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※問題の引用:厚生労働省より
※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。
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105回 午前
7 日本の女性の平均閉経年齢に最も近いのはどれか。
1.40歳
2.45歳
3.50歳
4.55歳
解答3
解説
~更年期障害とは~
「閉経」とは、卵巣の活動性が次第に消失し、ついに月経が永久に停止した状態をいいます。月経が来ない状態が12か月以上続いた時に、1年前を振り返って閉経としています。日本人の平均閉経年齢は約50歳ですが、個人差が大きく、早い人では40歳台前半、遅い人では50歳台後半に閉経を迎えます。
閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間を「更年期」といいます。更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」と言います(※引用:「更年期障害」日本産婦人科学会様HPより)。
したがって、選択肢3.50歳が日本の女性における平均閉経年齢に最も近い。
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
105回 午前
77 萎縮性腟炎に伴う状態について正しいのはどれか。
1.性交痛
2.白色の帯下
3.腟壁の肥厚化
4.腟の自浄作用の亢進
5.エストロゲン分泌の増加
解答1
解説
老人性腟炎とは、萎縮性腟炎ともいい、主に閉経後の女性ホルモン(エストロゲン・卵胞ホルモン)の分泌低下により、腟の潤いがなくなり、外陰部や腟が乾燥・萎縮して、雑菌が繁殖するために起こる炎症である。治療は、エストロゲンの補充が第1選択になる。膣の中に入れるエストロゲンの錠剤や飲み薬を使い、性交痛に対しては潤滑ゼリーの併用も効果的である。 また、細菌感染を合併している場合は抗生剤を併用する。
1.〇 正しい。性交痛が萎縮性腟炎に伴う状態である。なぜなら、膣が萎縮した結果、分泌物が減るため。不正出血なども生じる。
2.× 腟分泌物は、「白色」ではなく、黄色調でやや膿性(ときに茶褐色)である。なぜ炎症をきたし、白血球や細菌が多く混ざっているため。ちなみに、帯下とは、おりもののことで、腟あるいは外陰から体外に排出された分泌物で本人が自覚したものである。
3.× 腟壁の「肥厚化」ではなく、薄くなる。なぜなら、主に閉経後に女性ホルモンのエストロゲンの低下するため。
4.× 腟の自浄作用の「亢進」ではなく、低下する。なぜなら、に閉経後の女性ホルモン(エストロゲン・卵胞ホルモン)の分泌低下により、腟の潤いがなくなり、外陰部や腟が乾燥・萎縮して、雑菌が繁殖するため。
5.× エストロゲン分泌の「増加」ではなく低下する。ちなみに、エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
105回 午後
55 更年期障害の女性にみられる特徴的な症状はどれか。
1.異常発汗
2.低血圧
3.妄想
4.便秘
解答1
解説
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
1.〇 正しい。異常発汗は、更年期障害の女性にみられる特徴的な症状である。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状(異常発汗、のぼせ、顔のほてり、動悸、めまいなど)、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。
2.× 「低血圧」ではなく、高血圧が起こりやすい。なぜなら、エストロゲンが低下するため。相対的に男性ホルモンが多くなり、自律神経の1つである交感神経の働きが活発化、血圧上昇を促すレニンというホルモンの産生が上昇する。
3.× 「妄想」ではなく、精神神経症状:情緒不安やイライラ、抑うつ、不安、不眠などが起こる。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状(情緒不安やイライラ、抑うつ、不安、不眠など)、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。
4.× 便秘は特徴的な症状とはいえない。消化管症状としては、腰痛、食欲不振などや排尿障害、性交障害などがある。エストロゲン低下に伴うホルモンバランスの乱れから、消化器症状をきたすことがある。
~更年期障害とは~
「閉経」とは、卵巣の活動性が次第に消失し、ついに月経が永久に停止した状態をいいます。月経が来ない状態が12か月以上続いた時に、1年前を振り返って閉経としています。日本人の平均閉経年齢は約50歳ですが、個人差が大きく、早い人では40歳台前半、遅い人では50歳台後半に閉経を迎えます。
閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間を「更年期」といいます。更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」と言います(※引用:「更年期障害」日本産婦人科学会様HPより)。
106回 午後
86 Aさん(50歳、女性)は、急に体が熱くなったり汗をかいたりし、夜は眠れなくなり疲れやすさを感じるようになった。月経はこの1年間で2回あった。
Aさんのホルモンで上昇しているのはどれか。2つ選べ。
1.エストロゲン
2.プロラクチン
3.プロゲステロン
4.黄体形成ホルモン<LH>
5.卵胞刺激ホルモン<FSH>
解答4/5
解説
・Aさん(50歳、女性)
・急に体が熱くなったり汗をかいたり。
・夜は眠れなくなり疲れやすさを感じる。
・月経はこの1年間で2回あった。
→本症例は、更年期障害が疑われる。更年期とは、閉経の5年前から5年後までの約10年、つまり、生殖期から非生殖期への間の移行期のことをさすことが多い。閉経の年齢は人によって異なり、40歳代前半に迎える人もいれば、50歳代後半になっても迎えない人もいる。更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
1.× エストロゲン(卵胞ホルモン)は、卵巣機能の低下によって低下する。エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
2.× プロラクチンとは、乳腺刺激ホルモンともいい、脳の下垂体から分泌され、妊娠すると高くなり乳腺を成長させ乳汁産生を行う。一般的に出産後など授乳期間中において、乳頭の刺激で高くなり乳汁を分泌する。
3.× プロゲステロン(黄体ホルモン)は、卵巣機能の低下によって低下する。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。
4.〇 正しい。黄体形成ホルモン<LH>が、Aさんのホルモンで上昇している。黄体形成ホルモン とは、下垂体前葉から分泌され、卵巣に影響し排卵を起こす上で重要な役割を担う。また、思春期に増加し、精巣においてテストステロン、卵巣においてエストロゲンの分泌を増加させる。更年期によるプロゲステロンの分泌低下に働きかけるため上昇する。(ネガティブフィードバック)
5.〇 正しい。卵胞刺激ホルモン<FSH>が、Aさんのホルモンで上昇している。卵胞刺激ホルモンとは、卵胞期に増加する。卵胞刺激ホルモンは、脳下垂体前葉から分泌される。卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンを性腺刺激ホルモンと呼ぶ。卵胞刺激ホルモンは、卵巣の卵胞の成熟を促進し、エストロゲンの分泌を刺激する。更年期によるエストロゲンの分泌低下に働きかけるため上昇する。(ネガティブフィードバック)
【ネガティブフィードバック】
①エストロゲンレベルが上昇したらゴナドトロピンが低下する → ネガティブフィードバック
②エストロゲンレベルが低下したらゴナドトロピンが上昇する → ネガティブフィードバック
【ポジティブフィードバック】
①エストロゲンレベルが上昇したらゴナドトロピンも上昇する → ポジブフィードバック
※ポジブフィードバックは一定条件が整わないと発現しません。ヒトではストラジオールが 200 pg/ml 以上に達し、それが 48 時間以上持続した時のみ発現します。間脳や下垂体でどのような現象が起きているかは考慮する必要がありません。
(※一部引用:「ポジティブフィードバックとネガティブフィードバック」より)
107回 午後
7 更年期の女性で増加するのはどれか。
1.卵胞刺激ホルモン(FSH)
2.テストステロン
3.プロラクチン
4.エストロゲン
解答1
解説
更年期とは、閉経の5年前から5年後までの約10年、つまり、生殖期から非生殖期への間の移行期のことをさすことが多い。閉経の年齢は人によって異なり、40歳代前半に迎える人もいれば、50歳代後半になっても迎えない人もいる。
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
1.〇 正しい。卵胞刺激ホルモン(FSH)は、更年期の女性で増加する。なぜなら、更年期(加齢)になるにつれ、卵巣の機能が低下するため。卵巣の機能が低下することで、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が減る。その減った分を代償するべく、脳下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)を増加させ、なんとか卵巣の機能を保とうとする。
2.× テストステロン(アンドロゲン、男性ホルモン)は、精巣から分泌される。作用は、筋肉の増大・骨格の発達・陰毛の発毛に作用する。女性でも卵巣や副腎からごく微量分泌され、分泌量の変化もわずかである。分泌量は、男性の人生の中で20〜30代の頃がピークといわれている。更年期とは関与しない。
3.× プロラクチン(催乳ホルモン)は、下垂体前葉から分泌される。作用は、乳腺の発育、乳汁の産生・分泌をもつ。したがって、出産後に多く分泌されるホルモンである。更年期とは関与しない。
4.× エストロゲン(卵胞ホルモン)は低下する。更年期障害の治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。
107回 午後
49 老年期の加齢に伴う生殖器および生殖機能の変化で正しいのはどれか。
1.卵巣が肥大する。
2.腟壁が薄くなる。
3.精液中の精子がなくなる。
4.男性はテストステロンが増加する。
解答2
解説
・男性は加齢とともにホルモンの変化、陰茎血管系の異常などにより性行為に支障を来す。個人差もあるが、精子形成能力は70歳になっても維持される。
・女性は閉経に伴い急激は性ホルモンが低下する。
・性行為に結びつかなくても、スキンシップを図ることで欲求が充足されることが少なくない。
1.× 卵巣は、「肥大」ではなく退縮し、機能を停止する。卵巣重量は、80歳台では1/3にまで減少する。ちなみに、加齢に伴い肥大するのは前立腺である。
2.〇 正しい。腟壁が薄くなる。なぜなら、閉経後の女性は、エストロゲンの作用により膣壁のコラーゲンが減少するため。それに伴い、膣と周辺組織が萎縮する。その結果、膣分泌液量の低下により、萎縮性膣炎や外陰部搔痒症、感染症が起こりやすくなる。
3.× 精液中の精子はなくならない。個人差もあるが、精子形成能力は70歳になっても維持される。ただし、加齢に伴い、精巣は萎縮し、精子の数と運動性は減少する。また、勃起するのに時間を要したり、射精量も減少がみられる。
4.× 男性はテストステロンが、「増加」ではなく減少する。テストステロン(アンドロゲン、男性ホルモン)は、精巣から分泌される。作用は、筋肉の増大・骨格の発達・陰毛の発毛に作用する。女性でも卵巣や副腎からごく微量分泌される。分泌量は、男性の人生の中で20〜30代の頃がピークといわれている。
107回 午後
56 閉経について正しいのはどれか。
1.月経は永久に停止する。
2.子宮機能の低下で生じる。
3.原発性無月経のことである。
4.月経が3か月みられない時点で閉経と判定する。
解答1
解説
閉経とは、卵巣の活動性が次第に消失し、ついに月経が永久に停止した状態である。月経が来ない状態が12か月以上続いた時に、1年前を振り返って閉経としている。日本人の平均閉経年齢は約50歳であるが、個人差が大きく、早い人では40歳台前半、遅い人では50歳台後半に閉経を迎える。
1.〇 正しい。月経は永久に停止する。閉経とは、卵巣の活動性が次第に低下し(エストロゲン分泌低下)、ついには月経が永久に停止した状態である。なお、更年期は閉経の前後5年間を指す。日本人の平均閉経年齢は約50.5歳といわれている。
2.× 「子宮」ではなく卵巣の機能低下で生じる。エストロゲンとは、卵巣から分泌され、女性らしさをつくる作用を持つ。成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
3.× 原発性無月経のことではない。原発性無月経とは、正常な成長と第二次性徴が認められる患者において15歳までに月経が起こらないことである。しかし、13歳までに月経が開始せず、思春期の徴候(例、何らかのタイプの乳房の発達)がみられない場合は、原発性無月経の評価を行うべきである。
4.× 月経が、「3か月」ではなく、12か月以上みられない時点で閉経と判定する。日本人の平均閉経年齢は約50歳であるが、個人差が大きく、早い人では40歳台前半、遅い人では50歳台後半に閉経を迎える。
無月経(月経がない状態)には①原発性、②続発性、③その他のものがある。
①原発性無月経:正常な成長と第二次性徴が認められる患者において15歳までに月経が起こらないことである。しかし、13歳までに月経が開始せず、思春期の徴候(例、何らかのタイプの乳房の発達)がみられない場合は、原発性無月経の評価を行うべきである。
②続発性無月経:規則的な月経周期の確立後に6カ月以上または月経周期で3周期以上の期間、月経がない状態である。しかし、以前の周期が規則的であった患者では月経が3カ月以上なければ続発性無月経の評価が行われ、以前の周期が不規則であった患者では月経が6カ月以上なければ続発性無月経の評価が行われる。
③その他:解剖学的原因(妊娠を含む)、慢性無排卵、卵巣不全など
(※参考:「無月経」MSDマニュアルプロフェッショナル版様より)
109回 午後
62 エストロゲン低下によって更年期の女性に起こるのはどれか。
1.骨量の低下
2.内臓脂肪の減少
3.脳血流量の増加
4.HDLコレステロールの上昇
解答1
解説
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。
ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
1.〇 正しい。骨量の低下は、エストロゲン(卵胞ホルモン)低下によって更年期の女性に起こる。エストロゲンは、破骨細胞(古い骨を吸収する細胞)と骨芽細胞(新しい骨を作る細胞)の両方に作用している。閉経にともなうエストロゲン欠乏により、破骨細胞による骨吸収が亢進して、骨量が減少すると考えられており、将来的な骨粗鬆症のリスクにつながる。
2.× 内臓脂肪の「減少」ではなく増加である。エストロゲンは、内臓脂肪を溜め込む作用に関与するアルデヒド脱水素酵素を抑える働きがある。更年期によるエストロゲンの低下により、アルデヒド脱水素酵素の働きが弱くなり、女性の身体は内臓脂肪を貯めやすい身体へと変化しやすい。したがって、将来的な肥満体形のリスクにつながる。
3.× 脳血流量の「増加」ではなく減少である。エストロゲンの脳機能に対する効果として、①神経伝達物質に対する影響(感情に関わる物質や記憶に関わる物質の活性化)、②神経細胞の保護(細胞死の抑制と抗酸化作用)、③神経栄養作用(神経栄養因子の増加と神経細胞の成長)、④脳機能の活性化(脳血流量の増加と糖の取り込み増加)、⑤脳内のアミロイドβタンパク沈着の抑制があげられる。エストロゲンが減少すれば、神経細胞の死滅が進み、脳血流量の減少から脳機能が低下し、脳内のアミロイドβタンパク沈着が増加する。したがって、将来的にアルツハイマー病が起きやすい。
4.× HDLコレステロール(善玉コレステロール)は、「上昇」ではなく減少である。エストロゲンは、HDL(悪玉)コレステロールを上昇させ、LDL(善玉)コレステロールを低下させる作用がある。したがって、将来的に脂質異常症が起こりやすい。これにより動脈硬化が進みやすくなる。
110回 午前
57 更年期女性のホルモン補充療法によってリスクが低くなるのはどれか。
1.乳癌
2.骨粗鬆症
3.子宮体癌
4.静脈血栓症
解答2
解説
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。
ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
1.× 乳癌の危険因子は、高エストロゲン状態がある。したがって、乳癌の既往のある患者や現在乳癌に罹患している患者に対してのホルモン補充療法(エストロゲン補充)は禁忌である。
2.〇 正しい。骨粗鬆症は、更年期女性のホルモン補充療法によってリスクが低くなる。なぜなら、骨粗鬆症の原因として、女性ホルモン(エストロゲン)の低下がひとつであるため。骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい。
3.× 子宮体癌の原因は、エストロゲンに過剰曝露すると発症リスクが高まる。したがって、子宮体癌患者に対してホルモン補充療法(エストロゲン補充)は禁忌である。
4.× 静脈血栓症の患者に対して、ホルモン補充療法(エストロゲン補充)は禁忌である。なぜなら、経口エストロゲン製剤は血栓形成を促進させるため。
111回 午前
9 日本の女性における平均閉経年齢に最も近いのはどれか。
1.30歳
2.40歳
3.50歳
4.60歳
解答3
解説
~更年期障害とは~
「閉経」とは、卵巣の活動性が次第に消失し、ついに月経が永久に停止した状態をいいます。月経が来ない状態が12か月以上続いた時に、1年前を振り返って閉経としています。日本人の平均閉経年齢は約50歳ですが、個人差が大きく、早い人では40歳台前半、遅い人では50歳台後半に閉経を迎えます。
閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間を「更年期」といいます。更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」と言います(※引用:「更年期障害」日本産婦人科学会様HPより)。したがって、選択肢3.50歳が日本の女性における平均閉経年齢に最も近い。
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
112回 午後
問題59 閉経について正しいのはどれか。
1.閉経すると膣の自浄作用が低下する。
2.閉経後はエストロゲン分泌が増加する。
3.日本人の閉経の平均年齢は55歳である。
4.10か月の連続した無月経の確認で診断される。
解答1
解説
1.〇 正しい。閉経すると膣の自浄作用が低下する。なぜなら、閉経後に女性ホルモンであるエストロゲンの分泌は低下し、膣粘膜の非薄化や膣分泌液の減少が生じるため。
2.× 閉経後はエストロゲン分泌は、「増加」ではなく低下する。なぜなら、閉経後、エストロゲンの産生元である卵胞が消失するため。ちなみに、エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
3.× 日本人の閉経の平均年齢は、「55歳」ではなく約50.5歳である。閉経とは、卵巣の活動性が次第に低下し(エストロゲン分泌低下)、ついには月経が永久に停止した状態である。なお、更年期は閉経の前後5年間を指す。
4.× 「10か月」ではなく12か月の連続した無月経の確認で診断される。したがって、1年前をさかのぼって「閉経」とするのが一般的である。
更年期とは、閉経の5年前から5年後までの約10年、つまり、生殖期から非生殖期への間の移行期のことをさすことが多い。閉経の年齢は人によって異なり、40歳代前半に迎える人もいれば、50歳代後半になっても迎えない人もいる。
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
113回 午後
59 閉経に伴うエストロゲンの低下で生じるのはどれか。
1.骨量の増加
2.腟粘膜の萎縮
3.脳血流量の増加
4.血中LDLコレステロールの減少
解答2
解説
エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
1.× 骨量は、「増加」ではなく低下する。なぜなら、エストロゲンは、破骨細胞と骨芽細胞の両方に関与しているため。エストロゲンにより抑制されていた骨吸収が増加し、骨粗鬆症も起こりやすくなる。
2.〇 正しい。腟粘膜の萎縮は、閉経に伴うエストロゲンの低下で生じる。また、膣粘膜の非薄化や膣分泌液の減少が生じる。したがって、女性の性交痛が起こりやすくなる。
3.× 脳血流量は、「増加」ではなく低下する。したがって、神経細胞の死滅が進み、脳機能が低下し、アルツハイマー病発症の可能性が高まるという報告もある。
4.× 血中LDLコレステロールは、「減少」ではなく増加する。なぜなら、エストロゲンには、血中LDLコレステロールを低下(異化・排泄を促す効果)させ、血中LDLコレステロール増加させる効果がある。ちなみに、LDLコレステロールとは、悪玉コレステロールとも呼び、全身の末梢血管にコレステロールを運ぶ作用を持つ。肝臓で主に代謝され、140mg/dL以上あると脂質異常症と診断される。
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。