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次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aさん(57歳、男性)は、妻(55歳)と長女(28歳)の3人暮らし。4年前に直腸癌と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、Aさんは直腸癌を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部のがん疼痛を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院した。主治医からAさんと家族に余命4か月程度と告知され、Aさんは「痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない。自宅で好きなことをして過ごしたい」と話している。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を1日2回内服し、痛みがなければ日常生活動作(ADL)は、ほぼ自立している。
116 退院後、Aさんは痛みが強くなってきたため、主治医はオキシコドン塩酸塩を増量したが、Aさんは眠気が強くなり「薬を飲みたくない」と訴えた。そのため、フェンタニル貼付剤に切り替え、レスキュー薬としてフェンタニルクエン酸塩舌下錠が処方された。
訪問看護師によるAさんの家族への疼痛緩和のための薬物療法の指導で適切なのはどれか。
1.副作用で便秘が生じた場合には貼付しない。
2.残ったオキシコドン塩酸塩は自宅で保管する。
3.レスキュー薬は使用間隔を気にせず使用してよい。
4.フェンタニル貼付剤の交換時に家族が貼付面に触れないようにする。
解答4
解説
・退院後、痛みの増強で、主治医はオキシコドン塩酸塩を増量。
・Aさんは眠気が強くなり「薬を飲みたくない」と。
・フェンタニル貼付剤に切り替えた。
・レスキュー薬としてフェンタニルクエン酸塩舌下錠が処方された。
→オキシコドン塩酸塩とは、痛みをおさえる強力な作用があり、とくに持続する鈍痛に効果が高く、一般的な鎮痛薬が効きにくい各種のがんの痛みに有効である。モルヒネ、オキシコドン、コデインは、腸蠕動運動の低下、腸管分泌抑制などにより便秘を生じさせるが、便秘には耐性が生じないため、オピオイド使用直後より下剤の投与を行い、継続して投与することが必要である。
→フェンタニル貼付剤とは、経皮的に吸収されて全身に作用する鎮痛剤の一種である。血流にのって運ばれ、全身の痛みに効果がある。
→レスキュー薬とは、主たる薬理作用には鎮痛作用を有しないが、鎮痛薬と併用することにより鎮痛効果を高め、特定の状況下で鎮痛効果を示す薬物のことをいう。
→フェンタニルクエン酸塩舌下錠とは、癌疼痛治療剤と呼ばれるグループに属する口腔粘膜吸収薬で、舌の下の奥の方に入れて溶かすと、口の中の粘膜から速やかに体内に吸収され、痛みを伝える神経組織や痛みの中枢に働きかけ、一時的にあらわれる(短時間に発生し、消失する)強い痛みをやわらげる。
1.× 副作用で便秘が生じた場合でも貼付できる。なぜなら、本症例は疼痛をコントロールする目的で入院しているため。また、鎮痛薬の副作用として、よく便秘が現れるが、下剤と一緒に服用することが多い。また心配であれば、医師に報告することも大切である。
2.× 残ったオキシコドン塩酸塩は、「自宅に保管」ではなく医療機関に返却する。なぜなら、オキシコドン塩酸塩は『麻薬および向精神薬取締法』に定められている薬であるため。麻薬及び向精神薬取締法とは、麻薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、一方でその有益性を活用するため、施用等について定められた法律である。医療用麻薬であるモルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、コデインおよびケタミンなどが、麻薬として規制されている。
3.× レスキュー薬は使用間隔を気にせず使用してよいものではない。なぜなら、「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」では、フェンタニルの舌下錠は「2時間以上あけて1日4回まで」と記載されているため。レスキュー薬とは、主たる薬理作用には鎮痛作用を有しないが、鎮痛薬と併用することにより鎮痛効果を高め、特定の状況下で鎮痛効果を示す薬物のことをいう。
4.〇 正しい。フェンタニル貼付剤の交換時に家族が貼付面に触れないようにする。なぜなら、貼付面に触れた家族に、作用(副作用)が生じてしまうため。患者以外が貼付面に触れないように、家族の安全も大切である。
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aさん(57歳、男性)は、妻(55歳)と長女(28歳)の3人暮らし。4年前に直腸癌と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、Aさんは直腸癌を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部のがん疼痛を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院した。主治医からAさんと家族に余命4か月程度と告知され、Aさんは「痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない。自宅で好きなことをして過ごしたい」と話している。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を1日2回内服し、痛みがなければ日常生活動作(ADL)は、ほぼ自立している。
117 退院後3か月。Aさんの食事や水分の摂取量は減り、徐々に傾眠傾向になってきた。Aさんの妻は訪問看護師に「少し怖いが、できればこのまま自宅で看ていきたい」と話した。
Aさんを自宅で看取るための訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
1.高カロリー輸液の開始を医師と相談する。
2.Aさんの清潔ケアは看護師が行うことを妻に伝える。
3.今後起こりうるAさんの状態の変化を妻に説明する。
4.Aさんが亡くなるまで家族がそばを離れないように伝える。
解答3
解説
・退院後3か月。
・食事や水分の摂取量は減少。
・徐々に傾眠傾向。
・妻「少し怖いが、できればこのまま自宅で看ていきたい」と。
→妻の「少し怖い」という発言にも寄り添った支援が必要である。
1.× 高カロリー輸液の開始を医師と相談する優先度は低い。なぜなら、Aさんは「痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない」と伝えているため。高カロリー輸液とは、中心静脈栄養とも呼ばれ、高濃度の栄養輸液を中心静脈から投与することで、エネルギーをはじめ、からだに必要な栄養素を補給する方法である。
2.× Aさんの清潔ケアは看護師が行うことを妻に伝える必要はない。なぜなら、Aさんの妻は「できればこのまま自宅で看ていきたい」と伝えているため。Aさんの妻の役割を看護師が行うことは、無力感を抱くこともある。患者の苦痛・負担を最小限にしながら、家族が参加できるような方法を提案する。
3.〇 正しい。今後起こりうるAさんの状態の変化を妻に説明する。なぜなら、妻の「少し怖い」という発言から、不安が聞き取れる。また、Aさんは徐々に傾眠傾向となっており、見取りの際に家族があわてずに見守ることができるよう、あらかじめ説明しておくことが大切である。
4.× Aさんが亡くなるまで家族がそばを離れないように伝える必要はない。なぜなら、在宅でずっとそばに付き添うケアは、家族に負荷がかかりすぎるため。
せん妄とは、疾患や全身疾患・外因性物質などによって出現する軽度~中等度の意識障害であり、睡眠障害や興奮・幻覚などが加わった状態をいう。高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多い。
【原因】脳疾患、心疾患、脱水、感染症、手術などに伴って起こることが多い。他にも、心理的因子、薬物、環境にも起因する。
【症状】
①意識がぼんやりする。
②その場にそぐわない行動をする。
③夜間に起こることが多い。 (夜間せん妄)
④通常は数日から1週間でよくなる。
【主な予防方法】
①術前の十分な説明や家族との面会などで手術の不安を取り除く。
②昼間の働きかけを多くし、睡眠・覚醒リズムの調整をする。
③術後早期からの離床を促し、リハビリテーションを行う。
次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
Aさん(75歳、女性)は、脂質異常症と高血圧症で通院中で、定期受診のため、外来待合室で順番を待っていた。Aさんは、待合室の雑誌を取ろうと立ち上がり、歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。外来看護師が声をかけると、Aさんは「らいじょうぶ」と返答したが、ろれつが回らなかった。
118 この時のAさんの症状はどれか。
1.痙縮
2.失語
3.構音障害
4.パーキンソニズム
解答3
解説
・Aさん(75歳、女性、脂質異常症、高血圧症)
・待合室の雑誌を取ろうと立ち上がり、歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。
・Aさん「らいじょうぶ」と返答したが、ろれつが回らなかった。
→Aさんは、①右足が思うように動かず引きずって歩いた(右片麻痺)、②「らいじょうぶ」とろれつが回らなかった(構音障害)などから、脳血管障害が疑われる。
1.× 「痙縮」ではなく弛緩性麻痺がみられる。ちなみに、痙縮とは、錐体路の上位運動ニューロン障害による損傷高位以下の脊髄前角細胞(下位運動ニューロン)の活動性が亢進し、麻痺筋の筋紡錘からの求心性刺激が増強することによって生じる。その結果、意思とは関係なく筋肉の緊張が高まり、手や足が勝手につっぱったり曲がってしまったりしてしまう状態となる。このため、前角細胞以下の障害では痙縮は出現しない。脳卒中の後遺症として起こる痙縮の治療にはボツリヌス毒素が用いられる。ボツリヌス毒素が神経終末の受容体に結合することで、アセチルコリンの放出を阻害し、アセチルコリンを介した筋収縮および発汗が阻害される。
2.× 失語より優先される選択肢が他にある。失語とは、読む、書く、話す、聞くなどの言語機能が失われた状態である。失語にも様々な種類があり、それぞれの失語によって症状が異なる。
3.〇 正しい。構音障害である。構音障害とは、発語・発声に関与する神経・筋系の障害であり、言語の理解は正常であるが正しく発語できない状態である。看護師の声かけに、「らいじょうぶ(大丈夫)」と返答していることから、言葉の理解・喚語は正常であることがわかるが、正しく発語できない状態である。
4.× パーキンソニズムとは、パーキンソン病の症状(①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害)を呈する疾患の総称のことをいう。パーキンソニズムは、脳の病気、脳損傷、または特定の薬剤や毒素によって引き起こされる。
次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
Aさん(75歳、女性)は、脂質異常症と高血圧症で通院中で、定期受診のため、外来待合室で順番を待っていた。Aさんは、待合室の雑誌を取ろうと立ち上がり、歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。外来看護師が声をかけると、Aさんは「らいじょうぶ」と返答したが、ろれつが回らなかった。
119 検査の結果、Aさんは左脳の運動野に脳梗塞を発症していることが分かった。Aさんは3週間の入院治療を経て転院し、2か月間のリハビリテーションを行うことになった。
転院先の医療機関に提供する情報で最も優先するのはどれか。
1.診療情報提供書
2.要介護認定の申請書
3.医療相談員の相談記録
4.使用中の車椅子の機種
5.身体障害者手帳の申請書
解答1
解説
・検査の結果:左脳の運動野に脳梗塞。
・3週間後:転院、2か月間のリハビリテーションを行う。
→急性期病院から回復期リハビリテーション病院に転院する際の情報提供に関する問題である。
1.〇 正しい。診療情報提供書が、転院先の医療機関に提供する情報で最も優先される。診療情報提供書とは、師が他の医師、あるいは医療機関へ患者を紹介する場合に発行する書類で、氏名、年齢、性別、症状や傷病名などの他にも詳細な診療情報が記載されている。回復期リハビリテーション病院では、今後の治療・リハビリテーションの方針を決定するうえで重要な書類となる。
2.× 要介護認定の申請書より優先度が高いものが他にある。要介護認定の申請書とは、介護保険のサービスを使用するための申請に必要な書類である。介護保険サービスとは、施設に入所したり在宅で介護を受けたり、あるいは施設に通ったりして生活をサポートしてもらうサービスのことである。例えば、居宅介護サービスとしては、入浴介助、訪問看護、デイサービスなど、通所サービスとしては、ショートステイなどである。Aさんは2か月のリハビリテーションを行うことが決まっており、その期間で、身体機能の向上が見込まれる。したがって、急いで申請をする必要はなく、退院時の身体機能について審査されることが望ましい。
3.× 医療相談員の相談記録より優先度が高いものが他にある。医療相談員の相談記録とは、転院先の決定に至るまでのプロセスや家族の情報などを記載されている記録のことをいう。退院後の療養環境を整えるうえで重要な情報であるが、リハビリテーション病院への転院時にすぐに必要とはいえない。
4.× 使用中の車椅子の機種より優先度が高いものが他にある。なぜなら、一般的に転院後、症例に合った車椅子を選定するため。転院先にも理学療法士などの専門職がいる。また、車椅子の情報の中でも「車椅子の機種」より「車椅子の設定(座幅やアームレストの高さなど)」の方が、よりストレスなく日常生活を送るために大切である。
5.× 身体障害者手帳の申請書より優先度が高いものが他にある。身体障害者手帳とは、身体障害者がそれを対象とする各種制度を利用する際に提示する手帳で、身体障害者が健常者と同等の生活を送るために最低限必要な援助を受けるための証明書にあたる。障害者手帳を提示することで、障害者雇用枠での就労が可能になるほか、医療費の負担減や税金の控除、割引等のサービスが受けることができる。Aさんは2か月のリハビリテーションを行うことが決まっており、その期間で、身体機能の向上が見込まれる。したがって、急いで申請をする必要はなく、退院時の身体機能について審査されることが望ましい。
(※画像引用:「要介護認定の仕組みと手順」厚生労働省HPより)
次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
Aさん(75歳、女性)は、脂質異常症と高血圧症で通院中で、定期受診のため、外来待合室で順番を待っていた。Aさんは、待合室の雑誌を取ろうと立ち上がり、歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。外来看護師が声をかけると、Aさんは「らいじょうぶ」と返答したが、ろれつが回らなかった。
120 Aさんは、2か月間のリハビリテーションの結果、健側をつかってベッド上で端坐位ができるようになり、補装具をつければ軽介助で歩行できる状態まで回復した。退院後はベッド柵をつけた介護用ベッドを設置し、自宅で生活をする予定である。Aさんが自宅で使用する介護用ベッドの柵の配置を図に示す。
ベッド柵の配置で適切なのはどれか。
解答1
解説
問118~120の設問文の情報含める。
・Aさん(75歳、女性、脂質異常症、高血圧症)
・歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。
・検査の結果:左脳の運動野に脳梗塞を発症。
・リハビリテーション後:健側をつかってベッド上で端坐位可能、補装具をつければ軽介助で歩行できる状態まで回復した。
→Aさんは、①右足が思うように動かず引きずって歩いた、②左脳の運動野に脳梗塞を発症などから、右片麻痺に対するベッドサイドの環境調整が必要である。
1.〇 正しい。右麻痺に対するベッド環境である。本症例は、健側をつかってベッド上で端坐位可能、補装具をつければ軽介助で歩行できる状態まで回復している。図は、左手(非麻痺側)で柵をつかんで端座位をとることも可能で、起き上がりの際には足側の柵は外されている必要がある。
2.4.× 端坐位保持する際に、把持物が左手(非麻痺側)にないため端坐位保持困難と考えられる。
3.× 起き上がる際に、両足の柵を越えて行わなくてはならない。
※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。