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71 看護師等の人材確保の促進に関する法律で規定されているのはどれか。
1.人員配置基準に基づき看護師を配置する。
2.看護師等の資質の向上のための研修等を行う。
3.新入職員を雇い入れるときに健康診断を行う。
4.年5回の年次有給休暇を取得させることが義務付けられている。
解答2
解説
1.× 人員配置基準に基づき看護師を配置するのは、「医療法」に規定されている。医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。
2.〇 正しい。看護師等の資質の向上のための研修等を行う。看護師等の人材確保の促進に関する法律は、我が国における急速な高齢化の進展及び保健医療を取り巻く環境の変化等に伴い、看護師等の確保の重要性が著しく増大していることにかんがみ、看護師等の確保を促進するための措置に関する基本指針を定めるとともに、看護師等の養成、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等を、看護に対する国民の関心と 理解を深めることに配慮しつつ図るための措置を講ずることにより、病院等、看護を受ける者の居宅等看護が提供される場所に、高度な専門知識と技能を有する看護師等を確保し、もって国民の保健医療の向上に資することを目的とする(※引用:「看護師等の人材確保の促進に関する法律」厚生労働省HPより)。
3.× 新入職員を雇い入れるときに健康診断を行うのは、「労働安全衛生法」に規定されている。労働安全衛生法とは、労働者の安全と衛生についての基準を定めた日本の法律である。事業者は安全衛生管理体制を整備することが義務づけられており、それぞれの事業規模に応じた①衛生管理者、②総括安全衛生管理者などを選任しなければならない。
4.× 年5回の年次有給休暇を取得させることが義務付けられているのは、「労働基準法」に規定されている。労働基準法とは、労働者の生存権の保障を目的として、①労働契約や賃金、②労働時間、③休日および年次有給休暇、④災害補償、⑤就業規則といった労働者の労働条件についての最低基準を定めた法律である。
72 A君(4歳、男児)は地震による災害のため体育館に両親と避難し、2週後に仮設住宅に移動した。その後1か月経過したころから、A君はわざと机や椅子をガタガタ揺らしながら「地震だ、逃げろ」などと騒いで遊んでいた。母親は仮設住宅に巡回に来ていた看護師に「Aの遊びにどのように対応したらよいでしょうか」と相談した。
看護師の母親への説明で適切なのはどれか。
1.「すぐに児童精神科の医師の診察を受けましょう」
2.「危険な遊びにエスカレートしないよう、やめさせましょう」
3.「避難できたから安心だね、と声をかけながら見守りましょう」
4.「A君に家の手伝いをしてもらい何か役割を担ってもらいましょう」
解答3
解説
・A君(4歳、男児)
・地震による災害のため体育館に両親と避難。
・2週後:仮設住宅に移動。
・1か月経過:A君はわざと机や椅子をガタガタ揺らしながら「地震だ、逃げろ」などと騒いで遊んでいた。
・母親「Aの遊びにどのように対応したらよいでしょうか」と。
→A君からいわゆる「地震ごっこ」がみられる。地震ごっことは、子どもたちが地震災害のトラウマやストレスを乗り越えるために本能的に行なう、遊びの形をとった自己治療の試みである。これは、安全が確保されたからこそ出てくる遊びで、地震災害の恐怖を乗り越えていく。大人からすると、大きなストレス(フラッシュバック)となり、「不謹慎だ」と思われるかもしれないが、子供側の地震ごっこ自体は問題のない、むしろ健康的な行為であるため、基本的に受容が望ましい。しかし、時にエスカレートして物理的に危険な行為になってしまう場合(椅子を高く積み上げ、それを崩すなど)がある。こうした場合は周囲の大人が対応方法を考えなければならない(※参考:「地震ごっこはゆったり受容を!災害後の子どもの心のケア」保育のお仕事レポート様HPより)。
1.4.× 「すぐに児童精神科の医師の診察を受けましょう」「A君に家の手伝いをしてもらい何か役割を担ってもらいましょう」と伝える必要はない。なぜなら、子供側の地震ごっこ自体は問題のない、むしろ健康的な行為であるため。
2.× 「危険な遊びにエスカレートしないよう、やめさせましょう」と伝える必要はない。危険な遊びにエスカレートしてしまった場合は、周囲の大人が対応方法を考えなければならない。基本的に受容が望ましい。
3.〇 正しい。「避難できたから安心だね、と声をかけながら見守りましょう」と看護師の母親へ説明する。なぜなら、受容的な態度が行えるため。地震ごっことは、子どもたちが地震災害のトラウマやストレスを乗り越えるために本能的に行なう、遊びの形をとった自己治療の試みである。これは、安全が確保されたからこそ出てくる遊びで、地震災害の恐怖を乗り越えていく。大人からすると、大きなストレス(フラッシュバック)となり、「不謹慎だ」と思われるかもしれないが、子供側の地震ごっこ自体は問題のない、むしろ健康的な行為であるため、基本的に受容が望ましい。
73 発災直後、自家用車に泊まり生活を始めた避難者に発生しやすいのはどれか。
1.生活不活発病
2.静脈血栓塞栓症
3.圧挫症候群〈クラッシュ症候群〉
4.心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉
解答2
解説
1.× 生活不活発病とは、廃用症候群とも呼ばれる。「廃用」という表現があまりよくないという理由から、生活不活発病という呼び方に変わりつつある。廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のこと。関節拘縮や筋萎縮、褥瘡などの局所性症状だけでなく、起立性低血圧や心肺機能の低下、精神症状などの症状も含まれる。一度生じると、回復には多くの時間を要し、寝たきりの最大のリスクとなるため予防が重要である。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著である。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもある。
2.〇 正しい。静脈血栓塞栓症は、発災直後、自家用車に泊まり生活を始めた避難者に発生しやすい。静脈血栓塞栓症とは、手足の静脈に血栓ができて血管が詰まる深部静脈血栓症(DVT)と、その血栓が血流に乗って運ばれ肺の動脈に詰まる肺血栓塞栓症を合わせた総称である。深部静脈血栓症とは、長時間の安静や手術などの血流低下により下肢の静脈に血栓が詰まってしまう病気である。下肢の疼痛、圧痛、熱感などの症状がみられる。ほかのリスク因子として、脱水や肥満、化学療法などがあげられる。
3.× 圧挫症候群〈クラッシュ症候群〉とは、長時間の圧挫による虚血、圧挫解除による虚血/再灌流による筋細胞融解(横紋筋融解)と筋細胞内にナトリウムと水分の移行によるコンパートメント症候群による末梢循環不全である。長時間の圧迫による血流障害後、血流が再開した際、崩壊した筋細胞から血中にカリウムやミオグロビンが漏出し、高カリウム血症による不整脈(心室細動)や高ミオグロビン血症による腎障害が生じるものである。血管外への水分漏出により循環血漿量が減少するため尿量は低下することが多い。
4.× 心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉とは、大規模な災害や事故の現場、他人の悲惨な死など、心理的に大きなストレスを受ける状況下に居合わせた場合、1か月以上心的外傷による障害が持続した場合に生じる。典型的な症状として、①感覚や情動の鈍化、②心的外傷を想起するような状況の回避、③再現的で侵入的な回想(フラッシュバック)や悪夢、④過覚醒、⑤驚愕反応の亢進などが認められる。
肺血栓塞栓症とは、肺の血管に血のかたまり(血栓)が詰まって、突然、呼吸困難や胸痛、ときには心停止をきたす危険な病気である。ロング・フライト血栓症やエコノミークラス症候群などと呼ばれる。原因として、①血液凝固能の亢進、②静脈血流のうっ滞、③静脈壁の障害の3つの因子が種々の程度に重なって起こる。離床(車椅子乗車や立位訓練、歩行訓練など)を開始したタイミングで発症するリスクが高くなるため注意が必要である。症状として、呼吸困難、胸痛、失神などが認められ、時に心停止となり、突然死に至る場合もある。ちなみに、リンパ浮腫の合併症として、蜂窩織炎、リンパ管炎などの炎症がみられる。
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74 Aちゃん(3歳)は、両親(外国籍)と3人で暮らしている。来日して1か月が経った。2日前に急性胃腸炎で個室に入院した。症状が改善し、経口での食事を再開することになった。看護師が訪室すると、香辛料の香りが部屋に充満しており、唐辛子の入った肉などのたくさんの料理が並べられていた。母親は看護師に気付くと「Aは日本食には慣れておらず、食べられないので家で作ってきました」と話した。
このときの母親への看護師の対応で適切なのはどれか。
1.普段のAちゃんの食事の内容を尋ねる。
2.栄養指導を受けるまで食事の持ち込みはできないと説明する。
3.たくさん食べさせてAちゃんの体力を回復させるよう伝える。
4.病院食を完食するまで、持ち込み食は食べさせないよう伝える。
解答1
解説
・Aちゃん(3歳):両親(外国籍)と3人暮らし。
・来日して1か月。
・2日前:急性胃腸炎で個室に入院。
・症状が改善、経口での食事を再開する。
・香辛料の香りが部屋に充満。
・唐辛子の入った肉などのたくさんの料理が並べられていた。
・母親「Aは日本食には慣れておらず、食べられないので家で作ってきました」と。
→本症例のように、来日して間もないと食事が口に合わず食べられないこともしばしばある。ただし、自宅から食事を持参すると食中毒の恐れがある。また、異文化のルールを知らないこともある。すべてを受け入れると、医療的にAちゃんに悪影響をきたしたり、他の患者から苦情をきたしたりする恐れもあるため、まずはしっかり評価して、折り合いをつける必要がある。
1.〇 正しい。普段のAちゃんの食事の内容を尋ねる。なぜなら、外国籍の母親が「日本食は食べられない」と言っているため。一般的な3歳児は、食事量も増えていく時期であるが、イヤイヤ期と重なるため、食のこだわりも強く、病院食を好まない子も多い。したがって、外国籍に関わらず、評価と柔軟な対応が必要なことが多い。
2.× 「栄養指導を受けるまで食事の持ち込みはできない」と説明する必要はない。なぜなら、看護師が独断で判断すべきではないため。また一方的な対応である印象を受け、このまま食事を食べないとAちゃんもストレスとなる可能性が高い。
3.× たくさん食べさせてAちゃんの体力を回復させるよう伝える優先度は低い。なぜなら、唐辛子の入った料理は、急性胃腸炎の症状を悪化させる恐れがあるため。唐辛子(カプサイシンという辛味成分)は、胃酸の分泌を促進させ胃腸が荒れたり、下痢症状を促進させる恐れがある。また、本症例は、症状が改善し、経口での食事を再開したところである。たくさん食べさせるより、少量ずつ食べることが急性胃腸炎の食事で指導することが多い。
4.× 病院食を完食するまで、持ち込み食は食べさせないよう伝える優先度は低い。なぜなら、外国籍の母親が「日本食は食べられない」と言っているため。学校の給食とは違い、医療職や家族、患者がチームアプローチで、摂取カロリーの確保や症状改善に努めていくことが大切である。
75 声帯の運動や緊張度を調節する神経を分枝するのはどれか。
1.三叉神経
2.顔面神経
3.舌咽神経
4.迷走神経
5.舌下神経
解答4
解説
反回神経は、運動神経、知覚神経を含む混合神経で声帯や嚥下機能を司っている。前枝は喉頭粘膜、声帯裂、甲状披裂筋、外側輪状披裂筋に分布する。後枝は後輪状披裂筋、横披裂筋、斜披裂筋に分布する。喉から胸にかけて走行する。
反回神経の枝は喉頭や声帯に分布し、障害により嗄声を生じる。反回神経は、右が鎖骨下動脈を、左が大動脈弓を前方から後方へ回り、この周囲に癌が浸潤することで嗄声が生じる。嗄声とは、声帯を振動させて声を出すとき、声帯に異常が起こり「かすれた声」になっている状態である。嗄声の原因は、①声帯自体に問題がある場合と、②声帯を動かす神経に問題がある場合がある。
1.× 三叉神経とは、咀嚼運動にかかわる脳神経である。三叉神経は、主に咀嚼筋の咀嚼運動と顔面の皮膚感覚を司る。運動神経と感覚神経を含む。
2.× 顔面神経とは、表情筋の運動、涙腺や口蓋腺などの分泌作用制御の副交感神経、および味覚を司る感覚神経を含む混合神経である。したがって、顔面神経の障害により、顔面表情筋の障害、角膜反射低下、聴覚過敏、味覚低下(舌前2/3)、涙分泌低下、唾液分泌低下などが起こる。
3.× 舌咽神経とは、知覚・運動・分泌を受けもつ混合神経で、舌の後部3分の1の感覚や咽頭筋の運動を支配する。 また分泌線維は耳下腺に分布し、唾液の分泌を司る。 鼓室粘膜の知覚もこの神経が支配する。
4.〇 正しい。迷走神経は、声帯の運動や緊張度を調節する神経を分枝する。分岐した神経を上喉頭神経や反回神経という。ちなみに、迷走神経とは、感覚神経・運動神経の一つである。嚥下運動や声帯の運動、耳介後方の感覚などに作用する。内臓(胃、小腸、大腸や心臓、血管など)に多く分布し、体内の環境をコントロールしている。刺激すると徐脈、咳、嘔吐などを生じる。強い痛みや精神的ショックなどが原因で、迷走神経が過剰に反応すると、心拍数や血圧の低下、失神などを引き起こす(迷走神経反射)。
5.× 舌下神経とは、舌の運動を支配する運動神経である。
(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)