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66 A病院の組織図を図に示す。
医療安全管理を担う部門が、組織横断的な活動をするのに適切な位置はどれか。
1.①
2.②
3.③
4.④
解答2
解説
(※図引用:「東部地域病院医療安全管理体制組織図」東京都立東部地域病院様HPより)
1.× ①は、病長である。医療法において、病院長は医療安全管理者を設置することを定めており、病院長は兼務できないことも規定している。
2.〇 正しい。②は、医療安全管理を担う部門である。病院の医療安全管理部門とは、医療安全管理・対策委員会と連携し、医療安全のガバナンスが有機的に機能を発揮するために、医療の質の管理および維持・向上に必要な対策を行う。また、医療事故を未然に防止するとともに、発生した医療事故に関する事項を調査し、医療事故の解決、再発を防止することを目的として業務を行っている。
3.× ③は、各科の部門(診療部門)である。
4.× ④は、各部署である。
67 高速道路で衝突事故が発生し、20人が受傷した。A病院は、5人の重症患者を受け入れ、あわただしい雰囲気となっている。
医療を安全かつ円滑に行うために、救急外来のリーダー看護師に求められる役割として誤っているのはどれか。
1.チームで患者情報を共有する。
2.スタッフの役割分担を明確にする。
3.患者誤認が生じないように注意喚起する。
4.電話による安否の問い合わせに回答する。
解答4
解説
災害発生時の対応として、「災害医療の7つのポイント CSCATTT」があげられる。CSCATTT とは、災害時の組織体制と医療支援の7つの原則の頭文字をとった言葉である。組織体制のCSCAとは、Command and Control(指揮・統制)、Safety(安全)、Communication(情報伝達)、Assessment(評価)の頭文字である。医療支援のTTTとは、Triage(トリアージ)、Treatment(治療)、Transport(搬送)である。
1.〇 正しい。チームで患者情報を共有する。Communication(情報伝達)に該当する。
2.〇 正しい。スタッフの役割分担を明確にする。Command and Control(指揮・統制)に該当する。
3.〇 正しい。患者誤認が生じないように注意喚起する。なぜなら、注意喚起することで、Safety(安全)につながるため。
4.× 電話による安否の問い合わせに回答する必要はない。なぜなら、個人情報の漏洩につながりかねないため。災害発生時の対応として、「災害医療の7つのポイント CSCATTT」が優先される。
個人情報保護法とは、個人情報の保護に関する法律の略称である。個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした個人情報の取扱いに関連する日本の法律である。定義(第2条)には、「この法律において『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」とされている。
個人情報保護に関するコンプライアンスプログラムの要求事項では、センシティブ情報の具体的項目に関して、以下の5項目を挙げている。①思想及び信条に関する事項、②政治的権利の行使に関する事項、③労働者の団体交渉に関する事項、④医療、性に関する事項、⑤犯罪の経歴、人種、民族、社会的身分、門地並びに出生地及び本籍地など社会的差別の原因となる事項である。
68 紙カルテと比較したときの電子カルテの特徴として正しいのはどれか。
1.データ集計が困難である。
2.診療録の保存期間が短い。
3.多職種間の情報共有が容易になる。
4.個人情報漏えいの危険性がなくなる。
解答3
解説
【紙カルテ】
メリット:①使い慣れている医療従事者が多いため簡単に使用できる。②インターネット接続や電源不要である。
デメリット:①大量の紙が必要であることから保管場所が必要になる。②患者のカルテを探すことが手間であり、時間がかかる場合がある。③複数の医療関係者が同時に見ることができないため情報共有が制限される場合がある。
【電子カルテ】
メリット:①カルテがデータとして保存されるため、スペースや保管場所を必要としない。②患者のカルテを探すことが手間がなくなる。③患者の情報を即座に共有でき、効率的な医療提供が可能になる。
デメリット:①使用にあたり、特別なトレーニングや教育が必要である。②システムのダウンタイムや障害により、データにアクセスできなくなる場合がある。③電子機器やソフトウェアの更新が必要であり、コストがかかる。
1.× データ集計は、「困難」ではなく容易である。なぜなら、情報が電子化されており、必要な情報を情報を瞬時に検索することが可能であるため。
2.× 診療録の保存期間において、電子・紙カルテでの違いは法律上ない。ただ、電子カルテは、紙カルテに比較すると、パソコン内部で大量の記録を保存できるため、データの保存・管理は簡単である。ちなみに、診療録の保存については医療法で5年と定められている。
3.〇 正しい。多職種間の情報共有が容易になる。なぜなら、記録した情報は電子カルテ上で常に・同時に閲覧できるため。一方、紙カルテの場合、複数の医療関係者が同時に見ることができないため情報共有が制限される場合がある。
4.× 個人情報漏えいの危険性がなくなるわけではない。なぜなら、パスワードを知っていれば、部外者かかわらずログインできてしまう恐れがあるため。また、媒体に保存された患者の診療記録等の個人情報は、USBメモリによる情報漏洩やサイバー攻撃などによって流出する危険性がある。
69 医療機関に勤務する看護師のうち、特殊健康診断の対象となるのはどれか。
1.内視鏡室で勤務する看護師
2.精神科病棟で勤務する看護師
3.血管造影室で勤務する看護師
4.一般病棟で勤務する夜勤専従の看護師
解答3
解説
特殊健康診断とは、労働衛生対策上特に有害であるといわれている業務に従事する労働者等を対象として実施する健康診断である。『労働安全衛生法』により実施が義務付けられている。
特殊健康診断実施を義務付けられている業種
①粉じん作業
②高圧室内業務と潜水業務
③電離放射線業務
④特定化学物質の製造・取り扱い業務
⑤鉛業務
⑥四アルキル鉛等業務
⑦有機溶剤業務
⑧石綿(アスベスト)取り扱い業務
(※参考:「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう」厚生労働省HPより)
1.2.4.× 内視鏡室で勤務/精神科病棟で勤務/一般病棟で勤務する夜勤専従の看護師は、特殊健康診断の対象ではない。なぜなら、特に有害物質に曝露される状況にはないため。
3.〇 正しい。血管造影室で勤務する看護師は、特殊健康診断の対象となる。なぜなら、造影室にいる看護師は放射線(エックス線)に曝露されている可能性があるため。これは電離放射線業務にあたる。ちなみに、電離放射線障害防止規則の第2条(定義等)において、「この省令で「電離放射線」(以下「放射線」という。)とは、次の粒子線又は電磁波をいう。①アルフア線、重陽子線及び陽子線、②ベータ線及び電子線、③中性子線、④ガンマ線及びエックス線などが該当する」と記載されている(※参考:e-GOV法令検索様HPより)。
70 神経伝達物質と効果器の組合せで正しいのはどれか。
1.γ-アミノ酪酸(GABA):気管
2.アセチルコリン:瞳孔散大筋
3.アドレナリン:血管
4.セロトニン:心筋
5.ドパミン:汗腺
解答3
解説
効果器とは、動物体が刺激に応じて外界に向けて能動的に活動するときに働く器官( 筋肉・腺・線毛・鞭毛・発電器・発光器など)である。
1.× γ-アミノ酪酸(GABA)は、「気管」ではなく「大脳や脊髄」である。γ-アミノ酪酸(GABA)とは、脳や脊髄で抑制性の神経伝達物質として働いている。他の神経の活動を抑制するため、不安が軽減するといわれている。
2.× アセチルコリンは、「瞳孔散大筋」ではなく瞳孔括約筋に作用する。アセチルコリンとは、副交感神経の神経伝達物質である。自律神経のうち、交感神経の神経伝達物質はノルアドレナリンであり、副交感神経の神経伝達物質はアセチルコリンである。瞳孔散大筋は、交感神経の支配を受けており、ノルアドレナリンの作用で収縮する。逆の働きをする瞳孔括約筋が副交感神経支配筋であり、アセチルコリンで瞳孔は収縮(縮瞳)する。
3.〇 正しい。アドレナリンは、血管に作用する。アドレナリンとは、腎臓の上にある副腎というところの中の髄質から分泌されるホルモンである。主な作用は、心拍数や血圧上昇などがある。自律神経の交感神経が興奮することによって分泌が高まる。
4.× セロトニンは、「心筋」ではなく脳内(気分)である。セロトニンは、脳内だけに分泌される神経伝達物質で、交感神経を刺激し、血圧を上昇させる作用がある。他にも、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わっている。それに異常が起こるとうつ病に関連する。
5.× ドパミンは、「汗腺」ではなく主に中脳黒質で産生され運動に関わる神経伝達物質である。ドパミンと関係性が高い病気としてパーキンソン病があげられる。パーキンソン病では黒質にレビー小体が蓄積することで、黒質の神経細胞が減少し、作られるドパミンが減少する。ドパミンが減ると、神経伝達に障害が生じ、運動の調節がうまくできる。パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。
①末梢血管の収縮
②心拍数・心収縮力の増加
③血糖値の上昇
④胃腸管運動の抑制
⑤気管支拡張作用が起こる(※個人差あり)