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※問題の引用:厚生労働省より
※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。
・まとめてもらいたい問題や希望、漏れがあったらコメントください。
・当HPに「キーワード検索」の機能がありますので、そちらも積極的にお使いください。
105回 午前
13 高齢者の体重に占める水分量の割合に最も近いのはどれか。
1.45%
2.55%
3.65%
4.75%
解答2
解説
幼児:75±5%
成人:65±5%
高齢者:55±5%
成人(約60%)に比べて、高齢者は約55%と、加齢に伴い減少する。なぜなら、加齢に伴い基礎代謝量が低下し、細胞内の水分が少なくなるためといわれている。したがって、選択肢2.55%が高齢者の体重に占める水分量の割合に最も近い。
(図引用:「加齢による身体機能の変化」著:瀬尾 芳輝)
105回 午後
7 加齢に伴い老年期に上昇するのはどれか。
1.腎血流量
2.最大換気量
3.空腹時血糖
4.神経伝導速度
解答3
解説
・心臓は左室肥大傾向があり、臓器重量は増加する。
・運動負荷時の心拍出量は、加齢に伴い低下する。
・収縮期血圧が上昇する(拡張期血圧は減少する)。
・動脈硬化が起こりやすくなり、虚血性心疾患が増加する。
1.× 腎血流量は低下する。なぜなら、加齢に伴い、動脈硬化が起きやすくなるため。したがって、腎臓血管が細く、血流が悪くなる。ちなみに、腎血流量とは、腎臓を流れる血液量のことである。安静時の腎臓には1分あたり1L前後の血液が流れ込んでいる。
2.× 最大換気量は低下する。なぜなら、加齢に伴い、肺の萎縮や気道狭窄、胸郭運動の弾力性や呼吸筋力の低下によって吸気量・呼気量ともに低下するため。ちなみに、最大換気量とは、一定の時間内の空気を胸から出し入れ(換気)の量である。
3.〇 正しい。空腹時血糖は上昇する。なぜなら、加齢に伴い、膵臓のインスリン分泌機能の低下や、糖質代謝臓器である肝臓や筋肉の萎縮による糖取りこみ機能低下などが起こるため。
4.× 神経伝導速度は低下する。なぜなら、加齢に伴い、血流減少による髄鞘の変性や、骨の形状変化による神経への圧力、末梢神経細胞の自己修復の遅延などが生じるため。神経伝導速度は、3~5歳頃で成人の伝導速度に達するが、40歳以降は徐々に低下し、60〜80歳でも伝導速度の低下は10m/sec程度に止まる。これによって、転倒のしやすさが発生するといわれている。
・肺残気量は増大し、肺活量、1秒率、拡散能は低下する。
・咳嗽反射、気道粘膜の線毛運動が低下する。
・喀痰排出が不十分になる。
(図引用:「加齢による身体機能の変化」著:瀬尾 芳輝)
105回午後
50 便秘の原因となる加齢に伴う身体的変化で誤っているのはどれか。
1.大腸粘膜の萎縮
2.骨盤底筋群の筋力低下
3.直腸内圧の閾値の低下
4.大腸の内括約筋の緊張の低下
解答3
解説
・消化管では、消化液の分泌低下、蠕動運動の低下が起こる。
・腸の運動低下、腹筋の弛緩、直腸内圧閾値上昇により、便秘傾向になる。
1.〇 正しい。大腸粘膜の萎縮は、便秘の原因となる加齢に伴う身体的変化である。大腸粘膜とは、主な役割として水やナトリウム、カルシウムを吸収する機能や、体を外界(消化管内容物)から防御する障壁としての機能がある。
2.〇 正しい。骨盤底筋群の筋力低下は、便秘の原因となる加齢に伴う身体的変化である。骨盤底筋群とは、子宮、膀胱、直腸を含む骨盤臓器を支える筋肉で、骨盤底筋を強化することで尿漏れ対策となる。排便時に便を押し出す力が低下(=骨盤底筋群の筋力の低下)し、便秘の原因となる。
3.× 誤っている。加齢に伴い、直腸内圧の閾値は、「低下」ではなく上昇する。閾値とは、感覚や反応や興奮を起こさせるのに必要な、最小の強度や刺激などの(物理)量である。したがって閾値が高いと(上がると)、 感覚を感じにくくなることをさす。したがって、加齢に伴い直腸内圧の闘値は上昇し、便意を感じにくくなるため便秘となる。
4.〇 正しい。大腸の内括約筋の緊張の低下は、便秘の原因となる加齢に伴う身体的変化である。内肛門括約筋とは、腸の筋肉の一部(平滑筋)で、おしりを締めようと意識しなくても、自律神経のはたらきでおしりを締めてくれる働きをする。加齢に伴い、大腸の内括約筋の緊張の低下することで、便意が感じにくくなり、便秘(習慣性便秘)となる。
習慣性便秘とは、直腸性便秘ともいい、習慣的に便意をおさえたり、下剤・浣腸を乱用していることにより排便反射が減弱し、排便が起こりにくくなる。 便は硬く、途切れがちである。 朝食を十分にとり、繊維の多い食物や水分をとる。
105回 午後
88 加齢に伴う心血管系の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.心拍数の増加
2.左室壁の肥厚
3.収縮期血圧の上昇
4.圧受容機能の亢進
5.刺激伝導系の細胞数の増加
解答2/3
解説
・心臓は左室肥大傾向があり、臓器重量は増加する。
・運動負荷時の心拍出量は、加齢に伴い低下する。
・収縮期血圧が上昇する(拡張期血圧は減少する)。
・動脈硬化が起こりやすくなり、虚血性心疾患が増加する。
1.× 心拍数は、「増加」ではなく減少する。なぜなら、加齢に伴い、心臓の機能が低下するため。
2.〇 正しい。左室壁の肥厚は、加齢に伴い起こる。なぜなら、動脈硬化が起こり、より強い心臓の拍出の力が必要になるため。
3.〇 正しい。収縮期血圧の上昇は、加齢に伴い起こる。なぜなら、動脈硬化が起こり、より強い心臓の拍出の力が必要になるため。
4.× 圧受容機能は、「亢進」ではなく低下する。なぜなら、圧受容機能は、血管壁の伸展によって調整されるが、血管壁は加齢に伴って伸展しにくくなるため。圧受容体とは、血圧の変動情報を心臓血管中枢に伝えるためのセンサーである。動脈内の血圧の情報は、頸動脈と大動脈弓にある圧受容体で検出され、延髄にある心臓血管中枢に伝達される。
5.× 刺激伝導系の細胞数は、「増加」ではなく減少する。したがって、加齢に伴い、洞不全症候群や房室ブロックを起こしやすくなる。
心臓の刺激伝導系は、「洞結節(洞房結節)→右房→左房→房室結節→His束(房室束)→左脚・右脚→プルキンエ線維(Purkinje線維)→心室」となる。刺激伝導系を構成する細胞は特殊心筋と呼ばれ、心房・心室の壁を構成する一般の心筋細胞である固有心筋とは区別する。
(図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)
106回 午前
56 加齢による咀嚼・嚥下障害の特徴で正しいのはどれか。
1.咳嗽反射が低下する。
2.口腔内の残渣物が減る。
3.唾液の粘稠度が低下する。
4.食道入口部の開大が円滑になる。
解答1
解説
①歯の欠損、②舌運動の機能低下、③咀嚼力低下、④唾液分泌の低下、⑤口腔感覚の鈍化、⑥咽頭の食物通過時間の延長などが挙げられる。他にも、喉頭位置の下降も認められ、喉頭挙上や喉頭閉鎖が不十分となることに加え、咽頭収縮筋の筋力低下に伴って咽頭に唾液や食物が残留しやすくなることにより誤嚥を来しやすくなる。
1.〇 正しい。咳嗽反射が低下する。そのため、誤嚥しやすくなる。ちなみに、咳嗽反射とは、いわゆる「せき・くしゃみ」で咳反射ともいう。鼻腔や気道に異物が入り込んだとき、その異物を排除するための反射である。
2.× 口腔内の残渣物が、「減る」のではなく増加する。喉頭位置の下降も認められ、喉頭挙上や喉頭閉鎖が不十分となることに加え、咽頭収縮筋の筋力低下に伴って咽頭に唾液や食物が残留しやすくなることにより誤嚥を来しやすくなる。
3.× 唾液の粘稠度が、「低下」ではなく増加する。なぜなら、口腔粘膜下の水分が低下するため。ちなみに、粘稠度とは、液体が「ネバネバしている」という性状を表す際に使われる用語である。粘稠度が高いということは、ねばねばした状態を意味する(※読み:ねんちゅうど)。
4.× 食道入口部の開大が、「円滑」ではなく不良になる。なぜなら、高齢者の食道入口部は、開大不全となり、誤嚥しやすくなる。
(※図引用:「illustAC様」)
106回 午後
49 高齢者に術後の呼吸器合併症が発症しやすい理由で正しいのはどれか。
1.残気量の減少
2.肺活量の低下
3.嚥下反射の閾値の低下
4.気道の線毛運動の亢進
解答2
解説
(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
1.× 残気量は、「減少」ではなく増加する。なぜなら、高齢者では、呼吸筋の筋力低下や胸郭の柔軟性の低下によって息を吐きづらくなるため。残気量とは、最大に呼出させた後、なおも肺内に残っている空気量のことをいう。
2.〇 正しい。肺活量は低下する。なぜなら、高齢者では、呼吸筋の筋力低下や胸郭の柔軟性の低下によって息を吐きづらくなるため。肺活量とは、[最大吸気量 + 予備呼気量]のことをいう。つまり、限界まで吸い、限界まで吐いたときの空気の量である。
3.× 嚥下反射の閾値は、「低下」ではなく上昇する。閾値とは、感覚や反応や興奮を起こさせるのに必要な、最小の強度や刺激などの(物理)量である。したがって閾値が高いと(上がると)、 感覚を感じにくくなることをさす。加齢に伴う嚥下機能に関連した変化としては、①歯の欠損、②舌運動の機能低下、③咀嚼力低下、④唾液分泌の低下、⑤口腔感覚の鈍化、⑥咽頭の食物通過時間の延長などが挙げられる。喉頭位置の下降も認められ、喉頭挙上や喉頭閉鎖が不十分となることに加え、咽頭収縮筋の筋力低下に伴って咽頭に唾液や食物が残留しやすくなることにより誤嚥を来しやすくなる。つまり、嚥下しにくくなるため、誤嚥などが起こりやすく、誤嚥性肺炎の原因となる。
4.× 気道の線毛運動は、「亢進」ではなく低下する。よって、痰(気道分泌物)を排出しにくくなる。結果的に、肺炎などの感染症を発症しやすくなる。ちなみに、気道の線毛運動とは、気道に入った異物は粘液で捕らえられ、その下にある線毛が1分間に約0.5~1センチメートルの速さで外へ向かって異物を移動していく。咽頭へ戻された異物は、痰として体外に排出されたり、食道から胃に入り消化されたりする。
106回 午後
70 病的な老化を示すのはどれか。
1.肝臓の萎縮
2.動脈の粥状硬化
3.毛様体筋の機能低下
4.心筋の弾性線維の減少
5.膀胱の平滑筋の線維化
解答2
解説
老化は、①生理的老化と、②病的老化に分類される。
①生理的老化とは、身体および精神のいかなる疾患の影響も受けることなく、加齢のみの影響によって生体に起こる変化である。
②病的老化とは、老化が異常に加速され、病的状態を引き起こすような変化をいう。加齢に加えて外的ストレスの影響によって生じる老化である。例えば、骨粗鬆症や動脈硬化症、アルツハイマー病、白内障などがそれにあたる。
1.3~5.× 肝臓の萎縮/毛様体筋の機能低下(老眼の状態)/心筋の弾性線維の減少/膀胱の平滑筋の線維化は、生理的老化である。
2.〇 正しい。動脈の粥状硬化は、病的老化である。なぜなら、動脈硬化は、喫煙・高血圧などのストレスによって進行し、それにより多くの二次的な疾患(心筋梗塞や脳梗塞)を引き起こすため。
108回 午前
56 軽度の老人性難聴の特徴はどれか。
1.ゆっくり話すと聞き取りにくい。
2.母音よりも子音が聞き分けにくい。
3.高音よりも低音が聞き取りにくい。
4.イントネーションが理解しにくい。
解答2
解説
老人性難聴とは、加齢によって耳(内耳)と脳(聴覚中枢)が障害されて聴こえにくくなっている状態である。老人性難聴は、高音域の聴力から障害される。他にも、語音弁別能や周波数選択性の低下、補充現象などの症状が複数現れる。ちなみに、補充現象とは、聞こえが悪いのに、音を大きくすると大きくした比率以上に大きく聞こえる現象である。
1.× ゆっくり話すと、「聞き取りにくい」のではなく聞き取りやすい。なぜなら、老人性難聴は、語音弁別能が低下するため。語音弁別能が低下すると、声は聞こえても話の内容が理解できないといったことが起こる。
2.〇 正しい。母音よりも子音が聞き分けにくい。なぜなら、老人性難聴は、語音弁別能が低下するため。音のゆがみによる語音弁別能の低下は、サ行→ハ行に、タ行→カ行に混同するなどである。「しんぶん」が「ひんぶん」に聞こえる。ちなみに、母音とは、口腔内で空気の流れが妨げられずに発せられる音のことである。一方、子音はそれ以外の、口腔内で空気の流れが妨げられて発せられる音である。唇や舌、歯などを用いて出す。つまり、日本語における母音は「ア・イ・ウ・エ・オ」の5音である。
3.× 逆である。「低音」よりも「高音」が聞き取りにくい。老人性難聴は、高音域の聴力から障害される。これは、蝸牛におけるコルチ器の有毛細胞(高音域を識別する部位)が、加齢に伴い変性・減少していくためといわれている。
4.× イントネーション(音の高低、抑揚、音調)が「理解しにくい」のではなく比較的に保たれる。単調に話すより、イントネーション(音の高低、抑揚、音調)のある方が理解しやすい。
109回 午前
50 老化による免疫機能の変化はどれか。
1.胸腺の肥大
2.T細胞の増加
3.獲得免疫の反応の低下
4.炎症性サイトカインの産生の減少
解答3
解説
1.× 胸腺は、「肥大」ではなく萎縮する。ちなみに、胸腺とは、胸骨裏面の前縦隔に位置する免疫担当臓器で、Tリンパ球が成熟する場所である。10~12歳頃に最も大きくなり、その後は加齢とともに小さくなる。高齢者では著しく萎縮し、CT画像で存在が判然としない場合もある。大人では摘出しても特に問題ない。
2.× T細胞は、「増加」ではなく減少する。T細胞とは、血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種である。胸腺(thymus)でつくられるため、頭文字を取ってT細胞と名付けられた。T細胞は膠原特異的な免疫応答である獲得免疫に関与する。免疫応答を促進するヘルパーT細胞、逆に免疫反応を抑制するサプレッサーT細胞、病原体に感染した細胞や癌細胞を直接殺すキラーT細胞などに分類される。
3.〇 正しい。獲得免疫の反応は低下する。獲得免疫とは、自然免疫の目を盗んで体内で増殖を始めたウイルスや細菌、がん細胞のような病原体が現れた時に活躍する免疫である。 敵(抗原)の目印を認識し、敵に合った闘い方ができる高度な免疫反応を指す。この免疫反応の際には、T細胞やB細胞といったリンパ球が活躍する。ちなみに、免疫には、①自然免疫(生まれつきもっている免疫系:好中球やマクロフアージ、NK細胞、補体などによる抗原非特異的防御反応)と②獲得免疫(生後、新たに獲得される免疫)があり、獲得免疫のほうが著しく低下する。
4.× 炎症性サイトカインの産生は、「減少」ではなく増加する。炎症性サイトカインとは、炎症反応を促進する働きを持つサイトカインのことである。免疫に関与し、細菌やウイルスが体に侵入した際に、それらを撃退して体を守る重要な働きをする。老化による免疫機能は、個体・細胞レベルで低下し、血中レベルでは炎症性サイトカインが増加する。なぜなら、加齢に伴い、動脈硬化・肥満・糖尿病などの生活習慣病やがんなどの疾患の背景に慢性炎症が存在するためである。
109回 午前
52 老化による身体機能の変化と薬物動態への影響との組合せで正しいのはどれか。
1.血中蛋白の低下:薬効の減少
2.腎血流量の低下:薬効の減少
3.肝血流量の低下:薬効の増大
4.消化機能の低下:薬効の増大
解答3
解説
内服薬は、消化管より吸収→門脈→肝臓に達する。血中タンパク質との抱合や代謝を受けて、全身に循環する。その後、薬物およびその代謝物は、肝臓(胆汁)や腎臓(尿)より排出される。その循環に支障が来たした場合、薬効に変化が生じる。
加齢に伴い、肝臓で薬を分解する能力や、薬を腎臓から身体の外へ排出する能力が低下する。また、高齢者は身体の中の水分の割合が少なくなり脂肪が多くなるため、脂肪にとける薬が身体の中にたまりやすくなる。その結果、薬効が強く出て、副作用が現れることがよくある。
1.× 血中蛋白(血清アルブミン)が低下すると、薬効は「減少」するのではなく増大する。なぜなら、結合していない状態の薬物が増加するため。血中タンパクと薬物の結合率は分布と表現される。そもそも薬物は、血中タンパク(主にアルブミン)と結合(抱合)することで、薬物の貯蔵や代謝を受ける。また、薬物は血中タンパクと結合せず、遊離している場合に薬効を発揮している。
2.× 腎血流量が低下すると、薬効は「減少」するのではなく増大する。なぜなら、腎血流量が低下することで、尿中に排出される薬剤量も低下し、薬剤の血中濃度は高くなるため。
3.〇 正しい。肝血流量が低下すると、薬効は増大する。なぜなら、肝臓での薬の代謝、胆汁への排泄が低下するため。つまり、解毒機能が低下するため、薬効の増大が起こる。
4.× 消化機能が低下すると、薬効は「増大」するのではなく低下する。なぜなら、薬剤の吸収が減弱するため。また、高齢者は消化管運動の低下(蠕動運動の低下)するため、薬効の遅延に寄与しやすい。
110回 午前
47 加齢の影響を受けにくく、高齢になっても維持されやすい認知機能はどれか。
1.感覚記憶
2.短期記憶
3.結晶性知能
4.流動性知能
解答3
解説
(※図引用:知能の複数の下位側面(佐藤眞一(2006)2)より)
1.× 感覚記憶は、加齢に伴い低下する。感覚記憶とは、短期記憶がなされる前に、感覚器官(耳・鼻など)に瞬間的に保存されるもので、記憶の保持期間は1秒以内である記憶のことである。
2.× 短期記憶は、加齢に伴い低下する。短期記憶とは、数秒~1分程度の記憶を記憶のことをいう。
3.〇 正しい。結晶性知能は、高齢になっても維持されやすい認知機能である。結晶性知能とは、理解力・洞察力といった、経験や学習などから長期にわたり獲得していく知能である。60歳手前でピークを迎え、それ以降は緩やかに低下する特徴がある。また、老年期にも維持されやすい認知機能といえる。
4.× 流動性知能は、加齢に伴い低下する。流動性知能とは、情報処理のスピードや、その状況の法則性を発見する能力など、新しい環境に適応するための能力のことである。20歳頃にピークを迎え60歳頃より急激に低下する。
①流動性知能は、加齢とともに低下する。
②結晶性知能は、加齢でもあまり低下しない。
③機械的記憶能力は、加齢とともに低下する。
④論理的記憶能力は、加齢でもあまり低下しない。
④意欲・行動力は、加齢により低下する。
111回 午前
54 30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において機能の残存率の平均値が最も低下するのは次のうちどれか。
1.基礎代謝率
2.最大換気量
3.細胞内水分量
4.神経伝導速度
解答2
解説
老年期とは、一般的に65歳以上をいう。
(図引用:「加齢による身体機能の変化」著:瀬尾 芳輝)
1.× 基礎代謝率は、30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において80~90%程度である。ちなみに、基礎代謝率とは、活動に必要な最低限のエネルギーのことである。
2.〇 正しい。最大換気量は、30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において機能の残存率の平均値が最も低下する。なぜなら、加齢に伴い、肺の萎縮や気道狭窄、胸郭運動の弾力性や呼吸筋力の低下によって吸気量・呼気量ともに低下するため。ちなみに、最大換気量とは、一定の時間内の空気を胸から出し入れ(換気)の量である。
3.× 細胞内水分量は、30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において90%程度である。細胞内水分量とは、その名の通り、細胞膜の内側に存在する水分である。
4.× 神経伝導速度は、30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において90%程度である。低下していく原因として、加齢に伴い、血流減少による髄鞘の変性や、骨の形状変化による神経への圧力、末梢神経細胞の自己修復の遅延などが生じるためである。神経伝達速度や感覚・反射機能が低下し、動作はゆっくりぎこちなくなっていく。
111回 午後
27 若年者よりも高齢者が熱中症を起こしやすい理由はどれか。
1.熱産生量の増加
2.熱放散量の増加
3.自律性体温調節反応の低下
4.視床下部の体温調節中枢のセットポイントの低下
解答3
解説
1~2.× 逆である。熱産生量/熱放散量は、高齢者よりも若年者の方が大きい。なぜなら、加齢に伴い骨格筋が萎縮し筋肉量の減少(ふるえ熱産生の減少)、汗腺・皮脂腺から分泌される皮脂量や保湿因子の減少に伴い、皮膚が乾燥しやすくなったりするため。
3.〇 正しい。自律性体温調節反応の低下が理由で、若年者よりも高齢者が熱中症を起こしやすい。自律性体温調節反応とは、体温を維持・調節するために、主に自律神経支配臓器・器官を効果器として行われる生理反応であり、意識的に制御できない不随意反応である。自律性体温調節反応には、体内で熱の産生を行う反応と環境中への体熱の放散を調節する反応がある。
4.× 視床下部の体温調節中枢のセットポイントの低下は、体温が上昇しており体温を低下させたいときに生じる。つまり、熱中症との関係性は薄い。ちなみに、セットポイントとは、設定値という意味である。体温のセットポイント(設定値)が突然高くなると、通常の体温(平熱)を体温が低すぎる(寒い)と認識し、寒冷にさらされた場合と同様に体温を上昇させる反応が起こる。主に、細菌やウイルスなどの感染により白血球から放出される発熱物質により生じる。
111回 午後
51 高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい理由はどれか。
1.1秒率の減少
2.残気量の減少
3.嚥下反射の亢進
4.気道の線毛運動の亢進
解答1
解説
・肺残気量は増大し、肺活量、1秒率、拡散能は低下する。
・咳嗽反射、気道粘膜の線毛運動が低下する。
・喀痰排出が不十分になる。
1.〇 正しい。1秒率の減少することで、高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい。1秒率とは、息を努力して吐き出したときに呼出される空気量のうち最初の一秒間に吐き出された量の割合である。
2.× 残気量は、「減少」ではなく増加するため、高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい。残気量とは、最大に呼出させた後、なおも肺内に残っている空気量のことをいう。
3.× 嚥下反射は、「亢進」ではなく低下するため、高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい。嚥下反射とは、食べ物を口に入れてから嚥下するまでの咽頭期の段階で起こる反射のことである。
4.× 気道の線毛運動は、「亢進」ではなく低下するため、高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい。したがって、痰(気道分泌物)を排出しにくくなる。ちなみに、線毛とは、相互に共調運動 して気道に侵入した病原体や異物を粘液と共に体外に輸送・排泄する役割をもつ。
111回 午後
56 高齢者に経口薬の薬効が強く現れる理由はどれか。
1.骨密度の低下
2.胃酸分泌の減少
3.消化管運動の低下
4.血清アルブミンの減少
解答4
解説
加齢に伴い、肝臓で薬を分解する能力や、薬を腎臓から身体の外へ排出する能力が低下する。また、高齢者は身体の中の水分の割合が少なくなり脂肪が多くなるため、脂肪にとける薬が身体の中にたまりやすくなる。その結果、薬効が強く出て、副作用が現れることがよくある。
1.× 骨密度の低下は、骨粗鬆症に関係する。粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい。
2.× 胃酸分泌の減少は、薬効の遅延に寄与する。なぜなら、胃酸の低下は、免疫力の低下やビタミンの吸収能力の低下に関係するため。
3.× 消化管運動の低下(蠕動運動の低下)は、薬効の遅延に寄与する。なぜなら、薬剤の吸収が減弱し、薬剤の血中濃度は低くなるため。
4.〇 正しい。血清アルブミンの減少が、高齢者に経口薬の薬効が強く現れる要因の一つである。なぜなら、結合していない状態の薬物が増加するため。血中タンパクと薬物の結合率は分布と表現される。そもそも薬物は、血中タンパク(主にアルブミン)と結合(抱合)することで、薬物の貯蔵や代謝を受ける。また、薬物は血中タンパクと結合せず、遊離している場合に薬効を発揮している。
112回 午前
問題38 成人のノンレム睡眠の特徴はどれか。
1.体温が上昇する。
2.急速な眼球運動がある。
3.加齢に伴い時間が長くなる。
4.睡眠周期の前半にみられる。
解答4
解説
ノンレム睡眠とは、脳の睡眠といわれ、①新陳代謝を促進する成長ホルモンの分泌が増加、②エネルギー代謝の抑制、③体温の低下があげられる。
1.× 体温は、「上昇」ではなく低下する。なぜなら、新陳代謝を促進する成長ホルモンの分泌が増加し、発汗が増えるため。
2.× 急速な眼球運動があるのは、レム睡眠である。睡眠には、①レム睡眠(脳が活発に動いている)と、②ノンレム睡眠(大脳が休息している)がある。
3.× 加齢に伴い時間が、「長く」ではなく短くなる。高齢期では、睡眠時間は短くなり、深い睡眠やレム睡眠の減少や中途覚醒の増加がみられる。これは、加齢に伴って、睡眠と関係の深い神経の働きや、ホルモンの分泌能力が衰えるためと言われている。
4.〇 正しい。睡眠周期の前半にみられることは、成人のノンレム睡眠の特徴である。睡眠は、深いノンレム睡眠から始まり、睡眠欲求が低下する朝方に向けて、徐々に浅いノンレム睡眠が増えていく。その間に約90分周期でレム睡眠が繰り返し出現し、睡眠後半に向けて徐々に一回ごとのレム睡眠時間が増加する。レム睡眠+ノンレム睡眠で約90分周期を繰り返す。
112回 午前
問題53 老化に伴う血液造血器系の変化で適切なのはどれか。
1.エリスロポエチンが増加する。
2.黄色骨髄が減少する。
3.顆粒球数が増加する。
4.赤血球数が減少する。
解答4
解説
1.× エリスロポエチンは、「増加」ではなく減少する。エリスロポエチンとは、赤血球の産生を促進する造血因子の一つである。加齢に伴い、腎臓の機能が低下してエリスロポエチンの分泌が少なくなる。すると赤血球も減少するため、貧血症状があらわれやすくなる。
2.× 黄色骨髄は、「減少」ではなく増加する。幼児期の全骨髄が造血作用をもつ赤色骨髄であるが、骨格発育が進み必要な造血領域を越えるようになると脂肪髄である黄色骨髄に置き換わっていく。したがって、老化に伴って、骨髄の赤色骨髄(造血組織)が減少し、黄色骨髄(脂肪組織)が増加する。
3.× 顆粒球数は、「増加」ではなく減少する。なぜなら、加齢に伴い、免疫力が低下するため。顆粒球とは、好中球、好酸球、好塩基球、および肥満細胞で構成される不均一な白血球である。自然免疫細胞であり、活性化されると、免疫促進分子を放出してウイルスや寄生虫の感染を撃退する。
4.〇 正しい。赤血球数が減少する。なぜなら、老化に伴って、骨髄の赤色骨髄が減少し、造血能力が低下するため。赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値は加齢とともに減少し、平均赤血球容積、平均赤血球血色素量は増加する。
112回 午前
問題87 高齢者に脱水が起こりやすくなる要因はどれか。 2つ選べ。
1.骨量の減少
2.筋肉量の減少
3.細胞内液量の減少
4.渇中枢の感受性の亢進
5.抗利尿ホルモンの反応性の亢進
解答2・3
解説
脱水とは、生体において体液量が減少した状態をいう。水やナトリウムの喪失が原因で起こる。この際、ナトリウムの喪失を伴わず水欠乏を起こす病態を高張性脱水(水欠乏性脱水)や一次脱水という。脱水症状とは、体内の水分が2%失われると、のどの渇きを感じ、運動能力が低下しはじめる。3%失われると、強いのどの渇き、ぼんやり、食欲不振などの症状がおこり、4~5%になると、疲労感や頭痛、めまいなどの脱水症状が現れる。10%以上になると、死にいたることもある。
1.× 骨量の減少は、骨粗鬆症や骨折のリスクを高める要因の一つである。一般的に、骨の成分は水分が10%程度であるため、脱水への影響は少ない。他には、70%が無機物のリン酸カルシウム、残りの20%がコラーゲンなどの有機物といわれている。
2.〇 正しい。筋肉量の減少は、高齢者に脱水が起こりやすくなる要因の一つである。なぜなら、筋肉量の減少は、体内の水分量が減ることにつながるため。筋重量の72%程度が水分で構成されている。
3.〇 正しい。細胞内液量の減少は、高齢者に脱水が起こりやすくなる要因の一つである。なぜなら、細胞内液量が減少に伴い、水分の代謝が低下するため。体液のうち、細胞内液が約65%、細胞外液が約35%を占めている。体液の水分は体重の約60%を占め、水は人体を構成する最大の化合物である。
4.× 渇中枢の感受性は、加齢に伴い「亢進」ではなく低下する。身体は常に体内の水分、血液の量や濃さをモニタリングしている。血液量が減ってしまったり、血液の浸透圧が高くなったりする(=血液が濃くなってしまうこと)と、足りない水分を補ったり高すぎる浸透圧を薄めて下げるために口渇中枢が働き、飲水などの水分摂取につながる。
5.× 抗利尿ホルモンの反応性は、加齢に伴い「亢進」ではなく低下する。抗利尿ホルモン (ADH:バソプレシン)は、下垂体後葉から分泌される。作用は、水の再吸収量を増加させる。つまり、利尿を妨げる。したがって、抗利尿ホルモンの反応性が亢進すると、尿量が減少し、体内の水分が保たれる。
112回 午後
問題86 高齢者の睡眠で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.単相性の睡眠になる。
2.浅い眠りが少なくなる。
3.総睡眠時間が延長する。
4.中途覚醒の回数が増加する。
5.入眠するまでに時間がかかる。
解答4・5
解説
高齢者は、社会的な刺激が少ない状況におかれ、身体的・精神的活動能力が低下しているため、日中の活動量は減り、熟睡が困難になる。また、身体的要因や疾患のために夜間睡眠が妨げられやすくなる。さらに、加齢や脳の器質的障害に伴うサーカディアンリズムの変化が生じる。
1.× 単相性の睡眠とはならない。睡眠には、①レム睡眠(脳が活発に動いている)と、②ノンレム睡眠(大脳が休息している)がある。単相性睡眠の特徴をもつ時期は、新生児である。1回ごとの睡眠が40~60分で、小刻みに何回も寝る。1日合計睡眠時間は、およそ16時間にもなる。これを多相性睡眠と呼ぶ。一方、 11時ごろから6時ごろまでが、単相性睡眠となることも知られている。
2.× 浅い眠り(第1・2段階のノンレム睡眠)が「少なく」ではなく多くなる。ちなみに、深い眠り(第3・4段階のノンレム睡眠)は、少なくなり熟睡感の低下につながる。
3.× 総睡眠時間が「延長」ではなく短縮する。なぜなら、加齢に伴い、日中の活動量は減り、熟睡が困難になるため。また、身体的要因や疾患のために夜間睡眠が妨げられやすくなる。さらに、加齢や脳の器質的障害に伴うサーカディアンリズムの変化が生じる。
4~5.〇 正しい。中途覚醒の回数が増加する/入眠するまでに時間がかかる。なぜなら、加齢に伴い、日中の活動量は減り、熟睡が困難になるため。また、身体的要因や疾患のために夜間睡眠が妨げられやすくなる。さらに、加齢や脳の器質的障害に伴うサーカディアンリズムの変化が生じる。ちなみに、中途覚醒とは、一度入眠したあと、翌朝起床するまでの間に何度も目が覚めてしまうことである。
113回 午前
52 高齢者のコミュニケーション障害の要因と状態の組合せで正しいのはどれか。
1.歯牙の欠損:言葉が出てこない。
2.耳垢の蓄積:音が小さく聞こえる。
3.想起能力の低下:相手の表情が読み取れない。
4.語音弁別能の低下:はっきり発音できない。
解答2
解説
1.× 言葉が出てこないのは、「歯牙の欠損」ではなく想起能力の低下である。歯牙(しが)とは、歯と顎骨を結ぶ骨である歯槽の中に埋まっている歯根のことで、歯の根っこの部分である。
2.〇 正しい。音が小さく聞こえるのは、耳垢の蓄積である。耳垢が溜まってしまることを耳垢塞栓といい、耳の穴の中(外耳道)をふさいでしまう状態のことをいう。外耳道をふさがれてしまうと、音の聞こえが悪くなったり、耳に圧迫感が生じたり、耳鳴りが起こったりする場合がある。
3.× 相手の表情が読み取れないのは、「想起能力の低下」ではなく視力の低下である。
4.× はっきり発音できないのは、「語音弁別能の低下」ではなく歯牙の欠損である。音のゆがみによる語音弁別能の低下は、サ行→ハ行に、タ行→カ行に混同するなどである。「しんぶん」が「ひんぶん」に聞こえる。ちなみに、母音とは、口腔内で空気の流れが妨げられずに発せられる音のことである。一方、子音はそれ以外の、口腔内で空気の流れが妨げられて発せられる音である。唇や舌、歯などを用いて出す。つまり、日本語における母音は「ア・イ・ウ・エ・オ」の5音である。
老人性難聴とは、加齢によって耳(内耳)と脳(聴覚中枢)が障害されて聴こえにくくなっている状態である。老人性難聴は、高音域の聴力から障害される。他にも、語音弁別能や周波数選択性の低下、補充現象などの症状が複数現れる。ちなみに、補充現象とは、聞こえが悪いのに、音を大きくすると大きくした比率以上に大きく聞こえる現象である。
113回 午後
8 老化に伴う視覚の変化で正しいのはどれか。
1.視野が狭くなる。
2.近くが見やすくなる。
3.色の識別がしやすくなる。
4.明暗順応の時間が短縮する。
解答1
解説
1.〇 正しい。視野が狭くなる。なぜなら、加齢に伴い、①瞳孔の大きさを調節する筋肉の衰えによる老人性縮瞳、②水晶体の弾力性の低下による老眼、③視神経の障害による視神経線維の減少などがあげられるため。
2.× 近くが「見やすく」ではなく見にくくなる。老眼とは、老視ともいい、遠見視力は良好であるが近見視力は低下する。
3.× 色の識別が「しやすく」ではなくしにくくなる。なぜなら、加齢に伴い水晶体が黄変し、視界が黄色を帯びて見えるようになるため。また、水晶体は透明から黄色に着色されるため、短波長の光の透過率が減少する。その結果、青色の光が到達しにくくなり、色の識別能力が低下する。
4.× 明暗順応の時間が「短縮」ではなく延長する。視覚は、明るさに慣れていく明順応と、暗さに慣れていく暗順応がある。これを明暗順応という。明所から暗所に移動した際、暗順応により完全に見えるようになるのには、30分ほどかかる。逆に、暗所から明所に移動した際、まぶしさに慣れる明順応は数分で完了する。
113回 午後
49 老人性難聴の特徴はどれか。
1.両側性に生じる。
2.混合性難聴である。
3.低音域が障害される。
4.外耳の障害によって起こる。
解答1
解説
(※図引用:「耳の構造・説明図」illustAC様より)
老人性難聴とは、加齢によって耳(内耳)と脳(聴覚中枢)が障害されて聴こえにくくなっている状態である。老人性難聴は、高音域の聴力から障害される。他にも、語音弁別能や周波数選択性の低下、補充現象などの症状が複数現れる。ちなみに、補充現象とは、聞こえが悪いのに、音を大きくすると大きくした比率以上に大きく聞こえる現象である。
1.〇 正しい。両側性に生じる。老人性難聴は、加齢によって耳(内耳)と脳(聴覚中枢)が衰え聴こえにくくなる。左右差は見られにくい。
2.× 老人性難聴は、「混合性」ではなく感音性難聴である。混合性難聴混合性難聴とは、伝音性難聴と感音性難聴の両方の機能障害が合わさった難聴である。伝音性難聴とは、外耳や中耳などの「伝音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴である。一方、感音性難聴とは、内耳や聴神経など「感音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴である。老人性難聴は、感音性難聴のひとつであり、加齢により内耳などが衰える事により発症する。
3.× 「低音域」ではなく高音域が障害される。老人性難聴は、高音域の聴力から障害される。これは、蝸牛におけるコルチ器の有毛細胞(高音域を識別する部位)が、加齢に伴い変性・減少していくためといわれている。
4.× 「外耳」ではなく内耳の障害によって起こる。外耳とは、耳介と外耳道からなる部分である。一方、内耳とは、聴覚に関わる蝸牛と平衡覚をつかさどる前庭や3つの半規管(三半規管)からなる部分である。
中耳は、外耳と内耳にある空間のことである。
構成は、鼓膜・鼓室・耳管・乳突洞・乳突蜂巣からなる。
ちなみに、鼓室には3つの耳小骨(ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨)があり、鼓膜から内耳へ音の振動を伝える。