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11 妊娠30週0日の初妊婦への母乳育児に向けた説明で適切なのはどれか。
1.「お産当日から頻回授乳することが大切です」
2.「妊娠37週を過ぎるまでは乳頭には触れないでください」
3.「お産後は搾乳が必要なので今から練習しておきましょう」
4.「母乳と人工乳のどちらで育てていくかを妊娠中に決めておきましょう」
解答1
解説
1.〇 正しい。「お産当日から頻回授乳することが大切です」と妊娠30週0日の初妊婦への母乳育児に向けた説明する。なぜなら、母乳の供給は需要に応じて増えるため。頻回授乳により、母乳の分泌が促進され、児の吸啜反射も活発になる。
2.× 乳頭の手入れは、「妊娠37週以降」ではなく妊娠16週ごろから行う。乳頭の手入れとは、授乳前に乳頭をマッサージすることで乳頭を柔らかくし、また刺激に慣れさせることでトラブルの予防に行う。乳房マッサージと一緒に行うことが多く、妊娠16週を過ぎたら乳頭のお手入れするように指導することが多い。
3.× 必ずしも、お産後、搾乳が必要とはいえない。なぜなら、搾乳とは、児の哺乳力が弱いか、陥没乳頭などでうまく捕乳できない場合に、母乳を絞って哺乳瓶で与える方法であるため。
4.× 母乳と人工乳のどちらで育てていくか、「妊娠中」に決める必要はない。なぜなら、母乳と人工乳の切り替えは、いつでも行えるため。ちなみに、人工乳とは、何らかの理由で母乳が与えられない場合、調製粉乳による人工乳が使用されることが多い。現在では母乳の代用品としての調製粉乳の品質も向上し、母乳の場合と比べても大差なく育児ができるようになっている。
12 28歳の女性。33歳の夫と2人暮らし。仕事が忙しく不規則な生活によって体重が減少し、2年前から無月経となった。1年前から妊娠を希望しているが、無月経が続いているため外来を受診し、視床下部性の排卵障害と診断された。身長160cm、体重40kg(3年前の体重53kg)。医師からは夫の検査も勧められている。女性は「これからどうすればいいのでしょうか」と助産師に質問した。
助産師の説明で適切なのはどれか。
1.「養子縁組をしましょう」
2.「もう少し様子をみましょう」
3.「体重を増やすことが大切です」
4.「夫の検査結果が出るのを待ちましょう」
解答3
解説
・28歳の女性(2年前から無月経、視床下部性の排卵障害)。
・2人暮らし:33歳の夫(1年前から:妊娠希望)
・仕事が忙しく不規則な生活:体重減少。
・身長160cm、体重40kg(3年前の体重53kg)。
・医師から:夫の検査も勧められている。
・女性「これからどうすればいいのでしょうか」と。
→視床下部性無月経とは、ダイエット、運動、ストレスで無月経になったものをさす。視床下部は、今、妊娠すると危ないと感じれば生殖活動を停止させるため、低栄養状態や過度のストレスで生理が止まる。ちなみに、3ヶ月間生理が来ない状態を無月経という。女性全体の数%、無月経の人の中では35%が視床下部性無月経と考えられている。
1.× 「養子縁組をしましょう」と伝える必要はない。なぜなら、本症例は、まだ治療の可能性がある段階であるため。ちなみに、特別養子縁組とは、子どもの福祉の増進を図るために、養子となるお子さんの実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、実の子と同じ親子関係を結ぶ制度である。特別養子縁組は、養親になることを望むご夫婦の請求に対し、要件を満たす場合に、家庭裁判所の決定を受けることで成立する。(※参考:「特別養子縁組制度について」厚生労働省HPより)。
2.× 「もう少し様子をみましょう」と伝える必要はない。なぜなら、本症例は、1年前から:妊娠希望しており、「これからどうすればいいのでしょうか」と具体的な対応を聞いているため。様子を見るだけでは直接的な解決へとはならない。
3.〇 正しい。「体重を増やすことが大切です」と伝える。なぜなら、本症例のBMIは15.6であるため。体重を増加させることで、視床下部の機能が改善し、月経や排卵が再開する可能性がある。ちなみに、BMIとは、体重(㎏) ÷ 身長の2乗(m) で計算される体格指数のことである。日本肥満学会の基準では、18.5以下:低体重、25以下:普通、30以下:肥満Ⅰ度、35以下:肥満Ⅱ度、40以下:肥満Ⅲ度、40以上:肥満Ⅳ度である。
4.× 「夫の検査結果が出るのを待ちましょう」と伝える必要はない。なぜなら、夫の検査結果が出るまでに、行えることがあるため。夫の検査も重要ではあるが、女性自身の健康状態(特に体重)を改善することが、妊娠の可能性を高めるために重要である。
13 42歳の初産婦。分娩第1期所要時間は12時間、子宮口全開大から100分経過している。Station+2、胎児の矢状縫合は第1斜径で小泉門は1時方向に触れる。陣痛間欠2~3分、陣痛発作40秒。胎児心拍数陣痛図の波形はレベル2である。
アセスメントで適切なのはどれか。
1.正常経過
2.微弱陣痛
3.児頭下降不良
4.胎児機能不全
解答1
解説
・42歳の初産婦。
・分娩第1期所要時間:12時間、子宮口全開大から100分経過。
・Station+2、胎児の矢状縫合:第1斜径で小泉門は1時方向に触れる。
・陣痛間欠2~3分、陣痛発作40秒。
・胎児心拍数陣痛図の波形:レベル2。
→上記評価の正常な範囲と異常所見をおさえておこう。
(※図引用:「助産師基礎教育テキスト:第 5 巻:2020 年版訂正ご案内」株式会社日本看護協会出版会様HPより)
1.〇 正しい。正常経過と評価できる。
2.× 微弱陣痛は考えにくい。なぜなら、本症例は、子宮口全開大において、陣痛間欠2~3分、陣痛発作40秒であるため。ちなみに、微弱陣痛とは、一旦分娩開始した(陣痛の間隔が10分以内ごとであり 、痛みを伴う子宮収縮により分娩が進行)にも関わらず、陣痛の強さが弱く、発作の持続が短く、かつ陣痛の間隔が長くなってしまい、分娩が進行しない状態をいう。子宮口の開き具合により、6分30秒以上(子宮口の開き:4~6cm)、6分以上(子宮口の開き:7~8cm)、4分以上(子宮口の開き:9~10cm)が陣痛周期の目安とされている。子宮口が完全に開いてから(分娩第2期)は、初産婦では4分以上、経産婦では3分30秒以上が微弱陣痛の目安となる。
3.× 児頭下降不良は考えにくい。なぜなら、本症例は、Station+2において胎児の矢状縫合は、第1斜径で小泉門は1時方向に触れることができるため(上の表参照)。
4.× 胎児機能不全は考えにくい。なぜなら、本症例は、胎児心拍数陣痛図の波形がレベル2であるため。つまり、レベル2は、亜正常波形である。ちなみに、胎児機能不全とは、お産の途中でさまざまな原因によって胎児が低酸素状態になることをいう。胎児仮死、胎児ジストレスとも呼ぶ。原因としては母体の妊娠高血圧症候群、胎盤早期剥離、臍帯の圧迫などである。新生児蘇生法ガイドライン(NCPR)に従って蘇生初期処置を行い、蘇生終了後、新生児の健康に不安がある場合、新生児管理に関する十分な知識と経験がある医師に相談する。
(※引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P229」)
14 助産師の利き手が右手の場合、仰臥位分娩での発露時の会陰保護で正しいのはどれか。
1.左手で児頭を徐々に娩出する。
2.右手で肛門側から児頭を強く圧迫する。
3.右手で肛門保護を行い、左手は使用しない。
4.両手を陰裂に当て、会陰を下方に押し下げる。
解答1
解説
会陰保護(仰臥位会陰保護法)は、会陰保護する手と肛門部の間にできる窪みを埋めて、保護する手の圧迫が会陰から肛門部にかけて均等にかかるようにするものである。目的として、①児頭や児の肩甲が陰門を通過する際に、会陰や軟産道の裂傷を予防すること、②急速に胎児が娩出するのを防ぐことがあげられる。
開始時期は、経産婦:排臨(陣痛発作時に胎児先進部が下降して陰裂の間に見え、陣痛間欠時には後退して見えなくなる状態)であり、初産婦:発露(胎児先進部が陰裂間に絶えず見え、陣痛間欠時にも後退しない状態)である。
1.〇 正しい。左手で児頭を徐々に娩出する。右利きの助産師の場合、左手の手根部を使用し、児の後頭部をつつみこむ。母指・示指・中指の指腹を用い、児頭をコントロールしながら徐々に娩出させる。
2.× 右手で肛門側から児頭を強く圧迫する必要はない。なぜなら、過度な圧力は会陰や児頭に悪影響を与える可能性があるため。肛門の拡大や圧痛が見られたら、肛門保護を行う。
3.× 右手で肛門保護を行い、左手も使用する。右利きの助産師の場合、左手の手根部を使用し、児の後頭部をつつみこむ。母指・示指・中指の指腹を用い、児頭をコントロールしながら徐々に娩出させる。
4.× 両手を陰裂に当て、会陰を下方に押し下げる必要はない。なぜなら、会陰を下方に押し下げるだけではなく、児頭の進行をコントロールする必要があるため。
第1回旋(屈曲):児頭が骨盤入口部に進入する時、児頭は両耳結合線を軸とする横軸回旋をして強い前屈位をとる(後頭位)。この第1回旋により、先進部は小泉門となり、小斜径で産道に接するようになる。
第2回旋(内回旋):児頭は先進する小泉門が常に母体前方に向かうように、胎児長軸を軸とする縦軸回旋をしながら下降する(前方後頭位)。分娩所要時間のうち、この過程に最も時間を要する。
第3回旋(伸展):児頭後頭部が恥骨結合下を通過して、後部が恥骨下縁に接すると、そこを支点として頭部が反屈状に横軸回旋する。この運動によって、児頭は前頭、顔面、オトガイ部の順に会陰を滑って娩出される。第1回旋の逆の動きである。
第4回旋(外回旋):児頭娩出に引き続き、肩甲の下降が起こり、それに伴って児の顔面が母体大腿内側を向く縦軸回旋をする。第2回旋の逆の動きである。
第1・第3回旋:胎児の姿勢を変化させる回旋(胎勢回旋・横軸回旋)である。
第2・第4回旋:体幹の向きが移動する回旋(胎向回旋・縦軸回旋)である。
15 硬膜外麻酔下の分娩における麻酔の影響で起こりやすいのはどれか。
1.鉗子・吸引分娩になりやすい。
2.出生児に呼吸抑制が生じやすい。
3.子宮復古が遅れやすい。
4.母体の誤嚥性肺炎発症の危険性が高くなりやすい。
解答1
解説
硬膜外麻酔とは、局所麻酔の一つ。 硬膜外腔に局所麻酔薬やオピオイドを投与することにより、鎮痛を得るものである。単独あるいは脊髄くも膜下麻酔、全身麻酔と併用される。手術中の鎮痛の他、カテーテルを留置して術後鎮痛に使用される。帝王切開の際に用いられることが多い。
1.〇 正しい。鉗子・吸引分娩になりやすい。なぜなら、分娩時のいきむ感覚が鈍くなることがあるため。「無痛分娩(硬膜外鎮痛法)のリスクとして、遷延分娩・吸引分娩・鉗子分娩の増加があげられる。硬膜外麻酔によって微弱陣痛となり分娩時間が長くなり,吸引分娩や鉗子分娩が多くなる。それに伴う弛緩出血、産道裂傷や出血多量の可能性がある」(※参考:「無痛分娩(硬膜外鎮痛法)をお考えの皆様へ硬膜外鎮痛法(硬膜外麻酔)のご説明」)。 ちなみに、鉗子分娩とは、児頭を鉗子で挟み児を娩出させる急速遂娩法である。先進児頭の下降度によって、①低在鉗子(出口鉗子)、②中在鉗子、③高在鉗子に分けられる。①低在鉗子(出口鉗子)の定義は諸説あるが、おおむねStation+2~+3以上である。術前に陰部神経麻酔、硬膜外麻酔を行うことが望ましい。
2.× 出生児に呼吸抑制が生じやすいとはいえない。なぜなら、非常にまれであるが、呼吸抑制は、母体側に起こるリスクであるため。硬膜の奥のくも膜下腔に麻酔薬が入ると血圧が下がったり、呼吸がしづらくなったり、意識がぼんやりしたり、胎児一過性徐脈がおこることがある。
3.× 子宮復古が遅れやすいとはいえない。なぜなら、子宮復古不全の原因は、大きな母体側の胎盤の損傷で起こることが多いため。例えば、異常な出血、感染症、子宮内膣癒着などがあげられる。
4.× 母体の誤嚥性肺炎発症の危険性が高くなりやすいとはいえない。なぜなら、誤嚥性肺炎は全身麻酔に関連するリスクであり、硬膜外麻酔では意識が保たれるため。
お母さんの硬膜外鎮痛に用いる医療用麻薬の量が通常より多いときには、生後24時間の赤ちゃんの音や光に対する反応や運動機能が、少ない量の医療用麻薬を投与された場合に比べて低くなったという研究結果もあります。 しかしこの差は問題にならない程小さいと考えられています(※3)。また、硬膜外に投与される医療用麻薬がとても多いと、産まれてきた赤ちゃんの呼吸が一時的に弱くなる危険性がありますが(※4)、そのような悪い影響のないよう、担当医は細心の注意を払っています。
「一部引用:「無痛分娩 Q&A」日本産科麻酔学会JSOAPより」