第95回(H24) 助産師国家試験 解説【午前51~55】

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次の文を読み50〜52の問いに答えよ。
 30歳の初産婦。妊娠経過は順調であった。バースプランでは、夫の立会い分娩、出産直後からの母子同室および母乳哺育を希望していた。妊娠40週1日、夫が立会い、3200gの女児を経腟分娩した。分娩所要時間は12時間、総出血量380g。会陰切開・縫合術を受けた。分娩後2時間の母児の経過は良好だったため、帰室して母子同室を開始した。

51 褥婦は、産褥1日から2日にかけて1時間半から2時間おきに授乳をしていた。産褥2日の夕方、褥婦は「母乳が出ないのでなかなか赤ちゃんが寝てくれません。これからの育児に自信が持てません」と涙を浮かべている。褥婦の乳房は張り始めており、児の体重は3000gで、吸啜状態は良好であった。
 この時点の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.母子同室を中止する。
2.時間をかけて傾聴する。
3.褥婦の疲れを緩和するケアを行う。
4.混合栄養で育てていくことを勧める。
5.産後うつ病のセルフチェックをするように促す。

解答2・3

解説

本症例のポイント

・30歳の初産婦(妊娠経過:順調)。
・バースプラン(希望):夫の立会い分娩、母子同室母乳哺育
・妊娠40週1日:夫が立会い、3200gの女児を経腟分娩。
・産褥1~2日:1時間半~2時間おきに授乳
産褥2日の夕方:「母乳が出ないのでなかなか赤ちゃんが寝てくれません。これからの育児に自信が持てません」と涙を浮かべている
・乳房:張り始めている。
・児の体重:3000g、吸啜状態は良好。
→本症例の不安や希望に対して、共感しつつ専門的に判断・助言・支援できるようにしよう。児の体重増加量は,この時期における正常範囲内である。
【新生児の生理的体重の変化】
正期産により出生した正常な新生児の生理的体重減少率は、出生体重の3~10%の範囲であり、生後3~5日がそのピークである。減少率とは、出生時体重からの減少の割合で、「(出生時の体重-現在の体重)÷ 出生時の体重 × 100」で算出される。

【正常乳児の一日体重増加量の目安】
・0~3か月:25~30g
・3~6か月:20~25g
・6~9か月:15~20g
・9~12か月:7~10g

1.× 母子同室を中止する必要はない。なぜなら、母子同室は、本症例のバースプラン(希望)によるもので、母親と児の愛着形成や母乳育児の促進に重要な役割を果たすため。また、母親が育児技術を学ぶ機会ともなる。

2.〇 正しい。時間をかけて傾聴する。なぜなら、本症例は、母乳育児への不安や自信喪失を訴えており、感情的になっているため。まずは褥婦の気持ちを受け止め、時間をかけて話を傾聴することが重要である。傾聴することで、褥婦の不安を軽減し、信頼関係を構築することができる。

3.〇 正しい。褥婦の疲れを緩和するケアを行う。なぜなら、本症例は、1時間半~2時間おきに授乳しており、疲労が蓄積している可能性があるため。疲労は母乳分泌や精神的安定にも影響を及ぼすため、休息を促し、疲れを緩和するケアを行うことが重要である。

4.× 混合栄養で育てていくことを勧める必要はない。なぜなら、児の体重増加量は,この時期における正常範囲内であるため。また、本症例のバースプラン(希望)には、母乳哺育である。ちなみに、混合栄養とは、母乳の分泌不足やママの疲労、健康上の理由など、何らかの理由で母乳を十分に与えられないときに、母乳とミルクの両方で育児をすることである。

5.× 産後うつ病のセルフチェックをするように促す必要はない。なぜなら、本症例は、産褥2日の夕方であるため。一般的に、産後うつ病は、マタニティーブルーズの症状が2週間以上持続する場合に疑う。産後うつ病とは、産褥婦の約3%にみられ、産褥1か月以内(特に2週間以内)に発症することが多い。強い抑うつ症状を呈し、育児にも障害が出る。産後うつ病の患者への適切な対応が大切である。抑うつ状態の患者に対し、まずは患者の不安に寄り添い、共感的態度をとることが基本である。

 

 

 

 

 

次の文を読み50〜52の問いに答えよ。
 30歳の初産婦。妊娠経過は順調であった。バースプランでは、夫の立会い分娩、出産直後からの母子同室および母乳哺育を希望していた。妊娠40週1日、夫が立会い、3200gの女児を経腟分娩した。分娩所要時間は12時間、総出血量380g。会陰切開・縫合術を受けた。分娩後2時間の母児の経過は良好だったため、帰室して母子同室を開始した。

52 産褥6日、褥婦は児とともに退院した。産褥10日の夕方、自宅から産科病棟に電話があり「今朝、悪露に混じって3cmぐらいの血の塊が出ました。退院後は悪露は褐色で少量になっていたので心配です」と助産師に話した。
 確認する内容で優先度が高いのはどれか。

1.「動悸やめまいはありますか」
2.「外陰部の痛みはありますか」
3.「今も赤い悪露や血の塊が出ていますか」
4.「外陰部を前から後ろに向かって洗い流していますか」

解答

解説

本症例のポイント

・30歳の初産婦(妊娠経過:順調)。
・妊娠40週1日:夫が立会い、3200gの女児を経腟分娩。
・分娩所要時間:12時間、総出血量380g。
会陰切開・縫合術を受けた。
・産褥6日:褥婦は児とともに退院した。
・産褥10日の夕方:「今朝、悪露に混じって3cmぐらいの血の塊が出ました。退院後は悪露は褐色で少量になっていたので心配です」と。
→上記の評価や発言から適切な助言を行う。本症例の場合、退院後は悪露は褐色で少量になっていたことは正常の経過であるといえるが、

1.× 「動悸やめまいはありますか」と聞く優先度は低い。なぜなら、まずは現在の出血状況を確認することが優先されるため。動悸やめまいは、大量の出血や急激な血圧低下による循環器系の症状として現れる。現時点で、電話できていることや子宮復古状態などを鑑みると、優先度は低いといえる。

2.× 「外陰部の痛みはありますか」と聞く優先度は低い。なぜなら、現時点での主訴は「悪露に混じって3cmぐらいの血の塊が出た」ということであるため。会陰切開・縫合術を受けたことによる外陰部の痛みとの関連性が低いと考えられる。

3.〇 正しい。「今も赤い悪露や血の塊が出ていますか」と聞く。なぜなら、現在の出血状態を確認することで、子宮復古不全や産褥出血、感染症など確認でき、必要に応じて医療機関への受診への促しが行えるため。

4.× 「外陰部を前から後ろに向かって洗い流していますか」と聞く優先度は低い。なぜなら、現時点での主訴は「悪露に混じって3cmぐらいの血の塊が出た」ということであるため。外陰部を前から後ろに向かって洗い流すことは、感染予防の基本的なケアとして重要である。

子宮復古の状態

子宮復古とは、妊娠・分娩によって生じたこれらの変化が、分娩後、徐々に妊娠前の状態に戻ることである。子宮復古状態は、腹壁上から触知する子宮の位置や硬さ、子宮底長、悪露の色と量、後陣痛の強さの訴えなどから判断できる。特に、直接子宮の状態を観察できる触診、子宮底長の情報は重要である。

・分娩直後:①子宮底長(11~12cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・分娩後12時間:①子宮底長(15cm)、②子宮底の高さ(臍高~臍上1~2横指少し右方に傾く)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・1~2日:①子宮底長(11~17cm)、②子宮底の高さ(臍下1~2横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・3日:①子宮底長(9~13cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・4日:①子宮底長(9~10cm)、②子宮底の高さ(臍と恥骨結合の中央:臍恥中央)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・5日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・6日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・7~9日:②子宮底の高さ(恥骨結合上わずかに触れる)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・10日以降~3週間:②子宮底の高さ(腹壁上より触知不能)、③悪露の色調・におい(黄色・無臭)
・4~6週間:③悪露の色調・におい(白色・無臭)

 

 

 

 

 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。
 35歳の初産婦。妊娠12週。助産所での分娩を希望して来院した。身長155cm、非妊時体重55kg。自宅で出産した友人の話を聞き、自然なお産に憧れをもったという。助産所には3名の助産師が従事し、助産所業務ガイドラインに基づいて管理している。嘱託医療機関は産婦人科と小児科を標榜している病院である。助産師は妊娠34週を過ぎた妊婦については必ず嘱託医療機関に経過を連絡することにしている。

53 助産所での出産についての説明で適切なのはどれか。

1.「骨盤位分娩にも対応できます」
2.「ご夫婦で合意していることが大切です」
3.「妊婦健康診査はすべて助産所で行います」
4.「妊娠42週を過ぎても自然に陣痛が来るまで待ちます」

解答

解説

本症例のポイント

・35歳の初産婦(妊娠12週)。
・希望:助産所での分娩
・自宅で出産した友人の話を聞き、自然なお産に憧れをもったという。
→助産所での出産について、「助産所業務ガイドライン」にのっとり説明しよう。(※標榜:ひょうぼう:主義主張などをかかげて公然と示すこと。) 「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」では,「A.助産師が管理できる対象者」「B.連携する産婦人科医師と相談の上,協働管理すべき対象者」「C.産婦人科医師が管理すべき対象者」に分けて記載されている(※引用:「助産業務ガイドライン 2019」)。

 

(※図引用:「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」助産業務ガイドライン 2019より)

1.× 骨盤位分娩には「対応できない」。なぜなら、骨盤位分娩は、「C.産婦人科医師が管理すべき対象者」の5.異常な妊娠経過の妊婦に該当する。

2.〇 正しい。「ご夫婦で合意していることが大切です」と説明する。なぜなら、助産所での分娩は、母親だけでなく家族の理解と協力が重要であるため。特に、緊急時の対応や出産後のサポートについて、夫婦で合意しておくことが大切である。

3.× 妊婦健康診査は、すべて「助産所」ではなく医療機関で行う。妊婦健康診査とは、妊婦さんや赤ちゃんの健康状態を定期的に確認するために行うものである。 そして、医師や助産師などに、妊娠・出産・育児に関する相談をして、妊娠期間中を安心して過ごしていただくことが大切である。病気の有無を調べることだけが妊婦健診ではない。妊娠期間中を心身ともに健康に過ごし、無事に出産を迎えるためには、日常生活や環境、栄養など、いろいろなことに気を配る必要がある。より健やかに過ごすために、妊娠検診を活用する必要がある。検診費用には、公費による補助制度がある。日本では、「母子保健法」により、14回程度の健康診査の回数が勧められており、健康診査の間隔や実施する検査内容について、国が基準を示している。

4.× 妊娠42週を過ぎた場合は、「自然に陣痛が来るまで待つ」のではなく、「C.産婦人科医師が管理すべき対象者」となる。これは、5.異常な妊娠経過の妊婦に該当する。

分娩時期の分類

流産期とは、妊娠21週6日までの妊娠中絶(分娩)。
早産期とは、妊娠22週0日~36週6日における分娩。
正期産とは、妊娠37週0日~41週6日までの分娩。
過期産とは、42週0日以後の分娩。

 

 

 

 

 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。
 35歳の初産婦。妊娠12週。助産所での分娩を希望して来院した。身長155cm、非妊時体重55kg。自宅で出産した友人の話を聞き、自然なお産に憧れをもったという。助産所には3名の助産師が従事し、助産所業務ガイドラインに基づいて管理している。嘱託医療機関は産婦人科と小児科を標榜している病院である。助産師は妊娠34週を過ぎた妊婦については必ず嘱託医療機関に経過を連絡することにしている。

54 妊娠34週0日。妊婦健康診査にて体重62kg、血圧124/72mmHg、脈拍72/分、整。尿蛋白(-)、尿糖(-)。胎児は第2頭位、推定児体重2156g、胎児心拍数140bpm、羊水量正常、胎盤位置は前壁にある。GBS(-)。1日に数回の子宮収縮がある。内診で子宮口1cm開大、展退度40%、Station-3。妊婦と夫とは立会い分娩を希望している。
 アセスメントで正しいのはどれか。

1.正常経過である。
2.胎児発育不全がある。
3.切迫早産の徴候がある。
4.妊娠高血圧症候群の徴候がある。

解答

解説

本症例のポイント

・35歳の初産婦(妊娠34週0日)。
・身長155cm、非妊時体重55kg。
・助産師は妊娠34週を過ぎた妊婦については必ず嘱託医療機関に経過を連絡することにしている。
・妊婦健康診査:体重62kg、血圧124/72mmHg、脈拍72/分、整。尿蛋白(-)、尿糖(-)。
・胎児:第2頭位、推定児体重2156g、胎児心拍数140bpm、羊水量正常、胎盤位置は前壁にある。
・GBS(-)。1日に数回の子宮収縮がある。
・内診:子宮口1cm開大展退度40%Station-3
・妊婦と夫とは立会い分娩を希望している。
→上記の評価の正常範囲をおさえておこう。

(※図引用:「2.早産の予防・予知・診断, Tocolysis の有用性と限界」杏林舎様HPより)

1.× 正常経過「とはいえない」。なぜなら、本症例(妊娠34週0日)の内診にて、子宮口1cm開大、展退度40%、Station-3であるため。したがって、早産のリスクがあげられる。

2.× 胎児発育不全「とはいえない」。なぜなら、本児の成長は正常範囲(推定児体重2156g)であるため。ちなみに、胎児発育不全とは、平均と比べて成⻑が遅くなっていることをいい、胎盤由来の妊娠合併症の代表的なものである。子宮内での胎児の発育が遅延あるいは停止したために在胎週数に相当した胎児の発育が見られない状態で、妊娠週数に対して胎児が明らかに小さい場合をいい、胎児発育曲線において「-1.5SD以下」の場合に診断される。

3.〇 正しい。切迫早産の徴候がある。なぜなら、本症例(妊娠34週0日)の内診にて、子宮口1cm開大、展退度40%、Station-3であるため。したがって、早産のリスクがあげられる。

4.× 妊娠高血圧症候群の徴候「とはいえない」。なぜなら、本症例の血圧は124/72mmHgであるため。ちなみに、妊娠高血圧症候群とは、妊娠時に高血圧(血圧140/90mmHg以上)を発症した場合をいう。妊娠前から高血圧を認める場合、もしくは妊娠20週までに高血圧を認める場合を高血圧合併妊娠という。妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類される。肥満女性は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、巨大児などのリスクが高い。

(※引用:「胎児計測と胎児発育曲線について」産婦人科学会様HPより)

(※図引用:「妊娠高血圧腎症の診断」著:神田昌子より)

分娩時期の分類

流産期とは、妊娠21週6日までの妊娠中絶(分娩)。
早産期とは、妊娠22週0日~36週6日における分娩。
正期産とは、妊娠37週0日~41週6日までの分娩。
過期産とは、42週0日以後の分娩。

 

 

 

 

 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。
 35歳の初産婦。妊娠12週。助産所での分娩を希望して来院した。身長155cm、非妊時体重55kg。自宅で出産した友人の話を聞き、自然なお産に憧れをもったという。助産所には3名の助産師が従事し、助産所業務ガイドラインに基づいて管理している。嘱託医療機関は産婦人科と小児科を標榜している病院である。助産師は妊娠34週を過ぎた妊婦については必ず嘱託医療機関に経過を連絡することにしている。

55 妊娠38週2日に前期破水で入院した。助産師は助産所での分娩の準備を始めた。
 今後の分娩経過で嘱託医療機関への搬送を検討すべき状況はどれか。

1.破水後12時間を過ぎても陣痛発来しない。
2.分娩第2期に早発一過性徐脈がみられる。
3.分娩第2期に入って2時間以上経過している。
4.児娩出後15分経過しても胎盤が娩出されない。

解答

解説

本症例のポイント

・35歳の初産婦(妊娠34週0日)。
・身長155cm、非妊時体重55kg。
・妊婦健康診査:体重62kg、血圧124/72mmHg、脈拍72/分、整。尿蛋白(-)、尿糖(-)。
・胎児:第2頭位、推定児体重2156g、胎児心拍数140bpm、羊水量正常、胎盤位置は前壁にある。
・1日に数回の子宮収縮がある。
・内診:子宮口1cm開大、展退度40%、Station-3。

・妊娠38週2日:前期破水で入院した。
→上記の評価から、正しく読み取れるようにしよう。破水とは、卵膜が破れて羊水が子宮外に流出することである。破水は、臍帯脱出や上行感染、胎児機能不全などの原因となり得る。【破水の種類】①前期破水とは、分娩が始まる前の破水のこと、②早期破水とは、分娩開始以降で子宮口全開大前の破水のこと、③適時破水:子宮口全開大に達する頃の破水のことをいう。

(※図引用:「助産業務ガイドライン 2014 P18」)

1.× 破水後「12時間」ではなく36時間以上を過ぎても陣痛発来しない場合、嘱託医療機関への搬送を検討すべきである。

2.× 分娩第2期に「早発一過性徐脈」ではなく繰り返す遅発一過性徐脈がみられる場合、嘱託医療機関への搬送を検討すべきである。繰り返す遅発一過性徐脈のほか、繰り返す変動一過性徐脈、遷延一過性徐脈などの場合は、助産所から搬送すべき状況といえる。早発一過性徐脈とは、子宮収縮に伴って、心拍数が緩やかに減少し、緩やかに回復する波形で、一過性徐脈の最下点が子宮収縮の最強点と概ね一致しているものをいう。ちなみに、変動一過性徐脈とは、15bpm以上の心拍数減少が急速に起こり、開始から回復まで15秒以上2分未満の波形をいう。高度の判断は、①最下点が70 bpm未満で持続時間が30秒以上、②最下点が70 bpm以上80 bpm未満で持続時間が60秒以上で評価する。子宮収縮に伴って発生する場合は、一定の形を取らず、下降度、持続時間は子宮収縮ごとに変動することが多い。

3.〇 正しい。分娩第2期に入って2時間以上経過している場合、嘱託医療機関への搬送を検討すべきである。これは、下図の「分娩が遷延している」ことに該当する。

4.× 「児娩出後15分経過しても胎盤が娩出されない」ことは、嘱託医療機関への搬送を検討すべき状況とはいえない。通常、胎盤娩出は児娩出後5~30分以内に起こる。胎盤が30分以上娩出されない場合を「胎盤残留」として扱い、処置が必要となる。したがって、15分経過時点では、胎盤剥離徴候を確認しつつ、経過観察する段階である。

(※図引用:「助産業務ガイドライン 2014 P20」)

分娩期

【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。

・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。

・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。

・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。

 

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