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71 診療情報について適切なのはどれか。
1.診療情報の開示請求は患者本人に限られる。
2.2類感染症の罹患情報は市区町村長に届け出る。
3.医療者は患者が「知りたくない」と拒否した場合でも病状を説明する。
4.他院へのセカンドオピニオンを希望する患者に診療情報提供書を作成する。
解答4
解説
診療録、カルテとは、医療に関してその診療経過等を記録したものである。 診療録には手術記録・検査記録・看護記録等を含め診療に関する記録の総称をいう。
1.× 診療情報の開示請求は、「患者本人だけ」ではなく、患者本人の同意があれば、第三者(親族、遺族など)に対して提供が可能である。
2.× 2類感染症の罹患情報は、「市区町村長」ではなく保険所長を経由し都道府県知事に届け出る。2類感染症とは、6疾患:急性灰白髄炎(ポリオ)・結核 ・ジフテリア ・重症急性呼吸器症候群(SARS)・特定鳥インフルエンザ(H5N1, H7N9) ・中東呼吸器症候群(MERS)あげられ、対応として、状況に応じて入院・消毒等の対物措置を行う必要がある。患者の同意がなくても、診断した医師が直ちに保健所などに報告することが必要である。
3.× 医療者は患者が「知りたくない」と拒否した場合、病状を説明する「義務はない」。医療従事者は、患者が「知る権利」を尊重する一方で、「知らないでいたい希望」を表明した場合には、これを尊重しなければならない。これは、「診療情報の提供等に関する指針」にも明記されている。
4.〇 正しい。他院へのセカンドオピニオンを希望する患者に診療情報提供書を作成する。セカンドオピニオンとは、診断や治療法について、患者自身が納得のいく治療法を選択するために、主治医とは別の医師など当事者以外の専門的な知識を持った第三者に意見を求めることができる「患者の権利」である。「診療情報の提供等に関する指針」において、「7診療記録の開示(1)診療記録の開示に関する原則〇医療従事者等は、患者等が患者の診療記録の開示を求めた場合には、原則としてこれに応じなければならない。〇診療記録の開示の際、患者等が補足的な説明を求めたときは、医療従事者等は、できる限り速やかにこれに応じなければならない。」と記載されている(※引用:「診療情報の提供等に関する指針」厚生労働省HPより)。
1~3類感染症:診断後ただちに届け出を行う。
4類感染症:原則、診断後7日以内に届け出を行う。
5類感染症(全数把握):原則、診断後7日以内に届け出を行う。
5類感染症(定点把握):次の月曜日まで、または翌月初日まで。
72 サイコロジカルファーストエイド〈Psychological First Aid:PFA〉について正しいのはどれか。
1.活動の原則は、見る、聞く、つなぐである。
2.災害発生から1週間経過してから活動する。
3.被災都道府県からの派遣要請に基づき活動する。
4.苦痛の原因となった出来事を詳細に話すことを促す。
解答1
解説
Sphere(2011)やIASC(2007)によれば、サイコロジカル・ファーストエイドとは、苦しんでいる人、助けが必要かもしれない人に、同じ人間として行う、人道的、支持的な対応のことである。
・実際に役立つケアや支援を提供する、ただし押し付けない。
・ニーズや心配事を確認する。
・生きていく上での基本的ニーズ(食料、水、情報など)を満たす手助けをする。
・話を聞く、ただし話すことを無理強いしない。
・安心させ、心を落ち着けるように手助けする。
・その人が情報やサービス、社会的支援を得るための手助けをする。
・それ以上の危害を受けないように守る。
(※引用:「心理的応急処置サイコロジカルファーストエイド」厚生労働省様HPより)
(※引用:「心理的応急処置サイコロジカルファーストエイド」厚生労働省様HPより)
1.〇 正しい。活動の原則は、見る、聞く、つなぐである。これらの活動の原則は、災害状況の理解と安全な現地への入り方、人びとに寄り添いニーズを把握する方法、人びとの実際に役立つ支援や情報へのつなぎ方の指針となる。
2.× 災害発生から「1週間経過して」ではなく、直後から活動する。多くの場合、災害直後の被災者が直面しているのは避難、安否確認、傷病などの現実的な課題である。そのなかで生じるストレスや混乱、それに対する反応をよく理解し、取り残された人びとに気を配り、外部の支援者が引き上げた後も現地の支援が継続されるように配慮していくことは大変重要である。そこで重視されているのは現実的な状況を踏まえた連携で、サイコロジカルファーストエイドとなる。その目的は、災害に巻き込まれた人びとを心理的に保護し、これ以上の心理的被害を防ぎ、さまざまな援助のためのコミュニケーションを促進することにつながる。
3.× 被災都道府県からの派遣要請に基づき活動するのは、災害派遣精神医療チーム(DPAT)である。サイコロジカルファーストエイドは、苦しんでいる人、助けが必要かもしれない人に、同じ人間として行う、人道的、支持的な対応のことである。つまり、災害時の支援者が身に着けておくべき心構えと対応(知識)ともいえる。
4.× 苦痛の原因となった出来事を詳細に話すことを促す必要はない。なぜなら、フラッシュバックや心理的負担となるため。活動の原則のひとつに、「聞く」があるが、話を聞くことは大事であるが、話すことを無理強いしないよう心構えしておく。
災害時には、災害ストレスの対応に特化した、専門的な研修・訓練を受けた災害派遣精神医療チーム(DPAT:Disaster Psychiatric Assistance Team)が組織される。DPATは、主に精神科医師・看護師・業務調査員などで構成される。先遣隊を構成する医師は、精神保健指定医でなければならない。先遣隊以外の班を構成する医師は、精神保健指定医であることが望ましい。構成員については、現地のニーズに合わせて、児童精神科医・薬剤師・保健師・精神保健福祉士や臨床心理技術者などを含めて適宜構成される。
DPAT活動3原則として、以下のSSS(スリーエス)が挙げられる。①Self-sufficiency:自己完結型の活動、②Share:積極的な情報共有、③Support:名脇役であれ、である。
73 尿量の調節に深く関わるホルモンはどれか。
1.ガストリン
2.カルシトニン
3.グルカゴン
4.ソマトスタチン
5.バソプレシン
解答5
解説
1.× ガストリンとは、胃幽門前庭部と十二指腸上部のG細胞から分泌され、胃酸・ペプシノーゲンの分泌促進や胃運動促進の作用がある。一方、セクレチンは、十二指腸のS細胞から分泌される。胃酸分泌抑制や炭酸水素イオン分泌促進、膵液の分泌促進の作用がある。
2.× カルシトニンとは、甲状腺から分泌され、骨吸収を抑制する働きを持つ。つまり、血中カルシウム濃度を低下させる働きをもつ。
3.× グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。
4.× ソマトスタチン
5.〇 正しい。バソプレシンは、尿量の調節に深く関わるホルモンである。バソプレシンとは、下垂体後葉から分泌され、水の再吸収を促進する抗利尿作用・血圧上昇が起きる。尿を濃くし尿量を減らす作用がある。
膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。
②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。
③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるγ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。
74 止血後の線維素溶解(線溶)に関係するのはどれか。
1.カルシウムイオン
2.フィブリノゲン
3.プラスミノゲン
4.プロトロンビン
5.セロトニン
解答3
解説
線維素溶解とは、血管から出血した際に一次止血→二次止血が終わり、血管の流れが元通りになると、血栓は血液が流れるのにジャマになるため、血栓を除去する作用が始まる。この現象を線維素溶解、略して「線溶」と呼ぶ。血栓ができると、血漿中に存在するプラスミノーゲンがプラスミノゲンアクチベーターにより活性化され、プラスミンという強力なたんぱく質分解酵素(線溶物質)になり、フィブリンを分解する。
1.× カルシウムイオンは、血液凝固因子(Ⅳ)のひとつである。カルシウムイオンは、生体内の主要な陽イオンの1つで、血液の細胞外液中におけるその濃度は約1%である。骨石灰化や、心臓および骨格筋系の収縮、神経筋伝達、ホルモン分泌や血液凝固における一連の反応に寄与する。
2.× フィブリノゲンは、血液凝固因子(Ⅰ)のひとつである。フィブリノゲンとは、血漿タンパクの一つであり、凝固因子の活性化によってフィブリンとなり、血液を凝固させる働きを持つ。増加した場合、血漿の粘稠度が上昇し血栓形成傾向を示す。 一方、低値の場合、播種性血管内凝固症候群(DIC)と肝機能障害が疑われる。
3.〇 正しい。プラスミノゲンは、止血後の線維素溶解(線溶)に関係する。プラスミノゲンとは、血栓など血液の凝固したものを溶解するプロテアーゼであるプラスミンの前駆体タンパク質である。
4.× プロトロンビンは、血液凝固因子(Ⅱ)のひとつである。プロトロンビン時間とは、血液の凝固因子に関する指標の一つ。外因系及び共通系の凝固異常を判定する検査指標として用いられる。基準値は9.5〜12.0秒とされており、これを大きく超える場合には凝固因子の先天的な欠乏症や異常症、ビタミンKの不足や吸収障害、肝硬変をはじめとする肝障害などが疑われる。
5.× セロトニンとは、うつ病と関連が深い神経伝達物質である。脳内だけに分泌される神経伝達物質で、交感神経を刺激し、血圧を上昇させる作用がある。ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある伝達物質でもある。
血液凝固因子は、第Ⅰ~XIII因子という因子名がつけられているほかに慣用名がある。第Ⅰ因子はフィブリノゲン、第Ⅱ因子はプロトロンビンと呼ばれ、凝固系の反応によってそれぞれフィブリン、トロンビンに変化する。
75 体内で代謝された結果、胆汁酸として胆汁中に分泌されるのはどれか。
1.DNA
2.RNA
3.グリコーゲン
4.ヘモグロビン
5.コレステロール
解答5
解説
核酸とは、RNA(リボ核酸)とDNA(デオキシリボ核酸)の総称で、ヌクレオチド(塩基+糖+リン酸)により構成されている。動物や植物の細胞核の中に存在し、ヒトの遺伝情報に関係するはたらきがある。
1.× DNAとは、デオキシリボ核酸の略で、生物生存のための遺伝情報を担うとともにたんぱく質の合成を指令している物質である。
2.× RNAとは、リボ核酸の略で、DNA(デオキシリボ核酸)とともに遺伝物質であり、細胞の設計図であるDNAの指示のもと、タンパク質を合成する働きをする。
3.× グリコーゲンとは、多糖類の一種で、エネルギーを貯蔵し人間の活動に欠かせないものである。普段は、肝臓や骨格筋等に蓄えられており、急激な運動を行う際のエネルギー源として、あるいは空腹時の血糖維持に利用される。
4.× ヘモグロビンとは、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。ヘモグロビンの値が、男性は13g/dl以下、女性は11g/dl以下になると、「貧血」と診断される。
5.〇 正しい。コレステロールは、体内で代謝された結果、胆汁酸として胆汁中に分泌される。胆汁とは、肝臓で合成されるアルカリ性の物質で、胆嚢で濃縮されたうえ、貯蔵される。胆汁中には消化酵素は存在しない。しかし、胆汁中に含まれる胆汁酸は乳化作用とミセル形成作用を有するため、脂肪の消化吸収に重要な役割を果たす。胆汁はビリルビン、胆汁酸、コレステロール、リン脂質からなり、消化酵素は含まれない。胆汁は消化酵素の働きを助ける作用がある。胆汁酸とは、脂肪を乳化し、消化・吸収させやすい形に変化させ、脂肪を分解吸収しやすくする物質である。 さらに水に溶けない脂溶性ビタミンの吸収を助ける。排出された胆汁の大部分は小腸から吸収されて、他の吸収された栄養分と一緒に血管を通って肝臓に戻り、再利用される。 これを腸肝循環という。
総コレステロールとは、 LDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)などの総称で、脂質の一種でコレステロール骨格をもつ化合物である。脂質異常症において上昇し、動脈硬化の危険因子となる。特に、LDLコレステロールが心血管疾患リスクとの相関度が高い。