小の実現」、②「生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底」、③「社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上」、④「健康を支え、守るための社会環境の整備」、⑤「生活習慣および社会環境の改善」があげられている。
(※参考:「健康日本21(第二次)」厚生労働省HPより)
74 創傷の治癒過程で炎症期に起こる現象はどれか。
1.創傷周囲の線維芽細胞が活性化する。
2.肉芽の形成が促進される。
3.滲出液が創に溜まる。
4.創の収縮が起こる。
5.上皮化が起こる。
解答3
解説
①血液凝固期(術後~数時間後):出血による凝固塊が欠損をふさいで止血する時期である。
②炎症期(術直後~3日目ころ):炎症性細胞(好中球、単球、マクロファージなど)が傷に遊走して、壊死組織や挫滅組織などを攻める時期である。
③増殖期(3日目~2週間後):線維芽細胞が周辺から遊走して、細胞外マトリックスを再構築し、血管新生が起こり、肉芽組織が形成される時期である。
④成熟期(2週間~数か月後)(再構築期:リモデリング期):線維芽細胞が減り、線維細胞へと成熟し変化するじきである。コラーゲンの再構築が起き、創部の抗張力が高くなることで創傷が治癒していく。
1~2.× 創傷周囲の線維芽細胞が活性化する/肉芽の形成が促進されるのは、増殖期で起こる現象である。増殖期(3日目~2週間後)とは、線維芽細胞が周辺から遊走して、細胞外マトリックスを再構築し、血管新生が起こり、肉芽組織が形成される時期である。ちなみに、肉芽組織とは、炎症細胞、線維芽細胞、細胞外マトリックス(膠原線維や蛋白質など)、新生血管などが一塊となり、創を埋めていったものを指す。
3.〇 正しい。滲出液が創に溜まるのは、炎症期で起こる現象である。炎症期(術直後~3日目ころ)とは、炎症性細胞(好中球、単球、マクロファージなど)が傷に遊走して、壊死組織や挫滅組織などを攻める時期である。創部周辺の毛細血管の拡張により、毛細血管の透過性が亢進することにより、惨出液が創に溜まる。
4~5.× 創の収縮が起こる/上皮化が起こるのは、成熟期で起こる現象である。成熟期(2週間~数か月後)とは、再構築期、リモデリング期ともいい、線維芽細胞が減り、線維細胞へと成熟し変化するじきである。コラーゲンの再構築が起き、創部の抗張力が高くなることで創傷が治癒していく。ちなみに、上皮化とは、創縁から表皮角化細胞の分裂、増殖、遊走が起こり、肉芽組織の上を表皮細胞が被覆する現象のことをいう。
75 Ménière(メニエール)病の患者への指導内容について正しいのはどれか。
1.静かな環境を保持する。
2.発作時は部屋を明るくする。
3.めまいがあるときは一点を凝視する。
4.嘔吐を伴う場合は仰臥位安静にする。
5.耳鳴があるときは周囲の音を遮断する。
解答1
解説
Ménière病とは、膜迷路を満たしている内リンパ液の内圧が上昇し、内リンパ水腫が生じる内耳疾患である。4大症状として、①激しい回転性のめまい、②難聴(感音難聴)、③耳鳴り、④耳閉感を繰り返す内耳の疾患である。主な原因は「内リンパ水腫」で、 その根底にはストレス・睡眠不足・疲労・気圧の変化・几帳面な性格などがあると考えられている。耳発作時では安静を第一に考えた指導を行い、間欠期では発作が起こらないようにするための指導をする。
1.〇 正しい。静かな環境を保持する。なぜなら、メニエール病は感音性難聴を伴うため。感音性難聴とは、内耳や聴神経など「感音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴である。発作時は、なるべく外的刺激を避け、十分な休養と睡眠、規則正しい生活をし、過労にならないように指導する。
2~3.× 発作時は部屋を明るくする/めまいがあるときは一点を凝視する必要はない。むしろ、症状の一つに、激しい回転性のめまいがみられるため、発作時は、光などの外的刺激を避ける必要がある。つまり部屋をうす暗く静かな部屋が望ましい。むしろ、安定した楽な姿勢で閉眼させても良い。ちなみに、回転性めまいとは、自分は動いていないにも関わらず、自分や周囲(天井や壁など)がぐるぐる回っているようなめまいのことである。
4.× 嘔吐を伴う場合は、「仰臥位」ではなく側臥位で安静にする。なぜなら、仰臥位(背臥位)で嘔吐すると、誤嚥する危険があるため。
5.× 耳鳴があるときは、「周囲の音を遮断する」必要はない。なぜなら、むしろ遮断環境が耳鳴りをより気にかかるため。遮断環境は大げさすぎるが、外的刺激を避けるため静かな環境が望ましい。ちなみに、メニエール病の治療として、薬物療法による対症療法が中心となる。 症状の種類や重さに合わせて、血流改善剤・利尿薬・精神安定剤・自律神経調整剤などを用いる。日常生活が高度に障害される場合には、手術的な治療(内リンパ嚢開放術)を選択することもある。