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26 筋収縮で正しいのはどれか。
1.筋収縮はミオシンの短縮である。
2.アクチンにATP分解酵素が存在する。
3.α運動ニューロンは筋紡錘を興奮させる。
4.筋小胞体からカルシウムイオンが放出される。
解答4
解説
【筋収縮の機序】
①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。
②ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。
③アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。
【運動による筋疲労によって起こる事象】
①代謝産物の蓄積(乳酸の増加やpHの低下)
②エネルギー供給率の低下(ATP低下、ADP増加、グリコーゲン低下)
③興奮収縮連関不全(筋小胞体へのCa2+取り込み低下)
1.× 筋収縮は、「ミオシンの短縮」ではなく、アクチンがミオシンの間に滑り込むことである。アクチンもミオシンもそれ自体が短縮することはない。
2.× ATP分解酵素が存在するのは、「アクチン」ではなくミオシン頭部である。ATPはミオシン頭部のATP分解酵素部位と結合する。
3.× 筋紡錘を興奮させるのは、「α運動ニューロン」ではなくγ(ガンマ)運動ニューロンである。α運動ニューロンとは、筋線維(錘外筋線維:筋肉の張力を感知する感覚装置)を支配し、実際の筋収縮に関与する。ちなみに、筋紡錘とは、骨格筋の収縮を感知する感覚器(筋の長さとそれが変化する速さを感知する感覚器)であり、腱をたたいて骨格筋を急速に伸ばすと起こる筋単収縮(伸張反射)に関与する。
4.〇 正しい。筋小胞体からカルシウムイオンが放出される。筋収縮の機序として、まず、筋小胞体から放出されたCa2+(カルシウムイオン)がトロポニンと結合することから始まる。カルシウムイオンは、筋小胞体中に貯蔵されており、筋収縮時に細胞質内へ放出され、カルシウムイオンの濃度上昇が筋収縮の引き金となる。
カルシウムイオンは、生体内の主要な陽イオンの1つで、血液の細胞外液中におけるその濃度は約1%である。骨石灰化や、心臓および骨格筋系の収縮、神経筋伝達、ホルモン分泌や血液凝固における一連の反応に寄与する。
27 血管に吻合がないのはどれか。
1.皮静脈
2.冠動脈
3.膝窩動脈
4.腸絨毛の毛細血管
解答2
解説
吻合(ふんごう)とは、枝である血管同士の結合部分のことである。ちなみに、動静脈吻合とは、毛細血管を通さずに、大きな連絡管により動脈と静脈を結ぶ血管である。熱を皮膚表面へ 運び出し環境へ放散するために極めて重要な役割を担っている。からだのさまざまな箇所にあるが、とくに手掌、足底および指の皮膚、爪床、鼻、耳などに見られる。(※読み:どうじょうみゃくふんごう)
1.× 皮静脈は、血管に吻合がある。皮静脈とは、動脈に伴行する深静脈に対して、皮下を走る静脈のことをいう。毛細血管を流れる血液量を調節している。
2.△ 冠動脈は、血管に吻合をもたないが、一部吻合が存在する。これは、機能的終動脈といい、血流が滞るとその先の組織は壊死する。設問文には、「血管に吻合がないのは?」と聞かれているため、一部でも吻合が存在しているため問題としては不適切である。ちなみに、機能的終動脈とは、吻合があるものの、吻合による血液供給が不十分な動脈のことである。終動脈と同じく、血流が滞ると血液が供給できなくなる。
3.× 膝窩動脈は、血管に吻合がある。膝窩動脈とは、膝の後ろのくぼんだ部分である「膝窩」を走っている動脈である。
4.× 腸絨毛の毛細血管は、血管に吻合がある。腸絨毛とは、小腸の粘膜内壁にある輪状ひだ(ケルクリング皺襞)に存在する突起である。長さ約0.5mmで、指状または葉状の小突起をしている(※読み:ちょうじゅうもう)。栄養をいきわたらせる役割を持つ。
28 一次脱水でみられるのはどれか。
1.尿量の減少
2.血漿浸透圧の低下
3.バソプレシンの分泌の抑制
4.血漿ナトリウムイオン濃度の低下
解答1
解説
脱水とは、生体において体液量が減少した状態をいう。水やナトリウムの喪失が原因で起こる。この際、ナトリウムの喪失を伴わず水欠乏を起こす病態を高張性脱水(水欠乏性脱水)や一次脱水という。脱水症状とは、体内の水分が2%失われると、のどの渇きを感じ、運動能力が低下しはじめる。3%失われると、強いのどの渇き、ぼんやり、食欲不振などの症状がおこり、4~5%になると、疲労感や頭痛、めまいなどの脱水症状が現れる。10%以上になると、死にいたることもある。
【脱水の3タイプ】
①高張性脱水:水欠乏性脱水や一次脱水ともいう。汗をたくさんかいて喉が渇いているときにみられる脱水で、電解質より水分の方がより多く失われ、体液が濃くなっている状態である。
②等張性脱水:下痢や嘔吐によって体液が一気に失われたときに起こり、水分と電解質が同等の割合で失われる脱水である。
③低張性脱水:たくさん汗をかいているのにお茶や水などの電解質があまり含まれない飲み物を大量に飲んだ時に起こる脱水である。水分よりも電解質が多く失われている状態である。
1.〇 正しい。尿量の減少は、一次脱水でみられる。なぜなら、血漿浸透圧が上昇し、抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌が亢進するため。高張性脱水とは、水欠乏性脱水や一次脱水ともいい、汗をたくさんかいて喉が渇いているときにみられる脱水で、電解質より水分の方がより多く失われ、体液が濃くなっている状態である。
2.× 血漿浸透圧は、「低下」ではなく亢進する。なぜなら、血漿中の水が減少するため。
3.× バソプレシン(抗利尿ホルモン)の分泌は、「抑制」ではなく亢進する。なぜなら、バソプレシンは、水の再吸収量を増加させるため。つまり、利尿を妨げる。したがって、抗利尿ホルモンの反応性が亢進すると、尿量が減少し、体内の水分が保たれる。
4.× 血漿ナトリウムイオン濃度は、「低下」ではなく上昇する。なぜなら、血漿中の水が減少するため。ちなみに、ナトリウムイオンは、主にカリウムとともに体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持している。他にも、酸・塩基平衡、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送、水分を保持しながら細胞外液量や循環血液の量を維持し、血圧を調節している。
29 膵臓から分泌されるのはどれか。
1.ガストリン
2.カルシトニン
3.アルドステロン
4.ソマトスタチン
解答4
解説
膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。
②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。
③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるγ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。
1.× ガストリンとは、胃幽門前庭部と十二指腸上部のG細胞から分泌され、胃酸・ペプシノーゲンの分泌促進や胃運動促進の作用がある。
2.× カルシトニンは、甲状腺から分泌されるホルモンである。血液中のカルシウム濃度上昇によって分泌が促進され、カルシウム濃度を低下させる働きをする。
3.× アルドステロンは、副腎皮質から分泌されるホルモン(鉱質コルチコイド)である。腎臓の尿細管に作用してナトリウムの再吸収を促進する。
4.〇 正しい。ソマトスタチンは、①脳の視床下部、②膵臓のランゲルハンス島δ細胞(デルタ細胞)、③消化管の内分泌細胞(δ細胞)などから分泌されるホルモンである。作用は、成長ホルモン・インスリン・グルカゴン・ガストリン・セクレチンの分泌を抑制する。
副腎皮質ホルモンには、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などがある。
コルチゾール:血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。
30 男性生殖器について正しいのはどれか。
1.精巣は腹腔内にある。
2.精囊は精子を貯留する。
3.前立腺は直腸の前面に位置する。
4.右精巣静脈は腎静脈に流入する。
解答3
解説
1.× 精巣は、「腹腔内」ではなく陰嚢内にある。ただ、精巣は胎生期には腹腔内にある。出生時には陰嚢内に下降する。ちなみに、腹腔内臓器とは、腹腔内に収納されている臓器のことをいう。胃、肝臓、胆嚢、脾臓、回腸、空腸、虫垂、横行結腸、S状結腸などがあげられる。
2.× 精囊は、「精子の貯留」ではなく、精液のおおよそ70%を占める精嚢液を産生分泌する。ちなみに、精子を貯留しているのは精巣上体である。
3.〇 正しい。前立腺は直腸の前面に位置する。前立腺は、膀胱の下側にあり尿道を取り囲むように存在している。そのため、直腸指診で腹側で触知できる。ちなみに、前立腺とは、男性にしかない生殖器の一つで、前立腺液といわれる精液の一部を作り、精子に栄養を与えたり、精子を保護する役割を持っている。
4.× 右精巣静脈は、「腎静脈」ではなく下大静脈に直接流入する。ちなみに、左精巣静脈は左腎静脈に流入する。なぜなら、下大静脈と腹部大動脈の位置関係から、腎静脈の長さは、右側は非常に短く左側は長くなっているため。
後腹膜器官とは、後腹壁の壁側腹膜より後方に位置する臓器である。
後腹膜器官は、十二指腸、腎臓、副腎、尿管、腹部大動脈、下大静脈、交感神経幹である。
類似問題です↓