この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
56 下腿の開放骨折のため手術を受けたA君(8歳、男児)に、術後の疼痛管理のため患者自己調節鎮痛法〈Patient Controlled Analgesia:PCA〉を用いた持続的な静脈内注射を行うことになった。A君は「痛くなるのが怖い」と話している。看護師はA君に鎮痛薬の追加について説明することにした。
A君への説明で適切なのはどれか。
1.「時間を決めて操作ボタンを押そうね」
2.「痛くなり始めたら操作ボタンを押そうね」
3.「痛くなったら何回でも操作ボタンを押してお薬を追加できるよ」
4.「痛みがどうしても我慢できなくなったら操作ボタンを押そうね」
解答2
解説
・A君(8歳、男児、下腿の開放骨折のため手術)
・術後の疼痛管理のため患者自己調節鎮痛法を用いた持続的な静脈内注射を行う。
・A君「痛くなるのが怖い」と。
・看護師はA君に鎮痛薬の追加について説明することにした。
→患者自己調節鎮痛法とは、痛みが強いとき患者自身がボタンを押して鎮痛剤を投与する方法である。患者自身が設置されたボタンを押すことで、痛みに応じて鎮痛剤の量をコントロールすることができる。
1.× 「時間を決めて操作ボタンを押そうね」という説明は必要ない。患者自己調節鎮痛法とは、痛みが強いとき患者さん自身がボタンを押して鎮痛剤を投与する方法である。
2.〇 正しい。「痛くなり始めたら操作ボタンを押そうね」と説明する。患者自身が設置されたボタンを押すことで、痛みに応じて鎮痛剤の量をコントロールすることができる。
3.× 「痛くなったら何回でも操作ボタンを押してお薬を追加できるよ」という説明は意味がない。なぜなら、一定時間が経つまではボタンを何回押しても鎮痛剤が投与されない安全設定があるため。
4.× 「痛みがどうしても我慢できなくなったら操作ボタンを押そうね」という説明は必要ない。なぜなら、A君「痛くなるのが怖い」と訴えがあり、そのために患者自己調節鎮痛法を導入したため。患者自己調節鎮痛法は、患者さん個々人に合わせて鎮痛薬を調節することが可能である点や、医療者を呼ばずにご自身で鎮痛薬を即座に投与することができるという利点がある。
57 正常に経過している妊娠26週の妊婦が、次に妊婦健康診査を受診する時期として推奨されるのはどれか。
1.4週後
2.3週後
3.2週後
4.1週後
解答3
解説
妊婦健康診査とは、妊婦さんや赤ちゃんの健康状態を定期的に確認するために行うものである。 そして、医師や助産師などに、妊娠・出産・育児に関する相談をして、妊娠期間中を安心して過ごしていただくことが大切である。病気の有無を調べることだけが妊婦健診ではない。妊娠期間中を心身ともに健康に過ごし、無事に出産を迎えるためには、日常生活や環境、栄養など、いろいろなことに気を配る必要がある。より健やかに過ごすために、妊娠検診を活用する必要がある。検診費用には、公費による補助制度がある。日本では、「母子保健法」により、14回程度の健康診査の回数が勧められており、健康診査の間隔や実施する検査内容について、国が基準を示している。
【妊婦健康診査の望ましい基準】
①妊娠23週まで:4週間に1回
②24週~35週:2週間に1回
③36週~出産まで:1週間に1回
1.× 4週後は、妊娠23週までの妊婦が妊婦健康診査を受診する時期として推奨される。
2.× 3週後は、妊婦健康診査を受診する時期としての推奨はない。
3.〇 正しい。2週後が次に妊婦健康診査を受診する時期として推奨される。24週~35週までの妊婦が妊婦健康診査を受診する時期として推奨される。
4.× 1週後は、36週~出産までの妊婦が妊婦健康診査を受診する時期として推奨される。
58 親性について適切なのはどれか。
1.子を育もうとする性質である。
2.誰でも子を持つ時点で備えている。
3.性別に基づく役割分業で育児を行うことをいう。
4.生物学的に結びつきがあることが親性をもつ条件となる。
解答1
解説
親性とは、「母性と父性とを統合した性質で、親が自分の子どもを養い育てようとする性質」と定義されている。 従来、親の性質を表す用語として「母性」や「父性」が用いられてきたが、ジェンダーフリーの概念として「親性」という用語が広がりつつある。育児性や養護性ともいわれる。
1.〇 正しい。子を育もうとする性質である。親性の定義である。
2.× 必ずしも、「誰でも」子を持つ時点で備えていると断言することはできない。なぜなら、あくまでも性質(資質や気質)であるため。
3.× 性別に基づく役割分業で育児を行うこと「ではない」。なぜなら、性別関係なくジェンダーフリーの概念から生まれた言葉であるため。
4.× 生物学的に結びつきがあることが親性をもつ条件「とはならない」。なぜなら、あくまでも性質(資質や気質)であるため。里親制度で迎え入れた子供に対し、親性は生まれる。
59 閉経に伴うエストロゲンの低下で生じるのはどれか。
1.骨量の増加
2.腟粘膜の萎縮
3.脳血流量の増加
4.血中LDLコレステロールの減少
解答2
解説
エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
1.× 骨量は、「増加」ではなく低下する。なぜなら、エストロゲンは、破骨細胞と骨芽細胞の両方に関与しているため。エストロゲンにより抑制されていた骨吸収が増加し、骨粗鬆症も起こりやすくなる。
2.〇 正しい。腟粘膜の萎縮は、閉経に伴うエストロゲンの低下で生じる。また、膣粘膜の非薄化や膣分泌液の減少が生じる。したがって、女性の性交痛が起こりやすくなる。
3.× 脳血流量は、「増加」ではなく低下する。したがって、神経細胞の死滅が進み、脳機能が低下し、アルツハイマー病発症の可能性が高まるという報告もある。
4.× 血中LDLコレステロールは、「減少」ではなく増加する。なぜなら、エストロゲンには、血中LDLコレステロールを低下(異化・排泄を促す効果)させ、血中LDLコレステロール増加させる効果がある。ちなみに、LDLコレステロールとは、悪玉コレステロールとも呼び、全身の末梢血管にコレステロールを運ぶ作用を持つ。肝臓で主に代謝され、140mg/dL以上あると脂質異常症と診断される。
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
類似問題です↓
60 順調に分娩が進行している妊娠40週0日の初産婦から「腟から水っぽいものが流れ、下着が濡れた」とナースコールがあった。看護師が流出したものを確認すると、量は少量で、羊水特有の臭いを認めた。
このときの産婦への対応で優先度が高いのはどれか。
1.バイタルサインを測定する。
2.胎児心拍数を確認する。
3.食事摂取を勧める。
4.更衣を促す。
解答2
解説
・初産婦(妊娠40週0日):順調に分娩進行
・「腟から水っぽいものが流れ、下着が濡れた」と。
・量は少量、羊水特有の臭い。
→本症例は、破水が疑われる。破水とは、卵膜が破れて羊水が子宮外に流出することである。破水は、臍帯脱出や上行感染、胎児機能不全などの原因となり得る。【破水の種類】①前期破水とは、分娩が始まる前の破水のこと、②早期破水とは、分娩開始以降で子宮口全開大前の破水のこと、③適時破水:子宮口全開大に達する頃の破水のことをいう。
1.× バイタルサインを測定するより優先度が高いものが他にある。なぜなら、破水後は胎児に起こる異常のほうが多いため。
2.〇 正しい。胎児心拍数を確認する。なぜなら、胎児心拍数は、胎児の元気度と分娩の経過を評価できるため。破水は、臍帯脱出や上行感染、胎児機能不全などの原因となり得る。
3.× 食事摂取を勧める必要はない。なぜなら、食事に関する記載はないため。むしろ食事摂取により体調不良を助長する恐れがある。
4.× 更衣を促すより優先度が高いものが他にある。なぜなら、更衣をした後も、すぐ汚れてしまう可能性が高いため。頻繁な更衣動作は、疲労感を助長する。ただし、破水は、上行感染の原因となり得るため、あまりにも長時間、汚れたままの放置は控えるべきである。
【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。
・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。
・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。
・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。