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1 1995年開催の世界女性会議で採択されたリプロダクティブ・ヘルス/ライツの概念からみた助産師の役割で適切なのはどれか。
1.支援の対象範囲は初経から閉経までの女性である。
2.助産師が選択した避妊方法を勧める。
3.受胎に関する支援は対象者の話を聴くことにとどめる。
4.暴力被害に遭った女性への相談支援を行う。
解答4
解説
セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(Sexual and Reproductive Health and Rights:SRHR)とは、日本語訳で「性と生殖に関する健康と権利」とされ、すべての人の「性」と「生き方」に関わる重要なことである。例えば、人々が政治的・社会的に左右されず、「子どもを持つ」「持たない」を決める自由を持ち、自分たちの子どもの数、出産間隔、出産する時期を自由に決定でき、そのための健康を享受できること、またそれに関する情報と手段を得ることができる権利である。
【基本的4大要素】
1)女性自らが妊孕性を調節し、抑制できること
2)すべての女性にとって安全な妊娠と出産を享受できること
3)すべての新生児が健全な小児期を享受できること
4)性感染症の恐れなしに性的関係をもてることと
(Sciarra,1993)
1.× 支援の対象範囲は、「初経から閉経までの女性」ではなく全般のライフステージの男女である。セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(Sexual and Reproductive Health and Rights:SRHR)とは、日本語訳で「性と生殖に関する健康と権利」とされ、すべての人の「性」と「生き方」に関わる重要なことである。
2.× 「助産師が選択」ではなく自由な避妊方法が選択できる。リプロダクティブ・ライツは、個人の意思決定を尊重し、避妊方法については対象者が情報を十分に得た上で自分自身で選択することが重要である。すべての人の「性」と「生き方」に関わる重要なことである。
3.× 受胎に関する支援は対象者の話を「聴くことにとどめる」のではなく、必要に応じて具体的な支援や情報提供、さらには医療的なサポートを行うことが求められる。地域はもちろん、政治的・社会的に左右されず、「子どもを持つ」「持たない」を決める自由を持ち、自分たちの子どもの数、出産間隔、出産する時期を自由に決定でき、そのための健康を享受できること、またそれに関する情報と手段を得ることができる権利である。
4.〇 正しい。暴力被害に遭った女性への相談支援を行う。これは、1995年開催の世界女性会議で採択されたリプロダクティブ・ヘルス/ライツの概念からみた助産師の役割である。
2 男女共同参画基本計画における女性への健康支援で正しいのはどれか。
1.母子保健法に基づいている。
2.成熟期以降の女性が対象である。
3.女性の身体的問題に重点が置かれている。
4.不妊専門相談センターの整備を推進している。
解答4
解説
男女共同参画は、「男女共同参画社会基本法」に規定されている。男女共同参画社会基本法とは、男女平等を推進するべく、1999年に施行された日本の法律。男女が、互いにその人権を尊重しつつ、能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現のために作られた。 所管官庁は、内閣府である。
1.× 「母子保健法」ではなく男女共同参画社会基本法に基づいている。ちなみに、母子保健法とは、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を図るため、母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的として制定された法律である。養育医療のほかに、妊婦健康診査や母子健康手帳の交付、子育て世代包括支援センターの設置などが規定されている。
2.× 「成熟期以降の女性」ではなく全般のライフステージの男女が対象である。ちなみに、男女共同参画社会基本法とは、男女平等を推進するべく、1999年に施行された日本の法律である。
3.× 女性の身体的問題に重点が置かれているわけではない。女性の健康支援においては、精神的・社会的な健康にも重点が置かれている。
4.〇 正しい。不妊専門相談センターの整備を推進している。各都道府県、指定都市、中核市が設置している不妊専門相談センターとは、不妊に悩む夫婦に対し、不妊に関する医学的・専門的な相談や不妊による心の悩み等について医師・助産師等の専門家が相談に対応したり、診療機関ごとの不妊治療の実施状況などに関する情報提供を行っている。
WHO憲章では以下のように定義している。「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」また、同憲章にはこんなことも謳われている。「到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである。」「全ての人民の健康は、平和と安全を達成する基礎であり、個人と国家の完全な協力に依存する。」「ある国が健康の増進と保護を達成することは、全ての国に対して価値を有する。」つまり、健康が個人にとって、また国家にとっても極めて大切なものであり、その達成に向けて個人と国家が協力していくことが必要ということである。これが既に半世紀以上前に作成されており、今でもなお憲章としての意味を持ち続けているのである。
(引用:「健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年~」厚生労働省HPより)
3 性同一性障害の法的な性別変更の条件で正しいのはどれか。
1.18歳以上である。
2.未成年の子がいない。
3.性別適合手術前である。
4.パートナーが同意している。
解答2
解説
この法律によって、性同一性障害者のうち一定の要件を満たす者について、家庭裁判所の審判により、戸籍上の性別を変更することが認められるようになった。この法律では、性別変更の要件として5つを掲げて、これらをすべて満たす必要があると規定している。
①年齢(20歳以上であること)
②婚姻(現に婚姻をしていないこと)
③子ども(現に未成年の子がいないこと)
④生殖能力(生殖腺がないことまたは生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること)
⑤外観(その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること)
1.× 「18歳」ではなく20歳以上である。
2.〇 正しい。未成年の子がいない。これは、性同一性障害の法的な性別変更の条件である。
3.× 性別適合「手術前」ではなく手術後である。⑤外観(その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること)に該当する。ちなみに、性別適合手術とは、性別移行を望む者が自身の性同一性に一致するように自分の身体的な性的特徴を変えるために行う外科的手術のことである。
4.× パートナーが同意していることは、条件に含まれない。
性同一性障害(GID:Gender Identity Disorder)とは、 「生物学的には完全に正常であり、しかも自分の肉体がどちらの性に所属しているかをはっきり認知していながら、その反面で、人格的には自分が別の性に属していると確信している状態」と定義されている。
性別違和(GD:Gender Dysphoria)とは、外見上の体の性別と内面上の心の性別が一致しない状態のことをさす。 多くは中学生までに出現し、思春期で悩みを強く持つことも多い。
2013年に DSM-5では、「性同一性障害」 の病名は 「性別違和」 に変更になっている。さらに2019年 ICD-11では「性別不合:Gender Incongruence」に変更され、2022年から実行の予定である(日本語訳はまだ正式ではない)。(※参考:「きよくりnews」発行元:村口きよ女性クリニックより)
4 更年期障害に対する治療を行う際、ホルモン補充療法が可能なのはどれか。
1.脂質異常症の人
2.乳癌の既往のある人
3.血栓性静脈炎のある人
4.子宮内膜癌で治療中の人
解答1
解説
更年期とは、閉経の5年前から5年後までの約10年、つまり、生殖期から非生殖期への間の移行期のことをさすことが多い。閉経の年齢は人によって異なり、40歳代前半に迎える人もいれば、50歳代後半になっても迎えない人もいる。
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
1.〇 正しい。脂質異常症の人は、更年期障害に対する治療を行う際、ホルモン補充療法が可能である。ちなみに、脂質異常症とは、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセリド(TG)血症を指し、動脈硬化の原因となる。その治療で重要なのは、薬物療法のほか、食事指導による適正体重の維持や内臓脂肪の減量である。まず食事指導の基本は、総摂取エネルギーと栄養素配分を適正化することである。
2~4.× 乳癌の既往のある人/血栓性静脈炎のある人/子宮内膜癌で治療中の人は、ホルモン補充療法の禁忌症例に該当する。ちなみに、子宮内膜癌(子宮体がん)とは、子宮の内側を覆(おお)う子宮内膜と呼ばれる場所に発生するがんである。女性ホルモンであるエストロゲンが多い状態が続くことで発症すると考えられている。主な症状は、不正出血(生理中ではないのに性器から出血、閉経後に性器から出血など)である。治療は、手術や薬物療法、放射線治療を組み合わせた治療が検討される。
[禁忌症例]
・重度の活動性肝疾患
・現在の乳癌とその既往
・現在の子宮内膜癌、低悪性度子宮内膜間質肉腫
・原因不明の不正性器出血
・妊娠が疑われる場合
・急性血栓性静脈炎または静脈血栓塞栓症とその既往
・心筋梗塞および冠動脈に動脈硬化性病変の既往
・脳卒中の既往
[慎重投与ないしは条件付きで投与が可能な症例]
・子宮内膜癌の既往
・卵巣癌の既往
・肥満
・60歳以上または閉経後10年以上の新規投与
・血栓症のリスクを有する場合
・冠攣縮および微小血管狭心症の既往
・慢性肝疾患
・胆嚢炎および胆石症の既往
・重症の高トリグリセリド血症
・コントロール不良な糖尿病
・コントロール不良な高血圧
・子宮筋腫,子宮内膜症、子宮腺筋症の既往
・片頭痛
・てんかん
・急性ポルフィリン症
(※参考:「ホルモン補充療法ガイドライン 2017 年度版」日本産科婦人科学会より)
5 胎児に観察される運動で最初に出現するのはどれか。
1.あくび
2.嚥下
3.全身運動
4.呼吸様運動
解答3
解説
1~2.× あくび/嚥下は、妊娠12週ごろからみられる。あくびや口をもぐもぐさせるなど、生まれてから生きていくために必要な練習を始める。
3.〇 正しい。全身運動は、胎児に観察される運動で最初に出現する。全身運動は、胎児の最初に見られる運動で8~9週ごろに現れる。ちなみに、「妊娠10週頃からしゃっくり,驚愕運動,上肢・下肢の単独運動,頭部の運動,そして 全身の伸展運動もみられるようになる」と記載されている(※引用:「ヒト胎児の行動発達 – kyushu – 九州大学」)
4.× 呼吸様運動は、妊娠10週頃ごろからみられる。「呼吸様運動は妊娠10週前後より観察されるが、初期に見られるのは胸部、腹部の痙攣様収縮運動で、呼吸様運動として明瞭になるのは16週前後である」と記載されている(※引用:「2)エコーによる胎児機能評価 – Kyorin」)