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66 Aさん(75歳、男性)は、2型糖尿病で超速効型インスリンによる治療を行っている。
災害に備えてAさんに指導する必要があるのはどれか。(※解2つ)
1.開封したインスリンは1年間使用できる。
2.使用しているインスリンの名称を正確に覚える。
3.消毒薬の入手が難しい場合は消毒せずに注射してもよい。
4.平常時と同じように非常時もインスリン注射は食前に行う。
解答2/3(複数の選択肢が正解)
理由:設問文が不明瞭で複数の選択肢が正解と考えられるため
解説
1.× 開封したインスリンは、「1年間使用できる」のではなく、常温保存で約4~6週間で使用しなければならない。遮光(キャップをする)で保管し、高温(30度以上)を避け、開封後は常温で概ね4週間以内(6〜8週間の製剤あり)に使用する。
2.〇 正しい。使用しているインスリンの名称を正確に覚える。なぜなら、間違ったものを投与すると思いもよらない症状が現れる可能性があるため。とはいえ、災害時はショックが強く記憶もあいまいになることもある。したがって、おくすり手帳などの客観的な情報も有用である。
3.〇 正しい。消毒薬の入手が難しい場合は、消毒せずに注射してもよい。なぜなら、インスリン注射は生命維持に必要であるため。したがって、災害時など消毒薬の入手が難しい場合は消毒せずに注射してもよい。
4.× 必ずしも平常時と同じように非常時もインスリン注射は食前に行う必要はない。なぜなら、非常時(災害時)には、食糧不足になり食事量も不安定なことがあるため。したがって、食事の直後にインスリン注射を行うこともある。
(※参考:「災害時の糖尿病看護マニュアル」日本糖尿病教育・看護学会様HPより)
67 国際機関と事業内容の組合せで正しいのはどれか。
1.国連難民高等弁務官事務所<UNHCR>:有償資金協力
2.国連教育科学文化機関<UNESCO>:児童の健康改善
3.世界保健機関<WHO>:感染症対策
4.国際労働機関<ILO>:平和維持活動
解答3
解説
国際協力機構とは、開発途上地域に対する技術協力の実施、無償資金協力の実施の促進、開発途上地域の住民を対象とする国民等の協力活動の促進に必要な業務等を行い、これらの地域等の経済及び社会の発展または復興に寄与し、国際協力の促進に資することを目的とする。
設置年:昭和49(1974)年
協力形態:二国間協力
事業内容:①技術協力(専門家の派遣、研究員の受け入れ)、②有償・無償資金協力、③ボランティア派遣(青年海外協力隊など)、④国際緊急援助
備考:国際緊急援助では、大規模災害時、被災国政府等の要請に応じ、国際緊急援助隊が派遣されている。
青年海外協力隊とは、日本国政府が行う政府開発援助 の一環として、外務省所管の独立行政法人国際協力機構 が実施する海外ボランティア派遣制度である。
(※参考:「(1)独立行政法人 国際協力機構(JICA)」外務省HPより)
1.× 国連難民高等弁務官事務所<UNHCR:United Nations High Commissioner for Refugees>は、「有償資金協力」ではなく、難民問題の解決を目指した活動をしている。国連難民高等弁務官事務所<UNHCR:United Nations High Commissioner for Refugees>とは、難民問題解決のため、国際的な諸規定の監督(法的保護活動)を行っている機関である。1950年に設立された国連機関の一つである。ちなみに、有償資金協力は、政府開発援助(ODA)の二国間援助として、国際協力機構(JICA)によって実施されている。
2.× 国連教育科学文化機関<UNESCO:ユネスコ>は、「児童の健康改善」ではなく、国際平和と人類の福祉の促進を目指した活動をしている。国際連合児童基金(UNICEF)の事業内容は、①児童の権利に関する条約の普及、②開発途上国や紛争中の国の子供の支援などである。つまり、子どもたちに特化している。ちなみに、児童の健康改善を目的として活動する機関は、国連児童基金(UNICEF)である。国連児童基金(UNICEF)とは、第二次世界大戦によって荒廃した国々の子どもたちに緊急の食料を与え、健康管理を行う目的で1946年に設立された。 ユニセフは開発途上国の子どもや母親に長期の人道援助や開発援助を行う。 ユニセフは緊急援助基金から開発機関へと発展した。
3.〇 正しい。世界保健機関<WHO>は、感染症対策が事業内容の1つである。世界保健機関とは、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国連の専門機関である。人間の健康を基本的権利のひとつととらえ、その達成を目的として設立された国連の専門機関であり、感染症およびその他の疾病の撲滅事業の促進や、保健分野における研究の促進・指導などを行っている。
4.× 国際労働機関<ILO:Inter national Labour Organization>は、「平和維持活動」ではなく、世界の労働者の労働条件と生活水準の改善を目的とする国連の専門機関である。ちなみに、世界各地における紛争の解決のために国連が行う活動を、国連平和維持活動(国連PKO)である。
世界保健機関とは、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国連の専門機関である。
設置年:昭和23(1948)年
本部:ジュネーブ(スイス)
協力形態:多国間交流
事業内容:発展途上国への国際保健協力、感染症およびその他の疾病(エイズ・結核・マラリア等)の撲滅事業、国際疾病分類(ICD)の作成
備考:①WHOの構成組織である地域的機関は、6つ(アフリカ、アメリカ、東南アジア、ヨーロッパ、東地中海、西太平洋)あり、日本は西太平洋に所属している。②194か国加盟 (2018年4月時点)、③たばこ規制枠組み条約:たばこの消費等が健康に及ぼす悪影響から現在および将来の世代を保護することを目的とし、たばこに関する広告、包装上の表示等の規制及びたばこの規制に関する国際協力について規定。
(※参考:「日本とWHO」厚生労働省HPより)
68 頭部CTを下に示す。
出血部位について正しいのはどれか。
1.皮下組織
2.硬膜外腔
3.くも膜下腔
4.脳実質内
5.脳室内
解答2
解説
1.× 皮下組織ではない。皮下出血とは、いわゆる「たんこぶ」で皮下組織への出血のことである。頭蓋骨の外に、白く映る出血部位がみられる。
2.〇 正しい。硬膜外腔が出血部位である。なぜなら、本症例の頭部CTは、頭蓋骨と硬膜の間の空間に白く凸レンズ型に写っているため。本症例は、硬膜外血腫といえる。硬膜外腔とは、頭蓋骨と硬膜の間の空間である。ちなみに、硬膜外血腫とは、高所、階段からの転倒や、交通外傷などによって、強く頭部を打撲することで、脳を覆う硬膜という膜と頭蓋骨との隙間に血液が貯留した状態を指す。重度だと、頭蓋内圧亢進症状といわれる頭痛、吐き気、複視などが起こり、症状を放置していると命に関わる危険性がある。
3.× くも膜下腔ではない。くも膜下腔への出血をくも膜下出血という。くも膜下腔はくも膜と軟膜の間の空間であり、ほとんどのくも膜下出血が動脈瘤の破裂により発生するため、頭蓋骨内側の脳表面にみられる。したがって、鞍上部周囲のくも膜下腔にヒトデ型(ダビデの星やペンタゴンともいわれる)の高吸収域を認める。
4.× 脳実質内ではない。脳実質内への出血を脳(内)出血という。高血圧により発生することが多い。
5.× 脳室内ではない。脳室内への出血を脳室内出血という。脳室は脳の中の脳脊髄液で満たされている部分であり、画像で黒く「く」の字形に写っている空間(側脳室)のことである。
くも膜下出血とは、くも膜と呼ばれる脳表面の膜と脳の空間(くも膜下腔と呼ばれ、脳脊髄液が存在している)に存在する血管が切れて起こる出血である。くも膜下出血ではくも膜下腔に血液が流入し、CTでは高吸収域として抽出される。合併症には、①再出血、②脳血管攣縮、③正常圧水頭症などがある。①再出血:発症後24時間以内が多く、死亡率も高い。②脳血管攣縮:72時間後〜2週間後(ピークは8〜10日)が多く、脳血管攣縮による梗塞の好発部位は、「前交通動脈」である。③正常圧水頭症:数週〜数ヶ月後に認知症状、尿失禁、歩行障害などの症状が出現する。
69 動脈硬化を直視して評価できる血管はどれか。
1.冠動脈
2.眼底動脈
3.大腿動脈
4.腹部大動脈
5.中大脳動脈
解答2
解説
動脈硬化とは、動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態である。 内腔にプラークがついたり血栓が生じたりして血管が詰まりやすくなる。
1.× 冠動脈は直視できない。なぜなら、冠動脈は心臓を養う血管であるため。冠動脈とは、冠状動脈ともいい、心臓を栄養する終動脈(細動脈で吻合をもたない血管)である。心臓自身を栄養するために、心拍出量の約1/20(250mL/分)の血液が冠動脈へ流れている。右冠状動脈(後下行枝)は、洞房結節、房室結節、右心室、心臓の後壁および下壁に、左冠状動脈(左前下行枝・左回旋枝)は、左心房・右心室の前壁・左心室の前壁と後壁・心室中隔の大部分に流入する。
2.〇 正しい。眼底動脈は、血管の状態を直接観察できる唯一の場所である。眼底動脈の状態から、動脈硬化の程度を知ることができる。眼底血管は動脈と静脈が交叉して接触している所があり、動脈硬化が強くなると、交叉している静脈の血流が塞き止められている状態がみられる。症状が進行すると静脈が破けて眼底出血をおこす。
3.× 大腿動脈は直視できない。なぜなら、大腿の深部を走行しているため。
4.× 腹部大動脈は直視できない。なぜなら、腹膜後臓器を走行しているため。腹部大動脈とは、大動脈のうち腹腔を通過する部分のことである。
5.× 中大脳動脈は直視できない。なぜなら、脳底を走行しているため。
腹膜後器官(後腹膜臓器)とは、後腹壁の壁側腹膜に接する領域に位置する器官のことである。腹膜後器官には、十二指腸、腎臓、副腎、膵臓、尿管、腹大動脈、下大静脈、胸管、乳び槽などがある。
70 接触性皮膚炎の原因となるアレルギー反応で正しいのはどれか。
1.Ⅰ型
2.Ⅱ型
3.Ⅲ型
4.Ⅳ型
5.Ⅴ型
解答4
解説
1.× Ⅰ型アレルギーとは、肥満細胞や好塩基球からの化学伝達物質の放出によって起こる即時型アレルギーで、アレルゲンに接触した数分後に、皮膚・粘膜症状が出現する。まれにアナフィラキシーショックとなり重篤化(血圧低下、呼吸困難、意識障害を伴う)することがある。
2.× Ⅱ型アレルギーとは、細胞障害型や細胞融解型と呼ばれ、抗体はIgG・IgMが関与するアレルギーである。自己の細胞にこれらが結合し、補体の活性化による細胞融解や食細胞による貧食を起こす。血液型不適合輸血による溶血、自己免疫性溶血性貧血などに関連する。
3.× Ⅲ型アレルギーとは、免疫複合体型やArthus型と呼ばれ、抗体はIgG・IgMが関与するが、免疫複合体も関与するアレルギーである。免疫複合体が血管内皮などの組織に沈着すると補体を活性化し、結果として組織障害を生じる。血清病、全身性エリテマトーデスなどに関連する。遅発型で3~8時間で最大の紅斑と浮腫が生じる。
4.〇 正しい。Ⅳ型アレルギーは、接触性皮膚炎の原因となるアレルギー反応である。Ⅳ型アレルギーとは、遅延型細胞性免疫やツベルクリン型とも呼ばれ、感作T細胞が関与するアレルギーである。感作T細胞と抗原の反応によって産生・放出されたサイトカインが局所の細胞性免疫反応を活性化し、炎症と組織障害が生じる。ツベルクリン反応、接触性皮膚炎などに関連する。
5.× Ⅴ型アレルギーとは、ホルモンを分泌する細胞に結合する反応で、甲状腺機能亢進症・低下症を引き起こす。バセドウ病に代表される(Ⅱ型アレルギーの亜型:抗受容体抗体型)である。これも含めてアレルギー型を5つに分類する場合がある。バセドウ病とは、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体による甲状腺機能亢進症である。症状は、眼球突出、頻脈、びまん性甲状腺腫が特徴的である。
アレルギー反応の分類法としては、免疫反応による組織傷害の機序から分類したGellとCoombsの分類が使われることが多い。本分類はその反応に関与する抗体や細胞の違いにより分類されるが、現象的には皮膚反応出現にかかる時間と反応の性状により分けられる。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ型は血清抗体が関与する体液性免疫(humoral immunity)、Ⅳ型は感作リンバ球による細胞性免疫(cellularimmunity)と大別される。
(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)