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1 明治32年(1899年)に制定された産婆規則で規定されたのはどれか。
1.産婆組合の設置
2.6か月以上の産婆の学術修業
3.満40歳以上の女子の資格要件
4.母子の異常を認めたときの医師への診療要請
解答4
解説
助産師は、「産婆」という名称で江戸時代から職業として一般化していたが、その業務の関係法規がはじめて公布されたのは、明治元(1868)年の太政官布達である。明治7(1874)年に東京・大阪・京都の主要都市三府に発布された医制では、産婆は免状制となり、産科医との業務区別が明確化された。免状(読み:めんじょう)とは、免許の証として授与する文書・免許状のことで、「産婆の免状制」とは、今でいう助産師の免許制度のことを指す。
産婆規則(読み:さんばきそく)は、明治32年(1899年)に公布された。産婆規則と産婆試験規則、ならびに産婆名簿登録規則が公布されたことにより、産婆の資格、試験、産婆名簿の登録、業務範囲などが規定され、初めて全国レベルでの産婆の資質水準の統一が図られた。
(※図引用:「保健師・助産師・看護師に係る規定の変遷」厚生労働省HPより)
1.× 産婆組合の設置は、昭和2(1927年)である。根拠法令は、見当たらなかったが、1899(明治32)年に産婆規則と産婆名簿登録規則が発布されたことがきっかけに、統一された全国組織の必要性が言われるようになった。ちなみに、日本助産師会は、助産師独自の職能団体として、1955(昭和30)年に社団法人として創立した(※参考:「あゆみ」日本助産師会より)。
2.× 「6か月以上」ではなく1年以上の産婆の学術修業が、受験資格として明治32年(1899年)に制定された産婆規則で規定されていた。産婆規則第3条には、「1ヶ年以上産婆の学術を修業したる者に非ざれば産婆試験を受くることを得ず」と規定されている(※引用:「保健師・助産師・看護師に係る規定の変遷」厚生労働省HPより)。
3.× 「満40歳以上」ではなく満20歳以上の女子の資格要件が、免許条件として明治32年(1899年)に制定された産婆規則で規定されていた。産婆規則第1条には、「産婆たらんとする者は20年以上の女子にして左の資格を有し産婆名簿に登録を受くることを要す(※名簿管理は地方長官)」と規定されている(※引用:「保健師・助産師・看護師に係る規定の変遷」厚生労働省HPより)。
4.〇 正しい。母子の異常を認めたときの医師への診療要請は、業務として明治32年(1899年)に制定された産婆規則で規定されていた。産婆規則第7条には、「産婆は妊婦産婦褥婦又は胎児生児に異常ありと認めるときは医師の診療を請はしむべし自らその処置をなすことを得ず但し臨時救急の手当はこの限りにあらず」と規定されている(※引用:「保健師・助産師・看護師に係る規定の変遷」厚生労働省HPより)。
2 正常な卵巣機能をもつのはどれか。
1.アンドロゲン不応症
2.Turner〈ターナー〉症候群
3.Rokitansky〈ロキタンスキー〉症候群
4.Klinefelter〈クラインフェルター〉症候群
解答3
解説
1.× アンドロゲン不応症(以前は精巣性女性化症候群とも)とは、通常、染色体が46,XYで精巣を持つが、表現型(外見に現れた形態・生理的な性質)が女性である病態のことである。つまり、外性器は完全に女性型であるが、精巣は存在しテストステロンやアンチミューラリアンホルモン(または抗ミュラー管ホルモン)は分泌されるため、ミューラー管から分化する子宮・卵巣・卵管は欠如する。したがって、外見的には女性であり、腟も存在し女性として養育され原発性無月経で初めて診断されることが多い。連鎖劣性遺伝(伴性劣性遺伝)で起こる。
2.× Turner〈ターナー〉症候群とは、典型的には身長が低く、首の後ろに皮膚のたるみがあり、学習障害がみられ、思春期が始まらないのが特徴である。2本のX染色体のうち1本の部分的または完全な欠失によって引き起こされる性染色体異常である。完全欠損例では、卵巣は策状に萎縮するために性腺ホルモンの分泌はなく、第2次性徴の欠如をきたす。
3.〇 正しい。Rokitansky〈ロキタンスキー〉症候群は正常の卵巣機能をもつ。ロキタンスキー症候群とは、子宮と腟の一部もしくは全部が欠損して生まれる先天性疾患である。原因は不明であるが、何らかの理由で胎児期における女性内性器へと発達する「ミューラー管」の分化異常によって生じる。卵巣・卵管は正常であるため、女性ホルモンの分泌や排卵などは一般の女性と同様である。ただし、子宮がないために月経は起こらず、中高生になって初潮がこない。合併症として、約30%に腎欠損、馬蹄腎、椎体異常、多指症、直腸肛門奇形などが起こる。
4.× Klinefelter〈クラインフェルター〉症候群とは、性染色体異常により生じる先天異常で、高身長・精子形成不全・無精子症などの性腺機能不全、言語発達遅延、女性化乳房が特徴である。X染色体がXXYであり、Y染色体をもつため性腺は精巣へと分化し、内性器・外性器とも男性型に分化するが、精巣は正常な機能は示さない。
3 低用量経口避妊薬について正しいのはどれか。
1.大腸癌のリスクを増加させる。
2.休薬期間を除いて1日1回毎日内服する。
3.コンドームによる避妊法に比べ避妊効果が低い。
4.静脈血栓塞栓症の発生頻度は、妊娠期より低用量経口避妊薬の内服中の方が高い。
解答2
解説
1.× 大腸癌のリスクを「増加」ではなく低下させる。ほかにも、卵巣がんや子宮体がんのリスクを低下させるという報告もある。ただし、乳がんと子宮頸がんのリスクは、わずかながら上がるといわれている。これは、コンドーム無しのセックスなどにより、ヒトパピローマウイルス(HPV)という性感染症に感染リスクが高まることが挙げられる。
2.〇 正しい。休薬期間を除いて1日1回毎日内服する。低用量経口避妊薬は、エストロゲンとプロゲステロンの2種類のホルモンからなる低用量経口避妊薬を毎日1錠ずつ服用する。飲み忘れに気付いた時点で、すぐに飲み忘れた分の2錠を飲むように指示することが多い。その後は予定通り飲み続ける。
3.× コンドームによる避妊法に比べ避妊効果が「高い」。低用量経口避妊薬の避妊率は99.7%である。一方、コンドーム法の避妊効果は、98%程度であるといわれている。コンドーム法は、性感染症の予防ができ、日本で最も普及している避妊法である。男性主導であることが多く、性交渉の途中で付けたり、破れてしまったり、はずれてしまったりなどの失敗が少なくないことから、一般的な使用方法だと1年間の失敗率は15%といわれている。
4.× 静脈血栓塞栓症の発生頻度は、妊娠期より低用量経口避妊薬の内服中の方が「低い」。「低用量ピルの副作用について心配しておられる女性へ(日本産科婦人科学会)」によると、「妊娠期の静脈血栓塞栓症の発生頻度は、海外の疫学調査によると、低用量ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間10,000人あたり1~5人であるのに対し、低用量ピル服用女性では3~9人と報告されています。一方、妊娠中および分娩後12週間の静脈血栓症の発症頻度は、それぞれ年間10,000人あたり5~20人および40~65人と報告されており、妊娠中や分娩後に比較すると低用量ピルの頻度はかなり低いことがわかっています」と記載されている。
【方法】エストロゲンとプロゲステロンの2種類のホルモンからなる低用量経口避妊薬を毎日1錠ずつ服用する。
【利点】女性主体で避妊ができる。
正確に服用すれば、避妊効果は確実である。
以下のような避妊以外の利点がある。
・子宮体癌、卵巣癌の発生率低下。
・子宮内膜症の症状緩和。
・月経困難症、月経前症候群の改善。
【欠点】
服用開始後1~2週間くらいまで、悪心や少量の不正性器出血を起こすことがある。
血栓症、心筋梗塞などのリスクを伴う場合がある。
【禁忌】
大手術の前後および長期間安静状態を要する患者。
35歳以上で1日15本以上の喫煙者。
血栓性素因のある者。
重症の高血圧症患者。
血管病変を伴う糖尿病患者。
産後4週以内の者。
授乳中(産後6か月未満)の者など。
4 基礎体温表を以下に示す。
黄体機能を推定できるのはどれか。
1.A
2.B
3.C
4.D
解答2
解説
(※図引用:「イラスト素材:基礎体温表」illustACより)
1.× A(月経周期全体)は、全体的な体のリズムや変化を把握できる。ちなみに、基礎体温表とは、婦人体温計で計測した基礎体温を毎朝記録したグラフである。
2.〇 正しい。B(高温期)は、黄体機能を推定できる。高温期の持続は黄体機能を評価するために重要で、高温期が正常に続くことは、黄体ホルモン(プロゲステロン)が十分に分泌されていることを示している。ちなみに、黄体ホルモンとは、妊娠の準備のため基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を安定させ、乳腺を発達させる働きがある。また栄養や水分を体にたくわえようとするため浮腫や体重増加しやすい。妊娠が成立しなければ、排卵の1週間後くらいから黄体ホルモン(プロゲステロン)は減り始め、さらに1週間くらい経つと子宮内膜がはがれ月経が始まる。
3.× C(低温期)は、主に卵胞期である。卵胞期とは、1回の月経周期が始まると脳の底の方にある下垂体というところから、卵を包んでいる卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されはじめ、卵胞は大きくなると同時に女性ホルモン(エストロゲン)を分泌する時期である。ちなみに、エストロゲンとは、主に卵巣から分泌される女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
4.× D(排卵日)は、主に排卵期である。急激な体温の上昇が見られる期間で、黄体形成ホルモン分泌が開始する。
・卵胞期:1回の月経周期が始まると脳の底の方にある下垂体というところから、卵を包んでいる卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されはじめ、卵胞は大きくなると同時に女性ホルモン(エストロゲン)を分泌する時期。
・増殖期:女性ホルモン(エストロゲン)が新しい子宮内膜を成長させていく時期。卵胞期と増殖期とはだいたい同じ時期。
・黄体期:排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期。
・分泌期:子宮内膜が成長を止めて受精卵が着床できるよう準備をする時期。
(※画像引用:日本医師会様HPより)
5 妊娠初期にhCG〈ヒト絨毛性ゴナドトロピン〉が産生を維持するホルモンはどれか。
1.hPL〈ヒト胎盤性ラクトゲン〉
2.コルチゾール
3.プロラクチン
4.プロゲステロン
解答4
解説
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG:human chorionic gonadotropin)とは、妊娠中にのみ測定可能量が著しく産生されるホルモンであり、妊娠の早期発見や自然流産や子宮外妊娠といった妊娠初期によくみられる異常妊娠の診断と管理のために使用される。主に絨毛組織において産生され、妊娠初期の卵巣黄体を刺激してプロゲステロン産生を高め、妊娠の維持に重要な働きをしている。また、胎児精巣に対する性分化作用や母体甲状腺刺激作用がある。絨毛性腫瘍の他に、子宮、卵巣、肺、消化管、膀胱の悪性腫瘍においても異所性発現している例もある。
1.× hPL〈ヒト胎盤性ラクトゲン〉は、卵胞刺激ホルモンおよび黄体形成ホルモンと同様に、黄体を維持することにより排卵を抑制する。 卵巣はβ-hCGに刺激されることでエストロゲンおよびプロゲステロンを産生し続けるため、これらのホルモンの値は妊娠早期に上昇する。
2.× コルチゾールは、副腎皮質で合成・分泌されるホルモンで、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがある。過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。
3.× プロラクチンは、乳腺刺激ホルモンともいい、脳の下垂体から分泌され、妊娠すると高くなり乳腺を成長させ乳汁産生を行う。一般的に出産後など授乳期間中において、乳頭の刺激で高くなり乳汁を分泌する。
4.〇 正しい。プロゲステロンは、妊娠初期にhCG〈ヒト絨毛性ゴナドトロピン〉が産生を維持するホルモンである。プロゲステロンとは、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。
(※画像引用:日本医師会様HPより)
・卵胞期:1回の月経周期が始まると脳の底の方にある下垂体というところから、卵を包んでいる卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されはじめ、卵胞は大きくなると同時に女性ホルモン(エストロゲン)を分泌する時期。
・増殖期:女性ホルモン(エストロゲン)が新しい子宮内膜を成長させていく時期。卵胞期と増殖期とはだいたい同じ時期。
・黄体期:排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期。
・分泌期:子宮内膜が成長を止めて受精卵が着床できるよう準備をする時期。