第109回(R2) 看護師国家試験 解説【午前1~5】

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※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

問題引用:第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験、第109回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

1 平成29年(2017年)の人口動態統計における主要死因別の死亡率で心疾患の順位はどれか。

1.1位
2.2位
3.3位
4.4位

解答2

解説

(※図引用:「平成29年(2017年)の人口動態統計における主要死因別の死亡率」厚生労働省HPより)

1.× 1位は、悪性新生物(28.8%)である。
2.〇 正しい。2位は、心疾患(15.2%)である。※高血圧性を除く。
3.× 3位は、脳血管疾患(8.2%)である。
4.× 4位は、老衰(7.6%)である。

 

 

 

 

 

2 運動習慣が身体機能にもたらす効果はどれか。

1.肺活量の減少
2.耐糖能の低下
3.免疫力の向上
4.中性脂肪の増加

解答3

解説

1.× 肺活量は、「減少」ではなく増加である。肺活量とは、[最大吸気量 + 予備呼気量]のことをいう。つまり、限界まで吸い、限界まで吐いたときの空気の量である。
2.× 耐糖能は、「低下」ではなく増加である。耐糖能とは、上昇した血糖値を正常に戻す、あるいは血糖値を正常に保つ能力である。血糖値の恒常性維持には、膵臓から分泌されるインスリンが重要な働きをし、このインスリンの分泌量や反応、作用に問題が生じた病態が糖尿病であり、耐糖能異常と呼ばれる。
3.〇 正しい。免疫力の向上は、運動習慣が身体機能にもたらす効果である。免疫力の向上には、①適度な活動性と休養のバランス、②からだを温めること、③ストレスを減らすこと、④腸内環境を整えることなどがあげられる。
4.× 中性脂肪は、「増加」ではなく減少である。中性脂肪とは、食事から摂取した栄養のうち、体内でエネルギーとして使われる脂肪のことである。運動により、エネルギー消費量が増加し、内臓脂肪と皮下脂肪がエネルギー源として利用される。

慢性腎不全患者に対する運動療法の効果

最大酸素摂取量の増加
左心室収縮機能の亢進(安静時・運動時)
心臓副交感神経系の活性化
心臓交感神経緊張の改善
栄養低下、炎症複合症候群の改善
貧血の改善
不安・うつ・QOLの改善
ADLの改善
死亡率の低下
前腕静脈サイズの増加
透析効率の増加など

 

 

 

3 介護保険の第2号被保険者は、( )歳以上65 歳未満の医療保険加入者である。
( )に入る数字はどれか。

1.30
2.40
3.50
4.60

解答2

解説

介護保険制度の概要

第1号被保険者は、65歳以上の者である。

第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である。

したがって、介護保険の第2号被保険者は、( 40 )歳以上65 歳未満の医療保険加入者である。選択肢2.40が正しい。

 

 

 

 

 

4 健康保険法による療養の給付の対象はどれか。

1.手術
2.健康診査
3.予防接種
4.人間ドック

解答1

解説

健康保険法とは?

健康保険法とは、労働者及びその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関する医療保険給付等について定めた日本の法律である。

療養の給付とは、健康保険法等を根拠に、日本の公的医療保険において、被保険者に対して実際の療養を保険給付として行うものである。公的医療保険における最も基本的な保険給付であり、保険者から発行された被保険者証を提出することで、被保険者は広く医療を受けることができ、国民皆保険の根幹をなす。必ず現物給付である。

【療養の給付の範囲】
①診察や治療、検査
②処置・手術注射や処置・手術
③その他の治療(放射線療法、療養指導など)
④世話や看護など
よって、選択肢1.手術が正しい。

2.× 健康診査は、法律により企業に実施が義務付けられているもので、費用は企業が全額負担することが労働安全衛生法にて定められている。
3~4.× 予防接種/人間ドックは、病気に対する治療ではないため、健康保険は適用されず、全額自己負担となる。

 

 

 

 

5 第二次性徴の発現に関与するホルモンはどれか。

1.抗利尿ホルモン (ADH)
2.黄体形成ホルモン (LH)
3.副甲状腺ホルモン (PTH)
4.甲状腺刺激ホルモン (TSH)

解答2

解説

第二次性徴とは

二次性徴とは、性ホルモンの分泌が促進されることにより、性器および身体に現れる変化である。第二次性徴に関わるホルモンは、男性の場合はアンドロゲン、女性の場合はエストロゲンとプロゲステロンである。アンドロゲンは精巣から、エストロゲンとプロゲステロンは卵巣から分泌される。

平均的に見ると男児の場合は、10歳前後に始まり約5年間続く。 体の成長には決まった順番があり、①睾丸の発達→②陰毛の発生→③精通→④声変わり→⑤体型の変化という順番をたどる。女児の場合は、8歳前後から始まり①乳房発育→②陰毛発生→③初経という順に進行することが一般的である。その評価にはTanner分類が用いられている。

1.× 抗利尿ホルモン (ADH:バソプレシン)は、下垂体後葉から分泌される。作用は、水の再吸収量を増加させる。つまり、利尿を妨げる。
2.〇 正しい。黄体形成ホルモン (LH)は、第二次性徴の発現に関与するホルモンである。黄体形成ホルモン (LH)とは、下垂体前葉から分泌され、卵巣に影響し排卵を起こす上で重要な役割を担う。また、思春期に増加し、精巣においてテストステロン、卵巣においてエストロゲンの分泌を増加させる。
3.× 副甲状腺ホルモン (PTH:パラトルモン)は、副甲状腺から分泌される。腎臓のカルシウム再吸収およびリンの排泄促進作用などがあり、血中のカルシウム濃度を上昇させる。つまり、副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌が低下すると、血中カルシウム濃度が低下する。それに伴い、しびれ感、テタニー(手指の不随意な筋収縮)、けいれんなどの症状が起こる。
4.× 甲状腺刺激ホルモン (TSH)は、下垂体前葉から分泌される。作用は、甲状腺に働きかけ甲状腺ホルモンの分泌を促進させる。ちなみに、甲状腺ホルモンは、カラダ全体の新陳代謝を促進する働きがある。

排卵期とは?

約1ヵ月に1回卵巣から卵管へ卵子が放出されることを「排卵」という。 月経周期が一般的な28日周期の女性の場合、次の月経開始予定日から約14日前に起こる。 (※月経周期によって異なる。)排卵期は、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの血中濃度が急激に上昇して始まる。黄体形成ホルモンは卵子の放出(排卵)を促すが、排卵は通常、両ホルモンの急激な増加が始まってから16~32時間後に起こる。この時期にはエストロゲンの血中濃度は低下し、プロゲステロンの血中濃度が上昇し始める。

 

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