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11 産褥1日。児は口唇裂と診断された。母親は、母児同室を拒み、授乳も助産師に依頼し、病室で何をするでもなくぼんやりと過ごしている。
このときの助産師の対応で適切なのはどれか。
1.児を抱くように促す。
2.母児同室を行うように促す。
3.夫に至急連絡をとり母親の状況を伝える。
4.児のことには触れずに母親の身体回復へのケアを行う。
解答4
解説
・産褥1日(児:口唇裂)。
・母親:母児同室を拒み、授乳も助産師に依頼。
・病室で何をするでもなくぼんやりと過ごしている。
→なぜ母親は、母児同室を拒み、授乳も助産師に依頼しているのか考えよう。母親の状況を受容しきれておらずショック期である。障害受容の過程はたどるため、共感し分かりやすい言葉での説明が必要である。障害受容の過程は、「ショック期→否認期→混乱期→解決への努力期(再起)→受容期」の順に現れる。5段階のプロセスは順序通りに進むわけはなく、また障害受容に至らない障害者も存在する。
1~2.× 児を抱くように/母児同室を行うように促す優先度は低い。なぜなら、促す行為は母親へさらに心理的負担を強める恐れがあるため。
3.× 夫に至急連絡をとり母親の状況を伝える優先度は低い。なぜなら、母親の様子は、至急連絡が必要なほど切迫した状況でないため。母親の希望や意向、精神状態などに配慮しなければならない。
4.〇 正しい。児のことには触れずに母親の身体回復へのケアを行う。なぜなら、児に対して、母親が精神的に動揺していることを踏まえる必要があるため。出産直後の母親は、身体的回復が重要であり、心理的負担を軽減しつつ、本人の気持ちが落ち着くまで待つことが優先される。
障害受容の過程は、「ショック期→否認期→混乱期→解決への努力期(再起)→受容期」の順に現れる。5段階のプロセスは順序通りに進むわけはなく、また障害受容に至らない障害者も存在する。
①ショック期:感情が鈍磨した状態
②否認期:現実に起こった障害を否認する
③混乱期:攻撃的あるいは自責的な時期
④解決への努力期(再起):自己の努力を始める時期
⑤受容期:新しい価値観や生きがいを感じる時期
12 Dubowitz法について正しいのはどれか。
1.発育障害の評価をする。
2.出生直後に評価をする。
3.外表所見の1つに頭髪による評価がある。
4.神経学的所見の1つにスカーフ徴候による評価がある。
解答4
解説
デュボヴィッツ法とは、姿勢・筋緊張・反射などの検査から新生児の全体的な反応をとらえ、中枢神経系の機能不全に対する早期診断法として有用である評価法である。「脳性麻痺リハビリテーションガイドライン」でも推奨グレードが高い。
(※図引用:「極出生体重児の成熟度判定」)
1.× 「発育障害」ではなく在胎週数の推定の評価をする。外見所見や神経学的観察所見により評価する。
2.× 「出生直後」ではなく生後24~48時間に評価をする。なぜなら、生後24~48時間の実施は、児の出生直後のストレスが解消され、評価に正確性が保証されるため。
3.× 外表所見の1つに、「頭髪」の評価項目はない。外表所見は、主に皮膚、うぶげ、足底のしわ、乳房、目/耳、性器などである(上図参照)。
4.〇 正しい。神経学的所見の1つにスカーフ徴候による評価がある。神経学的所見の評価は、肢位、角窓、足首の背屈、上肢/下肢の戻り反応、膝窩角、踵-耳試験、スカーフ徴候、頭のすわり、腹囲宙づりである。スカーフ徴候とは、正常(陰性)の場合、腕を首に巻きつけるようにすると抵抗するが、陽性の場合は抵抗がみられない反応のことである。例えば、ダウン症児の筋緊張低下の際に陽性となる。
13 在胎38週0日、体重2800gで出生した児。出生直後に21トリソミーにみられる特異な顔貌を認めた。出生後30分の観察にて、体温36.7℃、呼吸数28/分、心拍数134/分、整。第1排尿はない。
対応で適切なのはどれか。
1.直接授乳は中止する。
2.心雑音の有無を聴取する。
3.出生後2時間の尿量を確認する。
4.特徴的な啼泣の有無を観察する。
解答2
解説
・在胎38週0日(体重2800gで出生)。
・出生直後:21トリソミーにみられる特異な顔貌。
・出生後30分:体温36.7℃、呼吸数28/分、心拍数134/分、整。
・第1排尿はない。
→21トリソミー(ダウン症候群)の合併症をおさえておこう。21トリソミーとは、ダウン症候群ともいい、第5指中節骨異形成、房室中隔欠損、十二指腸閉鎖の他にも①特異な顔貌、②多発奇形、③筋緊張の低下、④成長障害、⑤発達遅滞を特徴とする。また、約半数は、先天性心疾患や消化管疾患などを合併する。特異顔貌として、眼瞼裂斜上・鼻根部平坦・内眼角贅皮・舌の突出などがみられる。
1.× 直接授乳は中止する必要はない。なぜなら、バイタルサインには異常なく、21トリソミーの児であっても、授乳を行わない理由にはならないため。授乳は児にとっても、胃腸炎や風邪やインフルエンザや感染症、乳幼児突然死症候群(SIDS)にかかる確率が低くなる効果がある。一方で、母乳からウイルスが感染することが証明されている感染症、例えば、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、HTLVI(成人T細胞白血病ウイルス)、CMV(サイトメガロウイルス)などは、母乳をやめるか、あげ方の工夫が必要であるため、医師に相談する必要がある。
2.〇 正しい。心雑音の有無を聴取する。21トリソミー(ダウン症候群)の児は、先天性心疾患(特に房室中隔欠損など)を合併することが多いため。聴診により心疾患の兆候を早期に発見することが可能である。
3.× 出生後2時間の尿量を確認する優先度は低い。なぜなら、本児のように出生後30分で排尿がないことは異常とはいえないため。一般的に、新生児では、最初の排尿は通常生後24時間以内にみられる。異常所見がみられた場合、出生後2時間の尿量を確認する。
4.× 特徴的な啼泣の有無を観察する必要はない。なぜなら、21トリソミー(ダウン症候群)の児における特徴的な啼泣はみられないため。ちなみに、特徴的な啼泣は、5p欠失症候群(猫鳴き症候群)においてみられる。
14 A市にあるボランティア組織「ツインピアの会」は、多胎児の育児経験のある女性たちが多胎児を出産した親に対して、1か月健康診査に同伴する活動を行っている。同市にある病院では、多胎児を出産した褥婦にこの組織を紹介していきたいと考えている。
連携をとるために病院が行うことで適切なのはどれか。
1.「ツインピアの会」に年間活動報告の提出を指示する。
2.同伴するボランティアとして院内の助産師を派遣する。
3.「ツインピアの会」に同伴する児の出生時の状況を伝える。
4.「ツインピアの会」の活動を院内の助産師に情報提供する。
解答4
解説
・ボランティア組織「ツインピアの会」
・対象:多胎児の育児経験のある女性たちが多胎児を出産した親
・活動:1か月健康診査に同伴する。
・病院:多胎児を出産した褥婦にこの組織を紹介していきたい。
→どのようにすれば病院へ、この活動を効果的に紹介できるか考えよう。
1.× 「ツインピアの会」に年間活動報告の提出を指示する優先度は低い。なぜなら、ボランティア団体に年間活動報告の提出の義務はないため。また、ボランティア団体は自主的に運営されている組織である。病院とボランティア団体には、上下の立場はなく、病院はボランティア団体に指示できる立場ではなく、ボランティア団体も従う必要はない。
2.× 同伴するボランティアとして「院内の助産師を派遣」する優先度は低い。なぜなら、「ツインピアの会」は、多胎児の育児経験者が主体となるボランティア組織であるため。院内の助産師が、多胎児の育児経験者でない可能性も高い。また、院内の助産師は、病院組織に所属する給料をもらう雇用者である。したがって、見返り等を求めない無償・無給性が基本となるボランティアの観点からも外れてしまう。
3.× 「ツインピアの会」に同伴する児の出生時の状況を伝える必要はない。なぜなら、児の出生時の状況は、個人情報に該当するため。患者のプライバシー保護の観点からも個人情報の取り扱いには十分な注意が必要である。
4.〇 正しい。「ツインピアの会」の活動を院内の助産師に情報提供する。病院としてボランティア組織との連携を進めるためには、まず院内のスタッフ(助産師など)に対してボランティアの活動内容を共有することが重要である。助産師が「ツインピアの会」の活動について理解していれば、産後の母親に適切にボランティア組織を紹介し、連携を深めることができる。
個人情報保護法(第2条)
『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名・生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう。
15 初診時の妊婦健康診査の結果を示す。
助産所で管理可能と考えられるのはどれか。
1.17歳、初産婦。血圧146/88mmHg
2.36歳、1回経産婦。前回、妊娠糖尿病。血圧118/88mmHg
3.44歳、2回経産婦。前回、帝王切開分娩。血圧122/70mmHg
4.25歳、1回経産婦。前回、経腟骨盤位分娩。血圧120/72mmHg
解答4
解説
「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」では,「A.助産師が管理できる対象者」「B.連携する産婦人科医師と相談の上,協働管理すべき対象者」「C.産婦人科医師が管理すべき対象者」に分けて記載されている。
(※引用:「助産業務ガイドライン 2019」)※詳しくは下図参照
(※図引用:「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」助産業務ガイドライン 2019より)
1.× 17歳、初産婦。血圧146/88mmHgは、助産所で管理できない。なぜなら血圧146/88mmHg(妊娠高血圧症候群)がリスクとなるため。 「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」の「C.産婦人科医師が管理すべき対象者」の「異常な妊娠経過の妊婦」に該当する。ちなみに、妊娠高血圧症候群とは、妊娠時に高血圧(収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上)を発症した場合をいう。妊娠前から高血圧を認める場合、もしくは妊娠20週までに高血圧を認める場合を高血圧合併妊娠という。妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類される。
2.× 36歳、1回経産婦。前回、妊娠糖尿病。血圧118/88mmHgは、助産所で管理できない。なぜなら妊娠糖尿病がリスクとなるため。「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」の「C.産婦人科医師が管理すべき対象者」の「異常な妊娠経過の妊婦」に該当する。ちなみに、妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常である。糖代謝異常とは、血液に含まれる糖の量を示す血糖値が上がった状態である。肥満女性は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、巨大児などのリスクが高い。診断基準は糖負荷試験をした際に、空腹時血糖92mg/dL以上、1時間値180mg/dL以上、2時間値153mg/dL以上のいずれか1点以上を満たした場合である。
3.× 44歳、2回経産婦。前回、帝王切開分娩。血圧122/70mmHgは、助産所で管理できない。なぜなら、帝王切開分娩がリスクとなるため。「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」の「C.産婦人科医師が管理すべき対象者」の「産科的既往がある妊婦」に該当する。また、44歳という年齢は、「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」の「B.連携する産婦人科医師と相談の上,協働管理すべき対象者」の「理学的所見のあるもの」に該当する。
4.〇 正しい。25歳、1回経産婦。前回、経腟骨盤位分娩。血圧120/72mmHgは、助産所で管理可能である。「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」の「A.助産師が管理できる対象者」に該当するため。