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6 機能性月経困難症の患者で月経血中濃度が上昇しているのはどれか。
1.オキシトシン
2.エストロゲン
3.プロゲステロン
4.プロスタグランジン
解答4
解説
月経困難症には主に2種類あげられる。
①器質性月経困難症:子宮内膜症、チョコレート嚢胞、子宮腺筋症、子宮筋腫などの器質的疾患を伴う。30歳以降の女性に多くみられる。
②機能性月経困難症:器質的疾患を伴わないものをいう。思春期~20歳台前半の発症が多い。原因として、月経の血液を排出するために子宮を収縮させる物質(プロスタグランジン)の分泌が多すぎて子宮が収縮しすぎることや、頸管(子宮の出口)が狭いことが痛みの主な原因とされている。大部分の月経困難症がこれにあたり、初経を迎えた2~3年後から起こることが多い。
1.× オキシトシンとは、脳下垂体後葉から分泌される。乳汁射出、子宮収縮作用がある。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。児の吸啜刺激によって分泌が亢進し、分娩後の母体の子宮筋の収縮を促す。
2.× エストロゲンとは、主に卵巣から分泌される女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
3.× プロゲステロン(黄体ホルモン)は、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。
4.〇 正しい。プロスタグランジンは、機能性月経困難症の患者で月経血中濃度が上昇している。プロスタグランジンとは、子宮の内膜がはがれ落ちるときに増え、子宮を収縮させて、血液(経血)を押し出すはたらきがある。この収縮が過剰になると、子宮内の血流が一時的に減少し、これが痛みの原因となり、機能性月経困難症では、プロスタグランジンの産生や感受性が高まっているため、月経時の痛みが増強される。
7 妊娠34週0日の初妊婦。非対称性〈asymmetrical〉胎児発育不全〈FGR〉-1.5SDと診断された。経腹超音波検査で胎児と胎児付属物の異常はない。羊水量は正常。自宅安静と1週後の再検査となった。
保健指導で適切なのはどれか。
1.胎動カウントをする。
2.乳頭の手入れを開始する。
3.摂取エネルギー量を増やす。
4.塩分摂取は5g/日以下とする。
解答1
解説
・初妊婦(妊娠34週0日)。
・非対称性胎児発育不全:-1.5SD。
・経腹超音波検査:胎児と胎児付属物の異常はない。
・羊水量は正常。
・自宅安静と1週後の再検査。
→胎児発育不全とは、平均と比べて成⻑が遅くなっていることをいい、胎盤由来の妊娠合併症の代表的なものである。子宮内での胎児の発育が遅延あるいは停止したために在胎週数に相当した胎児の発育が見られない状態で、妊娠週数に対して胎児が明らかに小さい場合をいい、胎児発育曲線において「-1.5SD以下」の場合に診断される。
①対称性胎児発育不全とは、新生児が相対的に小さい。 すなわち体重、身長、頭囲が同程度に低いか小さい。
②非対称性胎児発育不全とは、体重、身長、頭囲への影響が等しくない(たとえば、頭囲は期待通りに大きくなり続けているが、体重または身長は期待より低い場合)。つまり、胎児の成長が全体的に遅れているのではなく、体の一部(通常は腹囲)が他の部分に比べて小さい場合である。
この症例は,非対称性の胎児発育不全と診断されている。非対称性の場合,妊娠高血圧症候群,多胎妊娠,喫煙,合併症妊娠といった母体側の要因で,胎児への栄養供給障害(胎盤循環不全)により駆幹の発育遅延が中心となる。現在,妊娠34週0日なので,慎重に胎児発育評価をしながら,胎児の肺成熟を待つ方針が妥当である。この問題では,母体の要因が不明なため,選択肢の3は適切とはいえない。
非対称性胎児発育不全(FGR)は、胎児の成長が全体的に遅れているのではなく、体の一部(通常は腹囲)が他の部分に比べて小さい場合に診断されます。FGRは胎児の健康状態を慎重にモニタリングする必要があり、その中で胎動の観察は非常に重要です。
1.〇 正しい。胎動カウントをする。なぜなら、胎動は胎児の健康状態を確認できる重要な指標であるため。胎動が減少することは胎児にストレスがかかっている可能性を示すため、胎動カウントを行うことで、早期に異常を察知できる。
2.× 乳頭の手入れを開始する優先度は低い。なぜなら、非対称性胎児発育不全の関連性は低いため。乳頭の手入れとは、授乳前に乳頭をマッサージすることで乳頭を柔らかくし、また刺激に慣れさせることでトラブルの予防に行う。乳房マッサージと一緒に行うことが多く、妊娠16週を過ぎたら乳頭のお手入れするように指導することが多い。
3.× 摂取エネルギー量を増やす優先度は低い。なぜなら、単純に摂取エネルギーを増やすことが、非対称性胎児発育不全の直接的な改善には寄与しないため。非対称性の胎児発育不全の原因として、主に胎盤や母体の問題があげられるが、まずは原因や医師の指示がない限り、慎重に判断すべきである。
4.× 塩分摂取は5g/日以下とする優先度は低い。なぜなら、塩分摂取量の制限は、妊娠高血圧症候群などが疑われるため。一般的な妊婦の塩分摂取は、6.5g/日以下とする(※下表参照)。ちなみに、妊娠高血圧症候群とは、妊娠時に高血圧(収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上)を発症した場合をいう。妊娠前から高血圧を認める場合、もしくは妊娠20週までに高血圧を認める場合を高血圧合併妊娠という。妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類される。
(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P158」)
胎児発育不全は、主に2つのタイプに分けられる。胎児の発育が阻害される時期と原因によって、①均衡型と②不均衡型である。※③混合型(均衡型と不均衡型が混在している)
①均衡型胎児発育不全:妊娠初期~中期の早い時期から発育が遅れ、推定体重が少なく、頭も体も全体的に小さい赤ちゃんである。このタイプの胎児発育不全は、染色体異常を含めた先天異常や胎内感染など、多くは赤ちゃん自身の原因によっておこる。また、妊娠中の喫煙や飲酒が原因になることもある。
②不均衡型胎児発育不全:主に妊娠後半に発育がゆっくりとなり、頭は正常な大きさだが、体が細身な赤ちゃんである。これは、前置胎盤や臍帯の付着異常などの胎盤や臍帯の問題や妊娠高血圧症候群などお母さんの合併症が原因で、お母さんからの栄養が十分に赤ちゃんに供給されないために起こるものである。
(※参考:「ばぁばみちこの部屋」ここすまネット様HPより)
(※引用:「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」厚生労働省様HPより)
8 正常分娩した産褥5日の初産婦。産後の経過に異常はなく、母乳分泌も良好である。褥婦が「夫は単身赴任で、私1人で子どもを育てられるかどうか心配です」と話した。
コミュニケーション技術を用いた対応で最も適切なのはどれか。
1.「子育ては母親がするものですよ」
2.「あなたは大丈夫。自信を持ちましょう」
3.「心配していると母乳の出が悪くなりますよ」
4.「心配なことをもう少し詳しく教えてください」
解答4
解説
・初産婦(正常分娩、産褥5日)。
・産後の経過:異常はなし。
・母乳分泌も良好。
・褥婦「夫は単身赴任で、私1人で子どもを育てられるかどうか心配です」と。
→本症例の心配に共感や受容的態度が大切である。
1.× 「子育ては母親がするものですよ」と伝える必要はない。なぜなら、母親の不安や心配を、受け入れてず軽視していると受け取られる可能性が高いため。また、家族の立場や考えを押し付けているように受け取られる可能性がある。
2.× 「あなたは大丈夫。自信を持ちましょう」と伝える必要はない。なぜなら、根拠のない励ましであるため。解決には、具体的に話を聞いたうえでアドバイスすることが重要である。
3.× 「心配していると母乳の出が悪くなりますよ」と伝える必要はない。なぜなら、さらに母親へプレッシャーや不安を与える可能性があるため。
4.〇 正しい。「心配なことをもう少し詳しく教えてください」と伝える。なぜなら、本症例の抱える具体的な不安や心配ごとを引き出し、その内容に応じた支援を提供することができるため。
9 乳癌について正しいのはどれか。
1.妊娠中に治療はできない。
2.妊娠中の生検は禁忌である。
3.授乳期にマンモグラフィは禁忌である。
4.授乳期の反復する血乳は精密検査が必要である。
解答4
解説
乳癌とは、乳管や小葉上皮から発生する悪性腫瘍である。乳管起源のものを乳管癌といい、小葉上皮由来のものを小葉癌という。年々増加しており、女性のがんで罹患率第1位、死亡率は第2位である。40~60歳代の閉経期前後の女性に多い。
乳がんのリスク要因は、①初経年齢が早い、②閉経年齢が遅い、③出産歴がない、④初産年齢が遅い、⑤授乳歴がないことなどである。閉経後の肥満は乳がん発症の高リスクであると考え、 また閉経後の女性では運動による乳がんリスク減少の可能性が示されている。
(※図引用:「患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版」日本乳癌学会事務局様HPより)
1.× 妊娠中に治療「はできない」と断言できない。なぜなら、妊娠時期に応じて治療が行えるため。「乳がん治療の中には妊娠中のどの時期においても胎児への影響があるものと,妊娠前期のみ影響があるものがあります。抗がん薬や手術の際の麻酔薬は,妊娠前期では胎児への影響がありますが,妊娠中期や後期では胎児へ悪影響を及ぼす可能性が低くなります。ホルモン療法,分子標的治療,放射線療法などは,どの時期においても胎児に影響を及ぼす可能性があるため,出産後に行います。(※引用:「患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版」日本乳癌学会事務局様HPより)」
2.× 妊娠中の生検は禁忌ではない。むしろ、胎児への影響はなく,妊娠の時期にかかわらず安全に実施できる。ちなみに、生検とは、病気の診断や経過予後の判定のために、患部の一部を針やメスなどで採取して、顕微鏡などで拡大して調べる検査である。「超音波検査(乳腺エコー)や細胞診・針生検(はりせいけん)は胎児への影響はなく,妊娠の時期にかかわらず安全に実施できます。マンモグラフィ検査は放射線を使用しますが,鉛板で腹部を保護しながら受けることができます。CT検査は放射線被曝(ひばく)の危険があり,MRI検査は強い磁場の影響があり,また,撮影の際に注射する造影剤も胎児に異常や奇形を起こす可能性があるので,特に妊娠前期では検査が必要な場合以外は行わないほうが無難です。(※引用:「患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版」日本乳癌学会事務局様HPより)」
3.× 授乳期にマンモグラフィは禁忌ではない。なぜなら、母乳に放射線の影響が出ることはないため。ただし、授乳期は、乳腺が発達した状態になっているため、圧迫した時にかなり痛みを感じ、母乳が出ることもある。また、全体が白く写ってしまうため、正確な診断が困難になることもある。ちなみに、マンモグラフィとは、乳房のX線撮影のことで、乳房撮影専用X線装置を用いて乳房を圧迫し、乳房内の組織の差を写し出す画像検査である。マンモグラフィでは、「しこり」や「石灰化」のように触れることの出来ない小さな病変を写し出すことが出来るため、早期乳がんや乳がん以外の病変を見つけ出すことに非常に有効である。
4.〇 正しい。授乳期の反復する血乳は、精密検査が必要である。なぜなら、①乳腺の異常や②悪性腫瘍(乳がん)などの原因を見つける必要があるため。特に、乳がんの場合は、早期発見が重要であるため精密検査が必要である。
10 腹部触診法の写真を下図に示す。
Seitz〈ザイツ〉法はどれか。
1.①
2.②
3.③
4.④
解答4
解説
(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」)
レオポルド触診法とは、母体の腹壁に触れることで子宮の収縮状態、子宮底の位置、胎児の数、胎向、胎位、胎勢、先進部、下降度などの観察が目的である。妊娠27週頃から可能で、児頭は固く丸く、四肢は小部分として触れる。
【触診法】
第1段法:子宮底の位置や高さ、形、胎児部分を触診する。
第2段法:一方の手で胎児小部分を確認し、他方の手で胎向を確認する。子宮の形、大きさ、緊張度、羊水量、胎動、胎向をみる。
第3段法:恥骨結合上の胎児部分を触診し、可動性(移動性)をみる。
第4段法:恥骨結合と胎児の下降部に指先を挿入して、下降部と骨盤進入度合いを確認する。
1~3.× ①~③は、レオポルド触診法である。①は第1段法、②は第2段法、③は第4段法である。
4.〇 正しい。④は、Seitz〈ザイツ〉法である。ザイツ法とは、児頭が骨盤腔内に嵌入しているか否かを腹壁上からの触診でみる方法である。恥骨結合より児頭前面が低ければ Seitz(-)、同じ高さなら(±)、児頭前面の方が隆起していれば(+)と判定し、児頭骨盤不均衡を疑える。
(※図引用:「骨盤形態からみた難産予測 著:又吉國雄 様」)