第109回(R2) 看護師国家試験 解説【午後6~10】

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6 エリクソン,E.H.の発達理論で青年期に生じる葛藤はどれか。

1.生殖性 対 停滞
2.勤勉性 対 劣等感
3.自主性 対 罪悪感
4.同一性 対 同一性混乱

解答4

解説

エリクソン発達理論

 エリクソンとは、人間のライフサイクルを乳児期~老年期の8段階に分け、各段階の発達課題と心理・社会的危機があるとする発達理論を提唱した。

乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望

1.× 生殖性 対 停滞は、壮年期の葛藤である。
2.× 勤勉性 対 劣等感は、学童期の葛藤である。
3.× 自主性 対 罪悪感は、幼児期の葛藤である。
4.〇 正しい。同一性 対 同一性混乱は、青年期の葛藤である。自己同一性(アイデンティティ)とは、心理学や社会学において、「自分は何者なのか」という概念をさす。青年期は、独自の自己像とその感覚(自信)といった同一性(アイデンティティ)を確立する時期で、その形成過程で葛藤し混乱する発達危機に直面することがある。

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【13問】発達課題についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

7 乳児期における呼吸の型はどれか。

1.肩呼吸
2.胸式呼吸
3.腹式呼吸
4.胸腹式呼吸

解答3

解説

乳児期とは?

乳児期とは、生後1歳から1歳半頃までのことである。

1.× 肩呼吸とは、呼吸困難が強度になると、あらゆる呼吸筋を動員しようとするはたらきが起き、肩の上下運動を伴った呼吸(肩呼吸)をするようになる。激しい運動時や喘息時に起こりやすい。
2.× 胸式呼吸とは、肋間筋の働きで胸郭を広げることによって行う呼吸運動である。胸郭や呼吸筋がより発達した学童期以降に行うようになる。
3.〇 正しい。腹式呼吸は、乳児期における呼吸の型である。なぜなら、新生児は、肋骨の角度が水平で呼吸筋が未発達のためである。肋骨の傾斜が成人に近づき、呼吸筋が発達してくるのに合わせて、2歳ごろから胸腹式呼吸となり、6歳ごろまでに胸式呼吸となる。
4.× 胸腹式呼吸は、胸郭と呼吸筋の発達に伴い、胸部と腹部を同時に使う呼吸の型である。

 

 

 

 

8 老年期にみられる身体的な変化はどれか。

1.血管抵抗の増大
2.消化管の運動の亢進
3.水晶体の弾性の増大
4.メラトニン分泌量の増加

解答1

解説

老年期とは?

世界保健機構の定義では、65 歳以上の者となっている。日本では、65~75歳が前期高齢者、75歳以上が後期高齢者となっている。

1.〇 正しい。血管抵抗の増大は、老年期にみられる身体的な変化である。なぜなら、加齢に伴う動脈硬化により、血管の弾性が減少するため。したがって、虚血性心疾患が増加する。
2.× 消化管の運動は、「亢進」ではなく低下する。なぜなら、消化液の分泌低下、蠕動運動の低下などによるため。したがって、腸の運動低下、腹筋の弛緩、直腸内圧閾値上昇により、便秘傾向になる。
3.× 水晶体の弾性は、「増大」ではなく低下する。つまり、柔軟に厚みを変えることが難しくなる。また、水晶体の蛋白変性が起こる。これにより白内障となる。ちなみに、水晶体とは、ほぼ透明で眼の中でレンズの役割を担う器官である。
4.× メラトニン分泌量は、「増加」ではなく低下する。メラトニンとは、夜間に脳の松果体から分泌されるホルモンで、体内時計による夜間の身体の休息を促す働きを持つ。メラトニン分泌量が低下するため睡眠障害が起こりやすくなる。

 

 

 

 

 

9 平成29年(2017年)の日本の人口推計で10年前より増加しているのはどれか。

1.総人口
2.年少人口
3.老年人口
4.生産年齢人口

解答3

解説

1.× 総人口は、減少している。日本の総人口は、平成20(2008)年:1億2,808万4千人、平成30(2018)年:1億2,644万3千人である。ちなみに、総人口とは、国内滞在期間が3か月を超える外国人を含む日本の人口を指す。
2.× 年少人口は、減少している。日本の年少人口は、平成20(2008)年:1,717万6千人、平成30(2018)年:1,541万5千人である。ちなみに、年少人口とは、0~14歳の人口を指す。
3.〇 正しい。老年人口は、増加している。日本の老年人口は、平成20(2008)年:2,821万6千人、平成30(2018)年:2,821万6千人である。ちなみに、老年人口とは、65歳以上の人口を指す。
4.× 生産年齢人口は、減少している。日本の生産年齢人口は、平成20(2008)年:8,230万人、平成30(2018)年:7,545万1千人である。生産年齢人口とは、各国の国内で行われている生産活動に就いている中核の労働力となるような年齢の人口を指す。OECD(経済協力開発機構)は15~64歳の人口と定義している。

(※データ引用:「人口推計」総務省統計局HPより)

 

 

 

 

10 医療法に規定されている診療所とは、患者を入院させるための施設を有しないもの又は( )人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
 ( )に入る数字はどれか。

1.9
2.19
3.29
4.39

解答2

解説

医療法とは?

医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。

有床診療所は、19人以下の患者を入院させる施設を有するものである。診療所とは、患者を入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設であり、医師又は歯科医師が医業又は歯科医業を行う場所である。ちなみに、無床診療所は患者を入院させるための設備自体がないものを指す。これは、医療法1条5項に記載されている。したがって、選択肢2.19人が正しい。

医療法1条5項
この法律において、「病院」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。病院は、傷病者が、科学的でかつ適正な診療を受けることができる便宜を与えることを主たる目的として組織され、かつ、運営されるものでなければならない。
2 この法律において、「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
(※一部引用:「医療法」e-GOV法令検索様HPより)

 

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