この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
31 排泄行動が自立している入院中の男性高齢者が、夜間の排尿について「夜は何度もトイレに行きたくなります。そのたびにトイレまで歩くのは疲れます」と訴えている。
この患者の看護で適切なのはどれか。
1.おむつの使用
2.夜間の尿器の使用
3.就寝前の水分摂取の制限
4.膀胱留置カテーテルの挿入
解答2
解説
・入院中の男性高齢者(排泄行動が自立)
・夜:何度もトイレに行きたくなる。
・トイレまで歩くのは疲れる。
→なるべく自立機能の維持を努めることは大切であるが、マズローの欲求5段階説でいう生理的欲求にあたる「睡眠」は重要な土台部分である。人間の本能である「食欲」「睡眠欲」「排泄欲」などの活動が満たされなければ、生命維持や精神安定は不可能となる。
1.× おむつを使用する必要はない。なぜなら、本症例は、排泄行動が自立していることから、尿意も正常と考えられるため。おむつを使用する場合は、トイレやポータブルトイレでの排泄ができない人や失禁のある人に対して、それ以外に代替策がない場合の最終的な選択である。おむつの使用は、自尊心の低下、排泄機能の低下、尿路感染症や皮膚トラブルなども起こしやすい。
2.〇 正しい。夜間の尿器の使用が最も優先度が高い。なぜなら、本症例は、排泄動作自立、夜間の排尿回数が多く、「トイレまで歩くのは疲れる」と話しているため。夜間だけ尿器を使用することで、日中の活動量を保つことができ、夜間はトイレへ行く手間が減るためゆっくり休むことができる。
3.× 就寝前の水分摂取の制限する必要はない。なぜなら、脱水を助長させるため。高齢者は、若年者より身体に占める総水分量が減少し、さらに喉の渇きが感じにくくなるため、脱水が生じやすい。脱水症状とは、体内の水分が2%失われると、のどの渇きを感じ、運動能力が低下しはじめる。3%失われると、強いのどの渇き、ぼんやり、食欲不振などの症状がおこり、4~5%になると、疲労感や頭痛、めまいなどの脱水症状が現れる。10%以上になると、死にいたることもある。
4.× 膀胱留置カテーテルの挿入する必要はない。なぜなら、膀胱留置カテーテルの適応として、内服や手術で解除できない尿道閉塞、皮膚に重篤な症状を引き起こす尿失禁、神経因性膀胱や尿閉の一部、ベッドや着衣などの交換が負担になる終末期患者、特異的な尿失禁の治療に反応しない患者の希望などの場合であるため。尿量の観察が必要な患者の場合にも一時的に使用することもある。
尿閉とは、膀胱内に貯留している尿を排泄できない状態である。尿閉患者は、膀胱破裂を来さないように強制的に排尿する必要がある。
尿閉がある場合は、間欠的導尿、膀胱留置カテーテル、膀胱瘻が適応となる。
尿閉がない場合は、おむつ、コンドーム型集尿器、(間欠的)自己導尿が適応となる.
32 良質の医療を受ける権利を宣言しているのはどれか。
1.リスボン宣言
2.ヘルシンキ宣言
3.ジュネーブ宣言
4.ニュルンベルク綱領
解答1
解説
1.〇 正しい。リスボン宣言は、良質の医療を受ける権利を宣言している。リスボン宣言とは、1981年にポルトガルのリスボンで採択され、患者の権利に関する宣言である。①良質の医療を受ける権利、②選択の自由の権利、③自己決定の権利、④情報を得る権利、⑤プライバシーを守られる権利、⑥人間としての尊厳を得る権利が規定されている。
2.× ヘルシンキ宣言とは、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の基盤となる倫理的原則を示しているものである。ニュルンベルク綱領とは、医学的研究のための被験者の意思と自由を保護するガイドラインである。ニュルンベルク裁判で問題とされた人体実験において遵守されるべき基本原則を定めた倫理綱領である。1947年に提示された、研究目的の医療行為を行うにあたって厳守すべき10項目の基本原則である。後にヘルシンキ宣言として人を対象とする研究の倫理指針につながった。
3.× ジュネーブ宣言とは、1948年9月の第2回世界医師会総会で規定された医の倫理に関する規定であり、ヒポクラテスの誓いの倫理的精神を現代化・公式化したものである。
4.× ニュルンベルク綱領とは、医学的研究のための被験者の意思と自由を保護するガイドラインである。ニュルンベルク裁判で問題とされた人体実験において遵守されるべき基本原則を定めた倫理綱領である。1947年に提示された、研究目的の医療行為を行うにあたって厳守すべき10項目の基本原則である。後にヘルシンキ宣言として人を対象とする研究の倫理指針につながった。
33 看護における問題解決過程で誤っているのはどれか。
1.多面的な情報を分析する。
2.看護問題の優先順位は変化する。
3.家族を含めた看護計画を立てる。
4.看護問題は疾患によって確定される。
解答4
解説
看護過程は、根拠を持った看護を実践するための思考過程である。根拠を持つためには、科学的根拠に基づいて情報の分析を行う必要がある。看護における問題解決過程とは、看護過程の流れ(①対象の全体像の把握(アセスメント)→②看護診断→③目標設定→④計画→⑤実施→⑥評価)を指す。また、クリティカル・シンキングとは、看護過程を展開するうえで重要な考え方のひとつである。批判的な思考能力・問題解決能力・創造的思考・意思決定能力などをいう。
1~3.〇 正しい。多面的な情報を分析する/看護問題の優先順位は変化する/家族を含めた看護計画を立てることは、看護における問題解決過程である。なぜなら、①対象者の全体像の把握が求められるため。看護における問題解決過程とは、看護過程の流れ(①対象の全体像の把握(アセスメント)→②看護診断→③目標設定→④計画→⑤実施→⑥評価)を指す。全体像の把握には、主観的・客観的情報を身体・心理・社会面から多面的に収集する必要がある。もちろん、経済的・介護力的な観点からも家族機能の評価も必要である。⑤実施→⑥(再)評価することで、新たに問題も出てくることがある。その帯は優先順位をさらに組み替える必要がある。
4.× 看護問題は、「疾患」ではなく看護の視点によって確定される。北米看護診断協会(NANDA)によると看護診断とは「個人・家族・集団・地域社会の健康状態/生命過程に対する反応およびそのような反応への脆弱姓についての臨床判断」と定義されており、疾患のみでは確定されない。
34 検査に用いる器具を下図に示す。
Weber(ウェーバー)試験に用いるのはどれか。
1.①
2.②
3.③
4.④
解答1
解説
ウェーバー試験とは、簡易聴力検査のひとつである。方法として、音叉を前頭部、頭頂部、下顎先端部などに当てて、聴こえる音がどちら側に偏るかを調べる。①正常、②伝音性難聴、③感音性難聴、④混合性難聴を判断できる。伝音性難聴の場合、聞こえにくい方の耳側が大きく聴こえる。なぜなら、骨伝導の音が際立って大きく聴こえるため。感音性難聴の場合、聞こえにくい方の耳側が小さく聴こえる。なぜなら、音が感じにくく、骨伝導にしても音は小さくなるため。ちなみに、伝音性難聴とは、外耳や中耳などの「伝音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴である。一方、感音性難聴とは、内耳や聴神経など「感音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴である。
1.〇 正しい。①は音叉で、Weber(ウェーバー)試験に用いる。ウェーバー試験とは、簡易聴力検査のひとつである。方法として、音叉を前頭部、頭頂部、下顎先端部などに当てて、聴こえる音がどちら側に偏るかを調べる。①正常、②伝音性難聴、③感音性難聴、④混合性難聴を判断できる。伝音性難聴の場合、聞こえにくい方の耳側が大きく聴こえる。なぜなら、骨伝導の音が際立って大きく聴こえるため。感音性難聴の場合、聞こえにくい方の耳側が小さく聴こえる。なぜなら、音が感じにくく、骨伝導にしても音は小さくなるため。ちなみに、伝音性難聴とは、外耳や中耳などの「伝音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴である。一方、感音性難聴とは、内耳や聴神経など「感音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴である。
2.× ②は打診器(打腱器)である。腱反射を診るときなどに用いられる。深部腱反射は、骨格筋につながる腱をハンマーなどでたたいた時、筋が不随意に収縮する反射である。筋紡錘が腱の伸びを筋の伸びとして感知したことにより、筋の収縮(緊張)を生み出すことが原因である。単収縮は単一の刺激によって引き起こされる筋収縮である。
3.× ③は検眼鏡である。眼底所見(眼底の血管、網膜、視神経を観察する検査)をとるためのものである。眼底検査とは、検視鏡によって網膜、脈絡膜、視神経乳頭を観察する方法である。視野異常につながる視神経の異常、網膜剥離、眼底出血の有無を調べることができる。目の網膜には細かい血管がさまざまな形で枝分れしながら走っており、その血管の描く模様も一定のパターンがある。いったん病気になると、その病気に特有な一定の法則に従ってパターンが崩れてしまう。
4.× ④は知覚計である。歯車先端部を測定部位にあてがって、ハンドルを手で回転させ、 刺激を与える。麻痺やその他の知覚異常の有無、その範囲を調べるために用いる。
35 患者と看護師が面談をする際、両者の信頼関係を構築するための看護師の行動で最も適切なのはどれか。
1.患者の正面に座る。
2.メモを取ることに集中する。
3.患者と視線の高さを合わせる。
4.事前に用意した文章を読み上げる。
解答3
解説
ラポールとは、疎通性のよい対人関係を指し、医療スタッフと患者・家族などとの間に高い信頼関係があることをいう。ラポールには3原則とされる要素があり、①相手を肯定・尊重すること、②類似性・行動の同調、③ペーシングとリーディングである。ペーシングとは、話し方や呼吸のペース、視線、精神状態などを相手に合わせることである。ペーシングにより距離を縮めたあとは、質問や提案を会話に含めて会話をリードするリーディングが有効となる。
1.× 患者の「正面」ではなく斜め45度に座る。なぜなら、正面に向き合うと緊張が高まるため。また、通常より広いパーソナルスペース(最低でも腕の長さ2本分以上)を保つことを心がける。
2.× メモを取ることに集中する必要はない。なぜなら、言葉以外からの情報が得られることがあるため。コミュニケーションには、①言語的コミュニケーションと非言語コミュニケーションがある。コミュニケーションで伝わることを全部で100%とすると、①言語的コミュニケーションの割合は7%、②非言語的コミュニケーションは93%(話し方-口調、抑揚、語調の強弱などが38%、表情や身振り手振り、姿勢などが55%)といわれている。
3.〇 正しい。患者と視線の高さを合わせる。なぜなら、相手が車いす使用の方の場合、見下ろす形となり、圧迫感と緊張感を与えてしまうため。
4.× あえて、事前に用意した文章を読み上げる必要はない。なぜなら、一方的な質問になりやすいため。こちらが話し手に回らず、相手を肯定、尊重、傾聴、受容することが大切である。
【挑発的な態度・振舞いを避ける】
①凝視を避ける。ただし,完全に目をそらさずアイコンタクトは保つ
②淡々とした表情を保つ
③高慢,威圧的な印象を与えることを避けるため,姿勢や態度に注意する。特に,腰に手を当てたり,腕組みをしない
④ゆっくりと移動し,急な動作を行わない。身体の動きは最小限にし,身振り手振りが多過ぎることや,そわそわと身体を揺すったり,身体の重心を移動させるのを避ける。
【相手のパーソナルスペースを尊重し,自分自身が安全なポジションを保つ】
①患者に対応する前に,暴力発生を誘発したり,けがの原因になる,あるいは武器として使用される可能性のある所持品(ネクタイ,スカーフ,装飾品,ペン,ハサミ,バッジなど)を除去する
②いかなる時も相手に背を向けない
③通常より広いパーソナルスペース(最低でも腕の長さ2本分以上)を保つ
④対象の真正面に立つのを避け,およそ斜め 45°の立ち位置とする
⑤両手は身体の前面に出し,手掌を相手に向けるか,下腹部の前で軽く組むなど,相手に攻撃の意思がないことを示し,万一の攻撃・暴力発生に備える
⑥出入口を確認し,自分と対象の双方の退路を保つ位置に立つ。出入口やドアの前に立ちふさがらない
⑦壁やコーナーに追い詰められないようにする
⑧警告なしに相手に触れたり,接近しない
(引用:「興奮・攻撃性への対応」日本精神科救急学会様HPより)