第113回(R6) 看護師国家試験 解説【午後21~25】

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21 ストレッチャーでの角の曲がり方を図に示す。
 適切なのはどれか。(※不適切問題:解なし)

 

解答(※不適切問題:解なし
理由:設問が不十分で正解が得られないため。

解説

ストレッチャーの移送方法

・患者さんをベルトで固定する
・ゆっくりと丁寧に移動させる
・足から先に進む
・点滴などが引っかからないように気を付ける
・できるだけ2人で移送する

(※引用:「ストレッチャーを使った移送の注意点とは」民間救急東海様HPより)

1.〇 正しい。基本的に進行方向に患者の足部から進む。なぜなら、患者の司会を確保し、不安を与えないようにできるため。
2.× 進行方向に患者の頭部から進んでいる。これは、上り坂の場合に頭部に血が上らないように行われる方法である。とはいえ、設問文から坂道の設定の記載がないため、完全には判断できない。
3.× 足部を中心に方向転換している。これは、遠心力により頭部の揺れが大きく、気分不快となりやすいため、いかなる状況下でも行わないほうが良い。
4.× 頭部を中心に方向転換している。これ自体は、気分不快にはならない方法であるが、その後、進行方向に患者の頭部から進んでいる。選択肢2と同様に、これは、上り坂の場合に頭部に血が上らないように行われる方法である。

 

 

 

 

 

22 成人の静脈血採血の穿刺部位で適切なのはどれか。

 1.腋窩静脈
 2.上腕静脈
 3.腕頭静脈
 4.肘正中皮静脈

解答

解説
 1~2.× 腋窩静脈/上腕静脈は、深部静脈で神経損傷を起こす可能性があるため避けるべきである。
 3.× 腕頭静脈は、頸部の静脈である。上大静脈へ注ぐ血管であるため避けるべきである。
 4.〇 正しい。肘正中皮静脈は、成人の静脈血採血の穿刺部位である。肘正中皮静脈とは、上腕肘窩の中央付近に位置する表在性の血管である。なぜなら、静脈の中でも、静脈採血を行う場合には、弾力性があり、太くまっすぐな血管が適しているため。最も採血に用いられる静脈は、肘正中皮静脈であり、次いで多いのは橈骨側静脈、尺側皮静脈、ついで、大伏在静脈が選ばれやすい。

注射の知識

深さ:表皮→真皮→皮下組織→静脈→筋肉の順に深くなる。
角度:皮内(ほぼ水平)→皮下注射(10~30度)→筋肉内注射(45~90度)である。

注射部位が浅ければ刺入角度を小さくし、注射部位が深ければ刺入角度を大きくする。

注射針の大きさはゲージ(G)で表す。ゲージの数値が小さいほど針は太く、大きいほど針は細い。

①輸血:18~20G
②採血・静脈:21~23G
③筋肉注射:23~25G
④皮下注射:24~27G
⑤皮内注射:26~27G

 

 

 

 

 

23 自動体外式除細動器〈AED〉を使用するときに、胸骨圧迫を中断するのはどれか。

 1.電源を入れるとき
 2.電極パッドを貼るとき
 3.心電図の解析中
 4.電気ショックの直後

解答

解説

自動体外式除細動器とは?

AED(自動体外式除細動器)とは、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器である。

 1~2.4.× 電源を入れるとき/電極パッドを貼るとき/電気ショックの直後も可能な限り胸骨圧迫を継続する。
 3.〇 正しい。心電図の解析中は、自動体外式除細動器〈AED〉を使用するときに、胸骨圧迫を中断する。なぜなら、心電図の解析中に胸骨圧迫を継続していると、心電図の解析にノイズが入り適正にできず、電気ショックも遅れる可能性がある。AEDが「解析中です。離れてください」と指示しているときは、AEDの指示に従い、離れる必要がある。

 

 

 

 

 

24 側臥位における褥瘡の好発部位はどれか。

 1.後頭部
 2.耳介部
 3.仙骨部
 4.肩甲骨部

解答

解説

褥瘡とは?

 褥瘡とは、局所の持続的な圧迫により組織に虚血が生じて発生する皮膚・皮下組織の損傷のことである。仙骨部、大転子部、足関節外果、踵部などの骨の突出している場所に好発する。頚髄完全損傷では、自分で除圧できないこと、感覚障害を合併していることより、褥瘡が生じやすい。したがって、仰臥位の褥瘡好発部位は、仙骨部が最も多く、次いで踵骨部、肩甲骨部、後頭部などがある。

側臥位における褥瘡の好発部位は、耳介部、腸骨稜部、大転子部、外顆部、内顆部などに好発する。

 1.3~4.× 後頭部/仙骨部/肩甲骨部は、背臥位に後発する。
 2.〇 正しい。耳介部は、側臥位における褥瘡の好発部位である。

座位での褥瘡好発部位

・仙骨部
・坐骨部
・尾骨部
・足底

 

 

 

 

 

25 緑内障患者への投与が禁忌なのはどれか。

 1.コデイン
 2.アスピリン
 3.アトロピン
 4.ジゴキシン
 5.フェニトイン

解答

解説

緑内障とは?

緑内障とは、眼圧の上昇や視神経の脆弱性などにより視神経が障害され、視野障害をきたす疾患である。一般的な症状として、①見える範囲が狭くなる、②一部が見えにくくなる、③見えない部分が出現するなどが生じる。一度悪くなった視界・視野の症状は改善されることはないため、病気の種類や進行度合いなどによって薬物療法、レーザー治療、手術などが検討される。

 1.× コデインとは、中枢性麻薬性の鎮痛薬や鎮咳薬(せき止め)として使う。主な副作用には、眠気、めまい、嘔気・嘔吐などである。依存性もあり、身体依存、精神依存、耐性がみられる。禁断後、数時間で離脱症状が出現し、①精神症状(被刺激性、苦悶、不安、興奮など)、②痙攣発作、③あくび、流涙、鼻汁、発汗、不眠、食欲不振などが現れる。
 2.× アスピリンとは、非ステロイド性消炎鎮痛剤で(NSAIDs)の一つである。非ステロイド性抗炎症薬<NSAIDs>は、炎症などを引き起こすプロスタグランジンの生成を抑え、抗炎症作用や解熱、鎮痛に働く。副作用として、消化器症状(腹痛、吐き気、食欲不振、消化性潰瘍)、ぜんそく発作、腎機能障害が認められる。
 3.〇 正しい。アトロピンは、緑内障患者への投与が禁忌である。なぜなら、抗コリン作用があり、投与により散瞳するため。緑内障は、眼圧の上昇があり、その原因は眼圧を保つ房水の吸収障害である。房水吸収を阻害する抗コリン作用の薬剤は禁忌である。したがって、抗コリン剤のほかに抗ヒスタミン剤も禁忌である。 抗ヒスタミン剤を使用すると、瞳孔を閉じる働きを持つ毛様体筋を弛緩させるため、隅角がせまくなってしまい、眼圧上昇がおこると考えられている。
 4.× ジゴキシンとは、強心薬である。うっ血性心不全の治療に用いられる。心筋の酸素需要を増やすため心筋虚血を増悪させる。
 5.× フェニトインとは、抗てんかん薬である。強直間代発作(全般けいれん発作、大発作)や焦点発作、自律神経発作、精神運動発作などに効果が期待できる。副作用に、眼振、幻暈、嘔気、失調、振戦、小脳障害、歯肉増殖などがある。

 

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