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41 介護老人保健施設について適切なのはどれか。
1.常勤医師の配置は義務ではない。
2.老人福祉法に基づき設置される。
3.要介護者に対して自宅での生活に向けた支援を行う。
4.従事者の配置基準は看護職員と介護職員が同数である。
解答3
解説
介護老人保健施設とは、要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護・医学的管理のもと、介護および機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設である。
1.× 常勤医師の配置は、「義務である」。介護保険法の第97条において、「介護老人保健施設は、厚生労働省令で定めるところにより療養室、診察室及び機能訓練室を有するほか、都道府県の条例で定める施設を有しなければならない。2 介護老人保健施設は、厚生労働省令で定める員数の医師及び看護師のほか、都道府県の条例で定める員数の介護支援専門員及び介護その他の業務に従事する従業者を有しなければならない。」と規定されている(※引用:「介護保険法」厚生労働省様HPより)。
2.× 「老人福祉法」ではなく介護保険法に基づき設置される。老人福祉法とは、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もって老人の福祉を図ることを目的として制定された法律である。
3.〇 正しい。要介護者に対して自宅での生活に向けた支援を行う。介護保険法とは、1997年12月に公布された法律で、40歳以上で介護が必要になった人の自立生活を支援するために、国民が負担する保険料や税金を財源として、日常生活の行為にかかるさまざまな介助やリハビリなどのサービスにかかる給付を行うことを目的にしている。加齢に伴って生じる心身の変化による疾病等により介護を要する状態となった者を対象として、その人々が有する能力に応じ、尊厳を保持したその人らしい自立した日常生活を営むことができることを目指している。
4.× 従事者の配置基準は看護職員と介護職員が、「同数でなくてよい」。厚生労働省によると、介護老人保健施設における看護職員の配置基準は、入居者3人に対して1人の看護師または介護職員を配置する必要がある。看護師は、看護師と介護職員の総数の7分の2程度と規定されている。
42 術後の創傷治癒が遅延する因子となる検査値はどれか。
1.アルブミン2.2g/dL
2.推算糸球体濾過量〈eGFR〉62mL/分/1.73m2
3.動脈血酸素分圧〈PaO2〉88Torr(room air)
4.ヘモグロビンA1c〈HbA1c〉5.5%
解答1
解説
1.〇 正しい。アルブミン2.2g/dLは、術後の創傷治癒が遅延する因子となる検査値である。アルブミンの基準範囲(正常値)は4.0以上とされ、これ以下の数値が出た場合、特に3.5以下の場合は何らかの病気や栄養障害が疑われる。
2.× 推算糸球体濾過量〈eGFR〉62mL/分/1.73m2は、術後の創傷治癒が遅延する因子となる検査値とはいえない。推算糸球体濾過量〈eGFR〉は、腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示しており、この値が低いほど腎臓の働きが悪いということになる。推算糸球体濾過量〈eGFR〉は、①正常(G1:90以上)、②軽度低下(G2:60〜89)、③中等度低下(G3a:45〜59、G3b:30〜44)、④高度低下(G4:15〜29)、⑤末期腎不全(G5:15以下)に分類される。
3.× 動脈血酸素分圧〈PaO2〉88Torrは、術後の創傷治癒が遅延する因子となる検査値とはいえない。なぜなら、正常範囲内であるため。動脈血酸素分圧〈PaO2〉は、肺における血液酸素化能力の指標である。基準値は、若年健康者でほぼ100Torr(mmHg)、老年健康者で約80Torr(mmHg)である。肺機能が低下するため起こる。
4.× ヘモグロビンA1c〈HbA1c〉5.5%は、術後の創傷治癒が遅延する因子となる検査値とはいえない。なぜなら、正常範囲内であるため。ヘモグロビンA1cとは、ヘモグロビンのアミノ基とブドウ糖が結合したもので過去1~2ヶ月程度の血糖の高さを反映する検査である。糖尿病の診断基準は、6.5%以上である。
43 うっ血性心不全が疑われる患者が救急外来を受診した。
その際、12誘導心電図検査、胸部エックス線検査に加えて行われる優先度が高い検査はどれか。
1.冠動脈CT検査
2.心臓超音波検査
3.心筋シンチグラム
4.心臓カテーテル検査
解答2
解説
うっ血性心不全とは、心臓のポンプ機能が弱まり、充分な量の血液を全身に送れなくなって、血液の滞留(うっ血)が起こしている状態である。 このため、呼吸困難や倦怠感、むくみなどが生じる。BNPが 100pg/mL以上であることが診断基準である。
1.× 冠動脈CT検査は、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)の診断に有用である。冠動脈とは、冠状動脈ともいい、心臓を栄養する終動脈(細動脈で吻合をもたない血管)である。心臓自身を栄養するために、心拍出量の約1/20(250mL/分)の血液が冠動脈へ流れている。
2.〇 正しい。心臓超音波検査は、うっ血性心不全が疑われる患者の優先度が高い検査である。心臓超音波検査(心エコー検査)とは、超音波を当てて心臓の大きさ、動き、弁の状態、血液の流れなどを観察し、ポンプが正常に働いているかどうかを判断する検査である。うっ血性心不全のほか、心筋梗塞や心臓肥大、弁膜症、先天性疾患などが発見できる。
3.× 心筋シンチグラムは、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)の診断に有用である。心臓に供給される血液を画像化する検査薬を注射して、ガンマカメラで撮影し、心筋の血流や代謝、交感神経などを評価する。
4.× 心臓カテーテル検査は、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)の診断に有用である。心臓カテーテル検査とは、細いプラスチック製のカテーテルを動脈や静脈内に挿入し、その中を進めて心臓に到達させ、心内圧を測定したり、冠動脈や心臓の血行動態を得るためにX線撮影装置を用いて造影を行う検査である。
心不全は心臓のポンプ機能低下のため末梢組織の酸素需要に見合った血液量を供給できない状態である。肺循環系にうっ血が著明なものを左心不全、体循環系にうっ血が著明なものを右心不全という。体液の著明やうっ血を生じ、主な症状として呼吸困難、咳嗽、チアノーゼ、血性・泡沫状喀痰(ピンクの痰)などがある。
左心不全:呼吸困難(起座呼吸)、尿量減少など。
右心不全:頸静脈怒張、胸水・腹水、下腿浮腫、肝腫大など。
44 慢性腎臓病においてリンの代謝障害によって生じる症状はどれか。
1.骨痛
2.貧血
3.浮腫
4.不整脈
解答1
解説
慢性腎不全(慢性腎臓病とも)は、腎臓の濾過機能が数ヶ月〜数年をかけて徐々に低下していく病気である。その結果血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなる。その原因として最も多いのは糖尿病で、次に多いのは高血圧である。尿や血液、腹部超音波検査やCTなどの検査で腎臓機能に異常が見られ、その状態が3カ月以上続いている場合に診断される。
慢性腎不全(CKD)に対する治療は、①生活習慣の改善、②食事療法が重要である。
①生活習慣の改善:禁煙・大量飲酒の回避・定期的な運動・ワクチン接種による感染症の予防・癌スクリーニングなど。
②食事療法:十分なエネルギー摂取量を確保しつつ、蛋白質・塩分・リンの制限。
1.〇 正しい。骨痛は、慢性腎臓病においてリンの代謝障害によって生じる。慢性腎臓病になると、腎機能低下により、腎臓からのリン排泄能が低下するため高リン血症となりやすい。ちなみに、リンは、人体に必要なミネラルの一種で骨や歯を形成し、体内のさまざまな細胞に存在する。
2.× 貧血の原因のひとつに、栄養の偏りなどによる鉄分の摂取不足があげられる。
3.× 浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。
4.× 不整脈の原因のひとつに、低カリウム血症があげられる。カリウムは心臓の正常なリズムを維持するために不可欠なため、カリウムが不足すると心臓のリズムに異常をきたしたり、不整脈を引き起こしたりする可能性がある。
高リン血症とは,血清リン濃度が4.5mg/dL(1.46mmol/L)を上回った状態である。原因には,慢性腎臓病,副甲状腺機能低下症,代謝性または呼吸性のアシドーシスがある。臨床的特徴は随伴する低カルシウム血症によるものと考えられ,テタニーが含まれる。診断は血清リン濃度の測定による。治療には,リンの摂取制限,および炭酸カルシウムなどのリン酸結合性制酸薬の投与がある(※引用:「高リン血症」MSDマニュアルプロフェッショナル版様より)。
45 ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉に汚染された注射針による針刺し事故の感染率で正しいのはどれか。
1.40%
2.10%
3.2%
4.0.3%
解答4
解説
針刺し事故とは、医療従事者が業務中に、患者血液が付着した器具によって被る外傷を代表例として示す言葉である。これら外傷は、日常の診療行為のなかで常に 起こりうる状況にあり、医療従事者それぞれが本人自身および他人のことを考えて注意を払えば、確実に減少させうる種類の事故である。
1.× 40%/10%/2%は、ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉に汚染された注射針による針刺し事故の感染率とはいえない。
4.〇 正しい。0.3%は、ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉に汚染された注射針による針刺し事故の感染率である。針刺し事故による感染の確率は、B型肝炎ウイルス(約20%)→C型肝炎ウイルス(約3%)→HIVの順で、HIV が最も低く、約0.3%といわれている。予防内服を事故後1~2時間以内に開始することによって、感染確率は1/5に低下すると報告されている。
ヒト免疫不全ウイルスとは、人の免疫細胞に感染してこれを破壊し、最終的に後天性免疫不全症候群を発症させるウイルスである。ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症に対する治療法は飛躍的に進歩しており早期に発見することでエイズの発症を予防できるようになってきている。しかし、治療を受けずに自然経過した場合、免疫力の低下により様々な障害が発現する。