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31 患者と看護師の間の専門的な援助関係で適切なのはどれか。
1.自然発生的に成立する。
2.援助方法は看護師に一任される。
3.患者のニーズに焦点がおかれる。
4.日常的な会話を中心に展開する。
解答3
解説
バイスティックの7原則とは、1957年にアメリカの社会福祉学者、フェリックス・P・バイスティックが「ケースワークの原則」で記したケースワークの原則である。援助者とクライエントが信頼関係を構築するための倫理と行動の原理方法が記されている。信頼関係構築の方法であり、近年介護業界でも注目されている。
①個別化の原則
②意図的な感情表出の原則
③統制された情緒的関与の法則
④受容の原則
⑤非審判的態度の原則
⑥自己決定の原則
⑦秘密保持の原則
1.× 援助関係は、自然発生的に成立するものではない。なぜなら、援助関係は、看護師が対象となる患者との間に信頼関係を築いたうえで成り立つものであるため。
2.× 援助方法は、看護師に一任されるものではない。なぜなら、自己決定の原則に基づいて行われるものであるため。患者が、自分に提供される治療や看護ケアを選んで意思決定することが保証されているため。看護師は、患者に十分な情報提供と選択肢・自己決定権を与え、看護援助の過程に患者の参加を促す必要がある。これをインフォームドコンセントという。
3.〇 正しい。患者のニーズに焦点がおかれる。なぜなら、自己決定や受容の原則に基づいて行われるため。受容の原則とは、援助者の基本的姿勢「受容・共感・傾聴」のひとつである。患者の感情や態度をあるがまま受け入れ、先入観をもち否定してはいけない、という原則である。
4.× 援助関係は、日常的な会話を中心に展開するものではない。なぜなら、個別化の原則に基づいて行われるため。個別化の原則とは、患者が抱える悩みや問題は、人それぞれで同じ問題は存在しないため、性別や年齢、障害などでカテゴライズしてはいけないという原則である。これまでの経験が長いと、病名などからカテゴライズしないように注意する。
インフォームド・コンセントは、「十分な説明を受けたうえでの同意・承諾」を意味する。医療者側から診断結果を伝え、治療法の選択肢を提示し、予想される予後などについて説明したうえで、患者自らが治療方針を選択し、同意のもとで医療を行うことを指す。診断結果の伝達には「癌の告知」という重要な問題も含まれる。
32 細菌の芽胞を死滅させるのはどれか。
1.紫外線
2.ポビドンヨード
3.70%アルコール
4.酸化エチレンガス
解答4
解説
芽胞とは、一部の細菌が形づくる、極めて耐久性の高い細胞構造のことである。物理化学的処理に対する抵抗が極めて強く、100℃の加熱にかなりの時間耐えることができる。 乾燥にも強く、乾燥状態で数十年間死滅しなかったという例もある。胞子膜、皮層、芯部からなり、胞子膜の外側に外皮を持つものもある。(芽胞:がほう)
1.× 紫外線は、芽胞には効果がない。紫外線消毒とは、紫外線照射によりDNAが紫外線を吸収し、DNA遺伝コードを破壊し、増殖を防ぎ、死滅(不活性化)する方法をいう。
2.× ポビドンヨードは、芽胞には効果がない。ポビドンヨードとは、世界中で感染対策に使われている代表的な殺菌消毒剤の有効成分のひとつである。
3.× 70%アルコールは、芽胞には効果がない。70%アルコール(消毒用アルコール:エタノール)とは、医療分野で消毒に用いられる製剤のアルコール外用薬で、一般用医薬品の区分では、第3類医薬品である。エタノールが最も消毒効果を発揮するのは70~80%のときである。
4.〇 正しい。酸化エチレンガスは、芽胞に効果がある。酸化エチレンガスとは、比較的低い温度でも極めて強い殺菌力を発揮し、金属・非金属の区別なく利用できるため理想的な滅菌法として普及している。適用:カテーテル類、プラスチック製品、不織布、ゴム製品など。適用外:液体、ガスが通りにくい形状のもの、直ぐに使用したいもの。欠点として、滅菌処理・エアレーション時間(ガスの残留毒性が強いため、これらを除去する処理)が長いことがあげられる。
消毒:人体に有害な微生物の感染性をなくすか,数を少なくすること。
滅菌:すべての微生物を殺滅させるか,完全に除去すること。
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33 クロストリジウム・ディフィシレ(ディフィシル)による下痢を発症している患者の陰部洗浄をベッド上で行う際の個人防護具を着用した看護師の写真を下図に示す。
適切なのはどれか。
1.A(撥水性のエプロン、マスク、手袋)
2.B(撥水性のエプロン、マスク、手袋、ゴーグル)
3.C(撥水性のガウン、マスク、手袋)
4.D(撥水性のガウン、マスク、手袋、ゴーグル)
解答4
解説
クロストリジウム・ディフィシレとは、健常者の腸管内に少数生息している細菌である。クロストリジウム・ディフィシレ菌は、接触感染である。主に抗菌薬の使用によりクロストリジウム・ディフイシル菌が異常増殖して、偽膜性大腸炎を生じることがある。症状として、腹痛・発熱・下痢などが生じる。
1~2.× A/B(撥水性のエプロン、マスク、手袋、ゴーグル)は不適切である。なぜなら、エプロンはガウンのように袖がないため。一般的に「ガウン」は袖ありのものを、「エプロン」は袖なしの者を指す。汚染が胸部、腹部など体幹部に限定でき、飛散リスクの少ない処置にはエプロンを使用する。
3.× C(撥水性のガウン、マスク、手袋)は不適切である。なぜなら、陰部洗浄時は眼球結膜への飛散が考えられるため。つまり、ゴーグルが必要となる。
4.〇 正しい。D(撥水性のガウン、マスク、手袋、ゴーグル)が、クロストリジウム・ディフィシレ(ディフィシル)による下痢を発症している患者の陰部洗浄をベッド上で行う際の個人防護具で正しい。クロストリジウム・ディフィシレ菌は、接触感染である。感染源である下痢便への直接接触、あるいは物品や環境表面から感染する可能性がある。
標準予防策〈standard precautions〉とは、院内感染の防止策として推奨されている方法である。感染の有無に関わらず入院患者すべてに適用される予防対策であり、患者の血液や体液、分泌、排泄されるすべての湿性物質、粘膜、創傷の皮膚などは感染の恐れがあるとみなして、対応、行動する方法である。
34 インシデントレポートで適切なのはどれか。
1.責任追及のためには使用されない。
2.インシデントの発生から1か月後に提出する。
3.主な記述内容はインシデントの再発防止策である。
4.実施前に発見されたインシデントの報告は不要である。
解答1
解説
インシデントレポートとは、医療現場で事故に繋がりかねないような、ヒヤリとしたり、はっとした出来事に関する報告書のことをいう。作成の目的は、事例を分析して類似するインシデントの再発や医療事故・医療過誤の発生を未然に防止することである。インシデントを直訳すると「出来事・事件・異変」である。一方、その行為によって患者に傷害や不利益を与えてしまった事象を、アクシデントという。なお、インシデントの本来の意味は、偶発的や付随的と解釈される。
【目的】
①事実の確認
②原因の究明
③組織全体で事例を共有・分析し、問題点を抽出する。
④将来の医療事故(アクシデント)の予防、再発の防止。
1.〇 正しい。責任追及のためには使用されない。なぜなら、インシデントレポートの目的は、①事実の確認、②原因の究明、③組織全体で事例を共有・分析し、問題点を抽出する、④将来の医療事故(アクシデント)の予防、再発の防止などがあげられる。
2.× インシデントの発生から、「1か月後」ではなく発生した段階で提出する。なぜなら、1か月後だと再び同じ事故が1か月以内に起こる可能性があるため。
3.× 主な記述内容は、「インシデントの再発防止策」ではなく、『具体的で正確なインシデントの内容について』である。事例を分析して類似するインシデントの再発や医療事故・医療過誤の発生を未然に防止することにつながる。
4.× 実施前に発見されたインシデントの報告も、「不要」ではなく必要である。なぜなら、実際に患者に被害を及ぼすことがなかったケースでも、インシデントレポートとして報告することで、今後起こりうる重大なインシデントを予防できる可能性が高くなるため。
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35 成人の睡眠で正しいのはどれか。
1.レム睡眠中は骨格筋が弛緩する。
2.入眠前の喫煙は睡眠導入時間を短くする。
3.ノンレム睡眠中はエネルギー代謝が亢進する。
4.睡眠周期は90分のレム睡眠と数分のノンレム睡眠を繰り返す。
解答1
解説
1.〇 正しい。レム睡眠中は、骨格筋が弛緩する。なぜなら、レム睡眠は身体の睡眠ともいわれるため。一方、ノンレム睡眠は脳の睡眠といわれる。
2.× 入眠前の喫煙は睡眠導入時間を、「短くする」ではなく長くする可能性が高い。なぜなら、たばこに含まれるニコチンには覚醒効果があるため。他にもカフェインや飲酒は控えた方が良い。
3.× ノンレム睡眠中のエネルギー代謝は、「亢進」ではなく抑制される。ノンレム睡眠とは、脳の睡眠といわれ、①新陳代謝を促進する成長ホルモンの分泌が増加、②エネルギー代謝の抑制、③体温の低下があげられる。
4.× 睡眠周期は、「90分のレム睡眠と数分のノンレム睡眠を繰り返す」のではなく、「レム睡眠+ノンレム睡眠で約90分周期を繰り返す」。睡眠は、深いノンレム睡眠から始まり、睡眠欲求が低下する朝方に向けて、徐々に浅いノンレム睡眠が増えていく。その間に約90分周期でレム睡眠が繰り返し出現し、睡眠後半に向けて徐々に一回ごとのレム睡眠時間が増加する。