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66 看護師が自ら進んで能力を開発することの努力義務を定めているのはどれか。
1.医療法
2.労働契約法
3.教育基本法
4.看護師等の人材確保の促進に関する法律
解答4
解説
1.× 医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。
2.× 労働契約法とは、労働契約に関する基本的な事項を定める日本の法律である。労働基準法と労働契約法の違いは、労働基準法も労働契約法も、「労働条件」に関する法律という点では共通しているが、「公法」か「私法」かという違いである。「労働契約法」が使用者・労働者間について規定した「私法」であるのに対し、「労働基準法」は国・使用者間について規定する「公法」に該当する。
3.× 教育基本法とは、教育についての原則を定めた日本の法律である。①日本の教育の目的及び理念、②義務教育や学校教育といった教育の実施に関する基本、③教育行政について定められている。
4.〇 正しい。『看護師等の人材確保の促進に関する法律』に看護師が自ら進んで能力を開発することの努力義務を定めている。6条において、「(看護師等の責務)看護師等は、保健医療の重要な担い手としての自覚の下に、高度化し、かつ、多様化する国民の保健医療サービスへの需要に対応し、研修を受ける等自ら進んでその能力の開発及び向上を図るとともに、自信と誇りを持ってこれを看護業務に発揮するよう努めなければならない。」と規定されている(※引用:「看護師等の人材確保の促進に関する法律」厚生労働省HPより)。
この法律は、我が国における急速な高齢化の進展及び保健医療を取り巻く環境の変化等に伴い、看護師等の確保の重要性が著しく増大していることにかんがみ、看護師等の確保を促進するための措置に関する基本指針を定めるとともに、看護師等の養成、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等を、看護に対する国民の関心と 理解を深めることに配慮しつつ図るための措置を講ずることにより、病院等、看護を受ける者の居宅等看護が提供される場所に、高度な専門知識と技能を有する看護師等を確保し、もって国民の保健医療の向上に資することを目的とする(※引用:「看護師等の人材確保の促進に関する法律」厚生労働省HPより)。
67 災害医療について正しいのはどれか。
1.災害拠点病院は市町村が指定する。
2.医療計画の中に災害医療が含まれる。
3.防災訓練は災害救助法に規定されている。
4.災害派遣医療チーム(DMAT)は災害に関連した長期的な医療支援活動を担う。
解答2
解説
1.× 災害拠点病院は、「市町村」ではなく都道府県が指定する。災害拠点病院とは、災害発生時(地震・津波・台風・噴火など)に災害医療を行う医療機関を支援する病院のことである。医療救護活動の中核を担う病院で都道府県によって指定される。基幹災害医療センター(基幹災害拠点病院)は、各都道府県に原則1か所以上、地域災害医療センター(地域災害拠点病院)は、二次医療圏ごとに原則1カ所以上整備される。
2.〇 正しい。医療計画の中に災害医療が含まれる。災害医療は、医療計画における5疾病・5事業並びに在宅医療に含まれる。5疾病とは、①がん、②脳卒中、③急性心筋梗塞、④糖尿病、⑤精神疾患を、5事業とは、①救急医療、②災害医療、③へき地医療、④周産期医療、⑤小児医療を示す。
3.× 防災訓練は、「災害救助法」ではなく災害対策基本法に規定されている。災害対策基本法とは、①防災計画の作成、②災害予防、③災害応急対策、④災害復旧および防災に関する財政金融措置など、災害対策の基本を定めている。ちなみに、災害救助法とは、災害に際して、国が地方自治体、日本赤十字社などと国民の協力のもとに、応急的に必要な救助を行い、被災者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的とした法律である。【救助の種類】①避難所および応急仮設住宅の供与、②炊き出しその他による食品の給与および飲料水の供給、③被服、寝具その他生活必需品の給与または貸与、④医療および助産、⑤被災者の救出、⑥被災した住宅の応急修理、⑦生業に必要な資金,器具または資料の給与または貸与、⑧学用品の給与である(※参考:「災害救助法の概要」内閣府HPより)。
4.× 災害派遣医療チーム(DMAT)は災害に関連した、「長期的」ではなく短期的(48時間程度)な医療支援活動を担う。【DMAT(災害派遣医療チーム)の特徴】定義:災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チームである。医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームである。①都道府県の派遣要請に基づく。②災害の急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性をもつ。③主な活動は、広域医療搬送、病院支援、地域医療搬送、現場活動などである。
【5疾病】
①がん、②脳卒中、③心筋梗塞などの心血管疾患、④糖尿病、⑤精神疾患
【5事業】
①救急医療、②災害医療、③へき地医療、④周産期医療、⑤ 小児医療(小児救急を含む)
【記載事項】
①5疾病の治療または予防に係る事業、5事業の医療の確保に必要
②5疾病5事業に関する目標、医療連携体制(施設間の機能分担・
③居宅等における医療の確保。
④ 地域医療構想に関する事項。
⑤ 地域医療構想の達成に向けた病床の機能の分化及び連携の推進。
⑥ 病床の機能に関する情報提供の推進。
⑦外来医療の確保。
⑧医師の確保。
⑨医療従事者(医師を除く)の確保
⑩ 医療の安全の確保
⑪ 医療圏の設定(二次、三次医療圏を定める)
⑫医師少数区域等の設定
⑬ 基準病床数(一般病床、療養病床、結核病床、精神病床、感染症病
⑭ 地域医療支援病院等の整備目標。
⑮その他医療提供体制の確保に関する必要事項。
68 小腸で消化吸収される栄養素のうち、胸管を通って輸送されるのはどれか。
1.糖質
2.蛋白質
3.電解質
4.中性脂肪
5.水溶性ビタミン
解答4
解説
胸管とは、最大のリンパ管である。下半身と左上半身のリンパを集める全長35~40cmのリンパ管である。胸管は鎖骨下静脈に接続し、リンパ液を血液中に戻す。 またリンパ液は、組織中の異物(細菌など)、がん細胞、死んだ細胞や損傷した細胞などを廃棄するためにリンパ管やリンパ器官に運ぶ役割も担っている。
1~2.× 糖質(単糖類)/蛋白質(アミノ酸)は、小腸上皮から吸収され、毛細血管から門脈を経て肝臓に運ばれる。ちなみに、門脈とは、だいたいの消化管から得られた栄養を肝臓へと運ぶ働きを持つ機能血管である。胃、腸、膵臓、脾臓、胆嚢の毛細管から静脈血を集める。
3.× 電解質の多くは、イオン化されて小腸粘膜の毛細血管から吸収された後、吸収細胞内から血管内へ移動し、肝臓を経由して全身に運ばれる。電解質とは、体内の液体に存在するイオン(带電粒子)のことで、主なものにナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、カルシウム(Ca2+)、マグネシウム(Mg2+)などがある。電解質異常は、体液の浸漏や脱水、腎臓や腸の異常、薬剤などによって引き起こされる。症状は異常によって異なる。
4.〇 正しい。中性脂肪は、小腸で消化吸収される栄養素のうち、胸管を通って輸送される。中性脂肪は、リパーゼにより分解されたのち、胆汁酸によってミセル化され小腸上皮から吸収される。その後、蛋白質と結合して脂肪滴(カイロミクロン)となり、腸絨毛内のリンパ管に吸収され、リンパの流れに乗り胸管を経由して鎖骨下静脈から大循環に入り、全身に至る。
5.× 水溶性ビタミンの多くは、トランスポーターと呼ばれる蛋白質と結合して、小腸上部で腸絨毛中の毛細血管網から吸収され、血管を経由して肝臓に運ばれる。
ビタミンは、①脂溶性ビタミンと②水溶性ビタミンに分けられる。大部分のビタミンは体内で合成されず、食事などから摂取する必要があるため、どちらも欠乏症にはなり得る。
①脂溶性ビタミン:過剰症をきたしやすい。
②水溶性ビタミン:水に溶けるため過剰症をきたしにくい。
69 性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンはどれか。
1.アルドステロン
2.プロゲステロン
3.エストラジオール
4.黄体形成ホルモン(LH)
5.卵胞刺激ホルモン(FSH)
解答2
解説
・卵胞期:1回の月経周期が始まると脳の底の方にある下垂体というところから、卵を包んでいる卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されはじめ、卵胞は大きくなると同時に女性ホルモン(エストロゲン)を分泌する時期。
・増殖期:女性ホルモン(エストロゲン)が新しい子宮内膜を成長させていく時期。卵胞期と増殖期とはだいたい同じ時期。
・黄体期:排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期。
・分泌期:子宮内膜が成長を止めて受精卵が着床できるよう準備をする時期。
1.× アルドステロンとは、腎臓に作用してナトリウムと水の再吸収を促進し、循環血漿量増加を促し血圧を上昇させる。アルドステロンが過剰に分泌されると、高血圧や低カリウム血症、筋力低下などがみられる。副腎皮質ホルモンとは、副腎皮質より産生されるホルモンの総称で、①アルドステロン、②コルチゾール、③アンドロゲンがある。炎症の制御、炭水化物の代謝、タンパク質の異化、血液の電解質のレベル、免疫反応など広範囲の生理学系に関わっている。
2.〇 正しい。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。プロゲステロンは、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。
3.× エストラジオール(卵胞ホルモン)とは、エストロゲンの一種で、母体の肝臓と胎盤、胎児の副腎を経て生成されるため、その血中濃度は胎児の生命状態の指標として用いられる。エストロゲンの中で最も強い卵胞ホルモン作用を持つ物質で、女性の二次性徴に働き、卵巣機能調節、卵胞発育、子宮内膜増殖などの作用を示す。
4.× 黄体形成ホルモン(LH)とは、下垂体前葉から分泌され、卵巣に影響し排卵を起こす上で重要な役割を担う。排卵期は、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの血中濃度が急激に上昇して始まる。
5.× 卵胞刺激ホルモン(FSH)とは、黄体形成ホルモンと同等に下垂体前葉から分泌され、卵胞を成熟させる役割をもつ。
約1ヵ月に1回卵巣から卵管へ卵子が放出されることを「排卵」という。 月経周期が一般的な28日周期の女性の場合、次の月経開始予定日から約14日前に起こる。 (※月経周期によって異なる。)排卵期は、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの血中濃度が急激に上昇して始まる。黄体形成ホルモンは卵子の放出(排卵)を促すが、排卵は通常、両ホルモンの急激な増加が始まってから16~32時間後に起こる。この時期にはエストロゲンの血中濃度は低下し、プロゲステロンの血中濃度が上昇し始める。
70 腹部を下図に示す。胆石が半年間で胆囊内をAからCまで移動した。
Cの状態を表すのはどれか。
1.嵌頓
2.侵入
3.転位
4.停留
5.迷入
解答1
解説
A:胆嚢に結石がある。
B、C:胆石が胆嚢頚部に向かって移動した。
CとAを比較すると、胆嚢が腫大している。
→胆嚢頚部に結石が嵌頓し、急性胆嚢炎が疑われる。
1.〇 正しい。嵌頓(かんとん)とは、ものが狭い部分にはまることを指す。尿管結石や胆管結石、腸重積症、急性胆嚢炎にしばしば認められる。
2.× 侵入とは、本来ない物質がある場所に入り込むことである。たとえば、ウイルスが体内に侵入する場合に用いられる。
3.× 転位とは、骨折などで骨片が本来の位置からずれた状態にあることをいう。骨転位ともいう。がんの転移とは感じが違うため注意する。
4.× 停留とは、元来移動するべきものが留まっていることをいう。停留精巣とは、陰嚢(金玉袋)の中に精巣(睾丸:きんたまのこと)が入ってない状態で、男の子の先天的な異常の中でもっとも頻度の高い疾患である。予定日で生まれた男の子100人のうち3人ぐらいに認められる。精巣は6か月までは自然下降が期待できるため経過観察するが、6ヶ月をこえても精巣を陰嚢内に触れない場合は治療(手術)を考える必要がある。
5.× 迷入とは、①本来ない場所に移動すること(例えば:ステントが迷入する)、②本来ないものが違う場所に存在すること(迷入膵:異所性膵)をいう。(※読み:めいにゅう)
腸重積とは、0~2歳の乳幼児に発症する(腸が未熟なため起こる)ことが多いが、成人で起こる(腫瘍によるものが多い)こともある。 腸管の一部が後ろの腸管に引き込まれ、重なってしまう状態のことである。腸管の一部が隣接した腸管に入り込んでいる症状をイレウス症状と呼ぶ。しばしば、絞扼性イレウスに至る。初期には、狭窄により腸雑音はしばしば亢進するが、絞扼性イレウスにより壊死を来すと腸雑音は弱くなる。