第113回(R6) 看護師国家試験 解説【午後1~5】

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1 令和3年(2021年)の日本における簡易生命表で女性の平均寿命に最も近いのはどれか。

 1.77年
 2.82年
 3.87年
 4.92年

解答

解説

 1~2.4.× 77年/82年/92年より女性の平均寿命に近いものが他にある。
 3.〇 正しい。87年は、令和3年(2021年)の日本における簡易生命表で女性の平均寿命に最も近い。女性は87.57、男性は81.47である。(※データ引用:「令和3年簡易生命表の概況」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

2 日本人の食事摂取基準(2020年版)に示されている、18~49歳女性(月経あり)の鉄摂取推奨量はどれか。(※不適切問題:採点対象外)

 1.5.5mg/日
 2.10.5mg/日
 3.15.5mg/日
 4.20.5mg/日

解答(採点対象外)
理由:問題としては適切であるが、必須問題として妥当ではないため。

解説

(※引用:「鉄の食事摂取基準」厚生労働省様HPより)

 1.× 5.5mg/日は、3~5歳女性(月経なし)の鉄摂取推奨量である。
 2.〇 正しい。10.5mg/日は、18~49歳女性(月経あり)の鉄摂取推奨量である。
 3~4.× 15.5mg/日、20.5mg/日は、鉄摂取推奨量として当てはまらない。

 

 

 

 

 

3 労働安全衛生法に規定されているのはどれか。

 1.失業手当の給付
 2.年少者の労働条件
 3.過労死に関する調査研究
 4.労働者に対する健康診断

解答

解説
 1.× 失業手当の給付は、「雇用保険法」に規定されている。ちなみに、雇用保険法とは、「労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ること」(第1条)を目的として制定された、日本の法律である。つまり、失業・雇用継続等に関する保険の制度である。保険者は日本政府(国:厚生労働省)。財源は雇用者と雇用主が社会保険として負担するほか、国費投入もされている。つまり雇用保険は、労働保険のひとつで、いわゆる失業保険を中心とするものである。
 2.× 年少者の労働条件は、「労働基準法」に規定されている。ちなみに、労働基準法とは、労働者の生存権の保障を目的として、①労働契約や賃金、②労働時間、③休日および年次有給休暇、④災害補償、⑤就業規則といった労働者の労働条件についての最低基準を定めた法律である。
 3.× 過労死に関する調査研究は、「過労死等防止対策推進法」に規定されている。過労死等防止対策推進法とは、過労死等の防止のための対策の推進・過労死等防止対策推進協議会の設置、組織などについて定めた日本の法律である。
 4.〇 正しい。労働者に対する健康診断は、労働安全衛生法に規定されている。これは、労働安全衛生法の66条(健康診断)において、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない。2 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする」と規定されている(※引用:「労働安全衛生法」e-GOV法令検索様HPより)。

労働安全衛生法とは?

「労働安全衛生法」とは、労働者の安全と衛生についての基準を定めた日本の法律である。事業者は安全衛生管理体制を整備することが義務づけられており、それぞれの事業規模に応じた①衛生管理者、②総括安全衛生管理者などを選任しなければならない。

①衛生管理者
職場の衛生にかかわる技術的事項の管理を行う。少なくとも毎週1回作業場の巡視を行い、設備、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに健康障害防止措置を講じなければならない。

②総括安全衛生管理者
安全管理者、衛生管理者を指揮し、安全・衛生・健康・事故防止などの統括管理を行う。その事業場で統括管理する者(工場長、支店長 等)を充てなければならない。

 

 

 

 

 

4 平成13年(2001年)の「身体拘束ゼロの手引き」において身体拘束の禁止対象となる行為はどれか。

 1.L字バーを設置する
 2.離床センサーを設置する。
 3.点滴ルートを服の下に通して視野に入らないようにする。
 4.ベッドを柵(サイドレール)で囲んで降りられないようにする。

解答

解説
 1.× L字バーを設置するのは、身体拘束に該当しない。L字バーとは、介助バーともいい、起き上がりや立ち上がり、歩き始めの安定性に寄与する手すりのことである。
 2.× 離床センサーを設置するのは、身体拘束に該当しない。離床センサーとは、ベッドから離れたことを検知する装置であり、通常、ベッドに設置され、重量を感知することで、ベッドから離れたことを検知する。認知面が不安定で転倒の恐れがある場合や、睡眠の質を測定するために病院や介護施設で使用されることが多い。これにより、看護師や介護者は、高齢者や障害を持つ方が危険な状態に陥らないようにする。
 3.× 点滴ルートを服の下に通して視野に入らないようにするのは、身体拘束に該当しない。むしろ、患者の安全を守る行為の一つである。点滴ルートが視野に入ると、自己抜去のリスクが高まる。したがって、認知症患者やせん妄患者に対して有効な方法といえる。
 4.〇 正しい。ベッドを柵(サイドレール)で囲んで降りられないようにすることは、なぜなら、身体拘束の禁止対象となる行為である。なぜなら、患者の行動を制限する行為となるため。

身体拘束の定義

身体抑制は、道具や薬剤を用いて、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制することを言い、内容としては身体拘束とほぼ同義である。身体拘束が認められるためには、①切迫性(緊急性)、②非代替性(他の方法が利用できない場合)、③一時性(限られた期間のみ使用)の3つの要件がすべて満たされていなければならない。また、身体拘束の使用は最小限に抑えられるべきであり、その目的、適切な方法、持続期間などについて慎重に評価される必要がある。

 

 

 

 

 

5 看護師の業務従事者届の届出先はどれか。

 1.保健所長
 2.厚生労働大臣
 3.都道府県知事
 4.都道府県ナースセンターの長

解答

解説

看護師の業務従事者届

①保健師助産師看護師法第33条に基づき、業務に従事する看護職員は2年毎にその就業状況について、就業地の都道府県知事に届け出ることが義務づけられている。②その趣旨は、就業者の実態を把握し、就業者に対する指導監督や需給バランス等看護行政の推進に資するためとされる。③様式は「業務従事者届」として同法施行規則で定められており、氏名、免許の種別とその登録番号、就業場所等について記載することとなっている。 届出違反には、罰則が課せられている。④届出違反には、50万円以下の罰金が課せられることとなっている。

(※一部抜粋:「免許保持者の届出義務について」厚生労働省HPより)

1.× 保健所長とは、保健所内の組織管理を主な業務とし、医師たる職員であって、3年以上の公衆衛生の実務経験等を経た者を充てることが原則である。看護職の免許申請窓口としても活用されている。
2.× 厚生労働大臣は、看護師免許を付与する役割を持つ。厚生労働省とは、「国民生活の保障・向上」と「経済の発展」を目指すために、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上・増進と、働く環境の整備、職業の安定・人材の育成を総合的・一体的に推進する。日本の厚生労働省の長および主任の大臣たる国務大臣である。
3.〇 正しい。都道府県知事は、看護師の業務従事者届の届出先である。ちなみに、都道府県知事とは、日本の地方公共団体である都道府県の首長である。単に知事ともいう。都道府県知事のもとに置かれる部局を知事部局という。知事の主な仕事として、予算案をまとめて議会に提出したり、条例案を策定して議会に提出するというものがある。
4.× 都道府県ナースセンターとは、都道府県知事の指定のもと、各都道府県の看護協会が運営する公的な機関である。ちなみに、都道府県ナースセンターの長は都道府県知事が指定する。

看護師等の人材確保の促進に関する法律とは?

この法律は、我が国における急速な高齢化の進展及び保健医療を取り巻く環境の変化等に伴い、看護師等の確保の重要性が著しく増大していることにかんがみ、看護師等の確保を促進するための措置に関する基本指針を定めるとともに、看護師等の養成、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等を、看護に対する国民の関心と 理解を深めることに配慮しつつ図るための措置を講ずることにより、病院等、看護を受ける者の居宅等看護が提供される場所に、高度な専門知識と技能を有する看護師等を確保し、もって国民の保健医療の向上に資することを目的とする。

(業務) 第十五条 都道府県センターは、当該都道府県の区域内において、次に掲げる業務を行うものとする。 ①病院等における看護師等の確保の動向及び就業を希望する看護師等の状況に関する調査を行うこと。
②訪問看護、その他の看護についての知識及び技能に関し、看護師等に対して研修を行うこと。
③前号に掲げるもののほか、看護師等に対し、看護についての知識及び技能に関する情報の提供、相談その他 の援助を行うこと。
④第十二条第一項に規定する病院その他の病院等の開設者、管理者、看護師等確保推進者等に対し、看護師等 の確保に関する情報の提供、相談その他の援助を行うこと。
⑤看護師等について、無料の職業紹介事業を行うこと。
⑥看護師等に対し、その就業の促進に関する情報の提供、相談その他の援助を行うこと。
⑦看護に関する啓発活動を行うこと。
⑧前各号に掲げるもののほか、看護師等の確保を図るために必要な業務を行うこと。

(※引用:「看護師等の人材確保の促進に関する法律」厚生労働省HPより)。

 

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