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36 多胎妊娠について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.二卵性双胎の約75%が二絨毛膜性である。
2.双胎は単胎に比べて妊娠糖尿病になりやすい。
3.二卵性双胎が生じる頻度は遺伝素因に無関係である。
4.一絨毛膜性双胎は二絨毛膜性双胎に比べて周産期死亡率が高い。
5.二絨毛膜性双胎は一絨毛膜性双胎に比べて双胎間輸血症候群を生じやすい。
解答2・4
解説
多胎妊娠とは、2人以上の赤ちゃんを同時に妊娠することをいう。 双胎妊娠とは双子のことを指す。双胎妊娠には①一卵性双胎と②二卵性双胎とがある。②二卵性双胎は2個の受精卵から発生したもので、2個の胎盤があり、二絨毛膜二羊膜となる。一卵性双胎は1個の受精卵が分裂することにより発生し、分裂の時期により二絨毛膜二羊膜、一絨毛膜二羊膜、一絨毛膜一羊膜のいずれかになる。
1.× 二卵性双胎の「約75%」ではなく100%が二絨毛膜性である。双胎妊娠には①一卵性双胎と②二卵性双胎とがある。②二卵性双胎は2個の受精卵から発生したもので、2個の胎盤があり、二絨毛膜二羊膜となる。一卵性双胎は1個の受精卵が分裂することにより発生し、分裂の時期により二絨毛膜二羊膜、一絨毛膜二羊膜、一絨毛膜一羊膜のいずれかになる。
2.〇 正しい。双胎は単胎に比べて妊娠糖尿病になりやすい。双胎妊娠では悪阻(つわり)、早産、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、HELLP症候群、子宮内胎児発育遅延、胎児形態異常、子宮内胎児死亡、血栓症などの合併症が単胎妊娠に比べて起こりやすい。特に、早産は多胎妊娠では頻度が高く、双胎妊娠の児の予後に大きく関わる合併症である。ちなみに、妊娠高血圧症候群とは、妊娠時に高血圧(血圧140/90mmHg以上)を発症した場合をいう。妊娠前から高血圧を認める場合、もしくは妊娠20週までに高血圧を認める場合を高血圧合併妊娠という。妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類される。
3.× 二卵性双胎が生じる頻度は遺伝素因に「関係する」。特に母系の遺伝の影響を受ける。
4.〇 正しい。一絨毛膜性双胎は二絨毛膜性双胎に比べて周産期死亡率が高い。なぜなら、一絨毛膜双胎は双胎間輸血症候群のリスクが高く、分娩時にも合併症が生じやすいため。ちなみに、双胎間輸血症候群とは、この胎盤の吻合血管により双胎間に慢性の血流アンバランス(不均衡)が生じ引き起こされる病態である。一絨毛膜二羊膜双胎の約10%に起こるとされる。
5.× 逆である。「一絨毛膜性双胎」は、「二絨毛膜性双胎」に比べて双胎間輸血症候群を生じやすい。なぜなら、一絨毛膜双胎は双胎間輸血症候群のリスクが高く、分娩時にも合併症が生じやすいため。ちなみに、双胎間輸血症候群とは、この胎盤の吻合血管により双胎間に慢性の血流アンバランス(不均衡)が生じ引き起こされる病態である。一絨毛膜二羊膜双胎の約10%に起こるとされる。
37 新生児の脳室周囲白質軟化症について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.早産児に多い。
2.初発症状はけいれんが多い。
3.病変は左右対称性にみられる。
4.診断は生後24時間以内に行う。
5.原因は児の高二酸化炭素血症である。
解答1・3
解説
脳室周囲白質軟化症とは、早産児あるいは低出生体重児が来たしうる、脳室周囲の白質に軟化病巣が生じる疾患である。原因として、出生前~周産期に低酸素や仮死、出血などがあげられる。脳室周囲白質部、特に三角部には頭頂葉に存在する運動中枢からの神経線維、いわゆる皮質脊髄路が存在するため、脳室周囲白質軟化症の存在する児ではその連絡が絶たれ、痙性麻痺(脳性麻痺の一つ)となる。
1.〇 正しい。早産児に多い。なぜなら、早産児は脳が未熟であり、血流や酸素の供給が不十分になることがあるため。したがって、脳室周囲の白質が損傷する。ちなみに、早産児とは37週未満(36週6日まで)、低出生体重児は2,500g未満である。ちなみに、1,500g未満であれば極低出生体重児、1,000g未満であれば超低出生体重児という。42週以上であれば過期産児という。
2.× 初発症状は、「けいれん」ではなく無症状が多い。症状が現れるのは数週間から数か月後で、運動発達遅滞や注意や記憶といった認知的側面の問題を引き起こす。
3.〇 正しい。病変は左右対称性にみられる。重症例では四肢麻痺になる。四肢麻痺とは、左右の上・下肢が麻痺で動かない状態を指す。頚椎・頚髄の病変・損傷が最も疑われる。
4.× 診断は、生後24時間「以内」ではなく以上かかることが多い。なぜなら、脳室周囲白質軟化症の疑いから診断まで、生後数週間から数か月後分かることが多いため。脳室周囲の白質が損傷や運動機能から疑われることが多い。脳の超音波やMRIなどで診断されることが多い。
5.× 原因は児の「高二酸化炭素血症」ではなく脳の血流不全や低酸素状態である。
38 分娩第2期に側臥位の姿勢をとる利点はどれか。2つ選べ。
1.胎児の下降が早い。
2.陰部の浮腫が少ない。
3.肩甲娩出がスムーズである。
4.分娩介助者が会陰を保護しやすい。
5.骨盤を動かしながら娩出力を調節できる。
解答2・3
解説
側臥位の【利点】①会陰裂傷の防止、②産婦が休息しやすい、③後方後頭位の回転に有効、④子宮胎盤血流量の減少が少ない。【欠点】①娩出力の低下、②産婦の表情がわかりづらい、③分娩時に足を保持する者が必要、④胎児心音が聴取しづらい。
1.× 胎児の下降が「早い」とはいえない。なぜなら、側臥位の欠点は、娩出力の低下であるため。したがって、側臥位は、「第3度以上の会陰裂傷」は起きにくい。
2.〇 正しい。陰部の浮腫が少ない。/肩甲娩出がスムーズである。
これらは、分娩第2期に側臥位の姿勢をとる利点である。側臥位をとることで、骨盤底や会陰部にかかる圧力が分散され、陰部の浮腫が軽減される。また、側臥位は力を抜くことが容易であり、会陰の緊張が少ない。したがって、肩甲娩出に寄与する。
4.× 分娩介助者が会陰を保護しやすいは、背臥位である。むしろ、側臥位により片足は重力に逆らわなければならないため、会陰の保護は困難になることが多い。どの肢位と比較するかにもよるが、背臥位のほうが分娩介助者が会陰を保護しやすい。ちなみに、背臥位の【利点】①医療処置がしやすい、②足への圧迫が少ない(血栓症の危険性が低下)、③会陰保護が容易である。【欠点】①娩出力の低下、②大動脈への圧迫により子宮動脈血流量の減少があげられる。
5.× 骨盤を動かしながら娩出力を調節できるのは、四つ這い位である。四つんばいの主な特徴として、①産道裂傷をきたしにくい、②腰痛緩和、③介助者が産婦と顔を合わせられないことである。四つん這いの【利点】①陣痛の緩和、②骨盤・下半身の動かせる(腹圧の調整が可能)、③子宮による大動脈の圧迫がない、④児を股間から腹部に抱くことができるため、早期母子接触を行いやすい。⑤回旋異常が戻りやすい。【欠点】①小陰唇の裂傷が生じやすい。②産婦と介助者の顔が反対であるため、互いの顔がみえない。③胎児心音が聴取しにくい。④下肢のしびれが生じやすい。(※参考:「フリースタイル出産」看護roo!様HPより)
【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。
・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。
・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。
・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。
39 1歳6か月児が行うことができるのはどれか。2つ選べ。
1.幅跳びをする。
2.三輪車をこぐ。
3.押し車で遊ぶ。
4.積み木を2個積む。
5.ままごとで役割を演じる。
解答3・4
解説
(1)特 性
・体型は次第に細身に変化し始める。
・歩行が可能になる。
・手指操作の微細運動が発達し、道具が使えるようになっていく。
・社会性の発達とともに自我の芽生えが見られる時期である。
・視線、指さし動作、さらにことばによる意志の伝達と受け取り(周囲の指示理解)が可能になる。
(※引用:「新潟県福祉保健部 乳幼児保健指導の手引」)
(※図:日本版デンバー式発達スクリーニング検査)
1.× 幅跳びをするのは、3歳ごろ獲得できる能力である(日本版デンバー式発達スクリーニング検査参照)。
2.× 三輪車をこぐのは、3歳ごろ獲得できる能力である(日本版デンバー式発達スクリーニング検査参照)。
3.〇 正しい。押し車(カタカタ)で遊ぶことは、1歳6か月児が行う。1歳ころから上手に歩くことができる。
4.〇 正しい。積み木を2個積むことは、1歳6か月児が行う。6か月は、積み木をとったり、持ち替えたり、支えなしに座ることが獲得できる時期である。1歳は、両手の積み木を打ち合わせたり、親指と人差し指の指先で掴む、上手に歩くことができる時期である。
5.× ままごとで役割を演じる(ごっこ遊び:2歳~5歳)ことは、3歳ごろに多く見られる。ごっこ遊びとは、ままごと・電車ごっこなど周囲の様々な生活や自然をまねることによって楽しむ遊びである。模倣遊びともいう。
【1歳6か月】
・コップで水を飲む。
・スプーンを使って食べようとする。
・積み木を2~3個積むことができる。
・意味のある言葉を2~3語話す(パパ, ママ, ブーブー)。
・簡単な指示に従うことができる(おいで、○○をとって)。
・離乳が完了する。
【3歳】
・自分の名前を言う。
・簡単な文章を話す。
・指示に従う。
・物の大小や長短、色を区別できる。
・箸を持って食べる。
・手を洗う。
・ままごとやごっこ遊びをする。
40 助産所の開設と管理について医療法で規定されているのはどれか。2つ選べ。
1.分娩費用
2.臨時応急の手当
3.従事者の人的構成
4.妊産褥婦の収容人数
5.嘱託医師を定めること
解答4・5
解説
助産所について、「医療法」に記載されている。ちなみに、医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。
助産所の管理(医療法第11条、第12条、第15条第2項)
・助産所の開設者は、助産師に、これを管理させなければならない。
・自ら管理者となることができるものである場合は、原則として、自ら管理しなければならない。
・助産所の管理者は、助産所に勤務する助産師その他の従業者を監督し、その業務遂行に遺憾のないよう必要な注意をしなければならない。
1.× 分娩費用は、公的医療保険が適用されず出産費用の実費が請求される。平均で50万円程度かかるが自治体によって補助金や助成金の支給対象となる。
2.× 臨時応急の手当は、保健師助産師看護師法の第4章第三十七条に規定されている。「・・・ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。(※一部引用:「保健師助産師看護師法」厚生労働省HPより)」ちなみに、母子保健法とは、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を図るため、母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的として制定された法律である。
3.× 「従事者」の人的構成は、法律に規定されていない。ちなみに、医療法第14条では、助産所の管理者は同時に10人以上を入所させてはならないと定められている。ただし他に入院、入所させるべき適当な施設がない場合においては臨時応急のための入所は除外される(※参考:「医療法」e-GOV法令検索様HPより)。
4.〇 正しい。妊産褥婦の収容人数は、医療法(第16条)で9人以下と規定されている。医療法施行規則第16条に「法第二十三条第一項の規定による病院又は診療所の構造設備の基準は、次のとおりとする。ただし、第九号及び第十一号の規定は、患者を入院させるための施設を有しない診療所又は九人以下の患者を入院させるための施設を有する診療所(療養病床を有する診療所を除く。)には適用しない。」と記載されている。
5.〇 正しい。嘱託医師を定めることは、医療法(第19条)で規定されている。医療法施行規則15条2項に「分娩を取り扱う助産所の開設者は、分娩時等の異常に対応するため、法第十九条の規定に基づき、病院又は診療所において産科又は産婦人科を担当する医師を嘱託医師として定めておかなければならない」と記載されている。
「国民医療費」とは、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。この費用には、医科診療や歯科診療にかかる診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等が含まれる。なお、保険診療の対象とならない評価療養(先進医療(高度医療を含む)等)、選定療養(入院時室料差額分、歯科差額分等)及び不妊治療における生殖補助医療などに要した費用は含まない。また、傷病の治療費に限っているため、(1)正常な妊娠・分娩に要する費用、(2)健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等に要する費用、(3)固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用も含まない。
(※一部抜粋:「国民医療費の範囲と推計方法の概要」厚生労働省HPより)