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51 高齢者の性について正しいのはどれか。
1.女性の性交痛は起こりにくくなる。
2.男性は性ホルモンの分泌量が保たれる。
3.高齢になると異性に対する羞恥心は減退する。
4.セクシュアリティの尊重はQOLの維持に影響する。
解答4
解説
1.× 女性の性交痛は、「起こりにくく」ではなく起こりやすくなる。なぜなら、閉経後に女性ホルモンであるエストロゲンの分泌は低下し、膣粘膜の非薄化や膣分泌液の減少が生じるため。ちなみに、エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
2.× 男性も、性ホルモン(テストステロン)の分泌量が「保たれる」のではなく、加齢とともに低下する。テストステロンが低下すると、男性更年期障害がみられる。症状として、不安、やる気・記憶力・筋力・性欲の低下が著しくなる。 最近の研究では、原因として、「ストレス」が関わっているとされている。
3.× 高齢になっても、異性に対する羞恥心は、「減退する」のではなく維持する。性的欲求は男女ともに加齢により低下するものの、高齢者においても比較的よく保たれるといわれる。また、異性に対する意識や羞恥心も維持され、臨床では、男性看護師から清潔・排泄ケアを受けることを、高齢の女性患者さんが拒否する場面も多くみられる。
4.〇 正しい。セクシュアリティの尊重は、QOLの維持に影響する。セクシュアリティとは、直訳:人間の性、性のあり方と訳され、4つの構成要素からなり、「①からだの性(生物学的な性)」「②こころの性(性自認)」「③好きになる性(性的指向)」「④ふるまう性(性表現)」などの要素からなると考えられている。人間における性的本能の充足に関係する行動や性的振る舞いの総体を指し、健康の概念においても重要である。
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
52 老化による身体機能の変化と薬物動態への影響との組合せで正しいのはどれか。
1.血中蛋白の低下:薬効の減少
2.腎血流量の低下:薬効の減少
3.肝血流量の低下:薬効の増大
4.消化機能の低下:薬効の増大
解答3
解説
内服薬は、消化管より吸収→門脈→肝臓に達する。血中タンパク質との抱合や代謝を受けて、全身に循環する。その後、薬物およびその代謝物は、肝臓(胆汁)や腎臓(尿)より排出される。その循環に支障が来たした場合、薬効に変化が生じる。
加齢に伴い、肝臓で薬を分解する能力や、薬を腎臓から身体の外へ排出する能力が低下する。また、高齢者は身体の中の水分の割合が少なくなり脂肪が多くなるため、脂肪にとける薬が身体の中にたまりやすくなる。その結果、薬効が強く出て、副作用が現れることがよくある。
1.× 血中蛋白(血清アルブミン)が低下すると、薬効は「減少」するのではなく増大する。なぜなら、結合していない状態の薬物が増加するため。血中タンパクと薬物の結合率は分布と表現される。そもそも薬物は、血中タンパク(主にアルブミン)と結合(抱合)することで、薬物の貯蔵や代謝を受ける。また、薬物は血中タンパクと結合せず、遊離している場合に薬効を発揮している。
2.× 腎血流量が低下すると、薬効は「減少」するのではなく増大する。なぜなら、腎血流量が低下することで、尿中に排出される薬剤量も低下し、薬剤の血中濃度は高くなるため。
3.〇 正しい。肝血流量が低下すると、薬効は増大する。なぜなら、肝臓での薬の代謝、胆汁への排泄が低下するため。つまり、解毒機能が低下するため、薬効の増大が起こる。
4.× 消化機能が低下すると、薬効は「増大」するのではなく低下する。なぜなら、薬剤の吸収が減弱するため。また、高齢者は消化管運動の低下(蠕動運動の低下)するため、薬効の遅延に寄与しやすい。
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53 軽度認知障害で正しいのはどれか。(※不適切問題:解答2つ)
1.一過性の障害である。
2.実行機能障害がある。
3.物忘れを自覚している。
4.日常生活動作(ADL)が障害される。
解答2・3(複数の選択肢が正解を採用)
理由:複数の正解があるため。
解説
2012年の日本の65歳以上の高齢者における、認知症有病率推定値は15%で、認知症有病者数は約462万人と推計されている。軽度認知障害(MCI)の有病率は、13%と推定され、約400万人の軽度認知症の方がいると推計されている。ちなみに、軽度認知障害(MCI)とは、認知症と正常な状態の中間と定義され、認知症には至らないが、認知機能(記憶・見当識・計算など)の一部が低下している状態である。時間経過とともにアルツハイマー型認知症を発症すると言われている。軽度認知障害(MCI)とアルツハイマー型認知症の違いは、日常生活を独立して行えるかどうかとされているが、その境界線は曖昧である。
【軽度認知障害〈MCI〉の診断基準】(Winblad B ら、2004)
1.認知症または正常のいずれでもないこと
2.客観的な認知障害があり、同時に客観的な認知機能の経時的低下、または、主観的な低下の自己報告あるいは情報提供者による報告があること
3.日常生活能力は維持されており、かつ、複雑な手段的機能は正常か、障害があっても最小であること
(※引用:「認知症と軽度認知機能障害と軽度認知機能障害について」厚生労働省様HPより)
1.× 「一過性」ではなく持続的な障害である。軽度認知障害(MCI)とは、認知症と正常な状態の中間と定義され、認知症には至らないが、認知機能(記憶・見当識・計算など)の一部が低下している状態である。時間経過とともにアルツハイマー型認知症を発症すると言われている。ちなみに、一過性の障害には、主にせん妄や高熱時のもうろう状態などである。
2.〇 正しい。実行機能障害がある。実行機能障害(遂行機能障害)とは、中核症状のひとつである。論理的・計画的な行動ができなくなることである。例えば、料理を作る、洗濯をするなどの段取りのことをいい、前頭葉の障害で出現する。【軽度認知障害〈MCI〉の診断基準(Winblad B ら、2004)】には、③日常生活能力は維持されており、かつ、複雑な手段的機能は正常か、障害があっても最小であることがあげられている。
3.〇 正しい。物忘れを自覚している。【軽度認知障害〈MCI〉の診断基準(Winblad B ら、2004)】には、②客観的な認知障害があり、同時に客観的な認知機能の経時的低下、または、主観的な低下の自己報告あるいは情報提供者による報告があることが含まれている。
4.× 日常生活動作(ADL)が障害されている場合、軽度認知障害とはいわず認知症となる。認知症とは、さまざまな原因で脳の神経細胞が破壊・減少し、日常生活が正常に送れない状態になることをいう。
せん妄とは、疾患や全身疾患・外因性物質などによって出現する軽度~中等度の意識障害であり、睡眠障害や興奮・幻覚などが加わった状態をいう。高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多い。
【原因】脳疾患、心疾患、脱水、感染症、手術などに伴って起こることが多い。他にも、心理的因子、薬物、環境にも起因する。
【症状】
①意識がぼんやりする。
②その場にそぐわない行動をする。
③夜間に起こることが多い。 (夜間せん妄)
④通常は数日から1週間でよくなる。
【主な予防方法】
①術前の十分な説明や家族との面会などで手術の不安を取り除く。
②昼間の働きかけを多くし、睡眠・覚醒リズムの調整をする。
③術後早期からの離床を促し、リハビリテーションを行う。
54 認知症が疑われる人や認知症の人およびその家族を訪問し、複数の専門職でアセスメントや自立生活の支援を行うのはどれか。
1.成年後見人
2.介護認定審査会
3.認知症対応型通所介護
4.認知症初期集中支援チーム
解答4
解説
(※画像引用:「要介護認定の仕組みと手順」厚生労働省HPより)
1.× 成年後見人とは、判断能力がないまたは不十分な者に対して、保護者を付すことにより契約などの法律行為を補助するものである。①法定後見制度と②任意後見制度とがある。①法定後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害などによって判断能力が不十分な方に対して、本人の権利を法律的に支援、保護するための制度である。本人の判断能力の程度に応じて、後見・保佐・補助の3類型がある。②任意後見制度とは、まだしっかりと自分で判断ができるうちに、自分の判断能力が衰えてきた時に備えて、あらかじめ支援者(任意後見人)を誰にするか、将来の財産管理や身の回りのことについてその人に何を支援してもらうか、自分で決めておくことができる仕組みである。
2.× 介護認定審査会とは、市町村の附属機関として設置され、要介護者等の保健、医療、福祉に関する学識経験者によって構成される合議体である。介護保険の給付を受けるために必要な要介護認定の手続きのうち、二次判定を行うものである。保健・医療・福祉の学識経験者で構成される。
3.× 認知症対応型通所介護とは、脳血管疾患、アルツハイマー病等により記憶機能等の認知機能が低下し日常生活に支障が生じている要介護者に対して、デイサービス等において、入浴、排泄、食事等の介護、機能訓練を提供するサービスである。
4.〇 正しい。認知症初期集中支援チームが、認知症が疑われる人や認知症の人およびその家族を訪問し、複数の専門職でアセスメントや自立生活の支援を行う。認知症初期集中支援チームとは、複数の専門職が家族の訴え等により認知症が疑われる人や認知症の人及びその家族を訪問し、アセスメント、家族支援などの初期の支援を包括的、集中的(おおむね6ヶ月)に行い、自立生活のサポートを行うチームをいう。チームのメンバーには、保健師・看護師・社会福祉士・介護福祉士などの専門職と専門医が含まれる。
(※引用:「認知症初期集中支援チームについて」厚生労働省HPより)
55 日本で用いているDENVER Ⅱ(デンバー発達判定法)で6か月児の90%ができるのはどれか。
1.寝返りをする。
2.積み木をもちかえる。
3.喃語様のおしゃべりをする。
4.自分で食べ物を口へもっていく。
解答1
解説
(※図:デンバー式発達スクリーニング検査)
1.〇 正しい。寝返りの通過率は、6か月頃に90%となる。
2.× 積み木をもちかえる(積み木を片方の手からもう片方の手へ持ち替える)行動の通過率は、9か月頃に90%となる。
3.× 喃語(なんご:乳児が発する意味のない声で、あっあっ・えっえっなど)様のおしゃべりをするの通過率は、11か月頃に90%となる。
4.× 自分で食べ物を口へもっていく行動の通過率は、9か月頃に90%となる。
0~6歳の子どもが月齢を重ねるにつれてできるようになるさまざまな行動を、「個人‐社会」、「微細運動‐適応」、「言語」、「粗大運動」の4つの分野に分類し、それぞれの行動について、25・50・75・90%の通過率を図示している。発達の遅れを診断するものではなく、発達に問題のある子どもを早期に発見して的確な対応につなげるスクリーニングの目的で使用される。