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次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(62歳、男性)。1人暮らし。1週前から感冒様症状があり様子をみていたが、呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症による間質性肺炎と診断され入院した。
既往歴:42歳で糖尿病と診断された。59歳と61歳で肺炎に罹患した。
生活歴:3年前から禁煙している(20〜59歳は20本/日)。
身体所見:BMI 17.6。体温38.8 ℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧140/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)91%。両側下肺野を中心に、吸気終末時に捻髪音あり。呼気時は問題ないが、吸気時に深く息が吸えない。ばち状指を認める。
検査所見:血液検査データは、白血球13,000/μL、Hb 10.5g/dL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン2.5g/dL、随時血糖85mg/dL、CRP13.2 mg/dL。動脈血液ガス分析で、pH7.35、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)38Torr、動脈血酸素分圧(PaO2)56Torr。胸部エックス線写真と胸部CTで、下肺野を中心に輪状影、網状影、淡い陰影あり。
91 入院時のAさんの身体状況のアセスメントで適切なのはどれか。
1.水様性の気道分泌物が貯留している。
2.呼吸性アシドーシスである。
3.栄養状態は良好である。
4.Ⅰ型呼吸不全である。
解答4
解説
・Aさん(62歳、男性、1人暮らし)
・診断名:特発性肺線維症による間質性肺炎。
・既往歴:糖尿病(42歳)、肺炎(59歳、61歳)
・生活歴:3年前から禁煙(20〜59歳は20本/日)。
・身体所見:BMI 17.6。体温38.8 ℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧140/98mmHg、SpO2:91%。
・両側下肺野:吸気終末時に捻髪音あり。呼気時は問題ないが、吸気時に深く息が吸えない。ばち状指を認める。
・検査所見:総蛋白5.2g/dL、アルブミン2.5g/dL、随時血糖85mg/dL、CRP13.2 mg/dL。
・動脈血液ガス分析:pH7.35、PaCO2:38Torr、PaO2:56Torr。
・画像所見:下肺野を中心に輪状影、網状影、淡い陰影あり。
→本症例の評価結果が、なぜそのようになっているのか?原因と根拠を持てるようにしておこう。ちなみに、間質性肺炎とは、肺の間質組織の線維化が起こる疾患の総称で、慢性的かつ進行性の特徴を持つ。病因は、喫煙、職業上の曝露、感染、免疫不全などである。症状は咳、痰、呼吸困難などで、早期には特徴的な症状がないこともある。
1.× 水様性の気道分泌物が貯留しているとはいえない。なぜなら、設問文には「吸気終末時に捻髪音あり(細かい断続性副雑音)」と聴取されているため。水様性の気道分泌物が貯留しているときに聴取される副雑音は、粗い断続性副雑音(水泡音)である。基本的に、水泡音は、ゴロゴロ音で、ストローで水に空気を吹き込むような音、気道内に溜まった分泌物が呼吸にともなう空気の移動で震えて破裂することで生じる音である。
2.× 呼吸性アシドーシスとはいえない。呼吸性アシドーシスとは、換気が低下することが原因で、CO2が体内に蓄積している状態である。本症例の動脈血液ガス分析は、pH7.35(基準値pH7.35~7.45)、PaCO2:38Torr(基準値35~45Torr)である。いずれも基準値内といえる。
3.× 栄養状態は、「良好」ではなく不良である。なぜなら、本症例のBMI:17.6(やせの基準である18.5を下回っている)であるため。また、血液検査上もアルブミン2.5g/dL(基準値3.8~5.2g/dL)であることから、栄養状態は不良であると考えられる。ちなみに、BMIとは、体重(㎏) ÷ 身長の2乗(m) で計算される体格指数のことである。日本肥満学会の基準では、18.5以下:低体重、25以下:普通、30以下:肥満Ⅰ度、35以下:肥満Ⅱ度、40以下:肥満Ⅲ度、40以上:肥満Ⅳ度である。
4.〇 正しい。Ⅰ型呼吸不全である。呼吸不全とは、PaO2が60Torr以下で、そのうちPaCO2が正常範囲(45Torr以下)のものをⅠ型呼吸不全、45Torrを超えるものをⅡ型呼吸不全と分類する。本症例は、動脈血液ガス分析でPaCO2は、56Torrと呼吸不全を示し、PaCO2は38Torrと正常範囲であるため、Ⅰ型呼吸不全である。
【呼吸不全の定義】PaO2≦60Torrである。
ここから、Ⅰ型呼吸不全かⅡ型呼吸不全か決定する。
【Ⅰ型呼吸不全の場合】PaCO2≦45Torr
【Ⅱ型呼吸不全の場合】PaCO2>45Torr
【酸塩基平衡】
血液(体液)のpH:7.40 ± 0.05
→pH7.30:酸性に傾いている状態
→pH7.50:アルカリ性に傾いている状態
アシドーシス(酸性):pHが低下している状態。
アルカローシス(アルカリ性):pHが上昇している状態。
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(62歳、男性)。1人暮らし。1週前から感冒様症状があり様子をみていたが、呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症による間質性肺炎と診断され入院した。
既往歴:42歳で糖尿病と診断された。59歳と61歳で肺炎に罹患した。
生活歴:3年前から禁煙している(20〜59歳は20本/日)。
身体所見:BMI 17.6。体温38.8 ℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧140/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)91 %。両側下肺野を中心に、吸気終末時に捻髪音あり。呼気時は問題ないが、吸気時に深く息が吸えない。ばち状指を認める。
検査所見:血液検査データは、白血球13,000/μL、Hb 10.5g/dL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン2.5g/dL、随時血糖85mg/dL、CRP13.2 mg/dL。動脈血液ガス分析で、pH7.35、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)38Torr、動脈血酸素分圧(PaO2)56Torr。胸部エックス線写真と胸部CTで、下肺野を中心に輪状影、網状影、淡い陰影あり。
92 Aさんは入院後に呼吸機能検査を受けることになった。換気障害の分類を図に示す。
Aさんの呼吸機能検査の結果で考えられるのはどれか。
1.A
2.B
3.C
4.D
解答1
解説
(※図引用:yakugaku lab様HP)
混合性換気障害:肺気腫など
拘束性換気障害:肺結核、肺線維症など
閉塞性換気障害:気管支喘息、気管支拡張症など
Aさんは特発性肺線維症による間質性肺炎であり、拘束性換気障害である。拘束性換気障害では1秒率が70%以上であるが、%肺活量が80%未満となる。つまり選択肢1.Aが正しい。
特発性肺線維症は、肺胞の損傷により間質が分厚く硬くなる病態である。原因不明とされているが、危険因子として喫煙が挙げられる。50歳以上の男性での発症頻度が高い。特発性間質性肺炎のうち最も頻度が高く、緩徐に進行する予後不良の疾患である。繰り返す肺胞上皮の損傷とそれに伴う修復の異常により、間質の線維化、肺胞構造の再構築が起こる。乾性咳嗽と徐々に増悪する労作性呼吸困難が主症状である。また、ばち指がみられることもある。肺癌や気胸の合併がみられる。特徴的な所見の確認に加え、詳細な病歴聴取や診察、各種検査による他疾患の除外が重要である。
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(62歳、男性)。1人暮らし。1週前から感冒様症状があり様子をみていたが、呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症による間質性肺炎と診断され入院した。
既往歴:42歳で糖尿病と診断された。59歳と61歳で肺炎に罹患した。
生活歴:3年前から禁煙している(20〜59歳は20本/日)。
身体所見:BMI 17.6。体温38.8 ℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧140/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)91 %。両側下肺野を中心に、吸気終末時に捻髪音あり。呼気時は問題ないが、吸気時に深く息が吸えない。ばち状指を認める。
検査所見:血液検査データは、白血球13,000/μL、Hb 10.5g/dL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン2.5g/dL、随時血糖85mg/dL、CRP13.2 mg/dL。動脈血液ガス分析で、pH7.35、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)38Torr、動脈血酸素分圧(PaO2)56Torr。胸部エックス線写真と胸部CTで、下肺野を中心に輪状影、網状影、淡い陰影あり。
93 入院後18日。Aさんは2日後に自宅へ退院することとなった。A さんは「病院に来る前は、息苦しくて死ぬかと思った。あのような思いはもうしたくない。家に帰ってまた息苦しくならないか不安だ」と言う。
Aさんが症状を自己管理できるように指導する内容で適切なのはどれか。
1.習慣的に腹式呼吸をする。
2.入浴時は肩まで湯に浸かる。
3.動作時は前傾姿勢を保持する。
4.息苦しくなったら仰臥位を保持する。
解答1
解説
・入院後18日。
・2日後に自宅へ退院予定。
・「病院に来る前は、息苦しくて死ぬかと思った。あのような思いはもうしたくない。家に帰ってまた息苦しくならないか不安だ」と。
→本症例は、退院にあたり不安を抱いている。血中酸素飽和度が低下しやすい日常生活動作を行わないように指導することが望ましい。
【血中酸素飽和度が低下しやすい日常生活動作】
①排便(息を止めるため、呼吸のコントロールを行う)
②肩まで湯船につかる(胸部が圧迫されるため、動作環境や方法を工夫する)
③洗髪、上衣更衣、洗体など(上肢を使うため、上肢挙上は片腕のみで、呼吸のコントロールを行う。)
④ズボンや靴下を履く(体を前屈して行うため、動作のスピードや方法を調整する。)
※入浴の生活指導:息切れがある場合は全身入浴を控え、半身浴やシャンプーハットを使用したシャワーなどで対応する。入浴中は酸素吸入を行わない場合が多いため、入浴時間は短めにする。
(図引用:「息切れを増強させる4つの動作のイラスト(慢性呼吸器疾患)」看護roo!看護師イラスト集)
1.〇 正しい。習慣的に腹式呼吸をする。なぜなら、腹式呼吸は、胸式呼吸に比べて1回換気量が増加するので、呼吸困難を軽減するため。ちなみに、胸式呼吸とは、肋間筋の働きで胸郭を広げることによって行う呼吸運動である。口すぼめ呼吸や排痰の訓練なども大切である。口すぼめ呼吸とは、呼気時に口をすぼめて抵抗を与えることにより気道内圧を高め、これにより末梢気管支の閉塞を防いで肺胞中の空気を出しやすくする方法である。鼻から息を吸い、呼気は吸気時の2倍以上の時間をかけて口をすぼめてゆっくりと息を吐く。呼吸困難を軽減できる。
2.× 入浴時は肩まで湯に浸かる必要はない。なぜなら、入浴時に肩まで湯に浸かると、心臓や肺に水圧がかかり、呼吸困難感の悪化につながるため。入浴の生活指導として、息切れがある場合は全身入浴を控え、半身浴やシャンプーハットを使用したシャワーなどで対応する。また、入浴中は酸素吸入を行わない場合が多いため、入浴時間は短めにする。
3.× 動作時は前傾姿勢を保持する必要はない。なぜなら、前傾姿勢になると腹部・胸部を圧迫し、呼吸困難感の悪化につながるため。したがって、前傾姿勢になりやすいズボンや靴下を履く際は、動作のスピードをゆっくりにするよう指導する。
4.× 息苦しくなったら、「仰臥位」ではなく、セミファウラー位(上半身を20~30度程度上げた半座位)を保持する。なぜなら、セミファウラー位にすることで横隔膜が下がり、肺が拡張しやすくなるため、呼吸困難を緩和できるため。
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(52歳、女性)。自宅で突然激しい頭痛と悪心が出現し、自力で救急車を要請し、搬送された。ジャパン・コーマ・スケール(JCS)Ⅰ-2で頭痛を訴えており、発汗著明であった。瞳孔径は両側3.0 mm。上下肢の麻痺はない。Aさんは頭部CTでくも膜下出血と診断され、ICUに入室した。入室時のバイタルサインは、体温36.8 ℃、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧156/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)95%であった。
94 ICU入室から24時間以内に注意すべきAさんの症状や徴候はどれか。
1.Kussmaul(クスマウル)呼吸
2.膝蓋腱反射の低下
3.企図振戦
4.瞳孔散大
解答4
解説
・Aさん(52歳、女性、くも膜下出血)
・突然激しい頭痛と悪心が出現。
・JCS:Ⅰ-2、頭痛・発汗あり。
・瞳孔径:両側3.0 mm。
・上下肢の麻痺:ない。
・体温36.8 ℃、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧156/98mmHg、SpO2:95%。
→くも膜下出血とは、くも膜と呼ばれる脳表面の膜と脳の空間(くも膜下腔と呼ばれ、脳脊髄液が存在している)に存在する血管が切れて起こる出血である。くも膜下出血ではくも膜下腔に血液が流入し、CTでは高吸収域として抽出される。合併症には、①再出血、②脳血管攣縮、③正常圧水頭症などがある。①再出血:発症後24時間以内が多く、死亡率も高い。②脳血管攣縮:72時間後〜2週間後(ピークは8〜10日)が多く、脳血管攣縮による梗塞の好発部位は、「前交通動脈」である。③正常圧水頭症:数週〜数ヶ月後に認知症状、尿失禁、歩行障害などの症状が出現する。
1.× Kussmaul(クスマウル)呼吸の原因疾患は、①糖尿病性ケトアシドーシス、②尿毒症、③重症下痢(特に小児)などに起こる。規則正しく、深く大きな呼吸である。ちなみに、頭蓋内圧亢進時の異常呼吸は、チェーン・ストークス呼吸である。Cheyne-Stokes呼吸(チェーンストークス呼吸)の原因疾患は、①呼吸中枢の障害(脳卒中など)、②重症心不全、③高齢者(睡眠時)、④Pickwick症候群など起こる。呼吸と無呼吸を周期的に繰り返す呼吸である。
2.× 膝蓋腱反射は、「低下」ではなく亢進する。なぜなら、腱反射亢進は、上位運動ニューロン障害で起こるため。深部腱反射は、骨格筋につながる腱をハンマーなどでたたいた時、筋が不随意に収縮する反射である。筋紡錘が腱の伸びを筋の伸びとして感知したことにより、筋の収縮(緊張)を生み出すことが原因である。単収縮は単一の刺激によって引き起こされる筋収縮である。
3.× 企図振戦は、小脳障害でみられる所見である。企図振戦とは、安静時にはほとんど生じないが、運動時、特に運動終了直前に生じる律動的な運動疾患である。
4.〇 正しい。瞳孔散大は、ICU入室から24時間以内に注意すべきAさんの症状である。くも膜下出血後24時間以内は、特に再出血が起こりやすい。くも膜下出血の前兆の症状として、一側の瞳孔散大や眼瞼下垂があげられる。
(※図引用:「異常呼吸」日本臨床検査医学会様HPより)
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(52歳、女性)。自宅で突然激しい頭痛と悪心が出現し、自力で救急車を要請し、搬送された。ジャパン・コーマ・スケール(JCS)Ⅰ-2で頭痛を訴えており、発汗著明であった。瞳孔径は両側3.0 mm。上下肢の麻痺はない。Aさんは頭部CTでくも膜下出血と診断され、ICUに入室した。入室時のバイタルサインは、体温36.8 ℃、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧156/98 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)95%であった。
95 Aさんは脳血管造影で右中大脳動脈に動脈瘤が確認され、脳血管内治療(コイル塞栓術)が実施された。その後、Aさんは意識清明で問題なく経過していたが、手術後6日から刺激に対する反応が鈍くなり、閉眼していることが多くなった。意識レベルはジャパン・コーマ・スケール(JCS)Ⅱ- 10。左上肢はBarré(バレー)徴候陽性を示した。
Aさんに生じていることとして最も考えられるのはどれか。
1.けいれん発作
2.脳血管攣縮
3.せん妄
4.再出血
5.水頭症
解答2
解説
・脳血管造影:右中大脳動脈に動脈瘤あり。
・脳血管内治療(コイル塞栓術)が実施。
・意識清明で経過。
・手術後6日:刺激に対する反応が鈍くなり、閉眼するように。
・意識レベル:JCSⅡ- 10。
・左上肢:バレー徴候陽性を示した。
→本症例は、手術後6日が経過している。また、意識レベルの悪化やバレー徴候陽性が見られていることから、当てはまるものを選択する。合併症には、①再出血、②脳血管攣縮、③正常圧水頭症などがある。①再出血:発症後24時間以内が多く、死亡率も高い。②脳血管攣縮:72時間後〜2週間後(ピークは8〜10日)が多く、脳血管攣縮による梗塞の好発部位は、「前交通動脈」である。③正常圧水頭症:数週〜数ヶ月後に認知症状、尿失禁、歩行障害などの症状が出現する。
1.× けいれん発作より当てはまるものが他にある。なぜなら、本症例の意識レベルの低下、バレー徴候陽性がけいれん発作の症状と合致しないため。ちなみに、けいれん発作とは、意識レベルの変化や、知覚異常、不随意運動、全身けいれんなどが起こることである。全身性けいれん発作とは、意識をなくし、手足をつっぱらせた後、ガクガクさせる全身けいれん発作である。口から泡をふき、眼は白目をむくが、つっぱり(強直)・ガクガク(間代)は通常、数分でおさまる。一時的に呼吸が止まり、顔色が悪くなることもあるが、けいれんがおさまれば回復する。対応として、衣服をゆるめて、気道を確保する。また、吐物による窒息を避けるために横向きに寝かせることも重要である。一方、口にタオルをかませたり、箸を入れたりすると、窒息してしまったり口の中を傷つける恐れがあるため絶対しない。
2.〇 正しい。脳血管攣縮が最も考えられる。なぜなら、脳血管攣縮は、くも膜下出血発症後、72時間後〜2週間後(ピークは8〜10日)が多く発症するため。脳血管攣縮による梗塞の好発部位は、「前交通動脈」である。脳血管攣縮とは、脳の血管が何らかの刺激により異常に収縮し、それにより脳への血流が低下し、脳に悪い影響を及ぼすという一連の事象のことである。本症例は、手術後6日に意識レベルが低下し、左上肢のバレー徴候陽性(麻痺)を示している。このことから、右大脳半球の脳血管攣縮による脳梗塞が起こっていると考えられる。
3.× せん妄とは、疾患や全身疾患・外因性物質などによって出現する軽度~中等度の意識障害であり、睡眠障害や興奮・幻覚などが加わった状態をいう。高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多い。せん妄は、上肢麻痺(バレー徴候陽性)は生じない。
4.× 再出血は考えにくい。なぜなら、再出血はくも膜下出血後、24時間以内に生じやすいため。死亡率も高い。
5.× 水頭症は考えにくい。なぜなら、水頭症はくも膜下出血後、数週間~数か月後に生じるため。正常圧水頭症は、上肢麻痺(バレー徴候陽性)は生じない。ちなみに、(正常圧)水頭症とは、脳脊髄液(髄液)の循環障害によって拡大した脳室が、頭蓋骨内面に大脳半球を押しつけることにより、数々の脳の障害を引き起こす一連の病態である。①認知症、②尿失禁、③歩行障害の三徴がみられる。脳外科的な手術であるシャント術で改善する。水頭症の脳MRIの特徴として、①シルビウス裂の拡大、②側脳室の拡大がみられる。
せん妄とは、疾患や全身疾患・外因性物質などによって出現する軽度~中等度の意識障害であり、睡眠障害や興奮・幻覚などが加わった状態をいう。高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多い。
【原因】脳疾患、心疾患、脱水、感染症、手術などに伴って起こることが多い。他にも、心理的因子、薬物、環境にも起因する。
【症状】
①意識がぼんやりする。
②その場にそぐわない行動をする。
③夜間に起こることが多い。 (夜間せん妄)
④通常は数日から1週間でよくなる。
【主な予防方法】
①術前の十分な説明や家族との面会などで手術の不安を取り除く。
②昼間の働きかけを多くし、睡眠・覚醒リズムの調整をする。
③術後早期からの離床を促し、リハビリテーションを行う。