この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
※問題の引用:厚生労働省より
※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。
・まとめてもらいたい問題や希望、漏れがあったらコメントください。
・当HPに「キーワード検索」の機能がありますので、そちらも積極的にお使いください。
105回 午後
4 終末期に自分がどのような医療を受けたいかをあらかじめ文書で示しておくのはどれか。
1.アドヒアランス
2.リビングウィル
3.セカンドオピニオン
4.インフォームド・コンセント
解答2
解説
1.× アドヒアランス(adherence)とは、医療現場で患者が治療方針の決定に賛同し、積極的に治療を受けることを意味する言葉である。つまり、患者が賛同、能動的に治療を受けることを指す。
2.〇 正しい。リビングウィル(Living will)とは、終末期に自分がどのような医療を受けたいかをあらかじめ文書で示しておくことである。つまり、リビングウィルとは、「生きている間に効力を発揮する遺言」のことである。意思決定能力を失った場合に備えて、患者本人が希望する医療内容を事前に意思表示するものである。
3.× セカンドオピニオンとは、診断や治療について、主治医以外の医師の意見を求めることを指す。主治医の意見に不安や悩みを抱えている患者に提案することが多い。
4.× インフォームド・コンセントとは、患者・家族が病状や治療について十分に理解し、また、医療職も患者・家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するか、患者・家族、医療職、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど関係者と互いに情報共有し、皆で合意するプロセスである。
終末期看護の役割は、患者の残された時間の生活の質(QOL)を高め、その人らしいまっとうできるように援助を行うことである。患者が可能な限り前向きに生活できるような支援体制を提供するという。従来、医療・介護の現場では、終末期における治療の開始・中止・変更の問題は重要な課題のひとつである。疾病の根治を目的とせず延命のみを目的とした対症療法を一般的に延命治療と称し、人工呼吸・人工栄養(経管栄養)、人工透析などが含まれる。しかし、終末期患者では意思疎通の困難な場合も多く、患者の意思に反する治療(延命)になりかねない。治療・ケア内容に関する患者や家族の意思や希望を病状などに応じて繰り返し確認し、それを患者・家族・医療者で共有し、方針を見いだすことが非常に重要である。
105回 午後
42 不安の強い入院患者に対し問題中心の対処を促す方法で適切なのはどれか。
1.読書をして気分転換を促す。
2.原因に気付くように支援する。
3.平常な気持ちを保つように助言する。
4.家族に不満を聞いてもらうことを勧める。
解答2
解説
問題志向のコーピング(問題焦点型コーピング)は、ラザルス,S.R,が提唱した心理的ストレスへの対処方法のひとつである。問題中心の対処とは、問題を明確化して、問題そのものを解決しようとすることを指し、「問題焦点型コーピング」と呼ばれる。一方、気晴らしなどで情動を軽減することは、「情動焦点型コーピング」と呼ばれる。
1.3~4.× 読書をして気分転換を促す/平常な気持ちを保つように助言する/家族に不満を聞いてもらうことを勧めるのは、「情動焦点型コーピング」である。気晴らしなどで情動(気分転換、気持ち、不満)を軽減することは、「情動焦点型コーピング」と呼ばれる。
2.〇 正しい。原因に気付くように支援することは、不安の強い入院患者に対し問題中心の対処を促す方法といえる。問題中心の対処とは、問題を明確化して、問題そのもの(原因)を解決しようとすることを指し、「問題焦点型コーピング」と呼ばれる。
106回 午後
61 医療の標準化を目的に活用されているのはどれか。
1.コーピング
2.クリニカルパス
3.エンパワメント
4.コンサルテーション
解答2
解説
クリニカルパスとは、ある疾患において主に入院時に患者に手渡しされる。①入院から退院までの検査や治療(手術日や投薬内容・期間等)、 ②食事や入浴等についてのスケジュールなどを標準化して示した診療計画表である。医療者用と患者用(説明用)が作成されている
【目的・効果】
①同一疾患の患者に対する医療の質の均一化(標準化)・向上。
②医療従事者間での情報共有。
③患者満足度の向上。
④入院患者の在院日数短縮・効率化。
⑤医療コストや資源の節約。
⑥医療事故防止。
1.× コーピングとは、心理学用語でストレスへの対処法や努力のことをさす。ラザルスは「8つ種類がある」とされ、逃避型とは問題を忘れようとお酒を飲んだり、逃げたいと考えたりするやりかたである。人に当たり散らしたり、問題を他人のせいにしたりすることもここに含まれる。
2.〇 正しい。クリニカルパスは、医療の標準化を目的に活用されている。クリニカルパスとは、ある疾患において主に入院時に患者に手渡しされる。①入院から退院までの検査や治療(手術日や投薬内容・期間等)、 ②食事や入浴等についてのスケジュールなどを標準化して示した診療計画表である。医療者用と患者用(説明用)が作成されている。
3.× エンパワメントとは、対象者が主体的に自身の状態を変えていく方法や自信を獲得できるよう、対象者が本来持っている力を引き出し、その自己決定能力を強化することである。対象は、個人、組織、コミユニテイの3段階がある。過程には、傾聴→対話→行動アプローチがある。(直訳:権限を与える、自信を与える)
4.× コンサルテーションとは、相談・協議を意味する。コンサルテーションとは、異なる専門性をもつ複数の者が、援助対象である問題状況について検討し、よりよい援助のあり方について話し合うプロセスをいう。 自らの専門性に基づいて他の専門家を援助するものを「コンサルタント」、そして援助を受けるものを「コンサルティ」という。
①コミュニティ・メンバーは自身の問題解決に向かう意欲と自信がつ
②コミュニティ・メンバーのコミュニティに対する関心が高まる。
③コミュニティでの相互支援が高まる。
④コミュニティでリーダーが育成される。
⑤コミュニティは政策改善の方向性を見いだす。
109回 午後
66 アギュララ,D.C.が提唱した危機(クライシス)を回避する要因で正しいのはどれか。
1.情緒的サポート
2.適切な対処機制
3.問題志向のコーピング
4.ソーシャルインクルージョン
解答2
解説
アギュララは、ストレスの多い出来事によって精神の均衡状態が崩れると,その均衡を回復させる一定の働きが生じると考えた。人が危機状態から回復するには、①現実的出来事に対する知覚、②適切な対処機制、③適切な社会的支持の3つのバランス要因が必要だとした。
1.× 情緒的サポートは、キャプラン,G.が提唱したソーシャルサポートの分類のひとつである。ソーシャルサポート(社会的支援)とは、個人のよりよい状態を支えるための心理的・物理的資源のことである。ストレッサーがあっても周りの人からサポートを受けることによって、そのストレッサーを前向きにとらえられるようになることや、うまく対処(コーピング)できることにつながる。種類は、(1)手段的サポート(①道具的サポート、②情報的サポート)、(2)情緒的サポート(③情緒的サポート、④評価的サポート)に分類される。
2.〇 正しい。適切な対処機制は、アギュララ,D.C.が提唱した危機(クライシス)を回避する要因で正しい。ストレス状況下で不安や緊張を軽減させる対処行動が適切にとれることで、危機を回避することができる。
3.× 問題志向のコーピング(問題焦点型コーピング)は、ラザルス,S.R,が提唱した心理的ストレスへの対処方法のひとつである。問題中心の対処とは、問題を明確化して、問題そのものを解決しようとすることを指し、「問題焦点型コーピング」と呼ばれる。一方、気晴らしなどで情動(ここでは不安)を軽減することは、「情動焦点型コーピング」と呼ばれる。
4.× ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)とは、社会的に弱い立場にある人々をも含め市民ひとりひとり、排除や摩擦、孤独や孤立から援護し、社会の一員として取り込み、支え合う考え方のこと。社会的排除の反対の概念である。この考えは、持続可能な開発目標(SDGs)が大切にしている「誰一人取り残さない」という理念でもある。
ソーシャルサポート(社会的支援)とは、個人のよりよい状態を支えるための心理的・物理的資源のことである。ストレッサーがあっても周りの人からサポートを受けることによって、そのストレッサーを前向きにとらえられるようになることや、うまく対処(コーピング)できることにつながる。
ソーシャルサポート(社会的支援)は、個人のよりよい状態を支えるための心理的・物理的資源を指す。人間関係や社会的ネットワークも含まれる。種類は、(1)手段的サポート(①道具的サポート、②情報的サポート)、(2)情緒的サポート(③情緒的サポート、④評価的サポート)に分類される。
①道具的サポート:物資、金銭、労働等、形のある直接的な支援。
②情報的サポート:問題解決に役立つ情報提供、アドバイスなどの支援。
③情緒的サポート:愛情、共感等、他者との情緒的なつながりを築くための支援。
④評価的サポート:賛成、称賛等。自己評価のために役立つ支援
(※「ソーシャルサポート」厚生労働省HPより)
110回 午前
31 ソーシャルサポートのうち、情緒的サポートはどれか。
1.傾聴する。
2.情報提供する。
3.外出に付き添う。
4.経済的支援をする。
解答1
解説
ソーシャルサポート(社会的支援)とは、個人のよりよい状態を支えるための心理的・物理的資源のことである。ストレッサーがあっても周りの人からサポートを受けることによって、そのストレッサーを前向きにとらえられるようになることや、うまく対処(コーピング)できることにつながる。
ソーシャルサポート(社会的支援)は、個人のよりよい状態を支えるための心理的・物理的資源を指す。人間関係や社会的ネットワークも含まれる。種類は、(1)手段的サポート(①道具的サポート、②情報的サポート)、(2)情緒的サポート(③情緒的サポート、④評価的サポート)に分類される。
①道具的サポート:物資、金銭、労働等、形のある直接的な支援。
②情報的サポート:問題解決に役立つ情報提供、アドバイスなどの支援。
③情緒的サポート:愛情、共感等、他者との情緒的なつながりを築くための支援。
④評価的サポート:賛成、称賛等、自己評価のために役立つ支援
(※「ソーシャルサポート」厚生労働省HPより)
1.〇 正しい。傾聴するのは、情緒的サポートにあたる。情緒的サポートとは、愛情、共感等、他者との情緒的なつながりを築くための支援である。傾聴することも情緒的サポートである。
2.× 情報提供するのは、情報的サポートである。手段的サポートは、①道具的サポートと②情報的サポートに分けられる。情報的サポートとは、問題解決に役立つ情報提供、アドバイスなどの支援である。
3〜4.× 外出に付き添う/経済的支援をするのは、道具的サポートである。労働の直接的な援助にあたる。手段的サポートは、①道具的サポートと②情報的サポートに分けられる。道具的サポートとは、物資、金銭、労働等、形のある直接的な支援である。
110回 午後
43 現在の日本の終末期医療において、患者の将来の自己決定能力の低下に備えて、患者・家族と医療者が今後の治療・療養についての気がかりや価値観を定期的に話し合って共有し、患者の意向に沿った医療を提供することが望ましいとされている。
この内容を示すのはどれか。
1.グリーフケア
2.代理意思決定の支援
3.アドバンス・ケア・プランニング
4.アドバンスディレクティブ〈事前指示〉の支援
解答3
解説
1.× グリーフケア(悲嘆の援助)とは、スピリチュアルの領域において、さまざまな「喪失」を体験し、グリーフを抱えた方々に、心を寄せて、寄り添い、ありのままに受け入れて、その方々が立ち直り、自立し、成長し、そして希望を持つことができるように支援することである。在宅で療養する終末期患者を看取る家族に対し、患者の療養中から死亡した後まで、経過に合わせた援助(グリーフケア)が重要である。
2.× 代理意思決定の支援とは、患者が自身の判断能力を失ったときに備え、代理意思決定者を選定しておくことである。代理意思決定とは、患者の意思表示が困難な場合に家族が代わりに治療の選択等を行うことである。
3.〇 正しい。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは、将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、患者さんを主体に、そのご家族や近しい人、医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、患者さんの意思決定を支援するプロセスのことである。患者さんの人生観や価値観、希望に沿った、将来の医療及びケアを具体化することを目標にしている。
4.× アドバンスディレクティブ〈事前指示〉の支援とは、患者が判断能力を失ったときに備え、希望する延命治療やケア内容など自分の意向を、患者自身があらかじめ書面や口頭で示す行為のことである。ちなみに、リビングウィルとは、判断能力を失った際に自分に行われる治療やケアに関する意向について判断能力があるうちに表示される意思のことをいう。リビングウィルには、アドバンスディレクティブと違って、代理人の指定は含まれないのが特徴である。
112回 午前
問題66 患者の権利や力を尊重し、自己制御している感覚を持たせ、患者が社会生活に必要な技能や能力を獲得する支援を意味するのはどれか。
1.リカバリ
2.ストレングス
3.レジリエンス
4.エンパワメント
解答2
解説
1.× リカバリとは、精神の病気に制限があったとしても、何かに貢献し、希望にあふれ、満たされた生活を送る生き方である。リカバリには、精神疾患による壊滅的な影響を乗り越え成長する中で人生についての新たな意味や目標が見いだされていくことが含まれている。(直訳:回復)
2.〇 正しい。ストレングスは、患者の権利や力を尊重し、自己制御している感覚を持たせ、患者が社会生活に必要な技能や能力を獲得する支援を意味する。ストレングスモデルとは、患者さんの夢や希望を実現させるために、患者の持つ長所や強み(=ストレングス)を活かした「できること」を大切に支援していく考え方のことである。(直訳:強み)
3.× レジリエンスとは、精神障害者が逆境の中で能動的に鼓舞し、再び自己コントロール感を獲得したり、社会に適応していく過程を表す概念であることである。(直訳:立ち直る力)
4.× エンパワメントとは、対象者が主体的に自身の状態を変えていく方法や自信を獲得できるよう、対象者が本来持っている力を引き出し、その自己決定能力を強化することである。対象は、個人、組織、コミユニテイの3段階がある。過程には、傾聴→対話→行動アプローチがある。(直訳:権限を与える、自信を与える)
①コミュニティ・メンバーは自身の問題解決に向かう意欲と自信がつく。
②コミュニティ・メンバーのコミュニティに対する関心が高まる。
③コミュニティでの相互支援が高まる。
④コミュニティでリーダーが育成される。
⑤コミュニティは政策改善の方向性を見いだす。
113回 午前
64 患者とその家族や医療者が患者にとって望ましい治療を探り、お互いが納得する治療を選択できるようにしていくのはどれか。
1.心理教育
2.共同意思決定
3.ストレングス
4.アドヒアランス
解答2
解説
1.× 心理教育とは、症状の理解や服薬の必要性の理解など、病識の獲得と治療方法への理解が中心に行われる。ちなみに、家族心理教育とは、家族が病気を正しく理解し、適切な対応や望ましい接し方を身につけることを目的とする。病気による行動特性を理解し、症状に対する適切な対応と接し方を学ぶことができ、治療効果の増進・再発防止にもつながる。
2.〇 正しい。共同意思決定は、患者とその家族や医療者が患者にとって望ましい治療を探り、お互いが納得する治療を選択できるようにしていくものである。共同意思決定とは、患者やサービスの利用者と医療やケア専門職が協力して意思決定を行うプロセスである。患者と専門職は、治療の目標や希望、治療における役割などについて話し合い、適切な治療を見つけ出す。
3.× ストレングスとは、その人本来の「強さ」に重点を置く考え方である。通常の医療モデルがいわば患者の弱さに着目しているのと対照的に、ストレングスモデルでは患者の性格・技能・環境・関心など患者がもつ良い点、すなわち「強み(ストレングス)」に注目してそれを伸ばし、回復に向かわせるような取り組みを行う。
4.× アドヒアランスとは、医療現場で患者が治療方針の決定に賛同し、積極的に治療を受けることを意味する言葉である。コンプライアンスとは、医療者からの指示を患者が遵守することを指す。似たような言葉であるが、アドヒアランスは、患者が賛同、つまり能動的に治療を受けることを指す。